鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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投下します

そろそろ次作の構想でも練るか・・・


絆創膏の絆

― いい?真さん。今あなたの中にはアカシックレコードからダウンロードしたさやかさんの記憶が移植されている ―

 

― でも時には記憶がウソをつくこともある。だから過信は禁物よ ―

 

― 必要以上に話をせず、すぐに引き返すこと。約束してくれるかしら? ―

 

 

 

恭介は次から次へ思い出を話していた

それはまるで、消え去りつつあるさやかとの思い出を心に刻みつけるようだった

 

「そういえばさやか、覚えてるかい?小学校の組体操で怪我をしちゃって。そうしたらさやかが絆創膏をくれたっけ」

 

「そうそう!確か恭介はもったいないから使わなかったんだよね」

 

真はその場の空気が変わったのを感じた

 

「・・・・さやかは確かに僕に絆創膏をくれた。でも僕はその時別の絆創膏を持っていたんだ・・・・」

 

恭介が俯く

 

「僕はさやかがくれたのを使いたくなくて、持っていたほうの絆創膏を使った。どうしてさやかがそのことを知っているんだい?」

 

― しまった! ―

 

真が記憶を呼び出し、対応を探る

しかし・・・

 

「キミはさやかそっくりだった・・・・でも違う」

 

今にも泣きそうな恭介の顔を見ながら、真は決意した

 

― 織莉子さんごめん ―

 

意識を集中させて、儀装を解除した

 

恭介の目の前には「鉄仮面の魔法少女」宇佐美真が立っていた

 

「恭介さん・・・・貴方に真実を受け入れる覚悟はありますか?」

 

凛とした声で真は告げる

 

 

「僕が今まで話したことは事実です。でも結末は違う」

 

「キミは僕を馬鹿にしているのかい?」

 

恭介の瞳に宿るのは決意

 

「探偵に断られて以来、僕は様々な方法でさやかを探してきた。でも・・・」

 

真は沈黙する

 

「でも、みんな真実を教えてくれなかった!」

 

この細い身体から絞り出される慟哭にまことは圧倒される

 

「・・・いいでしょう」

 

 

 

恭介は静かに聞いていた

戦いの最中、仲間を庇って力を使い果たし「美樹さやか」が消滅してしまったこと

そして遺体は回収できず、故に失踪扱いになったことを

 

彼が取り乱さなかったのは真の話すことが真実だと本能で知っているから

全てを語り終えた真に恭介は静かに呟いた

 

「もう・・・誰も聞いてくれないのならバイオリンなんてする意味がない」

 

「本当にそうお思いですか?」

 

「だってそうじゃないか!さやかはもうこの世にいないんだろ!」

 

激昂とともに恭介の瞳から涙が迸った

 

「・・・恭介さん。人魚姫の話の結末を知っていますか?」

 

「最後に泡になって消えた・・・・そんなこと・・・」

 

「そうです・・最後に人魚姫は海の泡になって消えた。でもその魂は天上に上り空気の精になって、かつて愛した世界と、愛した王子をずっと見守っている」

 

真が恭介に瞳を合わせる

 

「私は思うのです・・・さやかさんの身体は消滅しました。でも彼女の魂は今もあなたの傍らにいて貴方を見守っていると」

 

「さやかが・・・・」

 

「信じる信じないもあなたの自由です。でも、今のあなたを見たら彼女はどう思うでしょうか?」

 

「キミも・・・仁美と同じく、僕にバイオリンを弾かせたいのかい?」

 

「私は貴方にさやかさんのためにレクイエムを弾いていただきたいのです。人知れず戦い続けたヒーローを送るレクイエムを」

 

恭介は自らの手をじっと見つめる

ささくれ、傷だらけの腕を

 

「僕にできるのだろうか?」

 

真は彼の手を握る

 

「彼女を思い、バイオリンを弾けば彼女にきっと届きます。必ず!」

 

 

「行くのかい?」

 

「ええ。私は戦い続ける、かつてのさやかさんと同じように」

 

「最後に一つだけ教えてくれないか。君の名前は?」

 

「ただの名無しの・・・・魔法少女です」

 

真は恭介の頭に掌を乗せる

 

「・・・目覚めたら全ては元通り。願わくばこの夢があなたの糧にならんことを」

 

真が最後まで言うことなく、恭介は眠りに落ちた

 

 

上条恭介は変わり映えしない自室で目覚めた

まだ夜明け前なのだろう、部屋はまだ暗かった

 

「夢、だったのか?」

 

今しがた出会った「魔法少女」の姿が脳裏を過る

しかし、彼女の痕跡は何処にもない

恭介が全てを夢と決めつけようとした時だ

破り捨てた楽譜の中、それはあった

 

『あなたが以前演奏したバイオリンには劣るかもしれませんが、よろしければお使いください』

 

差出人は―

 

『あなたのファンである、名無しの魔法少女より』

 

 

パチッ!

 

恭介が留め金を開く

そこには月の灯りに照らされて赤色のバイオリンが鎮座していた

 

恭介はそれを掴み・・・・

そっと抱きしめ泣き続けた

心の澱みを払うかのように・・・

 

 

 

真は織莉子との合流場所に向かっていた

計画の遂行を伝えるためだ

 

上条邸が見渡せる廃ビルの屋上

そこに織莉子とキリカがいるはずだった

 

 

「よう、遅かったじゃねぇか。真」

 

赤い髪をポニーテールにした少女が彼を待っていた

そしてその背後には

 

「織莉子さん!キリカさん!」

 

後ろ手に縛られ、吊るされた二人が見えた

 

「真・・・・最後の修行だ・・・・」

 

事情の呑み込めない真に赤い髪の少女 ― 佐倉杏子 ― が冷徹に告げる

 

「アタシを倒せ!真ォォォォ!!!!!!」

 

激昂と共に杏子は真に槍を向けた

 

 

 

 

 

 

NGシーン

 

上条邸が見渡せる廃ビルの屋上

そこに織莉子とキリカがいるはずだった

 

 

「よう、遅かったじゃねぇか真」

 

そこには・・・・

 

「ああぁ~ん!!杏子お姉様もっとわたくしをぶって!」

 

「キリカは醜い豚でございます!!!!」

 

 

見事に雌豚に調教された織莉子とキリカが居た

 

「せっかくだから真も調教してやろうか?」

 

杏子が歪んだ笑みを真に向けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




女王様とお呼び!っていったい誰が最初に言ったんでしょうか?

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