鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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ただいま、煩悩の掃除中・・・


暖かな感触

倒れ伏す杏子を見下ろす「杏子」

杏子の身体が光に包まれ、そこには真が立っていた

 

「わざと土煙を立て、あの出歯亀野郎の魔法を使ってアタシになって、爆弾を自分に偽装させて入れ替わったワケか」

 

「そうです。今までの修行で、佐倉先輩の戦い方はある程度予想が付きました。でも・・・」

 

真が杏子と向かい合う

 

「なぜ僕自身に幻惑魔法を使わなかったんです?」

 

杏子は微笑んだ

 

「なんでだろうな・・・・結局、アタシは真とガチでやりたかっただけかな」

 

「佐倉先輩・・・」

 

「さぁ、アタシを殺すなり犯すなり好きにしろ」

 

真が無言で拳を杏子に向ける

彼女がしようとしたことは真にとって死刑宣告と等しい

なら、敗北者としてこれから起きるであろうことは受け入れなければならない

杏子が目を閉じる

 

杏子の赤い髪を暖かな掌が撫でる

 

「・・・・僕は何も佐倉先輩を倒そうとしていませんでした」

 

彼女が目を開けると、真が優しく微笑んでいた

 

「お前は優しすぎるよ。あの爆発の瞬間だって・・・」

 

真の偽装体が爆ぜた瞬間、その遥か背後でもう一つ水素の塊を爆発させて威力を相殺させていた

 

「優しさが無力ではないと証明したかった。ただそれだけです」

 

― ああ・・・叶わないな ―

 

「杏子・・・・アタシのことを杏子と呼んでいい。舎弟卒業だ」

 

「杏子先輩・・・・」

 

「だぁぁぁ!アタシは先輩でもなんでもない!杏子でいいんだ!杏子で!」

 

 

 

「驚いたわ。まさか貴方が私の切り札である現実創造を使いこなせるなんて」

 

織莉子が感心する

 

「織莉子さんの能力をコピーした時にその使い方も知りました。でも実際は時間制限があって正直大変でした」

 

「でも真さんはそれを使いこなして佐倉さんに勝利した。それは誇っていいことよ」

 

「ありがとうございます。無断で能力をコピーさせていただいて・・・」

 

「後で使用料をいただくわ」

 

「お手柔らかに」

 

「それは保証しかねるわ」

 

織莉子はクスリと笑みを浮かべた

 

 

虹色の泡が真を包み、見滝原中学校の女子制服を着用した真が立っていた

 

「佐倉先輩・・・じゃなかった杏子さん。家まで送りますよ」

 

「真!舎弟卒業っていったが、調子に乗ってんじゃない!誰がおんぶなんて・・・・」

 

「でもその状態で家まで帰れますか?念のため、僕も女性体になっていますから」

 

「・・・・わかったよ」

 

 

恥ずかしがりながらもおぶさった真の背中は暖かった

 

「本当言うと、僕はうれしかったんです。杏子さんが僕のことを真剣に考えてくれて・・・」

 

「よせよ。柄でもねぇ」

 

「そうですね」

 

不意に杏子が背後から真を抱きしめた

 

「・・・約束してくれ。あたしより先に消えんなよ」

 

杏子は絞り出すように囁いた

 

「・・・・約束はできません」

 

「・・・・・・・・」

 

杏子は唇を嚙む

 

「でも、僕が力尽きて倒れる、それまでずっと貴方の傍に居ますよ」

 

そう言うと、真は振り向こうとした

 

ドガッ!!!

 

「振り向くんじゃねぇぇぇぇ!とにかく今は!!!」

 

「何で殴るんですか!」

 

「ええぃ!この鈍感!シネェェェェ!」

 

「杏子さん!極まっている!首極まっているよ!!」

 

寒々とした夜空の下、二人の声は何時までも響いていた

 

 

 

 

 

NGシーン

 

蝋燭の光だけの暗い部屋で真は目を覚まし

その四肢は革製の拘束具で拘束されていた

 

「確かあの時・・・・」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「ええぃ!この鈍感!シネェェェェ!」

 

「杏子さん!極まっている!首極まっているよ!!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「あの時に〆落されたんだ!」

 

「よう、やっとお目覚めかい?」

 

「杏子さん!これは何のつも・・・・・」

 

 

真の目の前にはレッドレザーのボンテージビキニを着た杏子が立っていた

クロッチ部分に付けられたジッパーが、やや幼い杏子の肢体と相まって背徳さを際立たせていた

 

 

「言葉でもダメ、力づくでもダメ、なら・・・・・」

 

杏子の瞳に妖しい光が宿る

 

「身も心も調教して、依存させるしかないだろ?」

 

 

 

「なんだか最近、佐倉さんと真さんが一緒に行動することが多くなってきたわ。お姉さん妬いちゃいそうよ」

 

「いいじゃない?仲が悪いよりもいいわ」

 

 

「真?ちゃんと言いつけを守ってきたか?」

 

「はい・・・」

 

そういうと真は青いプリーツスカートをたくし上げた

そこには「貞操帯」と呼ばれる拘束具が装着されていた

 

ブブブ・・・・・

 

微かなモーター音が響く

 

「杏子さ・・・・ん、僕もう・・・あぁん!!」

 

「イくなよ真?イったらお仕置きだからな」

 

杏子は真に微笑んだ

澱み、光のない瞳で・・・・

 

 

 

 




ちなにみ真が爆発させるときに叫ぶ「スコッピオ」はイタリア語で Scoppio 爆発という意味です

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