ネコネココネコ   作:ぴぴるぴる

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キャラ崩壊気味。
ごめんなさい。修正しました。


第03話 日付変更線はどこ?

「お風呂わかしたよ。

 誰から入る?」

 

 この家は着いたときにはすでに水、電気、ガスが使えるようになっていて、やけに気が利いていた。おかげで、それぞれの自室を決めて軽く掃除をするだけで一息つくことができた。

 どうやらこの地域にテーブルと椅子を使う習慣はないらしく、リビングには敷物が敷かれクッションがあるだけだ。ちょうど今ゴンにお風呂を沸かしてもらったところである。

 

「これでやっとお風呂に入れるよー。

 僕が先に入ってもいい?

 あ、それとも一緒に入る?」

 

 待ちに待ったお風呂だ。

 向こうはキメラ=アントの巣にそんな上等なものはなかったのでいち早く入りたい。

 だって向こうの巣って泥と糞でできてるんだよ?

 タドゥから聞いたときは全身に鳥肌が立ったよ。

 

「入らねーよ。

 お前どうみても女だろうが。」

 

「キルアってばそういうの気にする年頃か~。」

 

「気にするわ!オレ今年で13だぞ!

 お前こそ気にしろよ!」

 

 ん~、といってもピンとこないんだよね。

 体は完全に女であるみたいなんだけど、こうも起伏が少ないとねー。

 今までそれどころじゃなかったし、生まれてからそんなに経ってないってのもある。

 もしかして生理とか来ちゃうのかなー。うわああ、考えたくない!

 でも、知っておかないといけないんだろうなー。

 

「ねね、2人は女性の体の仕組みって分かる?」

 

「何言ってんだ、お前ぇえええ!?」

 

 キルアが顔真っ赤にして立ち上がる。

 あら可愛い。それと聞き方を間違えました。

 

「何で知りたいの?」

 

 ゴンが特に気にした様子もなく僕の近くに座り込んで聞いてくる。

 

「まだ来るかどうかわかんないんだけど、知識くらいは持っておきたいじゃん。

 そういうのはとんと抜け落ちててさ。」

 

「あ、なるほど。

 そーゆーことね。」

 

 キルアをニヤニヤ見つめていたら叩かれた。

 叩かなくてもいいじゃん。痛くはないんだけどさ。

 

「モバイルPCならキルアが持ってるよ。

 あとで貸してもらったら?」

 

「そうなんだ。

 キルア、後で貸して?」

 

「壊すなよ?」

 

「調べるだけでどうやって壊せるの。

 あ、お風呂どうしようか?

 ゴンも先がいいなら、僕と入る?」

 

「オレも後で入るよ。

 先にピトーが入りたいなら入っちゃえば?」

 

 案の定ゴンにも断られた。

 ま、本命はキルアだったんだけどね。

 

「背中流してあげようと思ったのにー。

 じゃ、先に入るねー。」

 

「タオルは扉の近くに置いておいたよー。」「ちゃんと体洗ってから湯船に浸かれよ。」

 

 ついでにキルアに刺さっている針がどうなっているのか確かめたかったんだけどなー。

 また今度にしよう。さっさと入ってしまいましょっと。

 ん~、尻尾はシャンプーの方がいいのかな?

 

 

 

 

 僕達3人は自室に戻り就寝となった。深夜を回っているのでゴンとキルアはそろそろ寝た頃だろう。僕の目の前には水の入ったコップと葉っぱがある。今のうちに水見式をやっておこうと思う。

 まだ『纏』、『練』の練習だけでいいんだけど、今のうちに系統知っておいた方が能力を考える参考にはなるからやっておいて損はない。

 

 

 

水見式とは念能力者は必ず6つの系統のどれかを得意とするため自身がどの系統に属するのかを調べるための方法だ。

 

強化系・・・物体の持つ特性や力を強化する能力。身体強化に関係するので戦闘においての適性は

      6つの中で一番高い。オーラ量の限界を超えて使うことも可能なのがこの能力であ       る。

 

変化系・・・形状変化と性質変化を得意とする能力。オーラそのものでの攻撃や補助を得意とす

      る。形状変化よりも性質変化のほうが圧倒的に難しく、ときにオーラの性質とは全く

      別の性質になることもある。

 

具現化系・・・オーラそのものに実体を持たせる能力。実物するものを参考に物体化することで全

      く見分けがつかなくなることも。形状変化によるオーラでの攻撃にはこの具現化系能

      力も少なからず関係する。

 

