鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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問いかけ

「・・・・何だよこれ」

 

見滝原中学校の屋上

ここはどこにでもある普通の中学校のように、落下防止のフェンスが付けられただけコンクリート打ち立ての殺風景な場所ではない

屋上にはしっかりとした強度をもった鉄のフレームに覆われ、フレームの一つ一つが凝ったアラベスク様式に飾られていて美術館の屋外休憩所のようになっている

夕暮れ時、沈みゆく太陽の残す琥珀色の光に彩られたこの場所は、まるでヨーロッパの古い大聖堂の中のように幻想的で神秘的だ

ちなみに見滝原中学校では告白の場所として、この場所は大人気であり「一般生徒はカップルが屋上に来たら空気を読んでその場を後にする」というローカルルールがある

ただ、これが適応されるのはあくまで「告白」までであり、告白の「その後」所謂「エロゲー展開」に持ち込むのはご法度である

 

「ヤるならホテルで」

 

真理である

 

 

しかし、初めてこの場所に来たのならいざ知らず、見滝原中学校の学生である杏子にとっては見慣れた光景だ

日中に巴マミと作戦会議を幾度となくこの場所で開いたこともある

彼女が驚いたのは、この見慣れた場所に設置された巨大なテーブルだ

大きさは真の家にあるモノと同じくらいだったが、それよりもシンプルな構造をしていた

杏子が自らの瞳に魔力を流して精査するが、トラップの類のものは一切ない

そして、シミ一つない白のテーブルクロスの上には暖かな湯気と芳しい香気を放つ料理の数々が並べられていた

どう見ても晩餐の準備がされている

そしてそれぞれの椅子の前には一つ一つ名前の書かれたプレートが置いてあった

 

~ どうすんだよ織莉子? ~

 

杏子が念話を使って織莉子に指示を仰ぐ

彼女としては個人的感情で織莉子に頼りたくはないが、しかし杏子はあまりにも交渉事に疎い

それに彼女はこの三人の中では良家の出であり学もある

交渉能力も高い

織莉子はキリカと共に「探偵」として「魔法少女」達の引き起こした事件を調査してきた

無論、海千山千の連中との折衝も日常茶飯事

おまけに場合によっては魔法少女としての力をむやみに行使するのではなく、できる限り生身で交渉する必要もある

杏子は彼女からの答えを待った

 

スッ・・・・

 

織莉子は自分の名前が書かれたプレートの前の椅子に静かに座った

 

 

「どうしたのかしら?」

 

「ちょっ!!」

 

杏子が抗議の声をあげる

 

「座り心地の良い椅子がある。そして目の前には晩餐の準備が整っている、とすれば座るのがマナーよ」

 

「でもさ・・・・・・!」

 

何の警戒心を持たずそのまま椅子に座った織莉子に苛立った杏子が更に言葉を紡ごうとするが、織莉子からの念話が唐突に彼女に届いた

 

~ 杏子さん。今は静かに待つことよ。少なくとも相手の出方を見てからでも・・・・ ~

 

 

「そうそう、料理が冷めないうちにね?」

 

 

「「「?!」」」

 

三人の表情に驚愕が浮かぶ

キリカが声のした場所を見ると、先ほどまで誰も座っていなかったはずの椅子にレモン色の髪の少女が座っていた

 

「呼んでおきながら姿を現さずにいてすまない。私は神那ニコ、魔法少女と言えばわかると思う」

 

そう言うと少女は頭を下げた

 

「私の名前は美国織莉子。いちおう、このマギカ・カルテットの暫定リーダーということになっている」

 

静かに、それでいて気品をもって織莉子が謝意を述べる

ただ彼女も警戒は怠らない

杏子も辺りを警戒しているが、殺気や闘気というものが隠しきれていない

彼女もそれなりに戦闘経験があるが、しかし交渉事には向かない

あのような様子ではこちらの意図を簡単に読まれてしまう

闘いも交渉も場数をこなすことが能力を伸ばす一番の方法だ

彼女は交渉が必要な場をあまり経験していないということを表していた

 

「他のメンバーはどうしたのかしら?」

 

「今、後片付けをしているところだよ。もうすぐ来るから安心して。ところで、この中で肉類にアレルギーのある人はいないかしら?」

 

ニコがそう言うと、突如二人の少女が姿を現した

一人は輝くような金色の髪を踝まで伸ばしたツインテールの少女で、もう一人は短く切った白い雪のような銀髪をした少女だ

どちらの少女も凜とした美しさを放っていた

 

「彼女達の名前は飛鳥ユウリと杏里あいり。二人とも私の同志だ」

 

ニコと名乗った少女が残り二人の少女の名を告げる

 

「私の名前は飛鳥ユウリ。その料理を作ったのは私だよ。こう見えてもテレビに出たこともあるんだから!」

 

「私は杏里あいり。私から言うことはあまりないけど、あいりの作った料理を粗末にしたら許さないから」

 

にこやかなユウリに反して、あいりの表情は硬い

しかし、それは織莉子達も同じだった

ピリピリとした空気があたりに漂う

その瞬間だった

 

ぐぎゅぅぅぅぅぅうぅうぅぅぅ!!!

 

獣の吠えるような音が響く

咄嗟に皆がそちらを向く

 

「ワリィ・・・・あたしだ・・・」

 

そこには顔を羞恥で赤く染めた杏子が座っていた

 

「お前なぁ!!!ちっとは自嘲しろよ!!!!」

 

「だってよキリカ!目の前でこんな料理を見せられたらどんな奴だって・・・・!!」

 

キリカが杏子に突っ込む

その光景を織莉子とニコは微笑ましく見つめていた

まるで・・・決して得られなかったモノを得たかのように・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「バディ・コンプレックス」

なんでこう、サンライズのロボアニメはテンプレ的になったんだろうか?
昔は「エルドランシリーズ」とか、「勇者シリーズ」といったヒーローロボアニメを作っていたっていうのに・・・・・・
ぶっちゃけ、リアルロボットなら「ボトムズ」を超えるモノはないから、寧ろヒーローロボに回帰したほうが儲かると思うが

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