佐倉杏子はロッソ・ファンタズマを展開し、真を牽制した
― 宇佐美真 ―
世にも稀な「魔法少女」として戦える少年
最初は真がさやかの振りをしていることが許せなかった
しかし
真と笑いあい
真と一緒に修行して
杏子はまるで、消えてしまったさやかと一緒に今でもいるように感じるようになっていた
だからこそ今の真を放置できない
彼のやさしさを肯定したら・・・・
「消させねぇよ、真。たとえ、お前に恨まれても・・・・」
泣きそうな顔で彼女は呟いた
「現実創造!」
真の声と共にその手の中に黄金の円盤が現出し、高速回転しながら空中に浮かびあがった
そして杏子はなすすべもなく黄金の光の中に消えた
「・・・・?」
何らかの攻撃と思って身体を探るが杏子の身体には異常はなかった
そして真も先ほどと同じ場所に立っていた
ただ、周りを見渡すとあれだけ展開していた杏子の分身は何処にもいなかった
「・・・・何であの男を助けたんだ?さやかに助けてもらいながら、さやかの思いに気付かなかったヤツだぞ!」
「佐倉先輩の言うこともわかります。でも、僕はさやかを求め続ける恭介さんを見捨てることができなかった」
「優しすぎる・・・・真は優しすぎる!」
「そうかもしれません。でも僕が魔獣に襲われた時僕はさやかさんの優しさから助かりました」
「わかったぜ真・・・」
杏子の姿が複数に分かれて、再び真を取り囲む
皆、手に手に紅の槍を携えていた
しかし絶対不利であるこの環境でも真は動じず、右手を差出し横に凪いだ
凛とした真の声が響く
「スコッピオ」
ドガァァァァァァ!
ドガァァァァァァ!
ドガァァァァァァ!
ドガァァァァァァ!
ドガァァァァァァ!
立て続けに杏子の分身たちが爆発した
「現実創造は胎児の夢の上位互換よ。対象を自分ともども結界に封じ、結界内の事象を組み替える技。魔女の結界と同じ・・・」
「魔女?」
「言葉のあやよキリカ。今真さんは結界内の水素を結合させ簡単な爆弾を作って爆発させている」
「でも織莉子のアレってかなり燃費が悪いんじゃ」
「そうよ。真さんの魔法が、他の魔法少女のソウルジェムから吸い出した穢れを魔力に還元できるといっても無尽蔵ではない。いつかは破綻が起きるわ」
織莉子の「魔女の結界」が何を示すのか、キリカは理解できなかった
でも、それを問うのは今ではない
彼女には根拠はないが、その確信があった
「ほう・・・・なかなかやるじゃねぇか」
佐倉杏子は素直に真を称賛した
真の戦闘スタイルは熟知している
今、真は杏子の予想を超えた進化を見せた
近接戦闘と切り札といえる「コピー魔法」
織莉子とキリカ
二人の能力が良くわからないが、それは真とて同じ
特に制限なしの決闘では、カードを先に切った奴が負ける
「これなら・・・どうだい?」
杏子が更なるカードを切った
真が掃討した倍の分身が召喚される
「ロッソ・ケントゥリア・・・真は初めて見るよな?」
― ケントゥリア ―
「百人隊」との呼び名の通り、無数の「佐倉杏子」が獰猛な笑みを浮かべた
NGシーン
「ロッソ・ケントゥリア・・・真は初めて見るよな?」
「ええ、ところでその技名は自分で考えたんですか?」
「いや・・・それは・・・・」
「どうなんですか?」
「それはマミが!」
「ウソはいけませんよ、佐倉先輩?」
何時の間にか真の手の中には、あの黄金の円盤が収まっていた
彼が円盤を操作すると、結界内にいくつもの映像が浮かぶ
― ロッソファンタズマの強化版だから・・・「ギガ・ファンタズマ!」 ―
― 何で英語とイタリア語なんだよ!イタリア語ならイタリア語で統一しないと・・・ ―
― マミから借りたイタリア語辞典はやっぱ難しいな・・・・ケントゥリアか、まぁいいかな ―
「へぇ~?」
「のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
真、戦わずに大勝利!
設定置いときます
・現実創造
美国織莉子の高度演算能力を使った「疑似魔女結界」
自分と対象を結界内に封ずるため、危険度は高まる
そのため、「胎児の夢」を展開してから、相手を「現実創造」に仕掛ける必要がある
おまけに燃費が悪いため、時間制限もある
今年中に第二章を投下できるかな