鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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今日も投下します


壊音

立花との出会いから数日

その間、ニコはカンナにそのことを伝えることはなかった

彼女「聖カンナ」はやや短気だ

早く両親を目覚めさせたいという、彼女の焦りも十分に理解できるが、しかしこのあすなろ市に「あいり」という別の転生者がいる以上はあまり大っぴらに動くことはできない

ニコがカンナの能力を使って作り出された瓶の中で待機しているのはカンナを守ると同時に、転生者「あいり」と出会う機会を得る為でもある

少なくとも、粘着質な彼女はもう一度会いに来るはずだからだ

 

「では、予習と復習を忘れずに!来週テストするからな!」

 

何時ものように授業が終わる

ゴールデンウィークが明けると同時にカンナは此処、あすなろ市中央中学校に転入した

正直、アメリカからの帰国子女ということから騒がれると思っていたが、この中学校には他にも帰国子女がいるおかげであまり話題にはならなかった

「牧カオル」と「御崎海香」だ

二人は同じクラスではなかったが、どうやら「かつての世界」と同じように二人は友人同士であるようだった。

 

― 御崎海香 ―

 

彼女が魔法少女となっているのなら、かなり厄介なことになる

彼女の固有魔法である「イクス・フォーレ」

これは対象の情報や、固有魔法を引き出す解析型の強力な魔法だ

無論、それのみならず、膨大な魔力を必要とするがかつての世界で魔法少女の真実を覆い隠した「箱庭」のように事象にプロテクトをかけてしまうこともできる

カンナは特に気にしていないが、今彼女の頭の中には秘匿されなければならない情報がひしめいている

だからこそ御崎海香は最重要人物だ

私はカンナの能力を「接続」して、自分のコピーを作り出して海香が本当に魔法少女になっているか、それを見極めるために近づいた

 

人のまばらなコンピュータールーム

公立の中学校でありながら、此処のインターネット環境はすこぶる良い

無論、チャイルドロックが掛けられていて特定のサイトや検索ワードを弾かれることになるが・・・

 

カチカチカチ

 

海香が一人、パソコンで何事かを検索していた

 

~ これは好都合だ ~

 

ニコは懐からスマートフォンを取り出すと軽く叩き、目当てのアプリを起動させる

 

「キタキタ~」

 

画面には海香のパソコンに映っているものと同様の画面が映っていた

 

― 魔力を使ったハッキングアプリ ―

 

通常こういった学校のパソコンには学校のサーバーに内容を保管するシステムを組み込んであることが多い

まさか、魔力返しのプロテクトなんてつけられているはずもない

魔力を使ったハッキングを止めることはできない

つまりは彼女の使っているパソコンの内容も手に取るように見ることができるのだ

 

「ふむふむ・・・・・・」

 

内容は彼女の小説の売れ行きと、「魔法少女」についての検索

特に「魔法少女」に関しては翻訳ワードを使って、海外のサイトまで探しに行っていたりする

内容も「魔法少女 ゾンビ」、「魔法少女 契約」といったかなり具体的だった

では彼女は魔法少女なのか?

現時点では否だ

魔法少女ならなんで検索する必要がある?

おまけに彼女から魔力も全く検出できなかった

「相方」の牧カオルも同様

彼女からも魔力は感じなかった

でも同様に、サッカー部のエースだった頃の溌剌さは微塵も感じなかった

まるで疲れ果てたかのように・・・

 

「おーい!カオル!!!パスが行ったよ!!」

 

彼女の目の前をサッカーボールが通り過ぎる

咄嗟にカオルが足を伸ばすが、そのボールを捉えることができなかった

 

「・・・悪りぃ」

 

「ドンマイドンマイ」

 

その後、しばらくサッカーの練習が続いたがカオルのプレイは何処か精緻さを欠いていた

 

 

「海香もカオルも何かがあった・・・・・そしてあんな状態になった」

 

魔力を込めた小型の望遠鏡でカオルを観察する

明らかに、二人は「おかしい」

それが魔法少女関係であることは間違いない

カンナとニコがあすなろ市に来る以前に何かがあった

ニコとカンナはまだかずみと逢ってはいない

だからこそ、彼女達の事情に首を突っ込むわけにはいかない

常識的に考えるとそれが一番妥当だ

だが・・・・

 

「私は魔法少女達を絶望から救う・・・・その為に戻ってきた!彼女達を自分の都合で見捨てたりしない!!!」

 

もう絶望を見たくなかった

その為に、行動できる「力」があるのだから・・・

 

 

NGシーン

 

「不気味の谷」

 

これは人が人間に「似せすぎた」ロボットを見ると、嫌悪感を抱く心理的な現象をそう呼ぶ・・・・

 

カンナとニコのマンション

聖カンナが一人ベットに横になっていた

その手にあるのは、二人で撮った唯一の写真

日本への荷物やマンションの手配を終えた二人は、アメリカでの最後の思い出に遊園地へ行った

その時の写真だ

 

パパとママが撃たれたあの日、私は初めて「ニコ」に出会った

彼女が私にとって、「敵」じゃないことは分かっていた

でも、それを受け止めて理解できるほど、私は理性的ではなかった

混乱する「私」

ニコはそんな私を叱咤し、やるべきことを指示してくれた

見た目も

嗜好も

全て「同じ」

だから、私は今日も・・・・・

 

「ニコたんのワカメは今日も金色・・・・ゲへへ」

 

日課としてニコの身体を視姦しているのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 




バイト先で、「流れよわが涙、と警官は言った」の在庫を聞かれることが多い・・・・
やっぱり「ヤマト2199」効果?

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