鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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白状します
実はこのSSの当初はオリ主ではなく、恭介が変身する予定でした
理由はあとがきで


暗躍する者たち

 

 

 

上条邸 

古くは士族へと繋がるとされる上条家は、ここ見滝原において名家として認識されている

その次期当主である上条恭介はバイオリニストとして注目される存在だ

不幸な事故で復帰は絶望視されていたが、奇跡的に復活をしてからというもの、日々リハビリと復帰コンサートの準備に追われていた。

 

― 上条邸 練習室 ―

 

バイオリンの奏でる音階が練習室に広がり、それらは一つに集束し至高の楽曲へと錬成される

それを聞きながら緑髪の少女 志築仁美が熱のこもった瞳で演奏者を見つめる

しかし・・・演奏者である少年の表情は浮かない

 

「仁美どうだった・・・僕の演奏?」

 

上条恭介は少女に語りかける

 

「何時もと同じく最高の演奏でしたわ!曲は確かドビュッシーの」

 

「そう・・。今日の練習はここまでにしようか。家まで送るよ」

 

少年は少女に微笑んだ

その横顔はとても寂しげに見えた

 

 

深夜

練習室に一人、恭介は立っていた

演奏台にはドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」の楽譜

恭介は物憂げにそれを掴み・・・

 

ビリィィィィィィ!

 

一気に引き裂いた

 

「さやか・・・・何処にいるんだ・・・・寂しいよさやか」

 

月光に照らされるなか練習室を少年の嗚咽が満たした

 

 

見滝原市にもいかがわしい店が集まった界隈が存在している

 

そこの雑居ビルに一室に恭介はいた

 

「行方不明の幼馴染を探してくれ?悪いがそれはマッポの仕事だぜ?」

 

如何にもチンピラといった風体の男が睨みつける

 

「お金ならあります!」

 

恭介は大事そうに抱えたバックから札束を取り出した

軽く見積もっても300万くらいはある

 

「・・・・その金はどうしたんだ?」

 

「バイオリンを売りました・・・お願いです!さやかを探し出してください!」

 

「あんた上条のぼっちゃんだな?俺たちのことを何処で知った?」

 

ゾクリとするような空気が漂う

 

「ある人が教えてくれました。名刺を渡せば、話は聞いてくれるって」

 

恭介は名刺を差し出した

名刺には三鐘組と印刷されていた

 

「つまりは兄ちゃんは三鐘の嬢ちゃんのビョーキに付き合ったってことか・・・・そんなら引き受けるしかないな」

 

「あ・・ありがとうございます!」

 

「おいおい、依頼は受けたが、何も見つかるとは言っていないぜ?」

 

「でも僕にはこれしか方法が思いつかない・・・」

 

「やってみるが、見つからないこともある。その場合は依頼金はいらない」

 

 

 

恭介が事務所を去った後、事務所の鍵を閉め探偵「三国織矢」は飼い猫の「キリー」を呼んだ

細心の注意を払いながら・・・

 

「キリカ。変身を解いてくれないかしら?正直、男の身体は窮屈だわ」

 

くたびれた中年然とした風体でありながら、織矢はまるで少女のような口調で猫に声をかけた

その声に猫は答えた

 

「いいじゃん織莉子!チンピラ探偵ぶりが板について。この前読んだフィリップ・マーロウの影響?」

 

信じられないことに猫が少女の声で喋った

 

「あれはヘミングウェイの焼き直しよ。私はレイモンド・チャンドラーよりもダシール・ハメット派なのよ。・・・それよりもキリカ、貴方獣臭いわよ?」

 

「え!?解除!解除!解除!」

 

そこには胡散臭い探偵と野良猫の姿はなく、二人の少女「美国織莉子」と「呉キリカ」が立っていた

 

「今回も魔法少女絡みかな?」

 

「まずは依頼人と対象の関係の洗い出しかしら。とりあえず淫乱の魔法少女や友愛の魔法少女のような事態は避けたいわ」

 

「あの時は大変だったね・・・・。友愛の魔法少女の時は余りのラブラブ具合で砂糖を吐いたし、淫乱の魔法少女の時は危うく少女卒業する寸前になったり」

 

「ところでキリカ。今何時?」

 

「三時を回ったばかり・・・・ゆまの迎えを忘れてた!」

 

「後で何か奢っておきなさいよ。じゃないと・・・」

 

「わかってるって!アタシだってまだ消えたくないし」

 

