鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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ではでは投下


一人ぼっちのヒーロー

イドの闇 

久遠の真闇に包まれる中、ぼうっと人影が浮かんでいた

よくよく見ると、そこには一人の少女が佇んでいた

白いマントと青を基調とした衣服

 

「絵物語の姫騎士」

 

初々しくも凛々しいその姿を現す言葉はそれしかない

しかし、彼女はその小さな肢体で一体何と戦ってきたのだろうか

西洋の軽装騎兵が身に着けるようながっしりとした足のレッグアーマーとガントレットは鋭い銀の輝きを放ち、その表面に刻まれた無数の傷跡は彼女の歩みを雄弁に語っていた

遥か先を見つめる少女の表情は硬い

彼女は悩んでいた

「答え」は既に出ている

美国ゆまが自らの「過去」と対面するのは必ず必要なことだ

今この時を甘い言葉でその場をやり過ごしても、いずれは必ず罪を清算し課せられた負債を支払わなければならない

考えたくはない未来だが、真も織莉子も魔法少女としての「使命」を全うしてゆまの目の前から消え、彼女一人で過去の罪に直面したら?

頼る者もなく、ただただ懺悔する日々

きっと・・・・・・

真は目の前の球体を見つめる

中には美国ゆまが眠っているかのように目を瞑り横たわっている

この球体はゆま自身を包みこむ結界で、中で何かがあってもその影響を外に出さない

外からの影響を途絶させる

丁度、今の彼女は夢の中で夢を見ている状態だ

今彼女はかつての自分を思い出そうとしている

その苦しみは真とて体験したことがある

頭蓋骨を内部からスプーンで削るかのような不快感と痛み

そんな苦しみを彼女に与えるのは酷だと思うが、しかしさりとて過去を見つめることができなければ未来はない

彼もそれに納得する

そう・・・・納得したのだ

 

「!?」

 

ゆまが球体の中でもがくように苦しみ始めた

胸をかき乱すように苦しむ

 

「ゆまちゃん!!!!!!」

 

全ては納得している

でも・・・

彼自身、冷酷になるには優しすぎた

例え彼女自身の為であるにても、目の前の少女が苦しむ姿を見続けるなんてできはしなかった

真がゆまに駆け寄ろうとした

その時だ

 

ガシッ!

 

滑らかな白い手袋に包まれた手が彼を球体から引き戻す

 

「アンタ・・・・・自分が何しようとしてるの?」

 

振り向くと、真とよく似た姿をした少女『さやか』が立っていた

その表情に見えるのは・・・・明確な「怒り」

 

「アタシは言ったよね?下手に手助けしたら、アノ子が真実を知って受け入れる機会がなくなるって・・・・」

 

「でも!」

 

「でもじゃない!!」

 

青髪の少女『さやか』が声を荒げる

 

「確かに経験を積んだアンタなら、彼女の記憶に入って悪夢から彼女を助けることができる。でも、それじゃ根本的な解決にならないよ?」

 

「でも助けを求める彼女を見捨てるなんて!」

 

「ならなんでこんな方法を選んだの?」

 

「うっ・・・・・!」

 

畳み掛けるように『さやか』が言葉を紡ぐ

 

「海香の魔法で記憶を完全に書き換える、そう言った方法もあるって言ったよね?」

 

プレアデス聖団に所属する魔法少女の一人である御崎海香の固有魔法「イクス・フォーレ」

これは相手の魔法を読み取り、記録・再現・改竄を行うものだ

戦闘に特化した魔法ではないが適応できる範囲は広い

無論、織莉子が「上書き」したゆまの記憶を完全にプロテクトすることも可能なはずだ

だがこの方法は所詮は「逃げ」だ

海香の魔法が強力な事は確かにわかるが、しかし、直接対象の脳を切り開いて物理的手段で記憶を消去したわけではない

処置が「魔法」という、不確かなものに頼っている以上結局のところ根本は解決していない

それに海香とて、魔法少女になってからまだ一度も実戦でこの魔法を使用したことが無いのだ

ゆまにどんな弊害があるかわからない

 

「・・・・・・・・」

 

目の前の少女『さやか』の言うとおりにするべきなのだろうか?

でも

真の目の前には傷つき、苦しむゆま

でもそれは彼女自身の「罪」

誰の所為でもない

ならば、目を塞ぎ耳を閉じてただそこにいればいい

ゆまの身の安全は保障されている

これは「罰」

そう思えばいいのだ

 

「・・・・・・・・・」

 

本当にそうなのか?

それでいいのか?

彼女とて罪人

罰を受けねばならない

でも、彼女が魔法少女にならなければならなかったのは誰の罪だ?

屈んで目線を合わすとわかる彼女のたばこの火傷の傷跡

ゆまと本当に向かい合うことができれば、他人でもわかる事だ

でも・・・・・誰もそうはしなかった

そう誰もだ!

きっと民生委員でもわかっていた

なのに!!!

 

「誰も彼女を見なかった・・・・・・」

 

「マコト?」

 

「彼女に向かい合わなかっただからゆまは・・・・!」

 

真が歯を食いしばる

 

~ これじゃあ僕も一緒だ! ~

 

真が『さやか』の腕を振り払う

 

「・・・・・・・僕は行きます」

 

もう真の決意は決まっていた

確かに彼女は罪を犯した

そしてそれに向かい合わなければならない

でもその罪に向き合う彼女に寄り添うこともできるはずだ!

 

「そう・・・それがマコトの答えか・・・・」

 

もう『さやか』は彼を引き留めなかった

 

「わたしはただの記憶だけど、でもゆまちゃんもマコトも血の通った生きた人間だよ。それを忘れないで・・・・」

 

そう言うと『さやか』は真に微笑んだ

 

 

 

 

 




ダンガンのファンミ、思ったほど面白くはなかった
まぁ、所詮はアニメ版のイベントだしね・・・・・

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