鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下します

「ブランデーシロップ」的なモノです
そう見えないかもしれないけど、そうです!


傀儡

「私の戦いに意味はあったの・・・・・」

 

二人の魔法少女達はあすなろ市内から離れて、再びアンゼリカ・ベアーズへと戻っていた

 

「意味はあった・・・・・少なくとも貴方の手で救われた命もある。それは誇っていい」

 

真琴は外を歩いて冷えた身体を温める為に、キッチンで紅茶の準備をしていた

 

「私はブランデーを少したらすけど、巴さんはどうする?」

 

「・・・・頂くわ。私のはブランデーを少し多めにしてくれないかしら」

 

真琴は彼女の心中を察したのか、静かに頷くと紅茶の準備に戻った

 

 

あすなろ市のありふれたビル

通りからは普通のビルの隙間にしか見えないが、そこには黒々と澱んだ瘴気が満ち溢れていた

そこに足を踏み入れようとする少女が一人立っていた

 

「よし!入るよジュウベェ!!」

 

『おう!早苗!!!』

 

早苗と呼ばれた少女と、人語を操る猫とウサギを合体させたような生き物が意を決すると、ビルの隙間へと足を踏み入れた

 

「真琴さん・・・魔獣とは違うって?」

 

目の前の奇怪な存在

真琴はそれを討伐しようとするマミを静止した

マミが真琴を訝しむが、彼女の自信に満ちた表情は変わらなかった

 

「あれが何なのかを説明するのは容易いけど、もう時間がないみたいね・・・」

 

「え・・・・?」

 

彼女達を囲む「結界」が微かに「軋んだ」ように感じた

マミも戦歴の長い古参の魔法少女だ

結界の微かな歪みや軋みで結界内の状況を適格に判断するすべを持っている

そしてこの状況は彼女の経験からすれば、これは彼女にとって最悪の状況に他ならない

 

「真琴さん!誰かが此処に入ってきた!!!」

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

なおも止めようとする真琴をよそに巴マミは駆け出した

魔法少女としての闘いに疲れ果て、全てを投げ出したマミであっても、彼女の目の前で犠牲者になろうとしている一般人を無視できるほど腐ってはいない

 

ヒュン!

 

魔力を四肢に流し込むことで強化された脚力は容易に彼女を見つけた

まだ中学生にもなっていない、小学生くらいのあどけない少女だった

傍らにはキュウベェによく似た生物

そのやたらと人間臭い仕草は気になるが、・・・・しかしそんなことはどうでもいい

今は少女を助けることが先決だ

 

「そこの貴方!今すぐ逃げッ?!」

 

急に横から現れた白い手が、今まさに少女を助け出そうとした巴マミの口を塞ぎ、即座に物陰に引き込んだ

 

「静かになさい巴マミ」

 

テレポートしたかのように、先程までかなり遠くにいた筈の真琴がマミのすぐ後ろに居た

 

「ん~~~んうん~~~~~~!!!!」

 

マミが真琴の腕を振りほどこうとするが、がっちりと締まった彼女の腕から抜け出すことはふかのうだった

 

「見ていなさいって!」

 

真琴の顔には焦りはなく、自信に満ち溢れていた

 

 

「ジュウベェ、変身よ!」

 

少女が傍らの生き物 ― ジュウベェ ― に声を掛ける

 

『わかってるぜ早苗!!!』

 

シュォン!!

 

ジュウベェの額から、まるで拡声器とピストルを組み合わせたかのような武器が現れた

 

「行くよ!!!!」

 

早苗がそれを握った瞬間、ホーン部分から音符のような光の帯が伸び彼女を包み込んだ

光の帯が彼女の身体をなぞると同時に、彼女の衣服は光の粒子へと変わり全身が光に消えた

そこには白いフレアスカートと、金の装飾の施された上着を着て、鼓笛隊の被るような円筒形の羽のつけられた帽子を被った先ほどの少女が立っていた

 

 

~ 魔法少女?!でもあの娘からは魔法少女の魔力は感じなかったわ ~

 

真琴に拘束されたことにより、マミは冷静さを取り戻したのか念話へと切り替えた

 

~ あれは魔力を付与した武器で変身した、言うなれば量産型の魔法少女よ。だから、彼女はソウルジェムも魔力も存在しない ~

 

聞きたいことは山のようにあったが、今は目の前の彼女の戦いを見ることに集中した

 

 

「あの魔女モドキもキモイね・・・・・」

 

変身を終えた早苗の目の前には、口だけの肌色の風船がその巨体を揺らしていた

 

『襲われたバイキングレストランの様子だと、コイツは爆発するタイプの魔女モドキらしいな。おまけに分身まで作れるようだし・・・』

 

「ねぇジュウベェ、拘束用の言弾って残っている?」

 

早苗が手にした拡声器のグリップエンドに取り付けられたマガジンキャッチを、軽く指で押さえてマガジンを手慣れた仕草で引き出した

 

『この前の分捕り分が残っているから大丈夫だぜ』

 

そう言うと、再びジュウベェは額から拡声器を出したように、ピストル用の物によく似たマガジンを取り出した

 

『でも早苗、コイツを使い切ったら後はバラ弾だけだぜ?』

 

「わぁってるて!」

 

ガシャッ

 

重々しい音と共にマガジンが装填された

 

「さてと・・・・ダイエットの時間だよ!!!」

 

「ギュモモモォォォォォォォォ!!!」

 

ダイエットという言葉に反応したのか、目の前の魔女モドキが暴れ周囲が揺れ始めた

 

「ったく、世の中にはエッチする時はデブい女が一番!って男の子もいるのに!」

 

彼女のフォローになっていないフォローに反応したのか、魔女モドキがその身体を抉って丸めると早苗に投げ始めた

 

ヒュン!!

 

『やべぇ!逃げろ早苗!!』

 

ズドォォォォォォォン!!!!!

 

周囲にそれが当たった瞬間、爆発を起こす

 

「脂肪の燃焼にはイーヴルナッツってか!でも・・・・」

 

早苗が拡声器を構える

彼女の言う「拘束用の言弾」が既に装填されている

 

「ブラッティナイオ!!!!!」

 

拡声器から飛び出した音符が魔女モドキの放った爆弾に食い込んだ

 

「いっけぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 

早苗が、全身のバネを使いそれを投げ縄のようにして投げ返す

 

ズドォォォォォォォォォ!!!!!

 

再び爆発が起こるが、それは早苗ではなく魔女モドキを焼いた

 

「ギュィィィィィィィィィィ!!!!!!!!」

 

魔女モドキが身を捩って逃げようとするが、その巨体が邪魔で逃げることさえできない

早苗は冷静に、マガジンを引出しスライドを引いて残弾を排莢する

 

「ジュウベェ、冷凍弾は確かバラであったよね?」

 

『ほらよ!』

 

パシッ!

 

早苗はジュウベェから弾丸を受け取ると、ホールドオープンで開放されている薬室にその弾丸を装填して、スライドを前進させた

 

『アッチャツメタイってヤツか?』

 

「まぁ~ね~」

 

チャ・・・

 

照星は既に魔女モドキを捉えていた

早苗がどんな弾丸を装填しているか、そんなことに思い当たる暇もなく、猶も業火に身を捩っている

チャンスだ

 

「これでおわりだぁぁぁぁ!!!!!」

 

早苗がトリガーを引くと、ホーンから放たれた音波が魔女モドキを包み込んだ

 

 

 

 

 

 




サムライフラメンコ・・・・

まさか「キング・トーチャー」が「キング・とーちゃん」ってネタじゃなかろな・・?

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