鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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投下


ガール・ミーツ・・・・・・

いつものように「イドの闇」での定期会議を終えた円卓に、一人の少女が残っていた

古風なブリッジタイプのモノクル

エンジ色の乗馬服

シミ一つない純白のタイツ

凛々しくも知性を感じる面立ち

劇団「プレアデス聖団」の中心人物であり、真とともに魔法少女へと変えられた仲間達をまとめた人物 ― 浅海サキ ― が緊張した表情で一人円卓についている

サキは周りに誰もいないことを念入りに確認すると、そっと身づくろいを始めた

彼女とて思春期の少女

それなりに化粧や身づくろいに関心を持っている

特に今のような状況ではことさら気になってもおかしくない

 

~ 軽く化粧をすればよかったかな・・・・ ~

 

そうサキは心の中でつぶやいた

ここは「イドの闇」

例え「表の世界」で念入りに化粧をしても、この世界ではあまり意味がない

そういつもの彼女ならすぐに気が付くはずだが、聡明な彼女がそのことに気付くことがなかったのも、彼女を引き留めた一人の少年の存在が大きい

此処に集まった魔法少女達、いや「プレアデス聖団」の皆が会議を終えてそれぞれの夢に帰る中、一人の少年 ― いや今は少女か ― にサキは引き留められた

 

「その・・・・サキさん」

 

見ると真が彼女に声を掛けていた

 

~ う・・・・何これ、何なのこの可愛い生き物は・・!! ~

 

上目使いで見る真にサキの乙女心は撃ち抜かれてしまった

そして浮ついた気持ちでどういった要件で真に呼び止められたのかを聞くことなく、そのまま承諾してしまった

それがたった数分前のことだ

これがいつももなら、「自称妹」の「若葉みらい」がありとあらゆる手段で妨害する可能性もあったが、今日は早めに「夢の世界」へと戻ったようだ

他の皆も足早に帰還した

また、今回は「さやか」はいなかった

真と一緒に居る思念体である「さやか」は他の皆の様に夢の牢獄へ戻る必要はないが、会議で話にあった「美国ゆま」の元へ探索に行ったようだ

つまり此処居るのは真とサキのたった二人だけということになる

 

ドクン!ドクン!

 

男女二人っきりというシチュエーションがサキの鼓動をいやがおうにも高める

うぬぼれでも自慢でもないが、サキは自身の事をそれなりに見える身体をしていると自負している

身長が高く、無駄な脂肪のない引き締まった身体

運動神経も悪い方ではない

しかし彼女は、みらいのように可愛げはないし、里見程胸があるわけではない

ミチルほど料理が得意ではない

カオルほど健康的な身体はしていない

そして海香ほど知能があるわけでもない

平均よりも下がることはないが、しかしとりたて何かに秀でているわけではないのだ

強いて言うなら、通っている学校では外国語が得意であるというだけだ

考えれば考えるほど自分がわからなくなる

どう考えても、真が彼女に声を掛けた理由が思い浮かばないのだ

 

~ ではなぜ私を・・・・? ~

 

まさか・・・・「都合のイイ女」とか!

確かに真の周りにはサキの目から見ても、魅力的な少女が多い

あの「佐倉杏子」という少女だって、見た目悪ぶった雰囲気を持っていてもその実は真っ直ぐな瞳をもっていた

そして私達を諫めるために目の前で死んで見せた真を「化け物」と罵った、里見に怒りを見せた杏子の怒りは「愛する者を侮辱された」、まさにそれだった

実際、真と杏子が恋人同士だとしてもおかしくはない

冷静な真と直情的な杏子

戦闘での相性はいいだろう

戦闘が「ベットの中の戦闘」に変わっても、恐らくは相性は変わらない

もしかしたら・・・・・!

恋人の杏子に会えなくて鬱屈した性欲を私で発散しようとしているとか?!

冗談じゃない!

私はこう見えても貞操観念はしっかりとしている

いくら此処が夢の世界だとしても、あって間もない男に身を委ねる気はない

でも・・・・・

真くんはそれなりに美少年だし・・・・・

学校で「ボクと契約して、お姉様になってよ!」とどことなく不安になるセリフを吐く幼女とか、「はわぁぁあぁ!ips細胞で孕みたいですぅ」とかいう包帯だらけの見るからにヤバい手合いの少女から告白されたことは、それこそ山ほどある

名誉の為に言っておくが、サキ自身それにオーケーしたことはない

サキが告白されたことがあるいっても、しかしそれは同性からの告白ばかりで異性からの告白が全くないことはこの際、無視してだが・・・・・

 

「待たせてごめんなさい、サキさん」

 

「はぁうわぁ!!!!!」

 

だれもいない空間に良く通る真の声

自虐的な回想に浸るサキは突如その声に驚いて、普段からは想像できない狼狽を見せてしまった

 

「そののなんだ、ま真君。どうかあしたのかね?」

 

サキが何とか取り繕うとするが、舌がもつれてしまったのかイントネーションに破綻をきたしている

冷静沈着なサキはしかし、その内では疑問が湧き出していた

 

~ って、どういう話だっけ? ~

 

「それは・・・・」

 

真が俯く

 

~ うはぁ~!顔に影が差した真くんの表情もなかなか! ~

 

ドクン!ドクン!

 

再び、サキの心臓の鼓動が更に高まっていく

そしてサキは待った

 

「サキさん・・・・・相談があります」

 

「へ?」

 

 

 

 




サキは妄想女子
これはゆずれない

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