鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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漫画太郎のマンガって、意外と買い取り価格が高かったりします



罪と罰

「貴方がミチルさんかしら・・・・・・?」

 

「ああ。君がほむらさんが呼んでくれた・・・」

 

「美国織莉子よ」

 

「和紗ミチル・・・・君と同じ転生者だよ」

 

シルバーブロンドの長身の少女が差しのべた手をミチルは握った

 

古びたビルの屋上

ミチルが連絡した「暁美ほむら」と「美国織莉子」がミチル達と合流する

既に日は沈み、夜へと変わっていた

 

「現状を報告してくれるかしら?」

 

「ええ。今は私の仲間である、杏里あいりと飛鳥ユウリが二人の監視を続けているわ」

 

「変わったところは?」

 

「全くないわ」

 

ミチルの真紅の瞳を織莉子が覗き込んだ

 

「・・・・お互い腹を割って話しましょう。それはかつての世界での貴方の目で、今の二人を見たところかしら?」

 

「そうよ・・・・。私の記憶では彼女達の行動には異常は見られない。みらいは部屋でクマのぬいぐるみを作っているし、里見はいつもの立ち読みを終えて自宅に帰宅している。何時も通りよ。何処にも違和感はない」

 

― 何時も通り ―

 

「転生者」暁美ほむらは今では「引退した老兵」の如く、かつてのように常に重火器や爆薬を携帯することなく、普通の「魔法少女」としての日常を過ごしていた

しかし、彼女は今もスカートの下にコンシールドホルスターを装着している

彼女には自負があった

永劫ともいえる絶望

迷宮のように入り組み捻じれた世界線

魔女に身を落とさず、それを乗り越えたことに

 

カチャ・・・・・

 

彼女がコンシールドホルスターから、ずんぐりと太いバレルを装着したやや小振りなリボルバーを手慣れた動きで取り出す

 

― チャーターアームズ ブルドック・44スペシャル ダブルアクションオンリーモデル ―

 

野暮ったく、洗練された「スミス&ウェッソン チーフスペシャル」と比べると雲泥の差があるデザイン

見ていて、あまりかっこいいとは言い難い銃だ

しかし、銃をあくまで「道具」として見ていて、それを日常的に使用している人間にとってはそのデザインが ―スナッグフリー - 各部のエッジが丸められ、咄嗟にドロウした際銃が衣服やホルスターに引っ掛かり難いという、大きな利点を持っていることに気付くはずだ

銃を使わなければならない状況では、一分一秒でも遅れることは即座に死を意味する

そしてその口径

同種のリボルバーである「スミス&ウェッソン チーフスペシャル」と7ミリほど長いだけのサイズでありながら、「44S&Wスペシャル」という大口径の銃弾が発射できる

これに加え、更に暁美ほむらはくり抜かれた弾頭に小粒散弾を詰めた「グレイザー・セフティ・スラグ」という、特殊な浸透弾頭弾を装填している

この特殊弾は人体に侵入した瞬間、弾頭が潰れ、装填されている小粒散弾が弾頭のスピードのまま対象の身体の隅々まで広がっていくことにより、何処に当たっても相手をノックアウトできるものだ

そして、指かけのない「デホーンドハンマー」を装備したダブルアクションオンリーモデル

咄嗟に握って、ターゲットに引き金を引いても、小型リボルバーでありがちな「ハンマーバイト」 ― 親指の付け根を挟んでしまう事故 - が全く起きる心配がない

つまりは、この銃はどのような状況でも即応できる拳銃というわけだ

 

チー・・・・・・

 

ほむらは手慣れた様子でシリンダーオープンラッチを押して、シリンダーをオープンしそれを回転させて銃弾のチェックする

リボルバーはオートマチックと違い、スライドオープンされない為残弾の有無をチェックするのなら

一度シリンダーを開かなければならない

ほむらのその行動は何処も飾ったところがなく、的確に銃弾のチェック終えた

 

シュッ

 

チェックの終えたブルドックを再び、ホルスターに収めながら織莉子に話しかける

 

「美国織莉子、貴方の見立ては?」

 

「あんな事件が立て続けに起きた割には、この近くには魔法少女も魔獣の気配すらない。・・・・・うまくいきすぎているわ」

 

「時間はあるかしら?私はミチルさんに話したいことが少しあるわ」

 

織莉子がミチルの前に立つ

 

パチッ!

 

小気味いい音を出しながら、手にしていたアタッシュケースが開かれる

 

「こ・・・れは?」

 

織莉子の持つアタッシュケースの中には大量のグリーフシードが詰まっていた

 

「私はこの事件の答えを知っている。ただ・・・・ミチルさん、貴方にそれを受け入れる覚悟があるかしら?」

 

「それだけでなぜ、こんなにグリーフシードを?」

 

「これは貴方が魔女になってから起こったこと・・・・・大切に思っていた仲間が命を弄ぶ悪鬼羅刹へと変わっていった・・・・。彼女達の残した遺産が今回の事件に関わっているわ」

 

ミチルの真紅の瞳をエメラルドのような瞳が射抜く

 

「真実の重さに、あなたが絶望してしまうかもしれない・・・・・・・」

 

ミチルは言葉を紡ぐ

 

「私は知りたい!貴方のいう真実に押しつぶされてしまう絶望の未来しかないのかもしれない!!!それでも・・・・・」

 

ミチルの真紅の瞳が織莉子を見つめる

 

「彼女達の罪は私の罪だから!!!!なら、私はそれを背負う!!!」

 

ミチルの誓いは夜の街に響いた

 

 

 




まじ、万引きガキがうぜぇぇぇぇぇ!!!!!!

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