魔法少女リリカルなのは 『神造遊戯』   作:カゲロー

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まずは最初に謝罪を。すんませんでしたァアア――――!!

いや、本当にここまでするつもりはなかったんですよ?
ネタのつもりだったんですよ? ――なのに、描いて気付いた2万オーバー……どうしてこうなった。
書き終わってみたら台風が通りすぎちゃってましたよ、ハハハ……。



超番外編そのに 決闘者ヴィヴィオ!

決闘(デュエル)

 

それは誇り高き魂と魂のぶつかり合い。

不屈の闘志と不変の絆によって紡がれる栄光の架け橋(ロード)を駆け抜ける、誇り高き勇者たち。

人は、彼らに尊敬と敬意を称してこう呼ぶ――決闘者(デュエリスト)と!

『リリカルマジカルデュエルマスターズ』!

さあ皆……! 今こそ、Let’s 決闘(デュエル)

 

 

「Let’s 決闘(デュエル)!」

 

「ヴィヴィオの奴、さっきからテレビに向かって何をやっているんだ?」

「さあ……? 何やらゲームをしているように見えますがね。アリシア、貴方は何か知ってます?」

「んぐんぐ……けぷっ。――ほへ?」

「ほへ? じゃありませんって。ああもう、クッキーの食べかすがついてますよ」

 

口の周りにへばり付いた食べかすをハンカチでふきふき。

「ありがとー」「いえいえ、どういたしまして」と実にのどかなひと時だ。

拠点であるホテルで休息をとっているダークネスたち。

大人組がソファーに腰掛けながらクッキーをつまんでいる中、何時もなら真っ先にお菓子へ突撃するはずのヴィヴィオが何やら楽しそうに叫んでいるのを見て、ダークネスたちが首を傾げる。

すると、不意に何かを思い出したかのように手を打ったアリシアがおもむろに席を外して、隣の部屋へ。

しばらくごそごそしてから、目的のブツを持って戻ってきた。

 

「ヴィヴィオー、ちょっとこっちおいでー」

「やー! ヴィヴィオはテレビタイム中なのです! お邪魔はメッ! なのですよー」

「むむっ、反抗期だねヴィヴィオ! そんな悪い子には、せっかくおもちゃ屋さんで買ってきた『リリカルマジカルデュエルマスターズ』のパックセットは要らないよね~?」

「え……えええっ!? ちょっ、ちょっとタンマなのですアリシアママ! そんな事しちゃったらカードさんたちも悲しんじゃうのです! もったいないオバケさんが出ちゃいますよぅ!?」

「……必死ですね。あの娘がここまで焦る姿を今まで見たことがあったでしょうか?」

「子どもは食べ・寝て・遊ぶのが仕事みたいなモンだからな……」

 

アリシアからカートパックを受け取って、鼻歌まじりにクルクル踊りまわる娘を生暖か~い目で見守るダーク&シュテルさん。

説明を望む二人の視線に気づいたアリシアが、にこにこ笑いながら説明を始めた。

 

『リリカルマジカルデュエルマスターズ』

 

それが、最近ミッドで流行しているカードゲームの名称らしい。

元々はとあるアニメに登場する架空のゲームだった筈が、作り込まれたルールと戦略、多彩なカードの魅力が相まって爆発的な人気を誇っているのだとか。

ヴィヴィオがワクワクしながらパックから取り出しているカードのように実際に商品化もされており、大会が開かれるほどのブームになっているらしい。

最近ではテレビとゲーム機を使った通信対戦も可能になっているらしく、ヴィヴィオも一人の決闘者(デュエリスト)として日夜デッキの調整を行っていたのだと言う。

 

「最近の訓練で眠そうにしていたのはこれが原因か。夜中に隠れてコソコソやっていたんだな、まったく」

「ふふっ、けど可愛いじゃないですか。背伸びしたい年頃だと思っていましたけど、人外年相応なトコロもあるじゃないですか」

「アリシアママ! デッキの調整が終わりましたっ! はやくはやくっ!」

「はいは~い。ちょ~っとまってね~」

 