 

 

 

三鐘邸

表の顔はちょっと特殊な本屋を経営しているが、その稼業はヤの付く自営業である。

その一人娘、三鐘葵の部屋は完全防音になっている。

その内装も異様だった。

部屋を埋め尽くすのは色とりどりのコスチュームを身に着けた「何処か違和感を感じる」美少女達の写真

その少女達の顔は羞恥のあまり赤く染まっている

 

 

「ああ、やっぱり私が思った通りだわ!こんなにも恭介に紫の口紅とボンテージが似合うなんて!」

 

 

紫色の下着に身を固めた葵の指先には煽情的なブラックレザーのボンテージ(女性用、もちTバック)を身に着けた恭介が写った写真が握られていた。

探偵を紹介する上で、恭介に提示された葵からの交換条件

それは、葵の用意するコスチュームを着ての写真撮影会だった

 

 

~ 以下回想 ~

 

「この雄豚が!どうせ包茎・・・・ううっはずかしいよぉ・・・・」 

 

「さあ鞭を舐めて流し目するのよ!そうそう、汚物を見るような目で!」

 

パシャ!パシャ!

 

~ 回想強制終了 ~

 

 

「あはぁ~滾ってきたわぁ!!!!!!!!」

 

 

防音のはずの部屋からは、濡れた何かを掻き回すぬちゃにゅちゅという音が廊下にいつまでも響いていた

今宵も三鐘邸は平常運転・・・

 

 

 

 

 

 

 

NGシーン

 

「僕は一体・・・・・・?」

 

姿見の前にはボンテージを着用し、紫の口紅をつけた上条恭介が立っていた

 

「あれ」は探偵との渡りをつけてもらうために仕方なくしたことのはずだ

 

でも・・・・

 

今でも忘れられない

 

あの羞恥と熱情が僕を苛める

 

「僕・・・おかしくなっちゃった?」

 

 

『それが君の願いかい?』

 

 

恭介が振り向くと、部屋の窓際に白い猫とウサギを混ぜたような生き物が赤い瞳で彼を見つめていた

 

「?!」

 

羞恥心が恭介に湧き起こるが、その反面恭介の「男の部分」は大きく反り返り、男性であることを主張していた

 

『僕はキュウべぇ。君にお願いがあってきたんだ』

 

「・・・・お願い?」

 

『僕と契約して魔法少女になってよ』

 

魔法少女

フリフリのレース

そんなのを着用しちゃったら・・・・僕は・・・・・それだけでイっちゃう!

 

『無論、ただでお願いするわけじゃないよ。何でも君の願いを一つだけ叶えてあげるよ」

 

「キュウベぇ・・・・僕は・・・・」

 

 

数日後

 

黒革のボンテージドレスに身を包んだ新人の「魔法少女」が見滝原で目撃されたという・・・・

 

続かない

 

 

 

 

 




実は三国織矢が魔法少女であることを知った恭介が、外道営業マンに唆されて魔法少女になってさやかを助ける構想だったんですが・・・・

某所で上条恭介が上条恭子になるSSを読んでしまい、当初の予定を変更することになりました。
真の髪が灰色だったり、美国織莉子と呉キリカが探偵やっているのもその影響だったり・・・
ちなみに文中の「友愛の魔法少女」や「淫乱の魔法少女」の設定は

「友愛の魔法少女」
失踪した妹を探してほしいとその少女の兄から織莉子に依頼。実は妹は魔法で姿や声、年齢を兄好みに変えて「兄の」恋人になっていた。
真相を知った兄は妹を魔女扱い・・・せずにそのままゴールイン!
あまりのラブラブ具合に織莉子、キリカ、(恭介)は砂糖を吐く羽目に・・・

「淫乱の魔法少女」
中学3年にしてセックスの喜びと男の味を知った少女。彼女の願いは「今以上にエッチを楽しみたい!」だった。
織莉子とキリカ、(恭介)が調査を開始したが逆に捕まる。
彼女の固有魔法「感情操作」で織莉子とキリカが淫乱どビッチに!恭介もかなりピー!な状態。
しかし、さやかを思う恭介がそれに耐えたことにより勝利。
感情を操作されながらもお互いをいたわりあう彼らの姿に「淫乱の魔法少女」は改心する。

このSSが終わったら魔法少女探偵織莉子&キリカでも書いてみるかな・・・・
感想お待ちしております


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