鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下

ただ今、3日酔い中・・・・・


さぁ、おはよう

 

船上のディナーを終え、三人は暖かな飲み物を口にしていた

洋上は冷える

昔の船乗りなら、こういった場面ではラムのお湯割り「ラム・グロッグ」か、スコッチのお湯割り「ホット・ウィスキー・トディー」あたりを用いるところだが、少女の手元にあるのは暖かなコーヒーだった

暖かいコーヒーは身体を温めると同時に、頭の中をすっきりさせる

冷静に物事を考える為には、このコーヒーは持って来いだった

 

 

「あすなろ市の周辺で続発していた少女達の集団失踪事件。それを客観的に精査すると、同じ日に特定の共通点を持った少女達が集団で失踪していることに気が付く・・・・・」

 

「それが・・・・プレアデス聖団なのね?」

 

ユウリがニコを見る

静かにニコが頷く

 

― プレアデス聖団 ―

 

ユウリの師匠である「和紗ミチル」がその手を汚してまで守ろうとしたもの

そしてユウリの親友である「杏里あいり」がその手を血に染めてまで壊そうとしたもの

ユウリはまるで、見えない糸に自分が巻き込まれていくのを感じた

逃げようともがいてももがいても、決して逃れられずに食い込んでいく蜘蛛の糸のように・・・・

 

「しかし、失踪した少女の集団の中に、プレアデス聖団とは直接関わりのない少女も同時に失踪していた」

 

「それが私とユウリ、か?」

 

今度はあいりがニコを見る

あからさまな敵意をあいりから投げられても、ニコは狼狽などしなかった

その態度は猶更、あいりに怒りを湧き立たせるがそれを今ここで爆発させるほど、彼女は幼稚ではなかった

 

― 今はどんなことでも情報が欲しい ―

 

それはユウリとあいりが共有する思いだった

 

「そうよ。私がコネクトを使って得たイヤリングの記憶から、アイツらが箱庭を作ろうとしていることを知った。だから、アイツらはカンナの両親の覚醒を餌にカンナの身体を要求した。そしてそれを裏付けるように、集団で失踪したプレイアデス聖団。全てのつじつまは合う・・・・ただ、貴方達が同時に失踪した理由はわからなかった」

 

「痕跡を調べて、あの島に軟禁されていた私達をお前は見つけたわけだな?」

 

ニコが静かに頷く

 

「私の固有魔法は接続よ。二人ともベーコン指数って知ってる?」

 

あいりもユウリもそれなりに教養がある方だが、その「ベーコン指数」という言葉自身初めて聞いた

 

「えっと・・・・・ベーコンとイタリアのパンチェッタは良く似てるとか?」

 

ユウリのトンチンカンな答えに、ニコは苦笑いを浮かべる

 

「ある俳優と共演した俳優を「1次」、「1次」の人物と共演した人物に「2次」というように当てはめると、古今東西のほとんどの俳優は、そのある俳優と共演したことになり結果として「ベーコン指数」の3次以内に収まってしまうという考えよ。そして・・・・・・それは現実世界における情報も同じ」

 

「?」

 

ユウリが首をかしげる

堪らず、あいりが助け舟を出した

 

「つまりコイツが言ってのは、一見無秩序で広大に見える大量の情報も一つの前提と法則を決めれば自然と規則的にまとまってくるってことだよ」

 

ニコが笑みを浮かべる

 

「私は失踪した貴方達、そして貴方達の周辺を調べたら少しずつ違和感を感じ始めた。失踪した二人のスリーサイズに合うよう、大量に注文された高級な衣類、名前も知らないようなプロ用の海外メーカーが作った食品。そして正体不明の日本人資産家が購入し、豪華なホテルを建てた無人島、極めつけはその島に運ばれた大量の食料と、最後に運び込まれた用途不明の黒いサイコロのようなもの・・・」

 

ニコがしっかりとした木箱に入れられた立方体 ― グリーフシード ― を見る

確かに何も知らない人間なら、ただの黒いサイコロにしか見えない

 

「私は確信した。失踪したユウリとあいりは、敵に処分されたわけではなく間違いなく今も生きていると・・・・。私の資金は潤沢にあった・・・・カンナが旅の軍資金として作ってくれた金塊がまだ大量に残っていたからね。それで秘密裏にこのクルーザーを購入し、転移魔法を得意としているある魔法少女の力を借りた。この島の近くまでは彼女の作ってくれたゲートを使ったんだよ」

 

「仲間がいるって事か?」

 

「いいや。でも積んだ金次第で力をかしてくれたり仲間になってくれる奴もいる。魔法少女は何も、年がら年中魔獣を狩ってるわけじゃない。中にはグリーフシードを高値で魔法少女に貸し付ける高利貸しのような奴もいるし、ニコとアメリカに居た時なんてカモッラやギャングの用心棒をしている魔法少女がいたくらいさ。」

 

「なら金でも身体でも差し出して、勝手にやってればいいじゃねーか!それとも何か?あの時の続きでもしたいのか?ええ聖カンナ!!」

 

「あ、あいり・・・・?」

 

あいりの明確な怒りにユウリは、あいりとニコを見る

 

「ユウリ・・・・こいつはな・・・・!」

 

「待って!!!」

 

ニコが顔を上げる

 

「私が話す・・・・・全てを・・・」

 

「全てって・・・?」

 

「私も・・・持っているんだ、あの世界の記憶を。それも最も最悪な形で・・・・・・」

 

 

 

 

 

 




トモから、スーパーダンガンロンパ2のと残姉さんのノベルが読みたいとのリクエストがあって、パーティーの時に「ダンガンロンパ・リロード」を持っていったら結構ウケがよかった

トモ曰く、「左右田」がかわいいとのこと・・・・・・・

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