鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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ではでは投下

「M3 其ノ黒キ鋼」

ぶっちゃけホラー+ロボとか言っていても面白くない
ある意味学園ものだし、その内ヴァルヴ「レイプ」にでもして姑息な人気アゲでもするのかな~?


悪魔の誘い

 

「テヤァァァァァ!!!!!!」

 

壁に槍を構えた少女のシルエットが、消えかかった水銀灯の光で浮かぶ

そしてその少女の槍の先には巨人が立っていた

巨人と大槍を構えた少女

まるで影絵芝居のようだ

巨人が少女に手を振り上げた瞬間だった

 

「イ・タ・ダ・キィィィィ!!!!!」

 

突如として、少女の姿がかき消されると同時に数人の同じ姿形の少女達が現れた

巨人は為すすべもなく、少女達の手にある槍で細切れにされていく・・・・

 

 

見滝原市の旧市街地

再開発の手が入り活気に溢れた中心街と比べ、その流れから離れたこの街はどこかうら寂しかった

この世界には「努力」や「経験」、「技術」でも全く太刀打ちできない「運」という大きなファクターがある

この運というものは「不幸になった分だけ幸福になる」といった明確な法則というモノはなく、運自身それは自分の努力でどうこうなるようなものでもない

この街も、ほんの数ブロック東側にあれば再開発の恩恵をあずかることができた

しかし、そうはならず今では数件の飲み屋かシャッターの下ろされた廃業した商店がある程度だ

だからこそ、瘴気の吹き溜まりになりそれは魔獣の涌く場所となるのは必然だった

 

 

ヒュォォォォ・・・・・

 

重力などないかのように紅をイメージカラーにした少女が降り立つ

 

「キリカ!今日のノルマはコイツで最後だな!!」

 

紅い髪の少女 ― 佐倉杏子 ― の目の前には白い僧侶のような巨人「魔獣」が立っていた

魔獣には目はなく、その表情すらわからない

だが、明らかに目の前の魔獣は彼女を狙っていた

 

~ 引き付けて・・・引き付けて・・・・ ~

 

魔獣の頭部、目にあたる部分がボウッと光る

 

「今だ!!!キリカァァァ!!!!!!」

 

杏子が叫ぶのと同時だった

 

ザシュッ!!!!

 

魔獣の背後から鈍い音が響く

見ると巨人の青白い肌からは黒々と光るカギ爪が顔をのぞかせていた

そしてそのまま、魔獣は前のめりに倒れた

しかし、巨体が出すドシンといった音は聞こえず、倒れた場所には黒い立方体が落ちているだけだった

 

「杏子、アンタ楽してない?」

 

黒のタイトスカートと眼帯を身に着けた少女 ― 呉キリカ ― が鉤爪を冷え冷えとした夜の空気に晒しながら立っていた

 

「んっなことねーよ!キリカ!!」

 

杏子と呼ばれた少女が口に団子を放り込みながら軽口を叩く

 

 

神那ニコとの会談の後に、美国織莉子から二人に与えられた「課題」

それは二人の親和力を高めることだった

二人とも戦闘スタイルは典型的な「前衛型」であり、来るべきあすなろ市への侵攻においては切り込み役になることは既に決まっている

しかし、二人ともやや短気であるという精神的な弱点に加え、この二人の仲はあまりよくはない

これが例えば、嫌う原因があるようなものだったら治しようもあるが、しかし二人はそういう意味では相手を「嫌っていない」

寧ろ、二人のプロフィールや好みなどを勘案すれば無為の親友になる可能性もある

しかし現実としてそうはなっていない

理由はいくつか考えられるが、もっとも可能性の大きいのは「同族嫌悪」

下手に共通点がある為にどうしても相手を嫌ってしまう

これが平時であれば特に問題となることはないが、しかしこれからの命を賭けた戦いではそれがネックになるのは間違いない

だからこそ、こうしてできる限り二人で行動するよう織莉子に言い渡されているのだ

 

「ひーふーみーっと、今回はこれくらいかな」

 

杏子の手の中には三つの黒い直方体、魔獣の核である「グリーフシード」だ

あすなろ市を覆う大結界の影響をシャットアウトするには、自身も強力な結界を生成せねばならないのは前回の偵察でわかっている

その為に、手分けして魔獣を狩って大量のグリーフシードを入手しているのだ

 

「あれだけ苦労して、狩れたのはこれくらいかぁ~」

 

「仕方ねぇさ。魔獣ってのは出てくる数が決まっているわけじゃねーし。これでも織莉子が事前に涌きそうな場所をピックアップしてくれているから、グリーフシードを洩れなく入手できてるんだ。最悪なのは出張っても一つもグリーフシードを手に入れらない場合さ」

 

そう言うとキリカは自分の手柄のように胸を張る

 

「お前なぁ・・・これは織莉子がすごいのであってアンタがすごいわけじゃねぇんだぜ?」

 

「ンっだとオラァ!アタシは二匹仕留めたね!!」

 

「はぁ?それはアタシの手柄だろうが!」

 

戦闘においては彼女達は「プロ」だ

感情で目的を見失うことはない

とはいえ、戦いを終えればこうして口論になってしまう事もある

大概は織莉子から、お茶会の電話がかかりこの二人の口論はそれまでになるのだが・・・・

 

「・・・・ん?」

 

プルルルル・・・!

 

キリカの携帯が鳴るが、杏子の関心はお茶会のケーキでも紅茶にもなかった

 

「杏子!今日は何を食べたいかって織莉子が・・・・・・」

 

「わりぃキリカ・・・・ちょっと用事ができた」

 

そう言うと、杏子は魔法少女形態のまま飛び上がり夜の闇に消えて行った

 

「・・・ああ、織莉子。杏子が行った。全くキミの予想通りだよ・・・・・」

 

消え去る杏子の後ろ姿を見ながら、キリカが呟く

 

 

 




インフルは治ったけど今度は花粉症・・・・・

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