鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では投下します




マギカ・カルテット本部 宇佐美邸別館

「黒」の魔法少女「暁美ほむら」、そして「鉄仮面」の魔法少女「宇佐美真」

容赦のないツッコミを行うほむらと、それをフォローしつついつの間にかいじられている真

たった二人の人物がいなくなっただけというのに、杏子はなぜかいつもよりも寂しく感じていた

 

「間違いなく、二人はあすなろ市にいるわ・・・・・」

 

美国織莉子が口を開いた

この場にいる全員が彼女の方を見た

 

「・・・・・二人が拉致された理由を話すわ」

 

 

― そんなことなんて信じられない! ―

 

言葉にこそしていないが、この場に集まった誰もが同じことを考えていた

複数の魔法少女が集まり、個々の固有の魔法を組み合わせて、特殊な結界を生み出してあすなろ市を隔絶する?

魔法少女からソウルジェムを抜き出して、身体の維持に必要な最低限の魔力をソウルジェムから引出し、穢れを最低レベルに抑えつつ永久保存する?

織莉子の話は常識を超えていた

魔法少女の「常識」すらもだ

そんなことをまじめに考えているとしたら、それは狂人でしかない

しかし、現にあすなろ市全てを覆う結界は存在している

ならば彼女の言葉を信じるしかない・・・・・

 

「でも何でそれと真の奴が関係するんだよ!!」

 

杏子が堪らず声を荒げた

 

「佐倉さん・・・・・」

 

マミが杏子に声を掛けようとするが、それを織莉子が静止した

 

「いいわ・・・・教えてあげる。真さんはその固有魔法の特殊さから狙われたのよ」

 

「特殊な魔法?ただ女になれるだけの変態の真が?」

 

杏子は普段は真を弄っているいることが多いが、滅多なことがない限り彼を詰るような言動をすることはない

しかし、目の前には真の「許嫁」である「美国織莉子」がいる

そのことが彼女を知らず知らずに追いつめていた

 

「真さんの固有魔法はソウルジェムの穢れを魔力に相転移することよ・・・・」

 

「ソウルジェムの浄化?ありえないぜ」

 

真が杏子と一緒に行動することは多かった

だが、織莉子の言うような特殊な魔法を使用しているようなそぶりは全くなかった

 

「そうよありえない。だから狙われた・・・・箱庭の動力源として」

 

「動力源?それになんで・・・・そんなに詳しいんだ・・・・まるで・・・」

 

杏子が言葉を詰まらせた

織莉子からリークされた情報は、あまりにも魔法少女の「常識」から乖離していた

彼女がそれを落ち着き、理解するには頭が追いつていない状態だ

 

「佐倉さん、貴方が真さんと決闘した夜のことは覚えている?」

 

「ああ、確かキリカと織莉子の魔法を・・・・・・?!」

 

あの夜

真は二人から魔法を「借りていた」

もし

もしも、それが「コピー」なんて易しいものではなかったら?

 

「私達が解放されて、最初に確認したのは個々のソウルジェムの確認だった。いざとなったら真さんを助ける為でもある。貴方が何をしようとしているかも容易に想像できたから・・・・」

 

あの夜の「決闘」

杏子は杏子なりに「彼を救う方法」を考えていた

「それは真からソウルジェムを抜き取る」事

身体に維持に必要なグリーフシードは彼女が準備する

そうすれば、少なくとも真一人くらになら日常に返すことが可能なはずだ

 

「ソウルジェムを見たら驚いたわ。真さんに触れられるまで、若干穢れが溜まっていたはずなのに解放されて確認してみれば、穢れが全く無くなっていたのだから・・・・」

 

「・・・・何でアタシたちにそれを教えなかったんだ」

 

杏子が織莉子を睨む

 

「この情報はかなり危険よ。マギカ・カルテットの皆を信頼していないわけではないわ。でも、何処からかその情報が洩れたら?真さんは私達にとって、言うなれば賢者の石よ。穢れを浄化できると知ったら、他の魔法少女はどんな手を使っても彼を手に入れようとするわ・・・・」

 

織莉子が言葉を止める

 

「そして・・・・真さんは拉致されてしまった・・・」

 

ガタン!

 

「お前達はいつもそうだ!いつもいつもテメェは…。何様のつもりだ!事情通ですって自慢したいのか?何でそう得意げに喋ってられるんだ!!!!」

 

杏子が織莉子に詰め寄る

それをマミが静止する

 

「それまでにしなさい!」

 

「マミ!!」

 

「・・・・・・ゆまが拉致された」

 

キリカが静かにそう、呟いた

 

「ゆまの魔法は穢れを移す・・・・・・」

 

「お・・・おい、何言ってんだ?ゆまはただの・・・・・」

 

杏子の脳裏に先ほどまでの織莉子の言葉が蘇る

 

~ 杏子さん、貴方が何をしようとしているかも容易に想像できたから ~

 

いや、想像なんかじゃない

織莉子は実際に「やっていた」

魔法の暴走で両親を自殺に追い込んだ、魔法少女「千歳ゆま」に

 

「ゆまは言うなれば、対魔法少女に特化した攻撃魔法と言える。その存在は秘匿されなければならなかった。それが彼女を救えなかった私達の罪だから・・・・」

 

キリカは顔を伏せた

キリカと織莉子

二人は魔法少女達を助ける、その想いだけで行動してきた

彼女達は一体、どれくらいの人間を救ってきたのだろう?

どれくらいの人間を救えなかったのだろう?

 

「これで全て納得がいったわ・・・・・ゆまちゃんを拉致し、その穢れを真さんの魔法を使って魔力に転移させる。今も浸食を続けるあの結界の為に・・・・・」

 

マミは別館の窓を見つめる

そこにはあすなろ市全体を覆う結界が見えた

 

 

 

 




艦これアニメ化

でもこれって、声優が一人で何人かキャラの声を受け持っているんだよね?
アニメでどーすんだろ

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