放出系・・・文字通りオーラを放出する能力であり、適性が高いほど放出できるオーラ量は多い。

      オーラを自身から切り離してどれだけ離れても操作可能かという念能力の最大射程

      距離にも関係する。

 

操作系・・・物体・生物、それらの持つオーラを操作する能力。生物操作には対象の意思に反して

      操作することが多く物体を媒介にしなければいけないことが多い。故に放出系能力も

      重要になってくる。

 

特質系・・・特殊性が高く他の能力とは全く異なる能力。具現化系と操作系が稀に後天的に発現す

      ることもあるがもっぱら特殊な血統や特殊な環境によって発現する。他の系統に属す

      る能力者では特質系能力の修得率は0%である。

 

 

 

この6系統の相性を表した六性図というものがある。

強化系、変化形、具現化系、特質系、操作系、放出系、強化系と時計回りに6角形のそれぞれの角に6つの系統が書かれた図になっている。

1系統のみが優れているのではなく、該当する系統の角から近い系統ほど修得率が高い。ただし、特質系は特殊すぎてその限りではない。

隣り合う系統は密接に関わりあっているので、効率よく系統毎に鍛えることが大切であるらしい。

 

 

 

 

 コップに入った水の上に1枚の葉っぱを乗せて両手を添える。

 これで『練』をすれば6系統のどれに属しているかわかる。

 

「本来のネフェルピトーは特質系だったけど、さてどうなるか。」

 

 …ふん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  この世界の人間社会は広いようで実は狭い。

 なぜかというと一般向けに市販されている世界地図は、この惑星のほんの一部でしかないからだ。

 

 人間社会の外の世界にある未開の地を暗黒大陸と呼ぶ。

 暗黒大陸の情報は一般人には知らされることはなく、限られた人しか知ることはない。

 たまに資源を求めて暗黒大陸に渡る者たちもいるが碌な成果もなく帰ってくる者は極僅かだ。

 おかげで暗黒大陸に近づくことすら容易ではない。航空機関が飛行船のみに限定されているほどだ。

 しかし、暗黒大陸からこちらに渡ってくる魔獣はいる。キメラ=アントも暗黒大陸から来た外来種とされている。

 

 そんな記憶があるものだからちょっと気になることがある。

 恒星である太陽は一つだけだ。ならば時差の求め方がおかしくはならないだろうか。

 学校ではどう教えているんだろう?この世界の理学の本でも読んでみたくなるね。

 

 

 

 

 

 僕はネテロに手配された一軒家で何もない日常を満喫している。

 といっても心配事がつきないんだけどね。

 

 ネテロに指名された代理人がこちらに向かっているので、G・Iのことはその人に一任されている。その代理として副会長が来たら、これ幸いと暗黒大陸に強制連行されそうで恐ろしい。

 実際に原作を思い出そうとして思いついてしまった。正直に言えばどうしようかとガクブルものだよ!無難な人が来てほしいと切に願う。

 

 

 ここ2日間、キルアとゴンは『堅』の持続時間を増やそうと躍起だ。

 僕はと言えばハンター文字を教えてもらい拙いながらも本を読んでいる。本はリビングの隅に置いてある本棚にあったものだ。歴史書やら学問書やら置いてあって暇つぶしにはもってこいだ。

 最初は僕も念の修行をしようと考えたんだけど、あの夜の水見式を察知し即座に乱入してきた二人に禁止されてしまった。曰く、僕のオーラ量で『練』をやると近所迷惑だそうだ。

 次の夜、この区域にいた人間が全員遅刻をするというニュースが地元ラジオで流れ大変肝を冷やしました。ごめんなさい、調子に乗って全力で『練』をやりました。

 おかげで『纏』、『絶』をしながら本を読むぐらいしかやることがない。

 G・Iよ、早く来い!でも副会長のバリストンは簡便ね!

 そんな平和な昼下がりにリビングに呼び出し音が鳴り響く。ついに代理人が来たようだ。処刑人ではないことを祈ろう。

 

「はいはーい。今開けまーす。

 ……ああああああ!!」

 

ゴンが玄関に向かうと彼の驚いた声を聞きつけて瞬時にキルアと二人で廊下に出る!

 

「ゴン!?」「どうしたの!?」

 

 ゴンの前に一人の女の子が立っていた。

 目鼻がすっきりしていて大きく開いた目にはピンクの瞳が輝いている。綺麗な金髪を後ろで編込んで纏め、瞳と同じ色彩のワンピースとケープがとても似合っている。

 2人と同じくらいの年だろうか。この子が代理人?

