鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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ちなみにカンナはあの事件がなかったので、結構感情に起伏が激しかったりします
・・・・・ニコ大好きっ子でもありますが・・・・


狩り人の午後

 

ビストロ・タチバナで「ニコ」と「ユウリ」が邂逅を果たした、その時

あすなろ市でもう一つの出会いがあった

しかし、お互い望む望まないに関わらず・・・・

 

大型連休所謂、ゴールデンウィーク

おおくの少年少女達が期待と夢に胸を膨らませ仲間達と街に繰り出す

しかし、そのような時でもおかまいなく魔獣は湧き出してくる

故に「魔法少女」にゴールデンウィークなど存在しないのだ

 

「ったく!どいつもこいつも浮かれやがって!!!」

 

人々の目を引く、プラチナのように輝く銀髪の少女が真紅の瞳で街中を見つめていた

少女の名は「杏里あいり」

いつもは無比の親友である「飛鳥ユウリ」と一緒に行動しているが、いつもは「三人いる」魔法少女が一人足りない為二人で別々にパトロールをしている

あすなろ市は見滝原市ほど大きくないが、それでも二人でパトロールするには限界もある

 

「今度の練習試合に勝ったらビストロ・タチバナのバケツパフェ食べに行くか!」

 

「いいよ!今度一緒に食べに行こうよ!」

 

あいりのすぐ隣を友人同士であろう、二人の少女が通り過ぎる

橋の下のエルフ耳が見れば「パルパル」とつぶやきそうな甘い空気に、あいりの鬱憤も溜まっていた

 

「あのかずみが勝手に見滝原に行かなければ、今頃ユウリと一緒に・・・・・」

 

あすなろ市の魔法少女の代表格ともいえる、「和紗ミチル」

今、彼女は新たに知り合った「マギカ・カルテット」という見滝原の魔法少女集団のところに行っている

ユウリとの甘い時間は望むべくもない

ビストロ・タチバナでバケツパフェを食べるユウリとあいり

口の端にクリームをつけているユウリ

それを指摘され、顔を赤らめるユウリ

ユウリ・・・

ユウリ・・・

 

「あぁぁ~~ん!!!パフェよりもユウリを食べたーいいいいいいい!!!!!!」

 

衆目環視の中、身悶えするあいり

「例の」魔法少女形態でないのが、せめてもの救いだ

しかし、その姿はどう好意的に理解しようとしても「痴女」としか言いようがない

契約の際、「私を無比の親友にして!」という願いなのに、無比の親友の姿で痴女レオタードを着用することだけはある

 

「・・・・・・!!!!」

 

不意にあいりの瞳が獲物を駆り立てる獣のように細められる

その視線の先には、明るい黄色の髪を小さく二つに分けた少女が歩いていた

 

 

「カンナ君も休暇中すまないね」

 

若い教師が目の前の少女に声を掛ける

 

「いえ、カルフォルニアではゴールデンウィークなんてないですから」

 

― あすなろ市中央中学校 ―

彼女「聖カンナ」が通う予定の中学校であり、今転校の為の手続きに訪れていた

 

「私は英語担当の教師で君のクラスを受け持っているんだ」

 

「よろしくお願いします」

 

少女はお辞儀する

しかし、その瞳は笑っていなかった

 

~ ったく!手続きはあらかじめ終えてんだろ!!!帰らせろよ糞が!! ~

 

「登校日はゴールデンウィーク明けだから、遅刻せずに登校してくださいね」

 

教師のマニュアル通りの説明を聞き流しながら、カンナはしかしそれを表に出すほど愚かではなかった

 

「はい!」

 

~ やっとニコに会える!! ~

 

少女は内に秘めた心情を隠し込み、笑顔で担当教師と別れた

手渡されたプリントや教科書は彼女自身の「再生成」の魔法を使い、圧縮して背中に背負ったリュックに入れた

こうしなければ、両手で最愛の友達である「神那ニコ」を両手で抱きしめられないから・・・

彼女はもう少し自分の立場を理解せねばならなかった

この地には「かずみ」以外の魔法少女もいることを・・・・

そしてその魔法少女が彼女にとって好意を持っているとは限らないことに

しかし、喜びに胸を膨らませた彼女にそれを考えることはなかった

 

 

― 奴らに復讐したくない? ―

 

「かつての世界」でそう言って、アイツは私に接触してきた

人間を魔女モドキに、そして魔法少女を魔女へと変える、悪意の実 ― イーブル・ナッツ ― を手土産に持って・・・・

「今の世界」にはユウリがいる

アイツにはむかつくが、ユウリを助けてくれたことには感謝している

こうして「かつての世界」では味わえない時間を与えてくれた

だからこそ・・・

 

あいりの真紅の瞳が少女を追う

手練れの狩人のように・・・

 

 

 

NGシーン

 

薄暗い部屋

 

「どうして・・・こんなことするの・・・あいり」

 

そこにはユウリが「例の」痴女レオタードを着用して立っていた

 

― ユウリがいけないんだ!!!あんなヤツに笑顔を見せるからアタシは・・・・・! ―

 

「そんな嫌ぁ・・・・そんな・・・・・助けてェェ!!!!」

 

― げへへ!誰も助けへんで~! ―

 

少女に迫る危機!

そこに天の助けが!

 

『助けようか?あいり』

 

「ユウリ」が振り向くと「白い生き物」、キュウベェが座っていた

 

「・・・何時から見ていた」

 

『あいり、キミがユウリの恰好になって、その姿を鏡に映して身悶えしている時から』

 

インキュベーターは無表情で淡々と語る

 

『君は雌体だろ?なんで同性に恋愛感情を持つのかい?」

 

「ユウリ」こと、杏里あいりも淡々と告げる

 

「イル・トリアングロ!」

 

この日、通算5000匹のインキュベーターが天に召されることになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆さんよいゴールデンウィークを

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