鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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ではでは投下
毎回タイトルに悩む・・・・


サトミノモノ

イドの闇

そこに作られた円卓

それを囲む少女達は色とりどりで様々な意匠を施された衣服を着用していた

乗馬服のような恰好をした少女や、少女にはあまりにも似つかわしくないセクシーなベビードールを着用した少女までいる

香り高い紅茶や様々な菓子がテーブルに品良く並べられている

少女達はそれらを楽しみながら、少女らしい会話をしている

 

「・・・・・・・・」

 

少女の一人、紫色の胸が大きく開いたパーティドレスを着た少女 ― 宇佐木里見 ― は物憂げに一つの空席を言葉無く見つめていた

以前、そこにはこの集まりで唯一の「男性」である、宇佐美真が座っていた

彼女達よりも一年下の中学一年生

まだ少年らしさの残る面立ち

誰よりも先に「夢の牢獄」から抜け出し、ぬるま湯の幸せに溺れていた皆を助けた

彼は此処に集う少女達とは異なり、自分の意思で「魔法少女」の契約を行ったs

だからこそ、魔法少女になろうとしたサキを諫める為にその真実を明かした

あの日、彼の魂を込めた卵型の宝石「ソウルジェム」を仲間に渡し、魔法少女の身体の秘密を皆の前で明かした

今でも思い出せる

糸が切れた人形のように生気のない体

見開かれたガラス玉のような瞳

冷たくなっていく身体

・・・・・怖かった

人が「人」じゃなくなっていくあの感覚

だから、私は・・・・・

 

~ 化け物・・・・・ ~

 

今思えば非道な話だ

真は皆を思いとどまらせるために一度「死んだ」

でも私は彼を化け物と罵ってしまっていた

その直後、彼の仲間である「佐倉杏子」が私を吊るしあげていた

彼女は私よりも背が低いはずだが、私を片手で難なく持ち上げていた

それがさらに私の恐怖をあおっていた

彼女は私を殴りつけようと拳を振り上げた

でも私を痛みが襲うことはなかった

真が彼女の手を止めていた

私は状況を理解できなかった

彼を罵倒したのは私だ

でもなぜ、罵倒した私を彼は助ける?

真が真っ先に私を殴りつけてもおかしくないのに?

混乱の極みに達した私はそこから這うように逃げるのが精一杯だった

逃げるよりも先に、するべきことがあったというのに・・・・

今でも思い出せる

ミチルと杏子に連れられて公会堂を出る時に見せた真の表情

 

~ なんで泣きそうな顏で笑うの? ~

 

彼の横顔に問いかけたかった

でもそれ以降、現実世界で彼に出会うことができなかった

再び彼と出会ったのは「夢の牢獄」の中だった

 

 

若くして獣医として大成した一人の少女

彼女はたった一人、日本から遠く離れたアフリカの地で絶滅危惧種の保存と保護にあたっていた

少女の名前は「宇佐木里見」

周りには人よりも、動物が多く彼女も寂しさを感じなかった

夢を叶えて充実した日々

里見もその幸せを享受していた

ある日のことだ

近くに居る原住民が一人の少年を連れて彼女の元を訪れた

彼女は獣医ではあるが、未開の地ではしっかりとした医学知識を持った医者が居ることは少なく、彼女とて最低限の医療知識とそれを可能とする手腕を持っていた

里見が診察すると少年は破傷風に罹っていた

しかもかなり危険な段階だった

彼女は「医者」ではない

でも、ここで正規の医者を呼ぶ時間はない

医者のいる街までランドローバーで3時間、往復6時間だ

手をこまねいていれば少年は死ぬ

ならば・・・・・

里見は手術を決断した

幸い、ここには十分な量の人間用の麻酔や抗生物質は常備されている

しかし、彼女の決断は彼女の天職である獣医資格を失う可能性もあった

でも目の前の少年を見捨てることなんて出来なかった

動物の命も人の命も平等

優劣なんて存在しない

彼女の執刀により、少年は再び人の世界に戻ってきた

弱弱しいながらも笑顔を見せる少年の姿を見て、里見は自分の決断に間違いがなかったことを再確認した

その時だった

褐色の肌に腰みのを巻いただけの少年が、里見に何かを話そうとした

しかし、その声は小さく、里見が自らの耳を少年に近づけた時だ

 

― 里見さんありがとうございます ―

 

「?!」

 

それは間違いなく、日本語だった

その瞬間、里見の身体から力が抜けた

 

 

里見は暗い闇の中を一人歩いてた

前を歩くのは里見によって助けられた少年

 

~ あれ・・・・私は・・・一体 ~

 

歩く都度に記憶が剥がれ落ちる

獣医となる前、あすなろ市で劇団にいた時の思い出

そして思い出していった

彼女を劇団「プレアデス聖団」へと導いてくれた飼い猫の「サレ」のこと

そして・・・

 

「うっ!!!!!」

 

頭痛が彼女を襲う

私は「彼」に会ったことがある

アフリカの原住民なんかじゃない

あの夜に出会った・・・・「魔法少女」だ

淋しげな笑顔を見せた少年

 

「がぁっぁぁぐぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

更に強い頭痛が彼女を襲う

でも彼女は痛みに負けなかった

そうだ!

彼は

彼の名は!!!

 

「?!」

 

その時、里見は闇を抜け彼女を光が包み込んだ

 

 

里見が静かに目を瞑る

そこに浮かぶのは・・・・・

 

「グフ・・・グフフ」

 

褐色の肌に腰ミノ一丁の真の姿

 

「・・・・・・無事に戻ってきたら・・・グフフ」

 

正に下衆の極みのような笑みを浮かべる里見

・・・・・彼女だけはもう少し夢の牢獄に居た方がいいかもしれない

 

 

 

 

 

 




ウィザードバリスタ
案の定、だったね・・・・・・

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