 

「「ビスケ!?」」

 

 2人の反応から察するにどうやらビスケット=クルーガーのようだ。

 ポニーテールじゃないからわからなかったや。そういえばネテロが作った流派である心源流拳法の師範だったかな。

 彼女はゴンとキルアの師匠に当たる。G・Iの中で知り合い、2人の才能にほれ込んで自ら進んで念の修行の指導をした。強引に弟子にしたとも言う。宝石に目がなくお金にがめついところもあるが2人の師として優しい一面もある。

 ただし、念能力のメリットかデメリットかはわからないが今の少女姿は究極の若作りである。本当は60手前の立派なおばあちゃん。本気を出すと筋肉質で2m超えの大女になる。実際に見てみたい気もするね!

 

 

「あなたがネフェルピトーですか?

 ………って女じゃないさ!!

 あのじじぃい!!よくも騙したわね!!」

 

 廊下に立つ僕を見て急に怒りだしてしまった。

 

「ん~と、どういうこと?

 知り合いなんだよね?」

 

「ビスケはオレ達の師匠なんだ。すっごい強いんだよ!

 あー、それとビスケは綺麗な男性が大好きなんだ。」

 

「面食いってだけだろ?

 病気みたいなものだからほっとけって。」

 

 ゴンとキルアに聞くと多少呆れながら答えてくれた。

 本当に2人の師匠なのかな?本当に原作の記憶があってるのか疑いたくなる。

 

「な・に・が・猫耳つけた美男子よ!?

 手取り足取り教えてあげようと思ったのに!私好みに育てようと思ったのに!

 大枚はたいて超特急でこっちに来た意味ないじゃない!!」

 

 地団駄踏む人なんて初めて見た。よほどお怒りなのだろう。

 でもこちらはそれ以上に身の危険を感じてる。男だったらどうなっていたことか…。

 

 そんなビスケを見守っていると急に黙ってすごい悪い顔でブツブツ言いだした。

 さすがに今は近づきたくない。ゴンとキルアにどうしようか聞こうとすると気づいた時には2人ともすでに廊下に姿はなくリビングで待機していた。

 はやっ!いつの間にっ!?

 僕が話しかけるしかないようだ。

 

「と、とりあえず中に入ったらどうかな?」

 

「ええ、上がらせてもらうわ!

 ゴン!キルア!パソコンかPC端末を持ってきなさい!」

 

 リビングに入ったビスケの前に逸早くパソコンを持っていくゴンとキルア。

 こういうときは素直に従った方がいいと理解してるようだ。

 でもパソコンで何する気?嫌な予感しかしないんだけど…。

 

「えーと、一応聞くけど何をする気なの?」

 

「はあ?仕返しに決まってんでしょうが。

 電脳サイトのじじぃの紹介文を改竄してやるのよ。

 愛読書は美尻通信とかにねぇ、ウケケケケ!」

 

 鬼だった。いや、ビスケの場合は鬼女か。

 トンパや旅団、オレじゃなきゃ見逃しちゃうねの人が霞んで見えるほどの悪逆非道だった。

 

「やめたげてよぉお!!

 それはやりすぎ!社会的制裁一歩手前だよ!

 母親にエロ本を見つけられるよりきついってヴぁっ!?」

 

 彼女の凶行を止めるため羽交い絞めにしようとしたら腕をつかまれる。

――――投げられる!

 咄嗟に離れようとしたがあっけなくそのまま投げられてリビングの天井を眺めることになってしまった。

 僕の力を簡単に流された!このおばあちゃん強すぎぃ!

 ポンっと誰かに肩をたたかれ視線を彷徨わせるとゴンとキルアが無言で首を横に振っていた。放置しておくしかないようだ。

 

 いいのかな~?ビスケをほっといて。

 帰ってきても地獄、メルエルと戦っても地獄。僕よりネテロのほうが詰んでいるかもしれない。

 

 

 

 

 

「はぁ、すっきりしたわ!

