最初は「魔女モドキ」とか、アレレ?な感じだったけど綺麗にまとまった良作品
特に最後の「魔法少女の契約の対価」がかなりグッときた
― 来てしまった・・・・ ―
佐倉杏子、いや「佐倉杏介」がラブホテルの前に立ちすくんでいた
顔は赤く染まり、心臓は早鐘を鳴らしていた
― ったく!真のヤツは何でこんなにも冷静なんだ?もしかして、誰かと来たことがあるのか? ―
杏子の胸がチクリと痛んだ
― 何だよ一体!アタシ・・・・やっぱり変だ ―
「どうしたの杏子、じゃなかった杏介?早く入ろ?」
女性化した真が杏子の腕を引く
「わかったから!わかったから手を引かないでくれ!」
~ 僕も恥ずかしいからさっさと入るよ!中沢さんに見てもらって諦めさせるのが今回の作戦の肝なんだからね! ~
二人は寄り添いラブホテルの入り口に消えた
「へぇ、意外と綺麗な部屋だな。もうちっと汚い部屋を想像していたのに」
通された部屋は普通のビジネスホテルの一室と変わらなかった
壁際に料金支払いのための「エアシュート」が設置されている以外は
シュオォォォォォォォ!
「はぁ、生き返るぅぅ!」
女性化を解いて、真が身体を伸ばす
「おいおい!なんで変身を解いてんだよ真!」
「何でって、ここなら中沢さんも見ていないからね。杏子さんも変身を解いたら?」
「これはだな・・・・お前が変なことを・・・」
「変身したままなんて窮屈じゃありません?」
「アタシのプライドが許さないからだ!」
「これから一時間以上も変身したままなんて辛いですよ?」
計画では一時間以上、このホテルにいることになっている
件の中沢君の様子は逐一、ホテルのフロントから連絡される手筈だ
つまりは二人はラブホテルに入ってからは特にすることはないのだ
「退屈だなぁ・・・・・ファァァァ」
真は欠伸をした
そんな真を余所に佐倉杏子はベットの傍らに座って壁を見ている
― ううぅ・・・恥ずかしすぎて真の顔が見れねぇ ―
ラブホテルと言う非現実的な場所で、男(女性化できる存在であることは今回忘れて)と二人きりなのだ
佐倉杏子とて思春期の少女
羞恥心というものが頭を過る
そして・・・・
― 昨日の夢の通りじゃないか ―
これで女性化した真がベットに横たわっていたら・・・・・
― 昨日の真は綺麗だったな・・・・ ―
思い出されるのは、一糸まとわぬ姿の真
その雪のように白い肌
触るだけで沈み込みそうなくらい柔らかな乳房
― 何考えているんだアタシは! ―
「おい真!シャワー浴びてくる!いいか!特に意味なんてないぞ!ホントにないぞ!」
「わかりましたよ、もう」
今は一人になりたかった
これ以上真を見ていたら、自分が自分でなくなりそうで怖かったからだ
シャァァァァァァ・・・・・
暖かなシャワーを浴びて、杏子は自分を冷静に見つめることができた
「あれはあくまで夢の話だ・・・・大丈夫だあたしが真になんて・・・欲情するわけないじゃねぇか」
不意にドアが激しく叩かれる。
「杏子さん!早く出て!」
真の声で杏子は現実に引き戻された
「何だよチクショウ!」
「何も感じないんですか!杏子さん!!!!!」
真がドア越しに叫ぶ
「何が・・・・?!」
じっとりと湿り気のある瘴気
空間が歪んだような感覚
間違いない
「魔獣の結界、だな」
杏子の瞳が思春期の少女から、「魔法少女」の瞳に変わる
NGシーン
「杏子さんはシャワーだし・・・・退屈だなぁ。テレビでも見るか」
カチッ!
― ああ私の中にティロ・フィナーレをしてぇぇぇ!!! ―
テレビには二十代くらいの女性がコスプレをして男性の相手をしていた
慌ててテレビを消す
「・・・なんで巴先輩みたいな恰好していたんだろ・・・もういい、寝るか」
真がベットに寝転んだ時だ
~ いやぁそんなトコロを舐めちゃ・・・・いやぁ!!! ~
ラブホテルの壁は薄い
そのため、壁の近くにいると必然的にアノ声も聞こえてしまう
「ひぃぃぃ!すみませんでしたぁぁぁぁ!!!」
つい謝ってしまう、チェリーボーイな真であった
遅ればせながらコスプレ例大祭の1巻を視聴
十六夜咲夜の女優さんが「BAD長」って言われている意味が分かりました・・・