鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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リアルで修羅場・・・・ほむほむの能力が欲しい


ヒーロー

翌日、宇佐美邸

 

西洋の貴族の館を移転したこの邸宅は、現在は難病から復帰した一人息子の宇佐美真、一人のみが住んでいる。

今、彼の前には「見滝原市を守る魔法少女」達が座っていた。

少年の表情は暗い

自分が「魔法少女」に変身できること、それを同じ見滝原中学校の生徒に見られたのだ

少女達も重々しい空気を放っている

約一名を除いて

 

 

「このアップルパイうまいな!どこの店の?マミも食べないならアタシが食べちゃうよ」

 

「佐倉さん!もう少し空気を読んで!」

 

「空気は読むもんじゃなくて吸うもんだぜ」

 

 

無論、マスケット突っ込みを食らったのは言うまでもない

 

 

「彼女大丈夫ですか?」

 

真の視線の先には死にかけのゴキブリのごとく、ピクピクと痙攣している杏子の姿があった

 

 

「彼女は大丈夫。ゴキブリよりもしぶといから心配ないわ」

 

「僕はキュウベェに魔法少女と一緒に戦いたいと願いました」

 

 

少年は意を決して話し始めた

「魔法少女」との出会いを・・・

 

 

 

僕は幼いころから病弱でした

 

父は毎日必ず見舞いに来てくれました

 

それでも・・・・心にはポッカリと穴が開いたようにいつも感じていたんです

 

僕は手も足もある

 

でも、僕の身体は同じ年齢の子供のように走ることも、手を泥で汚すほど遊ぶことはできない

 

寂しくて、悲しくて・・・

 

ある時、ふとこう考えてしまったんです

 

僕は生まれてこなければよかったのに、と

 

そうすればお父さんはお母さんを失わずに済んだし、僕が居なくなればもっと幸せに生きていけるんじゃないかって・・・・

 

そこを・・・・・「魔獣」に付け込まれました

 

 

見滝原総合病院

南側廊下

真はそこから見える夕日が何よりも好きだった

そこからなら隣接する学校が見えなかったからだ

 

「この夕日が沈むように僕も消えることができたなら・・・・」

 

死にたいとは彼も考えていなかった

でも・・・一生このままだったら?

一生父さんや他の人の迷惑なるような人生しかなかったら?

心をじっとりとした黒いものが満たした

 

不意に、見慣れた病院の白い廊下が歪み、真は何処とも知れない白い砂漠に立っていた

 

「何処・・・・ここ?」

 

答える者はいない

そこには何処までも続く砂漠

生命の痕跡すら見当たらない

不安に駆られた真はポケットの中の携帯を操作するが・・・・

 

「病院の中だって?」

 

起点は見滝原の病院から数ミリも動いていなかった

つまりは此処はいつもの病院となる

頼みの綱のGPS機能とて救いにはならなかった

もはや頼るものすらない真は白い砂漠をスリッパで歩くしかない

 

もうどれくらい歩いたろうか

白い砂漠をさまよい歩くうち、白い砂丘の向こうに何者かの人影が見えた

 

「やった、やっと助かる!」

 

少し考えればこのような状況ではむしろ、その人影を警戒すべきだと考えるはずだ

しかし、長時間一人で孤独に耐えていた真にはその思考はなかった

近づくうちに募る違和感

 

何で顔が見えないんだ?

 

何でずっと立っているままなんだ?

 

真は足を止めた

根拠はない

しかし、彼は本能的に「ソレ」が邪悪な物であると感じた

真は踵を返すともと来た道を走った

 

心臓病で弱り切ったはずの身体に何処にそんな力があるのか

 

真は走った

 

しかし、背後にはあの人影が近づいていた

長いローブで足は見えない

そのことがさらに彼に恐怖を与えた

 

 

 

 

あれに追いつかれたらおしまいだ

 

おかしいですよね

 

さっきまで、自分の命を何よりも軽いものに考えていたってのにね

 

砂漠の砂に足をとられ、僕の逃走は終わりを告げた

 

「それ」が僕に手を伸ばす

 

 

「生きたい!僕は生きたいんだー!」

 

 

僕は叫びました

 

その時、僕は彼女に会いました

 

 

「遅れてごめん」

 

恐る恐る目を開くとそこに「彼女」が立っていた

彼女は僕の前に立ち、童話に出てくる王子様のように白いマントを靡かせ剣を構えていた

 

「大丈夫?」

 

彼女の問いに真はただうなずくことしかできなかった

それを見て、彼女は満足げに微笑むと地面を蹴り飛び上がった

 

「スクワルタトーレ!!!!!!!!!!!!」

 

彼女を中心に、天使の翼のように展開したサーベルが一斉に魔獣に放たれた

それは魔獣をその場に縫い付ける

 

「フォルテッシィモォォォォォォ!」

 

彼女の掛け声とともにサーベルが一斉に巨大化して魔獣を切り裂いた

 

 

 

現実感のない、夢物語のような光景

 

彼女は蹲る僕に笑顔を見せてくれました

 

「助かってよかった」と

 

僕は彼女に名前を尋ねました

 

彼女は「ただの魔法少女さ」といって、歪む世界とともに消えていきました

 

気が付くと・・・僕はもと居た病院の廊下に立っていました

 

白昼夢かと思いました

 

でも、僕のスリッパには「あの」白い砂漠の砂が付いていて、それが現実にあったことだと教えてくれました

 

 

 

「僕は単純に・・・そう単純に彼女に憧れたんです。教えてください!彼女の名前を」

 

 

真の告白を巴マミをはじめ、魔法少女達は静かに聞いていた

 

沈黙を破ったのは・・・・

 

「彼女の名前は美樹さやか。残念だけど彼女は死んだわ」

 

マミは淡々と事実を告げる

 

「そんな・・・・・!なら何のために僕は・・・・・!」

 

彼女と戦うために「魔法少女」となった彼にとってその言葉は重かった

しかし、マミは真に慰めの言葉をかけることはなかった

 

「・・・・・あなたは魔法少女失格だわ」

 

淡々と、真の全てを否定する言葉をマミは口にした

 

 

 

 

 

 

 

NGシーン

 

「・・・・・あなたは魔法少女失格だわ」

 

「そんな・・・・!」

 

「だって少女じゃないし」

 

ぎゃふん

 

 

 

Take2

 

「・・・・・あなたは魔法少女失格だわ」

 

「そんな・・・・!」

 

「魔法少女と言えばケーキと紅茶!リプトンとかパック詰めじゃないものじゃないと!コーヒーなんて邪道だわ!」

 

「紅茶なら用意できますけど・・・。銘柄はルフナでいいですか?」

 

「真さん・・・・魔法少女合格です!」

 

「そんなんで合格なんですかぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしょうか?
スクワルタトーレ(切り裂き魔)という呼び名に相応しい攻撃方法として

飛び上がると同時にサーベルを無数に召喚

敵に投擲し、対象の身体に突き刺すと同時に巨大化させる

と、殆どオリジナル技と化してしまいました・・・・
だって、PSPの技バンクが地味すぎるんで
さやかちゃんはもっと輝いてもいいと思うの・・・





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