鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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投下

因みにこのSSでは再生成の魔法を持っているのが「聖カンナ」で、接続の魔法を持っているのが「神那ニコ」となっています


蒼月の茶会

あすなろ市から来た神那ニコ、飛鳥ユウリ、杏里あいりとの会談はその後は何もなく過ぎて行った

確かに、敵である「救済者」の首領と思わせる人物である「ウサミマコト」

彼女と真の母親である「宇佐美命」の共通項は非常に気になる事ではあったが、しかしそれよりもお互いの持つ情報を共有した方が効率がいい

特に敵が何故、あすなろ市にあの巨大結界を生成させたのか、その理由を知ることができたのはかなりの収穫だった

杏子達もあれが織莉子の言う「別の世界」で「プレイアデス聖団」と名乗る少女達がある目的の為に生み出したものであることは知っていた

ニコ達がもたらした情報はそれを明確に裏付けた

「救済者」と名乗る集団は、固有の魔法を使ったのか確実に「別の世界」のことを知っている

だからこそ、この「世界」では「聖カンナ」と呼ばれている「神那ニコ」に両親の覚醒を餌に契約を持ちかけたのだ

 

― 両親の覚醒を保証する代わりに、楽園の礎となること ―

 

「楽園の礎」とはすなわち、再びプレイアデス聖団の再結成を意味する

織莉子の検索でも「箱庭」が複数の魔法少女達の魔法を組み合わせた特殊な「合体魔法」で動いていることは判明していた

そして新たに得た情報を加え、再検索した結果は驚くべきものだった

 

― プレイアデス聖団 ―

 

この世界では和紗ミチルと浅海サキが中心となって結成されたただの劇団だが、「別の世界」では一人の魔法少女が「魔女」の手から助け出した少女たちが集まってできた「魔法少女の集団」であり、彼女達を救った少女が戦いの末に魔女へと変わり、命を落してもなお彼女達は戦いつづけた

そしてインキュベーターの正体を知り、自分たちのように幼気な少女達がインキュベーターの「餌食」になることを防ぐために、魔法少女の記憶を改竄しインキュベーターそのものを認識させなくさせる大結界「箱庭」を生み出した

そしてそれだけの離れ業を成し遂げた彼女達の名前は「浅海サキ」、「若葉みらい」、「御崎海香」、「牧カオル」、「宇佐木里見」、そして「神那ニコ」と名乗る「聖カンナ」

彼女達を救い出し今際の際に、魔女の正体を教えた魔法少女の名は「和紗ミチル」・・・・・

 

 

「嘘だろ・・・・・そんな・・・」

 

杏子が声を絞り出す

 

「・・・・・嘘じゃないよ」

 

キリカが手にしていたスマートフォンを杏子に手渡した

杏子が目を通すが、それはあすなろ市の新聞記事のようだった

記事はある日を境に続発した少女達の集団失踪を伝えていた

失踪した少女達の名前は・・・・・

 

「なんで・・・こんなことを・・・」

 

「あの世界ではインキュベーターを認識させなくさせるだけではなく、プレイアデス聖団の実行しようとしていた計画を察知させない為でもあった・・・」

 

織莉子が皆に言い聞かせるように話す

 

「彼女達の大望は死んだ少女の復活。そして魔法少女達を呪われた宿命から解き放つこと・・・・」

 

「私が記憶で見た救済者と同じ目的だよ。アイツらも口では魔法少女たちを救うと言っていたさ。」

 

ニコが請け合う

 

「でも・・・彼女達は失敗した」

 

静かに織莉子が告げる

そこに感情はなく、ただ「事実」のみを話していた

 

「じゃあ、何かい?その世界の人間がどういうワケか、この世界でもう一度同じことをしようとしてるってのか?」

 

「杏子さん・・・それはわからないわ。でもそのウサミマコトという人物は間違いなく、箱庭やプレイアデス聖団のことを知っている。願わくば、彼女達の最後も知っているといいのだけど・・・・」

 

織莉子は目を伏せた

 

「最後というのは・・・・・?」

 

あいりが織莉子を見る

 

「疑心暗鬼とうぬぼれ、特に彼女達が期待を込めたソウルジェムの浄化システムに頼り過ぎた。特に自分達も箱庭の一部となってしまったら、システムを追認することも不能になる。だからこそプレイアデス聖団も数人を残して壊滅してしまった。彼女達は結局、何も残せなかったのよ」

 

沈黙が訪れた

敵の目的は「魔法少女達の救済」

しかし、それを目指したかつての世界の「プレイアデス聖団」は崩壊した

ならば答えは決まっている

確かに「救済者」は魔法少女の救済を目的に行動しているのは間違いないだろう

その目的は確かに正しいことだろう

でも、その目的の為に罪のない人間を利用するのは「悪」だ

決して許されることではない

 

「アタシは少なくとも魔法少女になったことは後悔していない。真の奴だってそうだ。だから、アイツらのやっていることは気に喰わない!」

 

ダン!

 

杏子が椅子を跳ね除け、立ち上がる

 

「アタシは戦う!!真のヤツの為でもなんでもない!アタシはアタシの願いを否定したくねぇんだ!!!!」

 

キリカが立つ

 

「おいおい、お前みたいな熱血馬鹿が行っても捕まるのがオチだよ?せっかくだからこのキリカ様が付いて行ってやるよ!」

 

二人の様子を見て織莉子は微笑んだ

「かつての世界」では呉キリカは織莉子のみに心を開いていた

でも、この世界ではお互い意識していないにしろ「仲間」を得ていた

 

「もう、こちらの答えは出ているわ。貴方達の答えは?」

 

「こちらも同じさ!」

 

ニコの声にあいり、ユウリも立ち上がる

 

「願いの為に戦う!!!!」

 

六人の誓いの言葉が夜空に響いた

 

 

 

 

 

 

 

 




ジョジョの奇妙な冒険
少しテンポが速いように見えるが悪くはない

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