鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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ではでは投下します


誰も知らない

「これが・・・・魔獣の核?」

 

「ああ。これが魔法少女の命を救う、唯一のモノよ」

 

魔獣を撃滅させたニコとカンナ、そしてカオルと海香が通常空間へと帰還する

ニコとカンナの手にはサイコロ程の大きな物体が握られていた

 

― グリーフ・シード ―

 

魔獣の核であり、魔法少女の魂の結晶であるソウルジェムを唯一浄化できるアーティファクトだ

カンナがグリーフ・シードを自らのソウルジェムを当てる

 

シュオォォォォォ・・・・・・・!

 

ソウルジェムから黒い靄がソウルジェムを吸い込まれていく

 

「今回のヤツはそこそこ強い奴だった様だな・・・・」

 

カンナが静かに呟く

魔獣から採れるグリーフ・シードの量は一定ではない

生まれたての魔獣から採れるグリーフ・シードは微々たるもの

逆に生まれて時間が経ち、人を「喰った」魔獣のグリーフ・シードはそれなりに「使える」

 

「その・・・・穢れを吸わせたグリーフシードってどうなるの?」

 

「通常はそれをキュウベェに喰わせる。穢れが溜まり過ぎたグリーフ・シードは言うなら、いつ爆発するかわからない素人仕込みの爆弾と同じだからな」

 

ニコが目を伏せる

 

「だが、酷い魔法少女も居てね。限界まで穢れを吸い取らせたグリーフ・シードを、敢えて人の集まる所に置いて魔獣化させる奴もいる」

 

「そんな!!!!」

 

海香が目を見開く

彼女にとって「魔法少女」は正義だ

ニコとカンナの戦いはそれを裏打ちするものだった

 

「・・・誰だって死にたくないわ。そのために他人を犠牲にしても・・・・・」

 

「・・・・お前らもそうなのか?」

 

カオルが二人を見つめる

 

「いいえ。でも、私達は正義の味方ではない。場所を変えましょう」

 

 

「いい部屋ね・・・・・」

 

此処はニコとカンナが住む高級マンション

新築であり、階下には高級スーパーまで入居している

恐らく賃借でも1000万は下らない

 

「ここに二人だけで過ごしているのか?」

 

カオルの問いにニコが静かに頷く

 

「本当はパパとママと一緒に住みたいんだけどね・・・・」

 

「あの・・・ご両親は?」

 

海香が二人を見つめる

 

「いるよ・・・・・でもずっと眠っている」

 

「眠っている?」

 

「ハロウィン前日に押し込んできたギャングに撃たれて、植物人間さ」

 

「ごめんなさい・・・・」

 

「気にしないでくれ。もう私達は泣かない、この手で両親を助ける。その為の力があるのだから」

 

カンナが自らの手を握りしめる

 

「私の、いえ私達の願いは両親を目覚めさせること。その為に私達は旅をしている」

 

「それが魔法少女になるための願いだったのか?」

 

カオルがカンナ見つめる

 

「いいえ。私の願いは私のスペアを願った。貴方もこういう事を考えた事ない?テストや嫌な事を誰かが代わりにやってくれないかって」

 

「それが私、神那ニコ。カンナが二個ってね」

 

カンナの「スペア」である神那ニコが二人に微笑んだ

 

 

「忙しい中取材させてくれてありがとうね。えっと・・・・ニコちゃん!カンナちゃん!」

 

「いいさ!大先生の取材ならいつでも受けるさ!」

 

「・・・・化け物なんて言ってすまなかった。事情があったんだな」

 

「・・・安易な同情は止めてくれ。私は願ったことを後悔なんてしていない。もし、魔法少女にならなかったら両親はあの時死んでいたんだから・・・」

 

海香は駅へと向かう前、後ろを振り向いた

瀟洒なマンションのエントランス、そこにはカンナが一人立っていた

マンションの豪華な装飾も何もかも、まるでまやかしのようにも見えた

ほんの少しの衝撃で崩れ去る砂の城のように・・・

 

 

 

NGシーン

 

「と、言うわけで!」

 

「「何がと、言うわけなのよ!!!」」

 

ここはニコとカンナのマンション

目の前には「う~か」こと、御崎海香が立っていた

これから「クマを倒しに山まで」と言い出しかねないほどの重武装で・・・・

 

「いや~この前の魔獣討伐を見たら滾っちゃって・・・・」

 

ナニが何なのよ~~~~!と、ニコが叫びたいが、ぐっと堪える

 

「この前のお礼を届けにきたのよ。ハイ!」

 

海香がニコにタイプしたばかりの紙束を渡す

 

「製本前のできたてほやほやの最新刊よ!」

 

「どれどれ・・・」

 

彼女の差し出した小説に目を通すニコ

その巧みなストーリーテリングは新進気鋭のラノベ作家である、御崎海香の面目躍如といった出来だった

 

「どう?」

 

「面白いね。でも何でこんな重武装を?」

 

ニコの疑問も最もだ

ただ、最新刊を手渡すだけならこんな重装備をする必要はない

 

「・・・・お願いがあるの」

 

海香が二人を見る

 

「お願い!ここで小説を執筆させて!」

 

二人が驚きの目で海香を見る

 

「料理なら得意だし、洗濯や掃除も・・・・・」

 

「いい加減にして!」

 

「カンナ・・・・」

 

「私は貴方の取材を受けたけど、仲間にした覚えはないわ!!!!」

 

聖カンナが海香を睨む

 

「両親を目覚めさせる、ただそれ為だけに私達は此処にいるだけ。此処でも不可能なら・・・・また旅に出るわ」

 

「私は何も・・・・・」

 

「帰ってよ!!!!!!」

 

 

「ごめん・・・なさい・・・」

 

小さくなっていく、海香の背中を見ながらカンナは呟いた

 

「どうせゼロになるなら・・・・もとから無い方がマシよ」

 

カンナの胸に去来するもの

それはかつて救えなかった数多くの「魔法少女」の姿だった

 

 

 

 

 

 

 




疲れているときのビールって回りが早くて困る・・・・

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