「私・・・・・私は・・・・・・」
カンナは放心していた
植物人間となってしまった両親を目覚めさせるために、「救済者」と名乗る連中と契約したこと
そして、「契約」の結果自分がいなくなっても、ニコがニコらしく愛する家族と人生を生きていけるように記憶を消して目覚めた両親の元へ送り届けた
全ては「ニコの為」
でもそれはニコに対する「おごり」だった
カンナにとって、この選択は自分は正しい事だと信じていた
でもそれは言い換えるなら、自己犠牲に酔い自分が「ニコの恩人になりたかった」だけだった
それも自己満足の為だけに
思い返せば、この行動は・・・・・・「私」、いや「私達」があの夜にその手を血まみれにしながらも誓った言葉を否定することだった
私はこの「世界」から出る
きっとニコは許してくれないだろう
でもニコに全てを話して謝ろう
もう一度、「二人」で歩きだす
「守られる自分」でも「守る自分」でもない
本当の姉妹として私はニコの隣にいたいのだ・・・・・・・
私はカンナとずっと話した
先程までのお互いに銃を向けるような剣呑な空気はない
アメリカと日本の食生活の違いとか、当たり障りのない話を話していくうちにカオルはカンナとの会話に不思議と違和感を感じなくなっていた
そう
まるで「大昔から友達だった」ようにも、「それが自然だった」ようにも感じる
そしてそれはカンナとて同じだった
~ どうしてだろう・・・・だいぶ昔、ずっと顔を合わせていたような・・・・ ~
どうして自分がそう感じるのか、全くわからない
でも不思議とカンナはカオルとその仲間を信用できると感じ始めていた
「ところで聞きたいことがあるんだが・・・」
「ああ、でもさっきも言ったように私は敵の正体を知らない。わかっているのは救済者と名乗ったことと、そのリーダーの名前だけだよ」
― 救済者 ―
「ウサミマコト」と名乗る背の高い金髪の少女が率いる組織で、全ての魔法少女の救済を望む組織だ
構成員の数はわからないが、その身なりや装備を見る限りかなり潤沢な活動資金を得ている
カンナが見たことがある構成員はマコトともう一人、洗脳魔法の使い手である「優木紗々」と言う少女の二人だけ
とはいえ、たった二人だけの組織ではないだろう
実際、日本では入手できない類の兵器である「対物ライフル」も保有していた
つまりはそういったマテリアルを入手でき、かつそれを維持でき運用するルートを確保しているということだ
彼女達のバックに国家単位の軍隊や軍事組織が控えていてもおかしくはない
それに少し気になる人物もいる
カンナが話した人物、「優木紗々」だ
カンナの話では固有魔法を使って、ニコの記憶処理を行った人物で一度見たら絶対に忘れない、非常に個性的な「変顔」が特徴だったそうだ
~ やっぱり・・・・間違いない ~
カンナの知る範囲での彼女の個別魔法は「洗脳」
全く知らない人物を「知り合い」や「友人」と思い込んだり、敵を味方と思わせたりといったことさえ可能だというのだ
ならばカオルを含めて、プレアデス聖団の皆に魔法少女になるよう「洗脳」を施したした可能性がある
いや恐らく、その「犯人」に間違いないだろう
でもなぜ?
何も知らない少女を魔法少女に変えても、彼女にとって何の利益もないはずだ
自分の魔力を使っている以上、むしろマイナスだ
洗脳して自分の味方に引き入れる?
襲撃の際、魔法少女になった瞬間に意識が戻っているからそれはない
自分の手駒にするなら、魔法少女になった瞬間に記憶を取り戻させるようなことは絶対にしないはずだ
カンナの言うとおりなら、その優木紗々は利益の見込めないことに固有魔法を使っていることになる
それどころか、自分の敵を作っているとしか思えない
「でも腑に落ちないことがある。なんで全ての魔法少女を救済することが目的なのに、魔法少女を大量生産するようなことをするんだ?」
「確かに・・・・。でも奴らに嘘はなかった。実際眠らされる前に確認したの限りじゃ、マコトは確かに私との約束を守っていた」
「リアルな幻覚って線は?あの優木ってヤツの魔法でできなくはないんだろ?」
「それも疑ったけど、アメリカの実家の部屋のクローゼットに書いた落書きまで再現できると思うの?悪いけど、このことはアイツらには一度も言っていない。恐らくはニコだって知らないはずよ」
「ああ、そうなら間違いないな」
話を纏めると幾つもおかしな点がある
なぜプレアデス聖団全員を「魔法少女」にしたのか?
それも「洗脳」という強引な手段を使って
カンナとマコトとの契約には「カンナ自身の身体」も含まれていた
プレアデス聖団がなぜ全員拉致されて同じ夢の牢獄に繋がれているかわからない
それとなぜカンナが関係しているのかも・・・・・
「だっあぁぁぁぁぁ!!!!わかんねぇぇぇぇぇ!!!!!!」
海香のように頭がいいわけでも、サキのように交渉する才もない
ならカオルが選ぶ手段は一つしかない
「なぁカンナ・・・・」
「何よ?」
「プレアデス聖団の皆に会う気があるか?」
カオルの問いかけにカンナは静かに頷いた
来期のアニメにはロボットアニメが多いけど、なんか「劣化エウレカ」や「劣化ぼくらの」になりそうな気が・・・・
実際、バディコンプレックスという「劣化ガンダムSEED」が今もやっているし