鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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では新章を始めさせていただきます


第九章 スクールデイズ
スクールデイズ


 

城とも思えるような洋館

その一室

 

チチチ・・・

 

小鳥たちの鳴き声で、豪華なベットの中で一人の少年が目を覚ました

灰色の髪

白い肌

少し化粧すれば、少女と思われても不自然ではないほどの美貌だ

 

「ん・・・・・・」

 

少年は頭を横に向けて、ベットサイドに置いた目覚まし時計を見る

朝食の準備するにはいい時間だ

今日は少し大目に用意した方がいいだろう

昨日はうっかり目を離した隙に、彼の分のマフィンが食べられてしまったのだから・・・・

 

「さてと・・・・・」

 

少年はベットから身を起こすと、一階のダイニングへと向かった

 

 

ジュゥ・・・・・・・

 

今時あまり見かけない鉄製のフライパンの中で薄く切られたベーコンが芳しい匂いを放っている

フライパンの隣の鍋の中には、昨日の夜に仕込んでおいたミネストローネがぐつぐつと煮えている

この家には彼一人しかいない

母親は彼を生んだ時に亡くなり、大学教授の父親は彼の持病が完治したのを機に海外へ、長期間のフィールドワークに出ている

なのに、今準備している分量は一人分の朝食にしては少々量が多かった

 

ピンポーン!

 

「おーい!真!!!起こしにきてやったぞーーーー!!!!」

 

インターフォンから元気な少女の声が響く

 

「来たね・・・」

 

少年はコンロの火を消すと、エプロンをつけたまま玄関へと向かった

 

「おはよう!真!」

 

「おはようさやかさん」

 

真と呼ばれた少年が玄関に立つ青い髪の少女に微笑んだ

 

 

「いやぁ~やっぱり真の料理は最高だね!おまけにそのエプロン!主夫を目指してんの?」

 

「昔から、一人でいることが多かったからね。ある程度は料理ができますから。まだまだミネストローネがあるからお代わりはどうですか?」

 

「うん、じゃあもう一杯!」

 

「少し待っていてくださいね」

 

少年「宇佐美真」がスープマグを手に、お代わりのミネストローネを入れに立った時だ

 

「隙あり!!」

 

ぺろん!

 

「ひゃっ!!」

 

何者かが真の尻を撫でた

まぁ、こういった場合犯人は一人しかいないのだが・・・・

 

「脂肪の少ないスレンダーな肢体!おまけにエプロン装備済み!惜しむらくは、裸エプロンじゃないことかな?」

 

モミモミ!

 

「もぅ!さやかさん!何で僕のお尻を揉むんですか!!!」

 

彼「宇佐美真」は孤独だった

心臓病の持病を持つ彼は、今までの人生の大半を病院で過ごしていた

その病が完治して、学校へ復学しても孤独であることは変わらなかった

その孤独を癒してくれたのは、復学した見滝原中学校の先輩だった「美樹さやか」

彼女は病院生活の長かった彼に勉強を教えてくれた「先生」であり

家族のいない真にとって、歳の離れた姉ともいえる存在だった

そして・・・・・

 

「だって、大切な恋人がそんなことをしてくれるなんて・・・・ご褒美じゃない?」

 

「僕は男の子ですよ!!!」

 

「男の娘?」

 

「違ーーーーーーーーう!」

 

僕の大切な「恋人」だ

 

 

一人の少女が楽しく笑いあう恋人達の姿を見つめていた

 

「せめて最後に絶望しかないのなら・・・・楽しい夢を」

 

少女は空色の髪を揺らし、満足そうに目を細めた

 

 




今回は短くてすみません・・・

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