鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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時間があったので投下します


潜入

 

「変容の魔法少女」こと、呉キリカにとって潜入するのは難しいことではない

猫の姿で対象の周りをうろついたり、カラスの姿で監視するなどだ

そしてそうした情報は彼女の青紫のソウルジェムに蓄積される

それを美国織莉子に手渡すのだ

 

「全知の魔法少女」美国織莉子はその二つ名の通り全知だ

彼女の武器でもある「アカシックレコード」

言うなれば過去現在未来、加えて平行世界の情報まで網羅した辞書のようなものだ

そのため、知りたいビジョンを得るためには様々なワードを入力しなければならない

だからこそ・・・

 

― 織莉子のために私は居る ―

 

猫に化身したキリカの目の前には、宇佐美邸がその姿を見せていた

 

 

宇佐美邸客間

そこでは宇佐美真が何時ものお茶会の準備をしていた

魔法少女達による定期の作戦会議、通称お茶会

最初はその雰囲気になかなか混じれなかったが、生還して戦いを忘れ一緒に笑いあえるこの時間を何よりも大切に思えた

 

ニャーン

 

どこからか猫の鳴き声が聞こえた

真がいったん手を止め、玄関のドアを開いたその瞬間、黒い影が中に入り込んだ

 

「野良猫・・・・・・?何処かで見たような・・・・・」

 

思案顔の真の視線がガラス製のティーポットに注がれる

ポットの中では紅茶葉が揺らめいていた

 

「緑・・・・・ゆらめく・・・ワカメ」

 

真が手をポンと打つ

 

「仁美さんだ!」

 

見ると、入り込んだ猫はあの画像のように銀の腕輪が嵌っていた

 

「仁美さんに電話しないと!って、よく考えたら仁美さんの電話番号なんて知らなかったっけ」

 

時計は午後6時を少し過ぎたばかりだった

 

「杏子さんが知ってるだろうな」

 

 

― ふーん 此奴も関係者ってことか ―

 

 

「とりあえず・・・・」

 

真の手が黒猫 ― キリカ ― を抱き寄せた

そしてそのままダンボール箱に入れた

 

「そこでじっとしててね。もう少ししたら仁美さんに会えるから」

 

不意に呼び鈴が鳴った

 

 

「今日は私が最初だったわね」

 

「ようこそ、暁美さん」

 

何時ものようにほむらはその長い黒髪をかき分けるような仕草をする

真はその完成された姿を見つめていた

 

「真さん、その子は?」

 

ほむらに声を掛けられ、真は我に返った

 

「暁美さん・・・ええっと・・・」

 

「そのダンボールの中の猫よ」

 

「ああ・・・その猫は仁美さんの探していた猫で・・・」

 

ほむらはダンボール箱に屈みこむと黒猫を抱き寄せた

 

「エイミー・・・・」

 

泣きそうな顔でその小さな頭を撫でる

 

「エイミーって・・・・暁美さんは猫を飼っていたの?」

 

「いいえ・・・でも大切な友人がエイミーと名づけた猫を大事にしていたの」

 

エイミー

その名にどれくらいの重さがあるか、真は知る由もなかった

真はほむらに声を掛けず、そっとそこを後にした

 

 

「遅れてごめんなさいね、真さん」

 

ふっくらとした金色の髪を揺らし、巴マミが別館に入ってくる

その後ろには途中で合流したのだろう、佐倉杏子の姿も見えた

二人は何時ものように別館に入ると・・・・ドアの鍵を閉めた

 

「・・・・貴方は誰?」

 

巴マミの手は掌に納まる程の小型拳銃 フィラデルフィア・デリンジャーが握られていた

そしてその照準は・・・・

 

「何のつもりかしら?巴マミ」

 

暁美ほむらは静かに言葉を紡ぐ

しっかりと巴マミを正面に見据えながら

 

 

 

 

 

NGシーン

 

魔法少女探偵こと美国織莉子

彼女も世間一般で言うところの学生であり、学校に通わなければならない

だが・・・・

 

「無い!どこにもない!」

 

豪華なクローゼット

空になった抽斗の前で立ち尽くす織莉子

つい今朝まで色取りの下着に埋め尽くされていたというのに、今は何もない

最初はキリカが犯人と考えたが、レコードで探索すると犯人は別だった

 

「収集」の魔法少女

 

以前、織莉子とキリカが仕置きした魔法少女だ

無意識に入り込む能力を使っての強盗三昧

徹底的に懲らしめた筈だったが、それを逆恨みしての犯行

恐らくは能力を使ったのだろう

しかも・・・・・

 

 

「・・・・履くしかないというの?」

 

目の前にはあまりにもエグい紐パン

蝶の意匠が大事なところを隠しているが、その安全域は五百円ほどの面積しかない

相手も織莉子の精神をいたぶるような復讐を考えたモノだ

 

二日履いたパンツを履いたままで学校に行くか

 

それともこのピッチパンツを履いて学校に行くか

 

織莉子は小一時間考え、また布団という名のアルカディアへその身を委ねた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




しかし、なぜビッチはあんな恥ずかしいパンツを履くのだろう?

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