鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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やっちゃったZE☆


少年と魔法少女

巴マミと佐倉杏子が別れの決意をした頃、一人の少女も自分自身と向かい合っていた

 

 

あすなろ市の喫茶店

一人の少女がボックス席に座っていた

短く切りそろえられた黒髪

今時の少女らしいビビッドな色使いの衣服

少女の年齢からは、やや早いとも思えるタイトスカートに活動的なスパッツを合わせ、そしてそこからは無駄な脂肪のない白い足が伸びていた

少女はボックス席の長い椅子にそれを投げ出していた

行儀は悪いが、その悪戯っぽい仕草からやんちゃな猫を思わせた

少女の待ち人は少女を「レパ・マチュカ(悪戯な猫)」とよく呼んでいたのも頷ける

 

カラン、カラン!

 

「キリカさん遅れてごめんなさい!」

 

「遅いよ!中沢!!」

 

「お詫びに奢るからさ、機嫌治してよキリカさん」

 

中沢と呼ばれた灰色の髪の少年は悪戯っぽく笑った

 

 

あたしが中沢に会ったのはこの喫茶店だった

これは偶然

あたしがココのコーラフロートを気に入っていて、その日も二杯飲んだ後に中沢に会ったんだ

アイツがお釣りを落してのを見て、あたしが拾って渡した

だってお釣りを落してワタワタしていたのが、昔のあたしみたいに見えて・・・・ついついお節介してしまったんだ

その後、中沢はあたしを追いかけてきて・・・・告白された

正直、男に告白されたのは初めてだ

だから・・・あたしどうすればいいかわからなくなって・・・・真に相談して・・・・・

アイツらがナニやったか知らないけど、それで中沢はおとなしくなった、はずだった

でもアイツはめげずにやってきて、あたしに告白した・・・

織莉子はアイツの動向を探る意味でも、カタチだけでもアイツと付き合えといった

正直、アイツのアグレッシブすぎる行動力については真や杏子から聞いている

うまく協力者にできれば探偵としての仕事もやりやすくなる

そう、有り体に言えばあたしは中沢を「利用」していた

でも

でもアイツと一緒に居ると楽しくなってきたのも事実だ

恋とか愛とか、そんなのはどうでもいい

アイツと一緒にいるのが楽しかった

だから確かめなければいけない

アイツの気持ちを

 

「なぁ・・・・マコトって奴のこと知ってる?」

 

ー 宇佐美マコト ―

 

真が中沢を諦めさせるために杏子の奴と一芝居うった時の偽名だ

その名前を切り出すと中沢は俯いた

 

「・・・・出ましょうキリカさん」

 

「・・・ああ」

 

喫茶店を出て空を見上げると、青かった空が少しずつ琥珀色に変わっていくところだった

 

「マコトさんとは僕の思い出の一つです。僕はマコトさんに恋をしました・・・・・振られてしまいましたが・・・」

 

「そう・・・・・」

 

あたしが聞きたいのはそんなんじゃない

直人、アンタの本心なんだ

 

「でも!!僕のキリカさんへの気持ちは嘘じゃありません!!!」

 

中沢の瞳に嘘なんてなかった

ならあたしも「嘘」をつくなんてできない

 

「あたしはアンタのことは何とも思っていない。アンタと付き合っているのはその方が利益になるから・・・・もう一つのあたしにとって」

 

そういうとあたしは青紫色の卵型の宝石 ― ソウルジェム ― を取り出した

 

「これが本当のあたしだ」

 

ソウルジェムが光り輝き、一瞬服の重さがなくなり、黒い眼帯とタイトスカートを身に着けた「魔法少女」としてのキリカが中沢の前に立った

 

「わかったろ?あたしはアンタを騙した。それも今日で終わりだ・・・」

 

「キリカさん・・・・」

 

あたしは卑怯な女だ

これからあたしはあの「結界」の中に入る

織莉子やマミの事は信頼しているが、無事に生きて戻って来れる保証なんてどこにもない

だから・・・

別れるんだ

 

「さようなら・・・・・」

 

あたしはそのまま後ろを向くと歩きはじめた

 

ダッ!!!

 

「キリカさん!!!」

 

背後に感じる熱い体温

見ると中沢がアタシを背後から抱きしめていた

 

「糞!離せ!!!」

 

あの細い身体にこんなに力があったのか、あたしが振りほどこうとしても中沢は離れなかった

 

「離しません!!だって・・・・だって・・・・今キリカさんを離したらもう戻って来ないように思うから・・・・」

 

あたしの肩に冷たい雫が落ちた

 

「中沢・・・・・?」

 

首を動かして、アイツを見ると泣いていた

泣き声を出さずに静かに泣いていた

 

「ア・・アレ?」

 

あたしの瞳からも涙が流れていた

 

「キリカさん行っちゃ嫌だよ・・・・・」

 

ああ、そうか・・・あたしもコイツのことが・・・・

 

 

「じゃあ、キリカさんは・・・・・・」

 

「そうさ。日々魔法少女として戦っていた。だから、今起きているあすなろ市の異変を見逃すわけにはいかない」

 

「だから急に・・・・・・」

 

「でも、織莉子に言われて付き合っていたことは事実だ。中沢、あたしを軽蔑したろ?」

 

中沢に全てを話した

あたしが魔法少女になった理由、そしてなぜ中沢の告白を受けたかを

 

「なら・・・・僕が引き留めるわけにはいかないですね」

 

中沢の瞳には迷いはなかった

 

「どうしてだい?泣いてまで止めたくせに」

 

「だってキリカさんは正義の魔法少女だから。あすなろ市に行くのも、捕まえられた仲間を助けに行くからでしょ?」

 

「正義の・・・・?」

 

あたしは織莉子に出会うまで、魔法少女としての力を復讐に使っていた

中沢に「正義の魔法少女」と言われて、嬉しいような・・・不思議な気持ちになった

 

「だから・・・・僕のエゴでキリカさんを引き留めちゃいけない・・・・・。でも約束してください!絶対に戻ってきてあの日の告白の答えを・・・本当の答えを教えてくれるって!!!」

 

中沢はまた泣いていた

それでも気丈に笑っていた

 

「ああ・・・約束する!絶対に戻ってくるって!」

 

その瞬間だった

中沢の唇がキリカに近づき、その頬にキスした

 

「約束のおまじないだよ、キリカさん」

 

キリカの顔はみるみる赤くなり、そして・・・・

 

 

 

魔法少女パワー全開のツッコミを中沢は受けることになった

 

 

 

 

 

 

 




素で京騒戯画を京騒動画と間違ったZE☆

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