鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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ではでは投下
そしてちょっと遅い連休を満喫中


悪い奴ほど良く眠る

アンゼリカ・ベアーズの地下

そこには幾つもの棺桶のようなカプセルが安置され、その中には何人もの年若い少女が覚めない眠りについていた

彼女達のその姿はパレルモの「世界一美しい死体」を思わせた

年恰好はバラバラ

太っている少女もいるが、その反面ガリガリに痩せた少女もいる

しかし、じっくりと観察すると少女の共通点に気が付く

眠っている少女は皆「第二次性徴期」に属する少女達であること

そして、彼女達の眠るカプセルには、少女ごとにそれぞれ異なった色の卵型の宝石が封印されている点

 

「第二次性徴期の少女達」

 

「少女ごとに異なっている卵型の宝石」

 

これが意味する存在

それは「魔法少女」

たった一つだけの願いの代わりに「人外」となった少女

少女の身体には魂はなく、それは卵型の宝石「ソウルジェム」に宿る

この場にもし、魔法少女の存在を知らない人間がカプセルで眠り続ける少女達を見れば、死体安置所を思い出すだろう

しかし彼女達は「生きている」

その証拠に、彼女達の目の前には特殊な機器で固定されている卵型の宝石、「ソウルジェム」がひかり輝いていた

「魔法少女」達の魂の器であるソウルジェムが濁らず光り輝いているということは、彼女達の魂は死んでいない

魔法少女の身体は外付けのハードウェアと同じで、容易く「身体」と「魂」を切り離すことができる

特にソウルジェムは半径100メートルを離れると強制的にリンクが途絶してしまう

ソウルジェムと身体の関係を熟知しているのなら、リンクを強制的に遮断してしまう方法を考え出す魔法少女がいてもおかしくはない

此処で眠る少女達はそうやって、「ソウルジェム」と「身体」のリンクを遮断された状態で眠りについている

魔法少女として致命的な「穢れ」がソウルジェムに溜まることもなく、遮断された肉体が腐敗することもない

言うなれば理想的な仮死状態であるといえる

誰が何の為に?

それはわからない

しかし、少なくとも相手は彼女達にできる限り最善の手段をとっている

恐らくは、彼女達が急に眠りから目覚めても自分たちが強制的に眠りに就かされたという違和感すら感じないだろう

しかし、その中で一人だけ「異なる」少女がいる

彼女だけが自分の意志で眠りに就いている

その少女の名前は「聖カンナ」

彼女はその「魂の同胞」と一緒にギャングに撃たれて植物状態になった愛しい両親の覚醒を願い、「二人っきり」で旅をした

旅の果てに出会った魔法少女は彼女達の両親を目覚めさせることができた

しかし、それには大きな対価が必要だった・・・・・・

彼女はその対価を支払う為に手を汚し、覚醒した両親を魂の同胞である「神那ニコ」に託した「裏切り者」

裏切り者はその夢に何を望むのか?

 

 

~ ・・・・・ さだよ・・・・起き・・・・・ナ・・ ~

 

「ン・・・・・・・・」

 

自分によく似た声が聞こえる

自分と全く同じ声だが、よくよく聞くと声が少し低い

彼女の「双子」の姉である「聖ニコ」の声だ

「ニコ」と「カンナ」は一卵性双生児だった

だからこそ、本来はどちらが先に生まれたとかはほとんど関係はない

彼女達の両親は二人を姉妹とかではなく、「カンナ」と「ニコ」として育てた

しかし、二人が成長してそれぞれに確固とした自意識が芽生え始めると誰からとなく、ニコが姉でカンナが妹という区分けができてきた

それは特に強制されたわけでもなく、あくまで自然とそういった関係になっただけだ

あくまで愛称みたいなもので、だからニコもカンナも姉妹喧嘩することもなく、お互いを尊重し慕い合い二人で仲良く成長していった

 

 

「もう起きなよ!カンナ!!!」

 

バッ!!

 

少女が一気にタオルケットをまくり上げる

 

「うぎゃ!」

 

発作的にカンナと呼ばれた少女が目を押さえる

布団を頭まで被ってしまうのが少女の癖のようで、窓から入ってきた日光が眩しかったようで呻き声をあげる

 

「ほらっ!ちゃんと起きてって!!」

 

 

少女が強引にベットから引き剥がされる

まだ寝ぼけ眼のカンナが目を擦りながら、立ち上がると彼女の「姉」であるニコがタオルケットを手にして立っていた

 

「今日は休みじゃんか!何で起こすんだよニコ!!!」

 

「どうしてって・・・・・カンナ・・・忘れちゃったの?」

 

「へ・・・・・?」

 

ニコがカンナに顔を近づける

顔立ちが整っている分、ニコの真顔はかなり怖い

特に、無言で静かに見つめられると尚更、その迫力は増す

 

~ え?ええ?何があったっけ・・・・・? ~

 

カンナが慌てて記憶を辿る

 

「ええっと・・ええっと・・・」

 

「・・・・・忘れたのカンナ・・・・・?」

 

~ このままだったら、ニコ必殺の「地獄のくすぐり刑」でアヘアへ言わされてしまう! ~

 

その時、天の助けとばかりにカンナの視線の先にカレンダーが映った

 

~ ・・・・・・そうだった! ~

 

「ジョーイの誕生日でしょ!忘れてないって忘れてない!」

 

えへん!とばかりにカンナは胸を張る

 

「ドヤ顔のところ悪いんだけど・・・・・誕生日はアマンダの方だよ?」

 

「へ?」

 

「では準備はいいかしら・・・・・・?」

 

指をワキワキさせながら近づくニコ

もう逃げるすべはなかった

その朝、ニコとカンナの部屋からはアヘアへ喘ぐ声が聞こえたという・・・・

 

 




くすぐり刑って、くすぐられている人って男女問わずにイクらしいよ

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