鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

167 / 322
今週の「わたもて」

ED曲がボカロって卑怯だ!!!!!!!


ネットに当たったテニスボール

 

「そんな・・・・・ことって・・・・!」

 

瀟洒な美国邸

織莉子の自室

彼女の手からスマートフォンが落ちそうになる

「かつての世界」ではお互いの信念の下に、命を賭して殺し合った「暁美ほむら」から伝えられた言葉

それは「ほむらの知り合いの友人達が不可解な状況で失踪した」ということ

問題はその知り合いの名前だった

 

― 和紗ミチル ―

 

その名は失踪事件以上に彼女に衝撃を与えた

 

「イーヴル・ナッツ」

 

「魔女モドキ」

 

事件は一つの線にまとまっていく

そして、その線は一人の少女へと繋がっている

 

「破戒」の魔法少女「和紗ミチル」

 

彼女は、危篤状態になった祖母の意識を取り戻す事を白魔に願い、契約の下に魔法少女となった

ミチルはかつて、彼女を救った「黄色の魔法少女のお姉さん」のように、闇に潜んで人々を襲う魔女を狩っていた

そして彼女と彼女達は出会った

「あすなろ市」で魔女の口づけを受けて、集団自殺しようとしていた六人の少女をミチルは助けた

ミチルは彼女達に「生きる意志」を教えた

いつもと同じ

でもその日は違った

彼女達の一人、「浅海サキ」が魔法少女になることを受け入れた

それにつられるように少、女達は「契約」に伴うリスクを軽く考え、いやそもそもリスクのことすら考えずに魔法少女となった

結果には「絶望」した待っていないというのに・・・・

最初に矛盾に満ちた魔法少女システムの「からくり」に気付いたのは、誰であろう、彼女達が魔法少女になって真っ先に喜んだミチルだった

彼女は一人で活動していた時に出会った「献身」魔法少女である、「飛鳥ユウリ」が魔力を使い切ったことにより「魔女」に相転移するところを目撃してしまったのだ

ミチルの実力なら、一撃でユウリを「救う」ことも可能だった

だが・・・・できなかった

朗らかに笑い、お互い料理を作りあったこともある

いくら「魔女」に変じたといっても、彼女は間違いなくユウリだった

だからこそ・・・・・「救う」ことができなかった

彼女にできることは、結界に消えていく「ユウリ」だった「魔女」を見つめることだけだった

 

 

それからはミチルは明るく笑うことができなくなった

ミチルを慕って、集まった六人の仲間達

ミチルはいつも通り、彼女達を日常に戻すこともできた

だが、一人の少女の決意から、彼女達に契約を勧めて魔法少女にしてしまった

寂しさのあまり・・・・・

今は彼女も彼女達も魔法少女だ

しかし「魔女」になることは避けられない運命

彼女に出来ることはできるだけ一日でも長く、彼女達が彼女らしく生きていけるように燃え尽きた魔法少女の魂である「グリーフ・シード」を集める事だけだ

神は残酷だ

ミチルは贖罪を続けた

だが、その贖罪が報われることはなく、絶望という「終わり」が来た

彼女もまた、ユウリと同じく魔力の枯渇から少女達の目の前で魔女へと変わった

ミチルが魂を擦り切れるまで、守りきった「真実」はミチルの「魔女化」で仲間達に曝け出されることになったのだ

絶望に打ちひしがれる仲間達

だが、彼女達はそれで心折れることはなかった

 

― 欺瞞に満ちた魔女システムの否定、破戒 ―

 

彼女達は自らに備わった個々の魔法を分析し、それまでどの魔法少女も考えていなかった「合体魔法」を生み出した

彼女達は更に研究を重ねた

そして

 

一般人のみならず、魔法少女達の認識を阻害して「インキュベーター」に関する記憶を消して、その存在を消滅させる「箱庭」システム

 

燃え尽きた魔法少女の魂である「グリーフ・シード」によらないソウルジェムの浄化法の模索

 

その際に生み出されたのが「イーヴル・ナッツ」だ

一人の少女の願いで改変された世界でなぜこのようなものが?

その疑問が一つの線に繋がった

件の和紗ミチルの「友人たち」

これは間違いなく、「かつての世界」で魔女システムを否定した「プレイアデス聖団」に間違いないだろう

そしてその内、三人が既に「失踪」してしまっている

間違いない

誰かが「プレイアデス聖団の遺産」を握っている

失踪した魔法少女の魔力を動力にして、もう一度、それをこの救済された世界で作動させようとしている

もう一刻も猶予はない

 

シュォォォォォォォォォ!!!!!!

 

織莉子は魔法少女形態へ、その身をコンバートさせると空を蹴った

織莉子はこの時、重大な運命の切り替えを行っていたことに気付かなかった

 

 

数分後

 

「ゆまちゃん、お家についたよ!」

 

「ありがとう。きりかおねえちゃん!」

 

「でも急に真んとこに行きたくないっていっていたんだ?」

 

ゆまが不満げに頬を膨らませる

 

「だっていつもきょーこがいるもん!」

 

「はいはい!今日のおやつはアイスクリームだよ」

 

「きりかだいすきー!!」

 

 

織莉子はいつもの「美国ゆま」の送迎をキリカに頼んでいた

一瞬、真に送迎を頼もうとも考えたが、キリカの性格上、きっと織莉子の後を追ってくるに違いない

彼女には自分が「かつての世界」の記憶を持つ「転生者」であることを伝えていない

だからこそ、彼女を連れて行くわけにはいかない

察しのいいキリカの事だ

今回はほむらとの共同作戦になる

どんな些細な綻びでも気付く可能性がある

それほどまでに今回は切羽詰まっていた

 

「私はこの世界を守る・・・・それが私の贖罪だから!」

 

彼女の緑色の瞳が前を見定める

この先に何があってもその決意は揺るがない

 

 

 

 

 

 

 

 




あついぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。