鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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皆さんは叛逆の物語をご覧になりましたか?


「楽園」にて

真の夢に入ったその日から、真理は真が紡ぎだすその夢の虜になった

恋人と一緒に生活し楽しく過ごす

女性として生まれた以上、いや人として生まれたからには心の底から愛した人物と過ごしたいと思うのは至極当然の感情だ

真理は恋人と呼べる存在はない

四年間昏睡状態にあったのだから無理もないといえば、その通りだ

それは魔法少女となった時から真理も受け入れていた

 

~ こんなガラクタのような身体では誰も愛してくれない ~

 

そのことは真理を追いつめていき結果として彼女を自死へと向かわせることとなったが、真琴が現れたことによって運命は変わった

生まれて初めて自分を肯定し、受け入れてくれる存在

それこそ、彼女が求めていたものだ

だからこそ、彼女の「夢物語」としか思えないような「救世」を信じ、進んで彼女の楽園の礎となることを選んだ

救済者の中での彼女の役割

それは 

 

― 「楽園」の最深部で魔法少女達に望みの夢を見せること ―

 

真琴のように「先」が見えるわけでも、紗々のように敵と戦うことも、愛華のような様々なアーティファクトを作り出す技術力もない

しかし、真琴は真理を必要としていた

その「夢幻と覚醒」の魔法をだ

そして真理も、自分に課せられたこの役割の重要さをよく理解していた

孤独の日々は終わり、友人と呼べる仲間達との満ち足りた生活

しかし「千の貌」を持つ真琴の力を持ってしても、「魔力」の根源である人の「情念」いや「人の欲」を理解しそれを御することはできなかった

彼女の知らない内に「欲望」は萌芽していた

もっと

もっと!

あの人に愛されたい!

あの人に全てを捧げ、あの人の全てを奪い去りたい!!

真理はひょっとしたら自分自身の欲望を理解できていないかもしれない

それはどのような聖人君主ですらも堕落させ、時には罪のない幼子も火にくべさせる・・・

真理が真に向ける感情

その獣の名は「妄執」・・・・

 

 

「ねぇ!ねぇったらマコト!!!」

 

「へ?」

 

真が視線を上げると、何時も見慣れていたはずの青色の髪が見えた

 

「ひやぁっ!!!」

 

「そんなに驚かなくてもいいじゃない!人を化け物みたいに!!」

 

そこにはいつもと「変わらない」美樹さやかが座っていた

彼らの目の前、そこには真がさやかの為に準備したランチが置かれていた

傍らのコーヒーは暖かな湯気を立て、皿の上には香草をアクセントにした白身魚のムニエル

さやかに買ってきてもらったバケットは食べやすい大きさにカットしてテーブルに置かれている

付け合せのチーズも忘れてはいない

今日は日曜日

彼はキリスト教徒ではないが、日曜日が休日になっていることには感謝している

それはこうして恋人と一緒にランチを食べ、休日をゆっくりと過ごすことができるのだから

真はこの幸せを精一杯噛みしめた

そうだ

もう忘れてしまえばいい・・・・・

結局、あの赤い髪の少女が佐倉杏子という名前の宗教家の娘で、見滝原中学校に入学するが程無くして、父親の無理心中に家族ともども巻き込まれてしまったこと以上の情報はなかった

彼女には「モモ」という妹が居たらしいのだが、彼女もまた・・・・

そしてそれを知った日から、彼の夢にあの「赤い髪の少女」は現れなくなった

 

「しっかし、此処ってリビングにも沢山本があるね。ひょっとして裏にエロ本が隠されているとか!」

 

そういうや否や、さやかは本棚を押したり収められた書物を引っ張ったりしていた

その光景を真は笑って見ていた

 

「そんなのはないよさやかさん。父さんの癖で、直ぐに仕事に使えるように置いてあるんだ」

 

「仕事?縄化粧のやり方とか!安全な浣腸の仕方とか!」

 

「何でそんなに下ネタにこだわるのーーーーー!」

 

「いや~やっぱりお約束というものがあって・・・」

 

いつもと変わらない日常

それが何にもまして心地よかった

 

「裸の女が書かれた本発見!!!って聖書か・・・」

 

真がみるとアダムとイヴが表紙に描かれた本をさやかが手にしていた

 

「ああ、それは聖書じゃなくて、父さんの書いた蛇信仰の本だよ」

 

「蛇信仰?」

 

「ええ。脱皮を繰り返す蛇は死と再生を現していて、その信仰は古くギルガメッシュ叙事詩や聖書における楽園追放、諏訪の蛇神信仰、そしてウロボロスについても言及された本ですよ。読んでみます?」

 

「アタシパスするわ。読んだら蛇が夢に出そう・・・・」

 

「そうですか?」

 

「それよりも重要なことがある!」

 

さやかが真を指差した

 

「これほど探してもエロ本ひとつ見つからない!ということは・・・・真のおとんはホモね!ボンテージ決めて、フォォォォォォ!!!!という叫んでサカる位の!!」

 

「なんでそういうオチ!おまけにネタが古いよ!!」

 

真の渾身のツッコミが炸裂し、その日もいつもと変わりなく過ぎて行った

 

 

「ウロボロス・・・永遠の蛇か・・・」

 

リビングに置かれたソファーに身を委ねながら、真は静かに呟いた

人は「人」として生まれた以上、遅かれ早かれ死の運命から逃れることはできない

なら、何も悩まず生きればそれでいい

全てに答えなんて用意されてはいないのだから・・・

真は目を閉じた

その脳裏に自らの尾を咥える蛇の幻影を見た気がした・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




叛逆の物語で印象に残ったこと

仁美のゆっくり化

さやかのブレイクダンス変身

杏子のフラメンコ変身

マミさんのパフェ戦車 

そして・・・・・「とある人物」のデビルマン化

ネタが山盛りのこの映画
また観に行きます

そういえばマミのガン=カタが有名なあのシーンだけど、ほむらが「AA12](フルオート可能なショットガン)を持ち出したら、一発アウトだよね?


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