スクールデイズ
城とも思えるような洋館
その一室
チチチ・・・
小鳥たちの鳴き声で、豪華なベットの中で一人の少年が目を覚ました
灰色の髪
白い肌
少し化粧すれば、少女と思われても不自然ではないほどの美貌だ
「ん・・・・・・」
少年は頭を横に向けて、ベットサイドに置いた目覚まし時計を見る
朝食の準備するにはいい時間だ
今日は少し大目に用意した方がいいだろう
昨日はうっかり目を離した隙に、彼の分のマフィンが食べられてしまったのだから・・・・
「さてと・・・・・」
少年はベットから身を起こすと、一階のダイニングへと向かった
ジュゥ・・・・・・・
今時あまり見かけない鉄製のフライパンの中で薄く切られたベーコンが芳しい匂いを放っている
フライパンの隣の鍋の中には、昨日の夜に仕込んでおいたミネストローネがぐつぐつと煮えている
この家には彼一人しかいない
母親は彼を生んだ時に亡くなり、大学教授の父親は彼の持病が完治したのを機に海外へ、長期間のフィールドワークに出ている
なのに、今準備している分量は一人分の朝食にしては少々量が多かった
ピンポーン!
「おーい!真!!!起こしにきてやったぞーーーー!!!!」
インターフォンから元気な少女の声が響く
「来たね・・・」
少年はコンロの火を消すと、エプロンをつけたまま玄関へと向かった
「おはよう!真!」
「おはようさやかさん」
真と呼ばれた少年が玄関に立つ青い髪の少女に微笑んだ
「いやぁ~やっぱり真の料理は最高だね!おまけにそのエプロン!主夫を目指してんの?」
「昔から、一人でいることが多かったからね。ある程度は料理ができますから。まだまだミネストローネがあるからお代わりはどうですか?」
「うん、じゃあもう一杯!」
「少し待っていてくださいね」
少年「宇佐美真」がスープマグを手に、お代わりのミネストローネを入れに立った時だ
「隙あり!!」
ぺろん!
「ひゃっ!!」
何者かが真の尻を撫でた
まぁ、こういった場合犯人は一人しかいないのだが・・・・
「脂肪の少ないスレンダーな肢体!おまけにエプロン装備済み!惜しむらくは、裸エプロンじゃないことかな?」
モミモミ!
「もぅ!さやかさん!何で僕のお尻を揉むんですか!!!」
彼「宇佐美真」は孤独だった
心臓病の持病を持つ彼は、今までの人生の大半を病院で過ごしていた
その病が完治して、学校へ復学しても孤独であることは変わらなかった
その孤独を癒してくれたのは、復学した見滝原中学校の先輩だった「美樹さやか」
彼女は病院生活の長かった彼に勉強を教えてくれた「先生」であり
家族のいない真にとって、歳の離れた姉ともいえる存在だった
そして・・・・・
「だって、大切な恋人がそんなことをしてくれるなんて・・・・ご褒美じゃない?」
「僕は男の子ですよ!!!」
「男の娘?」
「違ーーーーーーーーう!」
僕の大切な「恋人」だ
一人の少女が楽しく笑いあう恋人達の姿を見つめていた
「せめて最後に絶望しかないのなら・・・・楽しい夢を」
少女は空色の髪を揺らし、満足そうに目を細めた
今回は短くてすみません・・・