鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

141 / 322
投下します


影が行く

 

― 魔女 ―

 

「かつての世界」で存在した、この世の全てを呪う忌まわしい存在

その正体は「絶望に沈んだ魔法少女」

少女達は「希望」を対価に「願い」を叶え、そして「魔女」となりそのツケを払う

それも「宇宙の寿命を延ばす」という、「キュウベェ」― インキュベーター ― の目的の為に

なぜインキュベーターがそれを行う必要があるのか?

それを答えるものはなく、皆絶望していった

ただ一人、たった一人の魔法少女の願いがインキュベーターの「システム」を壊した

もはや「魔女」は存在しない

 

はずだった・・・・・・

 

 

ブシュゥ・・・・・・・・・・・・!

 

真の身体に打ち込まれた針のような糸が引き抜かれ、その身体から赤黒い液体が流れ落ちる

 

「あはは・・・・やっちゃった・・・・刺しちゃったら自殺にならないわよね・・・・・」

 

歪み果て、人の顔をしていない桑島桂子が笑う

 

「こんなかわいい許嫁がいて・・・織莉子ちゃんはやっぱり特別なんだ・・・・・」

 

真の身体が地面にドサリと落ちた瞬間、結界が別の結界に塗りつぶされる

 

「これは・・・・・!」

 

織莉子の顔が驚愕に染まる

魔女の結界

魔女を守る鎧にして、攻撃にも転用できる厄介な代物だ

「魔獣」も結界を張るが、仮にも人が素体となっている魔女が作り出す結界と較べると全く別物と言っていい

 

 

見慣れたホテルのホールは無数の肖像画が浮かぶ空間へと変わっていた

 

「真さん!」

 

織莉子が倒れた真に駆け寄る

幸い、彼が貫かれた場所は腹部で、胸の谷間に位置する真のソウルジェムは無事だった

織莉子が血に塗れるのを構わず、真の胸に耳を当てる

弱弱しいが、彼の心臓は鼓動を止めてはいなかった

 

シュォォォォォ・・・・

 

織莉子が自らのソウルジェムを傷口に当てる

彼女の魔力によって、切り裂かれた衣服以外は治療が完了する

 

「・・うぅ・・・・織莉子さ・・・」

 

織莉子が真の口に手を当てる

 

「静かに、魔力を使って傷口を治したわ」

 

ズォォォォォォォォォ!!!!!

 

「ドコニイルノォォォォォォォ!!!」

 

巨大なクモが手当たり次第に糸を飛ばし、ありとあらゆる物を切り裂いていた

 

~ 真さん立てる? ~

 

織莉子からの念話に真は静かに頷いた

 

 

「すみません・・・・織莉子さん・・・足手まといになってしまって・・・・」

 

「後悔ならいつでもできるわ。今はあの怪物を倒すことよ・・・・」

 

二人の表情に影が差す

通常、「魔獣」は瘴気が集まってそれが結晶することによって生まれる

「魔獣」が人型なのは理解できる

だが・・・・

 

「僕には・・・あの怪物が人から変化したように見えました」

 

「ええ。私も人に擬態できる魔獣なんて初めてだわ・・・・」

 

織莉子は巧妙に情報を攪乱した

もし本当に桂子が「魔女」と化したなら、今から行うことは「人殺し」

例え魔女化が不可逆であっても人間が素体である以上は「人」だ

 

「・・・・覚悟を決めなきゃね」

 

真も静かに頷いた

 

 

「シャァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

怪物と化した桂子にはもはや人語を話すこともなかった

 

「こっちだよ!!!!」

 

真が無数のサーベルを錬成して、射出し針のような糸を攪乱する

そして同時にトラップ用のサーベルを準備する

これはワザと対象の近くに落ちるようにしてある

 

― いい?真さんは本調子じゃないわ。だからこそ、今回は攪乱とトラップ設置を頼むわ ―

 

織莉子の作戦はこうだ

真がサーベルを無数に投げつけ「魔獣」の注意を引き、その隙に織莉子が仕留める

表向きは手負いの真に負担を掛けずに、早期に倒すために織莉子が仕留めることになっていたが、その実は「人殺し」の罪を真に背負わせるのを避けるためだ

 

「今だよ!織莉子さん!!!!!」

 

真がトラップを作動させる

 

バシュ!バシュ!バシュ!!

 

魔獣を囲むように敷設されたサーベルが対人地雷のように一斉に刀身を飛ばし、魔獣の身体に突き刺さる

 

「現実創造!!!」

 

― 現実創造 ―

 

織莉子の切り札

相手ともども自分を結界に封入、結界内部を自分の思う「現実」に組み替える技だ

 

「earth to earth, ashes to ashes, dust to dust!!!!!」

 

かつて真が杏子との決闘の際に「現実創造」を使った時と同じく、魔獣の周りを純水素で覆い・・・・爆発させる

 

ドガァァァァァァ!!!!!!!

 

辺りを閃光と爆音が満たした

 

 

 

NGシーン

 

「巴先輩、今日も暁美先輩はいないんですね」

 

街中をパトロールしながら、真は傍らの巴マミに話しかける

 

「そうね。最近、合同パトロールに参加することもあまりないし・・・」

 

「これは・・・・男だな!間違いない!」

 

「何を根拠にそう断言するんですか?」

 

「だってよぉ、ほむらは浮いた話一つないんだぜ?絶対、男絡みだって!」

 

杏子も年頃の少女である

それなりに異性に関心がある

 

「二人とも、とりあえずパトロールに集中しましょうか」

 

「「は・・はい・・・」」

 

笑顔の巴マミは怖い

それもマギカ・カルテットで真が学んだことの一つだ

 

 

●月○日 晴れ

 

今日もタツヤはかわいい

彼の屈託のない笑顔は「まどか」を思い出させる 眼福眼福

近くにいる目つきの悪い母親が邪魔だが、排除を決意させるほどではない

彼につける為のピンク髪のウィックは準備してある

うまく彼を調教しなければ・・・・

 

「黒髪の淑女」こと、暁美ほむらの魔の手が幸福な鹿目家に迫りつつあった

 

 

 

 

 

 

 




今年もカレーラムネがあるのだろうか?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。