鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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ではでは投下


テーブルの下の刃

 

静かに対峙する見滝原の魔法少女とあすなろ市の魔法少女

言葉は無く、ただただ静かに時間が過ぎていく

その長く感じるような時間に身を委ねながら、ユウリとあいりはできるだけ平静をよそおった

もし少しでも動揺すれば、そこから織莉子にニコの魔法である「コネクト」を見破られるかもしれない

ニコの話では、アメリカに対象と話すだけで魔法少女であっても全ての情報を知ることのできる魔法少女がいるらしいし、常に用心はしてもし過ぎることはないはずだ

でも、目的は相手を追い詰めることではない

自分達の背中を守ってくれる存在、仲間を得ることだ

出来るだけ穏便に、しかし確実な保険が欲しかった

ニコの持つ接続魔法「コネクト」

それを察知できる人間はいないはず

しかし、魔法少女とは常識に囚われない存在だ

先に何があるかわからない状況で、自分達がボロを出したらお終い

故に三人は細心の注意を払っていた

だが、当の織莉子はニコの「コネクト」をどういう手段で見破ったのかわからないが、彼女に好きに調べさせていた

これが「敵の一員」なら余りにも軽率

ニコのコネクトは例えるなら有線での「ハッキング」だ

その適応範囲は広く、魔法少女一人一人に付与されている固有の魔法をコネクトで乗っ取ることも、無機物有機物問わず物体に蓄積された記憶を調べることも可能だ

ニコに「慈悲」はない

短い接続時間だったが、ニコは徹底的に相手を調べ尽くしていただろう

その上でニコは彼女は信頼に値すると言っていた

ニコ一人の判断だ

ここにニコのように対象の心を見ることのできる魔法少女は一人もいない

今はただ会談の行方を見守るしかない

 

 

「お互いの不作法は水に流しましょう。私も貴方もここで戦争するために来たわけではないのですから」

 

優雅な物腰で話す織莉子

そして軽やかな笑みを浮かべるニコ

その二人を見つめる四人の少女達

 

「ええ。お互い自己紹介する手間は省けましたし」

 

そう言うと、ニコはキリカと杏子に目を向けた

 

~ おい!キリカ!まさか・・・・ ~

 

~ コイツ、間違いなく事前にヤツのことを調べたことを知ってるぜ! ~

 

会談の前、織莉子は自身の固有魔法である「アカシックレコード」を使って三人の情報を調べあげ、それをキリカと杏子に伝えていた

彼女の検索は「全能ではない」

検索の際に与える情報が少なければ当然、検索で得られる結果もあやふやなモノになる

もともとTVに出た有名人である「飛鳥ユウリ」はかなり確かな結果が出た

でも「杏里あいり」と「神那ニコ」は入力できる情報の量が少ない為に、その確かな答えを出すのにはかなりの時間を要した

とはいえ、なんとかそれぞれの固有魔法がわかったのは大きな収穫だ

「コピー&ペースト」と「接続」

どれもかなりトリッキーな魔法だ

特に「接続」に関しては、対象の記憶を読み取るのみに限らず個々の固有魔法も接続することで使用できるなど、使い方によっては最大の脅威といえる

しかし、それよりも衝撃だったのは「神那ニコ」の正体だった

 

~ しっかし・・・・・どう見ても人間だよな・・・ ~

 

~ ああ。織莉子の話じゃ、アイツは生理もあるってことだから、多分生体機能も人間と同じはずだってさ ~

 

杏子は「神那ニコ」を見た

レモン色の髪も

陶器のように白い肌も

何処から見ても「人間」にしか見えない

でも・・・・

彼女は「人間じゃない」

ニコの正体は一人の少女の願いで生み出された「合成人間」

合成人間なんてSFの世界のように感じるが、現にそれが今目の前にいる

 

「それじゃあ、食事にしましょうか」

 

「有名人である、飛鳥ユウリさんの手料理が冷める前にね」

 

そう言うと、ニコと織莉子は同時に食事を始めた

たまらず杏子が声を出す

 

「お、おい!」

 

「どうしたのかしら?佐倉さん」

 

「あの・・・その・・・・」

 

~ やっぱり織莉子の目は苦手だ・・・ ~

 

吸い込まれそうなエメラルド色の瞳

糾弾することもなく、ただただ無言で見つめられると杏子は何も言えなくなってしまった

 

「毒なんて入っていないよ?」

 

ニコが少し苦笑いを浮かべながら話しかける

 

「そうだよ!!!毒なんて入れていないよ!!!!食べ物を粗末にするのは悪人で、生きてエンディングを迎えられないんだから!!!!!」

 

ユウリが憤慨する

彼女は「料理」を作る上で信念を持っている

食事に毒を入れるなど、そのような畜生にも劣る行いをするような人間ではないのだ

どんなことがあっても彼女がそれを曲げるはずがない

 

「・・・・・ワリィ」

 

杏子が謝罪する

 

「罰として佐倉さんの恥ずかしい思い出を一つばらしてあげるわ!」

 

「へ?なんだよ織莉子まで!!!」

 

「あら、当然よ?さっきも言ったけど、私達は此処へは戦争を仕掛けに来たわけではないわ、それをわかって?」

 

「うっ・・・・・」

 

「謝罪は口ではどうとでも言えるわよね・・・・・・?」

 

じりじりと近づく織莉子

 

「キリカ拘束して!」

 

「らじゃー!」

 

ガシッ!

 

「糞!離しやがれ!!!」

 

杏子が身じろぎするが、一足先に魔法少女になったキリカを振りほどくことは不可能だ

 

「佐倉杏子はプレアデス聖団の劇で女装した真さんの写真を使って毎晩イケ・・・・・」

 

「ちょっ!おまっ!!!」

 

人気のない屋上に少女の悲鳴が何時までも響いていた

 

 

 

 

 

 

 

 




キャプテンアース

エウレカに近いとか意見はあるけど、個人的にはド直球のロボアニメで嫌いではないな
スタードライバーも敵の女幹部の殆どがボンテージとかアレだけど、内容はド直球で悪くなかったし

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