鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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春が過ぎ、もうそろそろゴールデンウィーク・・・・
因みに今章はゴールデンウィーク中の話だったりします


因果

マギカ・カルテット本部 宇佐美邸別館

見滝原の閑静な住宅地に位置する宇佐美邸の別館とはいいつつも、その大きさは普通の一軒家と比べてみてもやや大きい

ミチルは此処を彼女達「マギカ・カルテット」が日常的に使用しているということにも驚いたが、それよりもその「マギカ・カルテット」を率いている人物の姿に彼女の目は強く惹きつけられた

 

「初めまして、私がマギカ・カルテットの代表をしている巴マミよ」

 

輝くような金色の巻き毛

理知的な深いトパーズ色の瞳

豊かで、それでいて女性的な肢体

そして・・・・・

 

「お姉さん・・・・・」

 

ミチルは無意識に彼女「巴マミ」を「かつての世界」のように呼んだ

巴マミは「かつての世界」で、危篤になったグランマの元へ急ぐ彼女を襲った魔女を瞬く間に葬った魔法少女その人だった

名前を知らず、逢ったのは、そのたった一度きり

ミチルが魔法少女となってから、助けてくれた「魔法少女」にあの時の礼を言うため、ミチルはあすなろ市中を調べたが、あの日に見た魔法少女を再び見つけることができなかった

 

~ 見滝原ならわからなくても正解ね ~

 

「ミチルさん?私の顔に何かついているのかしら?」

 

ミチルが我に返ると、マミがミチルを見つめていた

 

~ いけない。この世界は「あの世界」とは違う。例え同じ姿であっても・・・・ ~

 

「すみません。ついその美しい髪に見とれてしまいまして・・・・私は見た通りの癖っ毛で」

 

ミチルが短く切られた、黒髪を引っ張って見せる

 

「あら、ミチルさんの黒髪も艶があって綺麗だわ。茶会の準備がしてあるから寛いで行ってね」

 

「ありがとうございます。巴マミさん」

 

「ふふっ。私のことはマミでいいわよ、ミチルさん」

 

「はいっ!」

 

ミチルはこの時、見滝原に来て初めての笑顔を見せた

 

 

「此処が真さんの持家なの?」

 

ミチルがマギカ・カルテットを訪れて以来驚き通しだった

彼らが本部に使っているこの場所は隣にある宇佐美真の家である宇佐美邸の別館であること

つまりは真さんの私物と言うことになる

 

「あら、以前は私のアパートの一室を本部にしていたわ」

 

「へぇ・・・・」

 

「僕の父は現在海外に居て、此処は普段倉庫に使ってましたから、むしろこういった形で活用してもらったほうがいいんです。実際、周りから幽霊屋敷って呼ばれてましたから」

 

「実際、ここの地下倉庫なんてそうじゃないのか?」

 

杏子がショートブレッドをポッ○ーのように咥えながらしゃべる

 

「それについては弁解のしようがありません・・・・・」

 

ミチルは別館中央のダイニングに座り紅茶を楽しんでいた

輝くような美しさを誇る巴マミのセンスは紅茶の選別にも遺憾なく発揮されていた

ミチルは料理ならそれなりに自信があるが、巴マミのように紅茶の入れ具合、カップの選別、トータルのセンスには負ける

ミチルは自らがどうして魔法少女となったのかを皆に話した

祖母が危篤になり、意識不明となってしまったこと

インキュベーターから契約を持ちかけられ、グランマの寿命が終わる、その時までグランマのままでグランマらしく最後まで生きれるように願ったことを

 

「・・・・お前も自分のためじゃない、誰かのために一生に一回の奇跡を使ったんだな」

 

杏子が考え深く呟く

 

「ああ・・・・今も過去の自分を恨んだりはしていない。選択に後悔なんてないんだ・・・・でも」

 

ミチルは少し温くなった紅茶に口をつけた

 

「だからこそ、私はかつての友人たちが自分の後を追って魔法少女になるのを見ていられなかった」

 

そこまで話してミチルは自らの愚かさを呪った

なぜ仲間達が「自分の後を追って魔法少女になる」とあらかじめ知っているのか?

それは彼女が「もうすでに経験した」事だからだ

ミチルの行動規範は「かつての世界」が全てだ

だからこそ、彼女は仲間達が絶望するのを回避できた

しかし、それを話すわけにはいけない

少なくとも今は・・・・

 

「そうですね・・・・僕もサキさんがいきなり魔法少女になると言ったとき、ミチルさんの真意がわかりました」

 

真の無垢なフォローに救われた形でミチルは胸を撫で下ろした

ただ一人、暁美ほむらはその違和感を感じ取っていた

 

~ この娘・・・・もしかしたら ~

 

ほむらはミチルを静かに見つめていた・・・

 

 

 

NGシーン

 

「じゃあいきます!!!!」

 

宇佐美邸別館の大広間

黒髪の少女「和紗ミチル」が自らの黒曜石のような漆黒のソウルジェムを翳し、まばゆい光に包まれ和紗ミチルが魔法少女へと変身した

 

黒と白のエプロンをモチーフにした「活動的過ぎる」ミチルの「魔法少女」形態

 

「ちょっと・・・・・なんというか活動的?ね・・・」

 

「そうでしょ!私、結構気に入っているんだよ!特に胸元のリボンが可愛くて!!」

 

笑顔でそう話すミチルに「どう見ても裸エプロンですありがとうございました」とは言えない、巴マミである

流石のマミもやや顔が引きつっている

そして・・・・

 

~ 何でこの娘も黒がモチーフカラ―なのぉぉぉぉぉ!「眼帯中二病」も含めて「黒の魔法少女」枠はもう満杯よぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!! ~

 

和紗ミチルという、新たな「黒い魔法少女」の出現は元祖「黒の魔法少女」である暁美ほむらの密かな悩みが増える結果となったようだ

 

 

 

 




多作品でも黒をイメージカラーにしている魔法少女って意外と多いような・・・

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