私はこれからパーティーです
・・・・・同性同士ですがね
海を進む白い白亜のクルーザー
それはまるで大海の剣と言うに相応しい姿だ
甲板に出された折り畳み可能なテーブルには目の前の海でとれた新鮮な海の幸を使った、和洋中折衷、焼き物から煮込みなど料理法も様々な料理が並べられていた
彩豊かな宝石のような料理の数々
それを囲むのは三人の少女
暖かな湯気を放つその料理の数々が、まるで太陽の光が結晶化したかのように輝く金色の髪を、その細い脚の踝まで伸ばしそれをツインテールに纏めた一人の少女の手によるものであるとは、その料理を前にしてもにわかには信じられなかった
しかし、他の少女二人は「その少女」なら、それくらいのことは朝飯前であることを知っている
これらを作った少女の名前は「飛鳥ユウリ」
中学の料理クラブのいちクラブ員でしかなかった彼女ではあるが、調味料メーカー主催で行われている全国的な料理コンテストにおいて、本職の料理人との最終決勝戦まで勝ち残った実力は並みの料理人以上といえる
しかし少女には「ある事情」があり、その最終決勝戦に出ることができなかったが・・・・・
飛鳥ユウリの渾身の料理を食べる二人
レモン色の髪の少女と、脱色したかのようなシルバーブロンドの髪の少女
二人にはこういった食卓にあるべきスパイス、少女達の会話は皆無だった
まるで二人がテーブル下でナイフを突き付けあっているかのようにも感じる
それもそのはずだ
二人の故郷である「あすなろ市」で、ただ一回しか見たことのない少女が信じられないことに並みの人生では到底手に入れられられない高級クルーザーに乗って彼らの目の前に現れたのだから
しかも、ありとあらゆる情報伝達手段から隔絶した「この島」へ
全てを知った私、接続の魔法少女「神那ニコ」は奪われた全てを取り戻す為に行動を開始した
「かつての世界」と「今の世界」とを繋ぐ、始まりの場所「あすなろ市」へ
幸い、「カンナ」の両親は日本への移住を検討していた
無理もない
日本には銃はないし、少なくともアメリカよりは治安がいい
それに私一人で日本に戻って、「カンナ」が戻ってきたら両親がギャングに撃たれていた、なんて洒落にならない
この場合は絶対に安全な方法をとるべきだ
私の目的は二人に「カンナ」を戻すこと
それには「私」は含まれない・・・・・
一命を賭しても、二人にカンナを戻す
それが「因果」を乗り越える最後の手段だからだ
ならば話は早い
カンナが「再生成」の魔法で作成した大量の金塊を現金化し、それを田舎の出版社の懸賞で当たった事にしてカンナの両親に手渡すことができた
アメリカは意外と懸賞大国だ
一年に何人も懸賞で億万長者になる人間がいる
カンナの両親も特に違和感を感じることなく、その大量の現金を受け入れてくれた
これで移住に必要となる資金は問題なく二人に渡せた
あとは母国であるアメリカを捨てる「キッカケ」
私は街で見かけた、無害な飲んだくれとコネクトして、家を襲わせた
無論、私には両親を傷つける気も、ましてやコネクトの犠牲者を害するつもりもない
父が銃を構える前にその飲んだくれを逃がした
その際、礼金を飲んだくれのコートに200ドル程入れておくのも忘れてはいない
犯罪大国アメリカ、此処の危険さを身を持って再確認し、「資金」を手にした両親が日本への移住を即座に決めたのはまさに僥倖だった
あとは・・・・
私は耳に付けたモルダバイトのイヤリングに触る
あの日
私はカンナの作った料理を口にして、意識を失った
カンナに私を害するつもりが無かったことを知っている
それになぜ私に全てを託そうと思ったかも・・・・
でも、イヤリングは「覚えていた」
「アイツら」は植物状態に陥った両親の覚醒を請け負う代わりに、カンナの身体を要求した
カンナはそれを承諾した
そして・・・・
「あの世界」のように、紛い物の私に全てを託した
私はこの因果な結果にただ苦笑を浮かべるしかなかった
アイツらの目的
それは良くわからないが、少なくともイヤリングの記録からはアイツらはプレイアデス聖団の生み出した「箱庭」を、再びこの世界で生み出すことを計画しているようだ
だからこそ、「聖カンナ」の身体を要求したのだ
あの大結界はプレイアデス聖団に所属している魔法少女達が持つ、個々の固有魔法を組み合わせている
同じものを生み出すなら、オリジナルメンバーを集めなければならない
この世界では得られない情報はない
しかるべき時に、しかるべき金額を用意しておけば得られないものは何も無いのだ
案の定、あすなろ市周辺では少女達の集団失踪が起こっている
そしてあすなろ市で起きた謎の現象
間違いなく、今あすなろ市は大結界の中だ
一人ではどう考えても分の悪い賭けだ
この様子では味方はいないと考えていい
私は生まれてこの方、神という存在は性質の悪いコメディアンと思っていた
銃の暴発で友人を撃ち殺す運命に干渉した結果、カンナは銃で友人を殺さずに済んだというのに、そのかわりにカンナの両親がギャングに撃たれて植物人間になった
そして「かつての世界」のように、カンナは私に全てを与えて消えた
これを性質の悪いジョークと言わずして何と言うの?
でも、私は神に感謝していい
「飛鳥ユウリ」
「杏里あいり」
私は苦悩の果てに叛逆の糸口をつかんだ
蒼き鋼のアルペジオ
原作と比べると、オリジナル展開だけど綺麗にまとまった良作だった
3Dアニメってことでアレな作品だと思ったが、いやいや良かった
・・・・・・ガリレイドンナの投げっぱなしジャーマン
誰か止めなかったのか?