でも、転生者じゃないです・・・・
一応生存者なので
― おい!いい加減に黙れよクソガキが!! ―
― あんた!タバコの火を押し付けないでよ。痕が残ってクソババァにねちねちと文句言われると面倒だわ! ―
― うるせぇな! おい!何見てんだよ!糞が! ―
ゆまの目の前には煙を上げるたばこ
「い、嫌ぁ!許して!許して××・・・・あれ?」
― 誰・・・だっけ? ―
私が目を覚ますとそこはいつもの叔父さんからもらった部屋
怖い「鬼」がいない、私の部屋
ベット脇にはピンク色のウサギのぬいぐるみ
叔父さんは私に優しくしているし
織莉子お姉ちゃんはいつも勉強を教えてくれるし
織莉子お姉ちゃんのお友達のキリカさんは一緒に遊んでくれる
ゆま、とっても幸せだよ・・・・・
美国邸
美国家「長女」の織莉子が父親の書斎のドアを叩いた
「お父様、お呼びですか?」
書斎の中央、祖父の代から受け継がれた豪奢な机の前に美国家当主、織莉子の父が佇んでいた
「織莉子忙しいところすまない。話は・・・」
「ゆまの・・・・記憶のことですか?」
「・・・・彼女の記憶はまだ戻らないのか?」
「あんな悲劇があったのだから当然ですわ」
「・・・いつものカウンセラーの先生が辞意を伝えてきた」
織莉子は驚いた顔を見せる
「それは・・・・ゆまを治せないということですの?」
「いやそうではない。だが、カウンセラーが言うには彼女自身が催眠にかかり難い体質らしいのだ」
「だから反対したのです!ゆまの歳で催眠療法なんて・・・・」
織莉子は顔を伏せた
「今の所は悪夢を見る以外に障害は見られないようだ。本格的な治療はもう少し経ってからでも・・・」
「ええ、ありがとうございます。お父様」
「私も心痛めているのだ・・・・彼女は両親が自殺したところを見てしまったのだからね。本当は記憶も戻って欲しくはないのかもしれないな・・・」
~ これで当面はゆまの安全は確保できたわね ~
織莉子は父親の書斎からでると、その顔に笑みを浮かべた
彼女は周りに誰もいないことを確認すると、その懐から卵型の宝石を取り出す
ライム色に輝くソレは明らかに、彼女自身のソウルジェムとは違った
「ゆま・・・あなたは貴方のまま、幸せに生きるのよ」
ライム色のソウルジェムは脈動するように輝いた
NGシーン
カラン!
マホガニー製のドアを開き、一人の少年が喫茶店に入ってきた
「おいおい、お前さん頭の包帯はどうしたんだ?」
「マスターどうやら性質の悪い連中に襲われたらしくて・・・・」
「そ、そうか・・」
彼はいつものように「ソレ」を作り、少年の前に出す
「いつもの、だよ」
少年はソレを飲む
ドクターペッパーとルートビアの謎ドリンク
それを一気飲みした瞬間、彼「中沢直人」の脳裏に映像が浮かんだ
― ・・・・これ・・・・・のモノでしょう? ―
中沢より背の低い、黒髪の少女
彼の交友関係に彼女のような人間はいない
あれ?なんで僕はそんなことを考えているんだ?
ふと彼が喫茶店の窓を見ていた時だ
不意に黒猫が横切った
黒猫・・・・
黒髪・・・・
可愛い猫!
「レパ・マチュカ!!!」
「へ!?」
とうとう頭がイったか?
マスターの驚愕を余所に、中沢の脳裏に失ったことはず数日前の記憶が蘇った
此処で黒髪の少女に出会い、告白したこと
そして・・・
「呉キリカさん!」
中沢は財布から千円札を取り出すと、店を出た
「おつりはとっといて!!!」
彼の歩みを止められるものは誰もいなかった
「キリカさぁーーーーーーん!」
「ゲッあいつは!」
「僕、思い出しましたぁぁぁぁぁ!!!」
「ひぃぃぃぃぃぃ!!!こっち来んな!!!!」
走るキリカと追う中沢
その姿は某三代目大怪盗と某インターポールを彷彿とさせた
新キャストのルパン三世シリーズは批判はあるけど、結構好きです