鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

30 / 322
予告していたクリスマス特別編です
お楽しみください


クリスマス特別編 金色に抱かれて ― 巴マミ ―

 

「真さんクリスマスの予定あるかしら?」

 

切っ掛けはこの一言からだった

 

 

巴マミ

才色兼備

人当たりは良く、異性同性からも愛されている

でも多くの人は彼女の「もう一つの顔」を知らない

 

― 魔法少女 ―

 

たった一つの願いを引き換えに、魔獣と呼ばれる超常の存在を狩る戦士

彼女 巴マミもその一人だ

そして・・・・この僕、宇佐美真も「魔法少女」として戦っている

 

「クリスマスですか・・・・・?」

 

僕は怪訝な表情で巴先輩を見つめた

だってそうじゃないか?

僕と巴先輩はあくまで「マギカ・カルテット」での先輩後輩の間柄だ

クラスメートがこれを聞いたら、嬉しくてきっとショック死してしまうだろう

でも、あまり僕にはその感情がわからない

「女性化」して魔法少女として戦っているからかな・・・・?

 

「あ、あくまでこれは親睦を深めるためであって・・・・深い意図はないのよ!全然!本当よ!」

 

「巴先輩・・・・?」

 

「ほむらさんや佐倉さんにも話をしているからね?」

 

僕は少し考えて頷いた

 

 

会場は巴先輩の自宅だった

僕がマギカ・カルテットに加入する前の拠点は巴先輩の自宅だったそうだ

 

「いらっしゃい!真さん」

 

輝くような黄色のパーティードレス

赤い唇

そして、丁寧に結い上げた髪

 

「巴・・・・・先輩?」

 

僕はその美しさに圧倒された

 

 

「佐倉さんは家族でのパーティーから抜けられないって。ほむらさんも都合が悪いって・・・・」

 

暁美先輩と佐倉先輩がそろって欠席?

でもよく考えたら僕が二人に関して知っていることは余りにも少ない

だからあまり深くは考えないことにした

 

「ささっ、真さんも座って。今日の料理は私が腕を奮った一品よ!楽しんで行ってね」

 

「そうだ・・・巴先輩これを」

 

僕は用意してきた包みを先輩に手渡した

 

「まぁ!美味しそうなクリスマスプディングね!」

 

 

「真さん食後酒をどうぞ」

 

食後、真は巴マミからグラスに入った酒を勧められた

 

「さすがにお酒は・・・・」

 

「甘いし、アルコールもさほどではないわ。今日くらいは羽目を外しても誰も文句は言わないわよ」

 

僕は巴先輩からグラスを受け取った

 

「美味しい!」

 

「10年物のトゥニーポートよ。お菓子みたいに甘くて美味しいでしょう。もう一杯いかがかしら」

 

「ええ、ありがとうございます」

 

僕は巴先輩にすすめられるままグラスを重ねていった

 

 

ふと時計を見ると針は夜の12時を指していた

 

「夜遅くまですみませんでした」

 

「ええ、いいのよ・・・・」

 

僕は立ち上がろうとした・・・が

足がもつれその場に倒れ伏した

 

「あらあら、真さん。大丈夫」

 

「すみません巴先輩。手を貸してもらえませんか?」

 

「・・・・・それはできないわ」

 

「え?」

 

巴先輩は僕に近づき、唇を重ねた

 

「おやすみなさい・・・・真さん」

 

 

間接照明の淡い光の中、僕は目覚めた

ふと見ると・・・

 

「・・・・なんで裸なんだ?」

 

衣服は脱がされ、それらは丁寧に横に折りたたまれていた

僕は立ち上がろうとするが、手足はリボンで拘束されていた

 

「おはよう、真さん」

 

「外してくれませんか巴先輩」

 

彼女は微笑みながら近づく

 

「だって・・・・逃げるでしょ?」

 

その時、巴先輩の姿が見えた

 

彼女も僕と同じく、裸だった

光のない、歪んだ瞳で微笑みながら

 

「真さんは不思議ね・・・・男の子なのに雄を感じさせない」

 

彼女がベットに腰掛ける

 

 

「私が魔法少女になった理由を話してあげるわ」

 

彼女は淡々と話し始めた

 

交通事故に遭い、助かりたい一心で魔法少女になったこと

 

― 家族を助けてほしい ―

 

その一言が言えなかったばかりに両親を死なせてしまったこと

 

「私はずっと一人で戦ってきた・・・・贖罪?いいえ、本当は早く死んで両親のもとに行きたかったから」

 

彼女は泣いていた

泣きながらも微笑んでいた

 

「佐倉さんと逢ったのはその時よ。彼女は弟子にしてくれって・・・・・」

 

痛々しい彼女の姿に僕は視線を逸らすことができなかった

 

「ほむらさんがいつも間にか仲間になって・・・・私は一人でなくなった。でも・・・!」

 

巴先輩が声を荒げる

 

「誰も私を理解してくれなかった!誰も私を愛してくれない!!!」

 

「それは・・・・ッ!」

 

リボンが猿轡のように僕の口を塞いだ

 

「真さん・・・・私を愛してくれる?」

 

 

気が付くと僕は力なくベットに横になっていた

行為の後の麝香のような残り香が辺りに漂う

 

そして・・・・

 

「許して・・・・真さん・・・・・なんてことを・・・」

 

ベットの横で巴先輩が泣いていた

彼女の花弁からは純潔の証が滴っていた

背中を丸め、泣き続ける彼女の姿

そこに戦いの聖少女の姿はなかった

 

「・・・・・泣かないでください巴さん」

 

僕はその小さな背中を抱きしめた

彼女のしたことは許されることではない

でも僕は・・・

 

「僕が傍にいるから・・・」

 

彼女の隣に居たかったから

 

 

 

「ただいま!」

 

「おかえりなさい巴さん」

 

僕は家を出て、巴さんと一緒に住んでいる

自分を凌辱した相手と一緒になったことに不快感を感じる人もいるだろう

でも、彼女の孤独に触れて彼女の力になりたいと僕は感じた

 

「もう!二人の時はマミでいいわよ」

 

「ごめん、マミ」

 

何時まで二人で居られるかわからない

僕も巴さんも魔法少女だから

だから、巴さんが円環の理に消える、その時まで一緒に居よう

 

「愛しているわ真さん」

 

「僕もだよマミ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




巴マミ「むしゃくしゃしてやった。後悔している」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。