 あたしがネテロ会長(くそじじぃ)の代理、ビスケット=クルーガーよ。」

 

 彼女の中でネテロはくそじじぃにランクアップした模様。

 確認してみたら本当にネテロの紹介文に愛読書の項目が増えていた。

 エロ本のタイトルが一般小説のなかに2つ紛れ込んでいるのがやけに真実味を帯びている気がする。

 調べてみるとア○マル系とス○トロ系だった。…きっつぃ。

 これはもう自害ものじゃないかな。ネテロのご冥福を祈ろう。南無~。

 

 立話も何なので僕らは円を組むように座っている。

 そう言えば結局ちゃんとした自己紹介がまだだったね。

 

「僕がネフェルピトーだよ。よろしくー。

 長いからピトーって呼んで。」

 

「ええ、よろしく。こっちはビスケでいいわ。

 早速だけど、これがご所望のグリード・アイランドだわさ。

 メモリーカードとマルチタップも用意してあるわよ。」

 

「ありがたや~!」

 

 渡されたのは薄型PS2並の大きさのあるゲーム機。

 電源などのケーブルの類もなくランプが点滅して起動している。結構軽い。

 

「ビスケがG・Iを入手したの?」

 

「メガネスーツの言ってたツテってビスケのことだったのかよ。」

 

 G・Iを触っていると僕の両肩に乗りかかりながら覗き込みビスケに問いかけるゴンとキルア。

 2人の髪の毛が顔に当たってちょっとくすぐったい。

 

「そうよ。バッテラから買い取ったの。

 もう必要もないからって持ってたG・Iを全部売りに出してるのよ。

 そのおかげで30億で買えたわ。」

 

 ん?30億?

 ノヴは60億で買い取ったと言ってたけど…。

 

「ビスケ。」「もしかして。」「吹っかけたのかよ。」

 

 意図せずにゴン、僕、キルアで3段ツッコミをしてしまった。

 

「…アンタら仲いいわね。

 これでも苦労して手に入れたの。それに同行する報酬も含まれてるだから適正価格よ。

 でもねー、ここにくるために知り合いに送ってもらって8桁ほど損しちゃったのよねー。」

 

 男に会うためにウン千万も払うって中々できることじゃないと思う。

 ほんの少し尊敬する。それが恋愛関係とかだったらという条件がつくけれど。

 

 

 

 

「さて、気を取り直して指定場所の説明するわよ。

 ネテロ(くそじじぃ)が指定した場所はここの地下かハンター協会の本部。

 どっちでプレイする?」

 

 副会長がいるかもしれない本部になんて行くわけがない!

 選択肢は一つしかなかった。

 

「ここでプレイするよ。

 でも地下なんてあった?」

 

「あるわよ。堅牢なシークレットルームがね。

 ここが手配されたのはそのためだわさ。」

 

 ビスケが(おもむろ)にリビングの隅にある本棚に向かうと引き戸のように両開きに動きだした。

 すごっ!全然気づかなかったや!ワクワクするね!

 あ、ゴンも目を輝かせてる。キルアは…いたって冷静そのもの。

 実家そのものが隠れ家みたいなものだから慣れてるのかもしれない。

 

「本棚の前で《練》をすれば動き出す仕掛けよ。

 ほら裏にびっしり神字が書き込まれてるでしょ。」

 

 それって知らない人が見たら軽くホラーじゃないかな。

 でも念能力者専用のシークレットルームなのだから一般人に見られるはずがないか。

 

「今のうちに聞いておきたいんだけど、G・Iをやる目的は何?

 クリア狙いなら半年は拘束されることを覚悟しておきなさいよ。」

 

 みんなで階段を下りていくとビスケがこちらに問いかけてきた。

 

「最初は念の修行のためだったんだけど、今はクリア目的だね。

 2人に聞いたんだけど若返りの薬ってのがあるんでしょ?

 それをクリア報酬として確保したい。」

 

「あったわねー、そんなの。私もあれを選ぼうか迷ったわー。

 でもあれって1年毎にしか若返ることはできないわよ。

 くそじじぃに聞いたけどあんた生まれたばかりなんでしょ?

 今の状態で一粒でも飲めばその場でお陀仏だわよ。」

 

「今すぐに飲みたいわけじゃなくて保険として欲しいの。

 僕の寿命があとどれだけあるか分からないからさ。」

 

 そう、僕はあとどれだけ生きられるのか分からない。

 虫の寿命はどんなに長くても6年。人間の特性を引いている僕だが人と同じ寿命で生きられる保証なんてない。キメラアントの寿命はわかっていない。しかしあれだけ短期間に繁殖を繰り返していた女王のことを考えると寿命が数年ほどしかないとしか思えてならない。

 猫の特性も引いているから10年前後の可能性もあるが念能力である程度は長生きできても30年もてばいいほうだろう。

 

「ちょっと待って!

