鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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ハイドアウト

マギカ・カルテットの暫定リーダーである「美国織莉子」が何の疑いなく、用意された椅子に座った時、奥の昇降口の影から二人の少女が彼女を見つめていた

彼女達は今は魔力をできる限り抑え、結界すらも張っていない

こういう場合は小細工をすればするほど、違和感は強くなる

静かに対象を観察するのならば、魔力に頼らず影に息を潜めて潜伏した方が都合がいい

時として単純な方法が何よりも効果的な場合もあるのだ

 

~ あいり・・・見えてる? ~

 

~ ああ、間違いない。あの日に見た「アイツ」だ! ~

 

彼女達に「会話」はない

魔法少女がお互い連絡を取り合う上で、最もポピュラーで確実な手段

それが「念話」だ

単純に言えばテレパシーであり、これは使用する際電話のようにタイムラグが全く発生せず、また術式を組み替えれば魔力を持った他人でも聞けない内密の会話をすることもできる

無論、魔力を消費するがそれとて微々たる量だ

別段気にすることはない

念話の使い過ぎで死亡した魔法少女はなぞいないのだ

それこそ、携帯やゲーム、パソコンから電磁波が出ているとしても、それが原因で脳内に腫瘍ができたとかガンになったとか言い出す「プロ市民」がいないのと同じ

まぁ、念話に慣れ過ぎると、魔法少女ではない少女についうっかり「念話」で話しかけてしまうこともあるのだが・・・・

 

~ でもなんで・・・・・? ~

 

~ ああ、ニコの奴が調べた範囲ではあの夜を境に「暁美ほむら」、「和紗ミチル」の二人と私達の二人は同時に失踪していた。なら何であの日、アイツだけが逃げ延びられたなんて信じられるか?偶然にしてはできすぎているぜ ~

 

~ じゃあ、あいりは織莉子さんが敵の仲間だって思っているってこと? ~

 

「スパイ」という職業は対象に入り込み、その対象の内部工作がその任務だ

情報を流すことも然り、邪魔な人物を始末するのも然り

戦の戦況は伏兵が決める

どんなに優れた指揮官がいても、それを狂わすスパイが一人でもいればかなり不利だ

ハンニバル・バニカといえば「アルプス越え」など逸話を持つ優れた指揮官だ

しかし晩年の彼は若い指揮官や王に疎まれて意見は採用されず、エウリュメドン川の戦いで敗北してしまう

彼の敗北の裏にスパイがいたか

それはわからない

しかしスパイは有効な「兵器」だ

あれだけの罠を仕掛けてきた敵のことだ

目に見えるモノすべてを疑ってもおかしくない

そう、あの織莉子さえも・・・・

スパイの「浸透手段」にも様々な方法がある

内部に潜入したスパイが別のスパイを敢えて捕まえて、より深く敵方に浸透する方法もある

あの「織莉子」がそういう手合いでないとしても、それを裏付ける客観的な証拠は何一つない

三人の魔法少女があの夜に集い、そして一人を残して失踪した

失踪した原因はわかる

ユウリとあいりを無人島へ「飛ばし」、あすなろ市全体を結界で覆い包んだ「救済者」だ

恐らくは二人を処分した後に、ミチルとほむらを拉致したのだろう

それはなぜだ?

あいりがその頭脳を働かせ答えを探す

二人があの夜に「美国織莉子」に出会ったのは一瞬

「暁美ほむら」と一緒にだ

詳しいプロフィールは判らない

ただその固有魔法はミチルから教えられている

 

― 過去、未来、そして平行宇宙全ての情報を検索できる能力 ―

 

ミチルは織莉子のこの魔法を「高度な検索エンジンのようなもの」と言っていた

それと同時にこの魔法は「戦闘向き」ではないとも・・・・

 

~ まさか・・・・・ ~

 

― 織莉子は「戦闘」ができなかったから、逃げ延びたのではないのか? ―

 

確かにミチルは「ハッキング」という強力な固有魔法を使えた

彼女なら、あの結界を解析して術式をクラッキングしてしまうことも可能だろう

「救済者」なら間違いなく最優先に確保しようとする

織莉子は脅威ではなかった

だからこそ見逃された

確かにつじつまが合う

 

~ あいり? ~

 

ユウリがあいりを見つめていた

 

~ 聞いてくれ。恐らくアイツらは戦闘力のある魔法少女を優先的に潰している ~

 

~ でもそれって織莉子さんだって・・・ ~

 

~ 私達はアイツの戦闘を見ていないから判断はつかないけど、アイツの固有魔法は検索だ。戦闘向きじゃない ~

 

~ なら私達はなんで・・・・ ~

 

再び、あいりは思考の海にダイブする

ニコから伝えられた「カンナと救済者との契約」

それはプレアデス聖団のコピーを作り操る事

そして・・・・

 

~ 相手の目的はあくまで厄介な「ミチル」と「ほむら」の確保だったんだよ!それに予想外の乱入者が「三人」いた・・・だから私達はどっかに飛ばされた ~

 

~ じゃあ、織莉子さんは・・・・ ~

 

~ 私達やほむら、ミチルが襲われている間に敵から逃げ切ったんだろうな・・・・ ~

 

戦いとは総じて泥臭い物だ

英雄の物語は血と裏切り、そして運でできている

たまたま織莉子の方がツいていた

それだけだ

彼女を糾弾するのはスジ違いといえる

 

~ マギカ・カルテットの皆が席に着いたよ。ユウリとあいりも早く来てくれないか? ~

 

~ ごめんニコちゃん!ちょっとトイレに行っていて・・・・ ~

 

ユウリがニコからの念話にそう返事する

 

~ まぁどっちにしてもこっちには人間ウソ発見器がいるわけだしな・・・ ~

 

あいりが「ニコ」を見つめた

ニコの固有魔法「コネクト」

この前に嘘は通用しない

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「鯨の次はマグロを禁漁にしてやるぜ!フィーーーハッハッハー!!!!」

とか、早速環境テロリストが動いているが・・・・・
日本がマグロの『完全養殖』を成功して、しかも商業販売しているって知っていますか?
というより、マグロの禁漁をしたら、マグロの完全養殖を成功した日本の利益にしかならんが?
まぁ、白人が黄色人種に頭を下げるわけないから、かつての「ミキモト養殖真珠」裁判と同じく日本から技術、特許を奪い取ろうとするだろうな、間違いなく

ミキモト養殖真珠事件

日本が成功した養殖真珠にファビョったオランダ人商人が日本の養殖真珠を「紛いモノ」であるとして起こした裁判
その際、オランダ人は「日本の養殖真珠技術の公開と特許の譲渡」、「日本が真珠を養殖することの禁止」を求めた
無論、日本は裁判に勝って復讐として養殖真珠の技術の公開に踏み切り、オランダ人の真珠仲買人を破産に追い込んだ

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