鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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うぅぅ・・・・・この湿度で頭までカビそう


太陽の群れ

 

「やほー」

 

「どう?驚いた?」

 

今、海香とカオルの目の前には二人の魔法少女

それは双子、いやそれ以上に似ていた

そう「鏡写し」のように・・・

 

 

「ええっと・・・・・どちら様で?」

 

― 魔法少女は条理を覆す超常の存在 ―

 

ミチルを始め「魔法少女」達からはそう告げられている

しかし、イザその「条理」を覆した瞬間を見せられると、どう反応すればいいか二人は頭を抱えた

混乱するカオルが二人に声を掛ける

 

「私がニコで・・・・」

 

ダークグリーンのボディスーツを着た「神那ニコ」が自らを指差す

 

「私が聖カンナ!」

 

カーキ色のショートパンツを着用した活動的な装いの少女が賑やかに自己紹介する

 

「カンナ」と名乗る少女がライトグリーンのソウルジェムをその白い手に乗せて翳した

 

「えい!」

 

カンナの衣服が光へと変わり、その引き締まった肢体をブルーのクラシカルな飛行服を包み込んだ

そして、彼女の胸や臀部を強調するかのようにカーキ色のハーネスが纏わりつき、最後にゴーグルの装着されたスカルキャップが頭に乗り変身が完了する

 

「どう?これならわかるでしょ」

 

「ええ・・・まぁ・・・・」

 

海香が言葉少なげに答える

彼女の明晰な頭脳を以ってしても、目の前の状況を完全に理解できていないようだ

それもそうだ

いきなり瓶の中から、目の前の「魔法少女」と同じ少女が現れ、同じく魔法少女に変身したのだ

寧ろ理解できているほうが異常だ

 

「カンナ!二人をお願いね」

 

「お~けー」

 

カンナがカオルと海香を下がらせる

 

「二人は一般人だから離れないでね!!!」

 

光が集まり、カンナの手の中にバールのような杖が現れ、彼女がそれを掴み構える

その様子を見たニコが後ろを向き、その手を広げた

 

ヒュウォォォォォォォ!!!!

 

闇がひび割れるように広がっていく

ニコが「結界」を発生させたのだ

 

「いくよ!!!!!!!」

 

そしてニコがひびに手を差し入れた

 

「此処が魔獣の世界・・・・」

 

海香が周りを見渡す

「魔獣の結界」の内部は荒涼とした砂漠が広がっていた

潰れた工場の面影は全くなく、そして目の前の砂漠にも終わりが見えなかった

 

「ここは・・・・・?」

 

「ここはニコが魔法少女の結界で割り込んだ魔獣の結界。あいつらは設置式の地雷みたいに、犠牲者が来たとき以外は隠れてやがるからな」

 

「犠牲者?」

 

「ニコから聞いていないのか?奴らは人間の感情を喰い廃人にしちまう・・・・。少なくとも家族や今を大切に感じるならヤバい場所に近寄らないことさ」

 

バシュッ!!!!!

 

「「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

背後から衝撃がカオルと海香を襲う

振り向くと背後に白い巨人が立っていた

その「顔」にあたる部分はモザイクのようになっていて、その巨体とともに不気味さを引き立たせていた

 

「怪我はなかった?」

 

「あ・・・・あれは・・・・?」

 

「あれが魔獣だよ!」

 

カンナが魔獣に向かってバールを向ける

 

「さてショータイムだ!」

 

「カンナは二人を守るのに集中して!!」

 

ニコが叫ぶ

 

「はいはい。わかっとるがな・・・・」

 

カンナが杖を宙に向けると、カオルと海香を半球状の何かが包む

 

「魔法少女の結界。そこにいれば少なくとも生命に害はない」

 

カンナが目の前の魔獣を見定める

数は多くない

個体数も三体ほどだ

寧ろ、飽和攻撃による短期の殲滅が最良の策と、多くの戦いを経験したカンナが判断する

ならば、攻撃手段はこれしかない

 

「プロルンガーレ!!」

 

カンナの願いは「再生成」

故に両指をミサイルへとコンバートさせることはさほど難しくはない

 

シュボォ!!!!!!

シュボォ!!!!!!

シュボォォォォォ!!!!!!!

 

カンナの白い指が無数のミサイルに変わり魔獣達に殺到する

 

「ニコ!コネクトを使って!!!!!」

 

「OK!!!!!!」

 

カンナの声に答えたニコの背中から鎖のような触手を何本も広げる

それは先ほど発射されたカンナの指ミサイルの群れと接続した

 

「ステラス・スウォーーーム!!!!!!!!」

 

イタリア語で恒星の群れという呼び名の如く、ミサイルが魔獣を囲む

ニコのコネクトにより、文字通り手足のように操るそれを魔獣が避ける術はなかった

 

「すごい・・・・・・」

 

御崎海香と牧カオルは二人の戦いに魅了されていた

ミサイルは熟練したピアニストの速弾きを思い出され、それを自由自在に、そうタクトを振るかのように操る姿に彼女達は目を見開いていた

攻撃の一つ一つは致命的で、少しでも流れ弾に当たれば二人の命はない

しかし、ニコとカンナの戦いはそんな恐怖すら忘れて見入ってしまうほどの美しさに満ちていた

 

― 二人と一緒に戦いたい・・・・・ ―

 

カオルは静かに心の中で呟いた

 

 

 

 

NGシーン

 

バシュッ!!!!!

 

「「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

背後から衝撃がカオルと海香を襲う

振り向くと背後に白い巨人が立っていた

その「顔」にあたる部分はモザイクのようになっていて、その不気味さを引き立たせていた

 

「ねぇねぇニコ」

 

「ん?どしたん海香」

 

「なんで魔獣って、顔にモザイクを掛けているの?」

 

「モザイクって・・・・」

 

「やっぱりテレビでは放映できないようなもの・・・・チ○ポとか○メコとかがついてるのかな・・・」

 

「そう言えば気にしたことないな・・・・」

 

ニコが伝説的秘技「目を細める」で魔獣の顔面を見る

 

バシュッ!!!

 

「あひーん!!!」

 

「ああ!ニコがやられた~~~~~~~~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あの魔獣のデザインを考え出したのは、やっぱり天才だと思う

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