デッキの構築を終わらせたヴィヴィオは、さっそく対戦……もとい、決闘(デュエル)をするようだ。

ゲーム機の調整と対戦相手の設定をしているアリシアの横で、専用のカードパッドの準備をすませる。

楽しげな様子に興味が湧いたダークネスとシュテルがカーペットの上に腰を下ろしたところで、決闘(デュエル)の準備が完了した。

決闘(デュエル)に使用するのはカードと、それ専用のカードパッド。

カードに記されたキャラクターや魔法などを映像化するテレビとその上に乗せられているカードの動きをスキャンするカメラ。

最後に、対戦者同士が会話できるマイクだ。今回は家族みんなで楽しもうと言うアリシアの意見によって、ハンドレスモードに設定。

 

「えっと、それじゃあよろしくおねがいしまーす!」

『おう! こっちこそ、ヨロシクな!』

 

イヤホンから対戦相手に選ばれた人物の声が聞こえてきた。声色的に、どうやら十才前後の男の子のようだ。

数言、ルールの確認に言葉を交わしてから、遂にゲームが開始される!

 

「それじゃあいきますよー」

『おうよ!』

「『決闘(デュエル)!!』」

 

「先行はもらいます! 私のターン、ドロー! ……よし! 私はキャラクターカード“龍王 だーくさん”を攻撃表示で召喚します!」

『ぶふっ!?』

 

“龍王 だーくさん”

ランク:☆☆☆☆

属性:闇

ATK:2000

DEF:1700

効果:自分のターンのスタンバイフェイズにこのカードが表側表示で場に存在するとき、このカードを墓地に送って“悪龍王 だーくさん”を特殊召喚することが出来る。

 

デッキから引き抜いたカードの絵柄を確認したヴィヴィオが不敵な笑みを浮かべ、そのカードを勢いよく場に召喚する。

このゲームで使用されるカードには、攻守を競う要となるキャラクターカード、そのサポートとして様々な効果を発揮する魔法カードや罠カードが存在する。

これらを上手く組み合わせて、相手のライフをゼロにしたほうが勝利となる。

だが――

 

「……なんで俺そっくりなんだ?」

 

そう、ヴィヴィオが召喚し、テレビに映るキャラクターの姿にダークネスの頬が盛大に引きつる。

召喚されたのは頭部が大きい二頭身サイズのちびきゃら。

ただし、その見た目はダークネスと瓜二つ。

見覚えがありすぎる鎧……て云うか、第一段階のバリアジャケットそのものを纏い、偉そうに腕組みなんかしていらっしゃる。

不敵な態度、言葉に出来ない威圧感、これぞまさしくデフォルメされたダークネスそのものと呼んでも過言ではない。

 

「やーん! だーくちゃんってば、かわいー♪」

「はぅう……ちっさいダーク様もいいですねぇ……」

 

妻&嫁コンビは役に立ちそうにない。仕方ないからヴィヴィオに説明を求める。

 

「えっとねー、このゲームのキャラクターは実在する人をゲーム風にアレンジしたものなんだってー。なのはさんとかフェイトさんとかのカードもあるらしいよー?」

 

管理局に所属する魔導師などの実在の人物をでデフォルメしたキャラクター、それがこのゲームを大流行させている要因のひとつなのだ。

有名な人物を操作して戦うと言うシチュエーションは、かなり燃えるのだとか(一部、萌えもあり)。

いや、それにしてもこれは……と、額を抑えるダークネスを置いといてヴィヴィオはターンを終わらせる。

 

「カードを一枚セットして、ターンエンドです!」

 

プレイヤー名:【セイクリッド・ドラゴン・プリンセス】

LP:4000 

手札:四枚

場:“龍王 ダークさん” 

伏せカード:一枚

 

「すごいプレイヤー名だな……」

「そうですか?実に的を得た名だと思いますけど?」

「……そうか?」

 

『俺のターン……ドロー! いきなり下級キャラクター最高位の攻撃力2000を出してくるとはやるじゃんか! だが俺も負けちゃいない! 行くぜ、俺は“マジカルガール かりん”を召喚!』

 

“マジカルガール かりん”

ランク:☆☆☆☆

属性:光

ATK:1800

DEF:1800

効果:一ターンに一度、相手の攻撃を無効化する。

 

キラキラと輝く光の中から現れたのは、可愛らしい白い服を纏った女の子……ぶっちゃけ、デフォルメ花梨ちゃんであった。

見覚えのある杖をくるくるっと振り回し、杖先を“龍王 だーくさん”へ突きつける。

 

「むむっ、戦闘無効化能力があるキャラクターですか」

「……やっぱりアイツもかい」

「「まあまあ」」

 

――ごふおっ!? ちょ、ななな何よコレー!? なんで私がー!?

