鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下


因果の行く末

 

「この娘は・・・!」

 

「さやか」がイドの闇、その奥底で見た一人の少女

それは間違いなく、カオルと海香がかつて出会った魔法少女「聖カンナ」だった

ギャングに撃たれて植物人間になった両親を目覚めさせる為に、過酷な旅を続ける二人の魔法少女

「聖カンナ」と、その同胞である「神那ニコ」

 

~ ・・・・・・・・・・・・ ~

 

御崎海香はそっと傍らのカオルを見る

カオルもまた、その感情を隠し切れていなかった

カンナとニコ

二人は「魔法少女」だ

だから言い方としてアレだが、あの二人が魔法少女である以上、敵に拉致されてこうして夢の牢獄に繋がれてもおかしくない

此処にいる仲間は皆、何者かの手によって強制的に「魔法少女」にされた上に拉致されている

ピエロのような恰好をした、変顔が印象的な少女に襲われた者

青色のポニーテールと、油汚れのしたツナギを着た少女に襲われた者

そして特徴的な灰色の髪をした、紫色のドレスを着た少女に襲われた者さえいる

仲間を襲った相手に共通点は見出すことができないが、しかし彼女達が「魔法少女」になった直後に襲われた点と、体内からソウルジェムが抜かれている点では共通している

しかし、プレアデス聖団とは直接関係していないカンナがなぜ?

 

 

「さやかさん、その・・・・眠りに就いているのは一人だけ?」

 

海香が恐る恐るさやかに尋ねる

 

「御崎さん・・・・?。そうだね、もう一人いるけど・・・」

 

「もう一人?それってカンナちゃんと双子みたいにそっくりな娘?」

 

「いんや、それは美国ゆまって子で、真と関連のある子だよ」

 

「じゃあ・・・・・」

 

「今、正体がわからないのはその聖カンナって子だけ」

 

海香とカオルが顔を見合す

短い間でしかなかったが、「カンナ」と「ニコ」、お互いがお互いを心から大切に思っているのは理解できた

そんな彼女が、はたして「神那ニコ」と別れるだろうか?

カンナとニコの関係は血を分けた姉妹よりも濃く、愛を誓う恋人達よりも愛に満ちていた

それは海香が手にした「固有魔法」を使用しなくてもわかる

魔法少女となった「御崎海香」の固有魔法は「イクス・フォーレ」

本のような形で、確定された対象を瞬時に解析し、その特性や弱点、場合によっては他の魔法少女の使う技そのものをそのままコピーする事のできる強力な魔法だ

彼女の協力により、「さやか」と真だけではわからなかった、拉致された魔法少女たちの共通点がわかった

それは、この場に集まっている少女達が特殊な、言うなれば「因果」のようなもので結ばれた関係であることだった

「因果」というのはつまるところ、特定の対象に対する好意や妄執とも言い換えられる

あの夢の牢獄は個々の望みが叶えられたもの

いくら魔法少女に関する事柄を忘れても、自分が愛し、慕い、恋い焦がれる存在を消し去ることなんてできない

つまりは相手が夢の牢獄を共有的無意識を利用して夢を一元管理しているおかげで、特定の条件のあった人物が夢に干渉できる結果となった

それは頑なに「望みの世界」に籠る、彼女達の心を開く鍵になり得る

真はサキの目の前で「魔法少女」になることがどういうものなのか、それをあの夜に皆に伝え、そして魔法少女になろうとする浅海サキの相談にものっていた

彼女と深い関わりを持ったおかげで、彼女の夢に干渉できたのだ

他の皆もそれぞれ関わりを持った仲間が彼女達の夢に直接干渉することで、「夢の牢獄」から抜け出すことが可能になった

では「カンナ」は?

ここに集結した皆の中で、彼女と関わりを持ったのは二人しかいない

海香がカオルを見る

彼女も頷いた

 

「私達がカンナを目覚めさせるわ」

 

「?!」

 

皆が海香とカオルを見る

魔法を使わなくても、彼女達の思いはわかる

この円卓についている誰とも「関連のない」魔法少女

カオルと海香が二人に会ったとはいっても、もう一つの共通点である「プレアデス聖団」の関係者からは外れる

それは彼女が「監視役」、すなわち「聖カンナ」が敵の仲間である可能性を示唆していた

それどころか、「夢の牢獄」に繋がれているのは「聖カンナ」一人だけ

ニコが彼女を見捨てるとは思えない

推論だが、ニコを敵が押さえ、カンナに協力を強いている可能性が無いとは言い切れない

 

「海香さん!カオルさん!危険すぎますよ!!!」

 

真が声をあげる

 

「カンナちゃんが敵かもしれないってこと?」

 

海香が真を見る

 

「・・・・・ええ。僕にはそう思えます」

 

裏切り者がいる、真はそう考えたくはなかった

二人が両親を目覚めさせる為に旅をしてきたことはカオルと海香から聞いている

しかし、冷静に考えれば考えるほど「聖カンナ」と言う存在は不確定要素が多すぎる

 

「カンナちゃんとニコちゃんは、今まで両親を目覚めさせる為に頑張ってきた。私はそれを信じたい」

 

「海香さん・・・・・」

 

サキが真の肩に手を乗せた

 

「真くん。ここは海香とカオルに任せよう。実際、彼女と関わりのない私達が夢に干渉するのは難しいのは事実だ」

 

「わかりました・・・・でも!」

 

「でも?」

 

「無理はしないでください。海香さんもカオルさんも仲間なんですから!」

 

「ああ。心配しないでくれ真君」

 

「ちゃんと戻ってくるよ!カンナと一緒に!」

 

真にとって、二人の笑顔は「カオルの鋼鉄の腕」や「海香の知恵」より何よりも心強かった

 

 

 

「あ、でも帰ってきたら真の乳揉ませてね?」

 

海香がねっとりと真の胸を視姦する

 

「ひぃッ!」

 

真が慌てて胸を押さえた

 

 

 

 

 

 

 

 




今年のクリスマスはシフトが空いてるぅぅぅ!!!!

でもセクロスする相手はいない・・・・・

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