 それならオレも手伝うよ!」

 

 予想外にゴンが食いついてきた。

 なんで?カイト優先じゃなかったの?まさか昨日強引に3人でお風呂に入ったことで絆を深めちゃった?

 

「あー、ゴンが行くならオレも行くか。

 組手の相手がいないと困るしな。」

 

 キルアまで…。

 このまま2人をこちらの都合につき合わせてしまってもいいのだろうか?

 

「それは嬉しい申し出だけどネテロ会長達が帰ってきたときはどうするの?

 もしかしたらことが終わっていない可能性もあるんだよ。」

 

 ゴンが前に出てこちらを向くと年齢に似合わぬ強い眼差しでこちらを見るのでちょっと驚く。

 

「友達が困ってるのにほっとけないよ!

 それに向こうでも修行はできる!」

 

 もう友達認定されてたの!?

 なぜだろう。嬉しいはずなのに胸がチクリと痛い。

 

「ビスケ、オレ達がピトーに負けないように今から鍛えるとしてどれくらいかかる?」

 

 キルアも前に出てきてビスケに問いかけた。

 

「負けないだけならスパルタで2ヶ月、生かさず殺さずで1カ月ってところかしら。

 鍛えるのはいいけど高くつくわよ。」

 

 弟子からお金取るの!?抜け目ないなー。

 

「こういうわけだよ。

 10日後にすべてが終わってなかったとしても逆立ちしたってオレ達は戦力外。

 なら、G・Iに行ったついでに修行したほうがいいに決まってる。

 経験積むならピトーほど打ってつけのやつはいないし、あっちなら本気出せるだろ。」

 

 キルアの中でどれくらい僕は過大評価されているんだろう?

 本気を出したとしてもキルアの速度にはついていける自信なんてないし、反応することすらできないかもしれないというのに…。

 

 でも、このまま2人がここで修行しても成果は薄いか。

 モラウとノヴの弟子はこの街にいるが彼らと本気で戦い経験を積んだとしても得られるものが少なくないとは言えない。ビスケの補助や指導なしではどうしても効率が悪いはず。

 結論、手伝ってもらおう。

 

「ならお願い!手伝って!」

 

「もちろん!」「まかせとけ。」

 

 両手を合わせて頼み込むと快く応じてくれた。

 クリア経験者が助っ人とは心強い。

 でも2人のために帰ってくる手段は逸早く確保しておこう。

 

「ん?G・Iってクリアしても再度プレイできるの?」

 

「どうなんだろ?」「あー、プレイできない可能性もあったか。」

 

 顔を見合わせて確認し合うゴンとキルア。2人とも知らないんかい!

 

「できるわよ。」

 

 さすがはビスケ!ちゃんと知っているようだ。

 あれ?でもゲーム苦手なのに詳しいの?

 

「あたしが買ったときにもう一度入れたから大丈夫よ。

 ただし、クリア特典は一度きりだって言われちゃったわ。

 あたしたちは報酬を分けてしまったからクリア特典は受け取れないそうよ。

 そうじゃなきゃこのあたしが売るわけないじゃない!」

 

 ………ビスケはお金が絡むと途端に残念になるなー。

 

 長い階段を降りるとビスケの言う通りシークレットルームがあった。

 シークレットルームは1mほどの正方形模様のタイル張りされた部屋で、広さは10畳位あるだろうか。中には丸型テーブルと椅子が4脚中央にあるだけ。この部屋の扉は鋼鉄製の金庫扉で裏にはご丁寧に神字が所狭しと書かれていた。壁も鋼鉄製だろう。

 厳重すぎる。どんな想定をしたらこんな部屋になるんだろう。

 

「先にあたしが行くわよ。」

 

 ビスケがテーブルの側に立ちテーブルの上に置かれたG・Iに両手をかざすと一瞬で消えてしまった。

 おお!傍から見るとその場で消えてしまったみたいだ。

 

 消えたかのように見えるが実際は物体を媒介にした念能力による瞬間移動だ。

 ゲーム機に両手を添えて『練』をすることがトリガーとなり発動する。発動する際に『練』をした対象のオーラを燃料として消費している。じゃないとG・Iに籠められたオーラが消えて、ただのゲーム機に戻るかその場で実体化が解けてしまう。

 

「次は僕がいってもいい?」

 

「うん。ピトーの次にオレが行くよ。」

 

「なら最後はオレね。」

 

 僕、ゴン、キルアの順番に決まった。

 さて、行ってみましょうか!


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