鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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ではでは投下します


罅 ― 違和感 ―

あすなろ市 アンゼリカ・ベアーズ地下

その中心

 

プシュゥゥゥゥゥ・・・・

 

何かから圧縮された空気が解放される

生命の息吹など感じさせない地下の暗闇でもそれはいつまでも響いていた

それが収まると、次に唸るような機械の音が少しずつ聞こえてくる

それはだんだんと大きくなっていく

 

ウィィィィィン

 

そして一基のカプセルが開き、一人の少女がゆっくりと立ち上がった

空色の髪は肩まで伸びていた

それを指で弄びながら、少女は「真」の恋人と同じショートボブにしようかしら?と幽かな声で一人呟く

 

― 「救済」の魔法少女「夏樹真理」 ―

 

彼女の役割は楽園の礎になった魔法少女達に「望みの夢を」見せる事

故に彼女は必然的にその魔法を酷使することになり、休息をとる意味もあり「真琴」からは定期的に覚醒するように言われている

理由は単純だ

彼女の固有魔法は「覚醒と催眠」

夢幻と現世の境界は非常にあやふやだ

しっかりとした「意思」と「個」が確立していなければ、直ぐに夢は崩壊してしまう

彼女の能力は魔法少女達が楽園で余生を送る上で必要なもの

だからこそ、彼女のコンディションを維持するのに真琴は細心の注意を払っていた

 

 

「誰もいないよね・・・・・」

 

真理が周りを見る

幸い、今の時間、此処には誰もいないようだ

出来る限り音を立てないように注意しながら、ゆっくりと床に降り立つ

心なしか、彼女の表情は紅く染まり、やや内股で歩いていた

真理は照明をつけることはしなかったが、その歩みはゆっくりとだがしっかりとした足取りで暗闇を進んでいく

彼女が目指すのは、真理がその身を預けていたカプセルの反対側に備え付けられたシャワールーム

これも彼女の為に用意されたもの

彼女とて少女

覚醒の際にシャワーを浴びて身を清めたいだろうと、真琴が用意したものの一つだ

 

カチッ!

 

真理がシャワールームに辿りつき、スイッチを入れると照明が付き、同時に自動で給湯器も作動し始めた

シャワールームとは言うが、内部は典型的なアパートの浴室よりも広く、バスタブも用意されていた

折角の装備だが、このシャワールームを使うのは真理しかいない

真理専用というわけではないが、優木紗々や秦愛華は家族の元へ帰り、真琴は地上階の博物館棟を改造して住んでいる

真理も家族がいるが、その両親も共働きで家にいることはない

そもそも彼女は失踪していることになっているため、家族の下に帰ることができないのだが・・・

 

 

バスタブに自動でお湯が溜まるまでの間にシャワーを浴びておくことにして、真理は服を脱ぎ始めた

 

「・・・・あ」

 

彼女のレースをあしらった下着は既にぐっしょりと湿っていた

それを見た瞬間、先ほどまでの行為を思い出させた

 

 

思春期

それは男女の身体が完成し、男女ともに性に関心をもつ時期だ

男子の性欲に対して論じられることが多いが、もちろん性欲は女性にもある

今、真理の関心は「楽園」の動力源である少年「宇佐美真」にあった

最初はただの興味本位

魔法少女になる事のできる少年がどんな夢を見るのか?

それだけのことだった

でも少年が一人の少女と出会い、そして友達以上恋人未満の関係になると彼の動向が気になっていく

恋愛感情は真理がいまだに知らないものだった

気が付くと真理はその少年の夢ばかりを見ていた

無論、楽園の少女達に夢を見せることを休んだわけでも、手を抜いたわけでもない

そもそも真理もシステムに組み込まれている

夢を見せることはほぼ彼女の意思の介入なく、自動的に行われている

だからこそ彼女はその「特権」を最大限に利用すること選んだ

そして・・・

 

歪む視界

それまで居た暗い、美術館の回廊のような場所から真理は何処かの学校の化粧室に立っていた

周りには誰も居ない

 

「は・・ははっ!やった!やった!!!!こいつを乗っ取ってやった!!!」

 

真理本来の声よりも、ややハスキーな声が化粧室に響く

そしておもむろに、真理はその姿を全体が映る姿見に映した

真理よりも濃い青色の髪

やや豊かな女性の象徴

血色のいい肌色

明らかに真理とかけ離れた容姿だ

そこには「真」の夢に深く入り込み、干渉して「真」の恋人である「美樹さやか」のアバタ―を着こんだ真理が笑みを浮かんでいた

もう彼女は他人の夢を見るだけでは満足することができなくなっていた

「真」に会いたい

「真」と話したい

そして、「真」と契りたい・・・・・

夢で見た通りの生活

恋人と別れただの、運命の出会いはないだの言う、眼鏡をかけた粘着質な女担任の長く意味のない退屈な授業を終えると、「美樹さやか」の姿をした真理は階下にある真の教室に急いだ

 

「真!!!!!!」

 

さやかの皮を「着た」真理が真の胸に顔を埋める

肉のない男性特有の胸

その白く滑らかな肌はまるで少女の肌のようだ

 

「さやかさん・・・・!ちょっと・・・」

 

恋人の突然行動に真が抗議の声をあげる

 

「お願いもう少しこのままで・・・・・」

 

真理は目覚めて以来、こうして他人と身体を交えたことはない

ましてや異性とは・・・・・

知らず知らずに真理の中心が蕩けるような、言いようのない感覚を感じた

それは生まれて初めて真理が「女性」として完成したことを意味した

 

シャァァァァァ・・・・

 

暖かなシャワーが彼女の熱の残照を洗い流していく

真理は知っている

真が愛しているのは「さやか」という少女

真理ではない

でも真と触れ合ったことは彼女を少女から女へと変えていた

 

 

 

 

 

 

 




「ダンガンロンパ1,2リローデット」サイコ―!!!!!

まぁサイコなゲームですが


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