鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下


晩餐

長大なテーブルには向かい合うように六人の少女達が座っていた

その内、ユウリとあいりの視線は一人の少女に向けられている

 

「美国織莉子」

 

美国家と言えば、あすなろ市でも名が通る程の名家だ

そして、その長女である織莉子は女性であるユウリとあいりでも見とれる程の美貌を誇っていた

しかしこの二人はそんな低俗な理由で織莉子を見ていたわけではない

彼女はあの忌々しい夜に出会った「見滝原の魔法少女」の一人であり、暁美ほむらと和紗ミチルが失踪するなか唯一、生き残ることのできた魔法少女だ

織莉子の人柄や実力については人づてではあるがある程度知っている

そんな彼女がミチルやほむらを踏みにじり、押しのけてでも逃げ延びたとは到底思えない

とはいえ、それを証明する手立てはなく、わかるのは彼女のみが逃げ延びて此処にいるという事実

当然、ニコもその事 ― あの夜に起こった事件のあらまし ― を知っている

織莉子が一人生き残った、その事実を知っていて彼女を「調べる」ためにこの晩餐を開いたのだ

 

「この場を設けてくださり、皆を代表して謝意を述べさせていただきます」

 

深々と頭を下げる織莉子

 

「他人行儀の挨拶はいいわよ織莉子さん。私は初めてだけどユウリとあいりとは前に出会ったんでしょ?」

 

静かでありながら、ニコが核心を突く

もし織莉子が「あの夜」のことを隠していればマギカ・カルテットに動揺が走るはず・・・・

実際、仲間にも秘密に行動して挙句、仲間が失踪するなか一人だけ逃げおうせたといえば、仲間であっても信頼できないだろう

「普通」なら、自分を不利にするようなことはあえて言わないものだ

しかし、予想に反してニコのこの言葉に動揺する者はマギカ・カルテットにはいない

織莉子があらかじめこの場に同席する佐倉杏子、呉キリカに全て話していたからだ

寧ろ、微かに動揺が見られたのは件のユウリとあいりの二人だけだった

 

「・・・・・・その様子ならもう知っているようね」

 

「ああ」

 

ニコは静かにそう答えた

 

「なら、こちらも他人行儀な態度は止めた方がいいわね。あの日はよく覚えているわ・・・・私とミチルさん、ほむらさんは敵からの狙撃から逃れる為にそれぞれ散開して逃げた。そして集合場所に言ったら誰一人戻ってこなかった・・・・私だけ一人が逃げ切り生き残った、それだけよ」

 

「師匠をミチルさんを貴方は見捨てたというの・・・・・?」

 

ユウリが織莉子を見る

 

「違うわ。相手は襲撃の際に、狡猾にもスナイパーを用意していた。おまけにそれを何の躊躇もなく街中で撃っている。場合によっては一般人を人質にとることもできると暗に言っているのと同じ。対策をあれこれ練るよりも逃げることを優先するべきだ。だから私達はそうした。あの場合でいうのなら、固まって逃げればそれだけ標的が大きくなり敵の放った弾丸が命中する危険が大きくなる。貴方はそれをわかって?」

 

織莉子のエメラルド色の瞳がユウリを射抜く

 

「私達に油断が全く無かったとは言わない。ミチルさんもほむらさんも魔法少女としてはかなりの実力者、恐らくは姿の見えないスナイパーは最初からあの二人に照準を合わせて攻撃してきたはずよ。結果としては散開してにげる選択をしたのは正解だったようね・・・」

 

そう言うと織莉子が目を伏せた

彼女とて「魔法少女」である前に「人間」だ

恐らくは彼女とて、「皆」を助けたかったのだろう

でも、共倒れを防ぐにはそれぞれバラバラに逃げ出すしかない

誰か一人が逃げ延び、情報を仲間達に伝えることができたのなら、反撃の目はこちらにある

 

「・・・・・・私は嘘を言ってないわ。でしょ?神那ニコ?」

 

織莉子がニコをキッと睨みつける

 

「にへへ・・・・ばれたかな?」

 

ニコが笑みを浮かべる

何の含んだものはない

でも、織莉子の目は確実に「ソレ」を捉えていた

ニコの背中から伸びる「触腕」を

 

ガタッ!!!!

 

「てめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!やっぱり騙しやがったな!!!」

 

杏子が勢いよく立つ

変身こそしていないが、彼女の懐から赤い光が漏れ出している

それを織莉子が静止した

 

「止めなさい佐倉さん!私は攻撃は受けてはいないわ!!」

 

「ッ・・・!」

 

ニコが静かに立ち上がる

その背中に蠍の尻尾のような触手が揺れていた

 

「私の固有魔法はコネクト、対象に気付かれずに記憶や魔法に接続できる。・・・失礼だったが、織莉子さんに接続させて記憶をみせてもらった」

 

「お前はアタシたちを信頼してないってことか!!!」

 

キリカが変身し、袖から伸びた黒い鉄の爪をニコに向ける

 

「止めなさい・・・・キリカ」

 

「でも・・・・!」

 

「私には何の被害も遭っていないわ。まぁ・・・・ちょっと恥ずかしい思い出を見られただけよ」

 

「恥ずかしいって・・・!」

 

「あら、それを私の口から言わせるつもり?何時からキリカはドSになったのかしら?」

 

「う・・・・・」

 

織莉子からの口撃にキリカは白旗を振るしかなかった

 

「それで私は貴方のお眼鏡に叶ったのかしら?」

 

ニコは織莉子からの問いかけに静かに頷いた

 

 

 

 

 




そういえば、テレビの反日工作ができなくなった業界ゴロがアニメ業界に大挙して移動しているって聞くな・・・

サムゲ荘の悪夢を繰り返したいのかな?

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