鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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もう200話か・・・


集結

少女達は集う

或る者は失われた片割れを助ける為に

或る者は自らの信念の為に

或る者は自らの正義を掲げ続ける為に

 

 

紅い髪の少女が見滝原市とあすなろ市の境に一人立っていた

深紅の目にも鮮やかな衣装を纏うその姿はお姫様というよりも、手にした槍からもまるで西洋の女戦士といった風情だ

彼女のほんの3メートル先には壁の様に立ちはだかる結界

目で見ても殆ど変化を感じられないが、それを映像に撮って早送りにするとその壁が少しづつ見滝原市側へ侵食していることに気付くだろう

間違いなく、結界は見滝原市を飲み込もうとしている

魔法少女が条理を覆す存在だからとしても、これは明らかに異常な状況だ

しかし、この少女の瞳に浮かぶのは強い決意だけだった

彼女がこの場所にやって来るのは何も初めてではない

以前の彼女は何もできないかった、いや誰も助けられなかった自分に絶望し真と同じく「楽園」に取り込まれてしまうことさえ考えていた

そうすれはもう苦しまなくていい、ずっと真と一緒に居られる

そこまで彼女は追いこまれていた

だが、救いの手はあった

しかしその時に現れた真の父親「宇佐美蓮助」に彼女「佐倉杏子」は救われたのだ

 

 

彼女の願いは「結界」の中から彼女の大切な人物を取り戻すこと

大切な人物

それは「宇佐美真」という少年だ

今は亡き「美樹さやか」に助けられ、キュウベェとの契約を経て「魔法少女」になることのできる少年「宇佐美真」

彼女はマギカ・カルテットの先輩として「魔法少女」になったばかりの真を鍛えてやっている、それだけの関係ただそれだけだった

でも・・・・・・

でも真が何者かに拉致される前に、真と織莉子の父親が親友同士でしかも真と織莉子が「許嫁」同士だったと聞いて以来、自分が良くわからなくなった

最初は茶化したりしていたが、それは自分の言い知れようのない感情を誤魔化す為

真も織莉子もいうなれば良家の出

それに引き替え自分は宗教家の娘で、今はボーダーな仕事をしている親戚の家に居候している

どう考えても、自分と真は釣り合わない

真自身が彼女に言ったわけではない

でも真と織莉子が許嫁であると聞いて、彼女は途端に「淋しく」なった

それは男女で楽しく遊んでいたの「幼年期」が終わり、男女の性差で別れることになる

佐倉杏子はずっと、いつまでも馬鹿のように笑いあって、真と遊んで行けると無邪気に考えていた

でもそれも終わりだ

例え真が戻ってきても、以前のような関係に戻ることはないだろう

だから真剣に向かい合わなければいけない、自分の感情と

 

ギリギリッ・・・・

 

杏子は手にした槍を強く握りしめる

手と朱槍がギリギリと音を立てた

でも今なら言える

彼女にとって真は・・・・

 

「佐倉さん・・・準備は終わった?」

 

凛とした声

佐倉と呼ばれた赤い髪の少女が振り向く

金色の巻き毛と柔らかな光を宿す金色の瞳の少女が立っていた

 

「アタシの準備は既に出来てる。マミの方は?」

 

マミと呼ばれた少女が頷く

そして、大理石のような石が嵌められた指輪を見せた

 

「真さんのお父様から頂いたこの指輪は確かに魔力の塊だわ。これで・・・・・」

 

シュッ!

 

マミが人差し指と中指を杏子の足元に向けた瞬間、彼女の足元から無数の黄色のリボンが飛出し彼女を繭のように包み込む

彼女の得意とする魔法だ

その黄色いリボンは相手を拘束することも、結界としても使うことのできるモノだ

無論、武器としても

 

「佐倉さん具合はどう?」

 

~ 全く問題ないぜ! ~

 

「そう・・解除するわ」

 

巴マミがそう言うや否や、杏子を包み込んでいた黄色の繭は跡形もなく消えていた

そのかわり、よく見ると杏子の首筋には花の留め具が付けられた黄色のチョーカーが付けられていた

 

「いい佐倉さん、それはあくまで保険よ。危険なら私と織莉子の魔法を使って楽園から脱出する手はずになっているから」

 

ヒュン!!!!

 

微かな風切り音を立てながら白いドレスを着た少女と黒髪で眼帯を付けた少女が降り立つ

 

「待たせてごめんなさい」

 

「織莉子は悪くないよ!あたしが・・・・・」

 

黒い眼帯が特徴的な少女が傍らの少女に声を掛ける

そう、そうなのだ

彼女が照れ隠しに男友達を全力でツッコミを入れたおかげで、その手当で合流に遅れてしまった

ちなみに、近距離で少女の蒸れたスパッツを堪能したその男友達は終始アルカディアに至ったかのように満足げに笑みを浮かべていたとのことだ

 

「全員集まったところで計画を話すわ」

 

今回の作戦は危険が伴う

ヘタをすれば彼女達全員が結界に記憶を侵されて全滅もありうる

だからこそ強力な障壁が必要となる

蓮助から渡された指輪の魔力を巴マミの魔法を使って、チョーカーに加工し身に着け、それを媒体に強力な結界を張る

それで「楽園」からの干渉をシャットアウトする計画だ

今回はあくまで威力偵察

計画の要は織莉子の固有魔法「アカシックレコード」

無尽蔵のデータベースから特定の情報を得ることのできる彼女の魔法なら、「楽園」内部の情報からそれを崩壊させる手段を得ることができるはずだ

 

「今回は織莉子の身を守ることが重要よ」

 

「わあってるって!」

 

杏子が朱槍を構える

 

「期待しているわ佐倉さん」

 

織莉子が杏子に笑顔を見せた

 

~ ・・・・・・・・ ~

 

彼女はドレスのポケットに入れた指輪にそっと触れた

その真意を笑顔の中に隠して・・・

 

 

 

 




ダンガンロンパのマンガントークバトル難しい・・・・

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