――ひゃあっ!? お、お姉さん落ち着いて! ゲーム! ゲームですからコレ!

 

……マイクの中から、賑やかに騒ぐ声が聞こえてきたような気がするのは気のせいだと言うことにしておく。

 

「にしてもこの対戦相手とやらもすごい名前だな」

「だよねぇ」

「ですよねぇ」

 

大人三人はしみじみと嘆息する。

 

「「「【わんわんポチ○くん】って」」」

 

どれだけ犬が好きなのだろう?

いや、そもそも、何故“丸”じゃなくて“○”にしたのか。

見ようによっては卑猥な表現に思えなくもない。

 

――おいコラ、ルシア! お前がこんなプレイヤー名で登録してくれたおかげで、向こうの人たちドン引きしてんだけど!?

――いいじゃない、お似合いよ? ……ぷっすー

――笑ったよな? 今鼻で笑いやがったよな!? 悪意百%じゃねぇかコノヤロー!?

――そーくんっ! 決闘(デュエル)は真剣勝負なんですからねっ! 気を逸らしちゃあ、メッ、です!

――が、ぎっ……! クソォ、憶えていやがれ!

――負け犬フラグ乙。

 

…………

 

「「「「にぎやかだな(んだよ~)(ですね)(だね~)」」」」

 

『ン、コホン! わ、悪かったな。俺はカードを二枚伏せてターンエンドだ』

 

プレイヤー名:【わんわんポチ○くん】

LP:4000 

手札:四枚

場:“マジカルガール かりん” 

伏せカード:二枚

 

「私のターン、ドロー! このままイッキに畳み掛けるよ! 私は“龍王 だーくさん”の効果発動! このカードを墓地に送って、デッキから“悪龍王 だーくさん”を特殊召喚します!」

 

ちびきゃらだーくさんが光りに包まれた次の瞬間、漆黒の炎が舞い上がり、フィールドを包み込む。

黒と金の炎は渦を巻き、ひとつの形へと生まれ変わっていく。

火の粉が舞う炎の中から現れたのは禍々しい漆黒の鎧に身を包んだ“悪龍王ダークさん”だ。

進化した形態はやはりと言うか『神成るモノ』である第二形態そっくりな鎧を纏っている。

 

“悪龍王 だーくさん”

ランク:☆☆☆☆☆☆

属性:闇(光)

ATK:2500

DEF:2000

効果:

・このカードは光属性としても扱う。

・一ターンに一度、フィールド上に存在するカード一枚を破壊する事が出来る。

・敵キャラクターを戦闘破壊したターンのエンドフェイズ、このカードを墓地に送ることで“黄金龍神 ダークさん”を特殊召喚することが出来る。

 

「さらに私は“誇り高き紳士 こうた”を通常召喚します!」

 

“誇り高き紳士 こうた”

ランク:☆☆☆

属性:土

ATK:1300

DEF:2100

効果:

・攻撃対象となった時、攻撃表示のこのカードは守備表示となる。

・ダメージステップ時、このカードの攻撃力と守備力は500ポイントアップする。

 

堅牢な盾を構える守護騎士が召喚された。盾に納められていた黄金の剣を引き抜き、正眼に構える様は、まさに騎士として在るべき姿を体現していると言って過言ではない。

 

「私は“悪龍王 だーくさん”の効果発動! 【わんわんポチ○くん】さんが伏せたカードを破壊します! 【ヨルムンガルド】!」

“悪龍王 だーくさん”が突きだした両腕から放たれた破壊の奔流が伏せカードを呑み込み、粉微塵に粉砕する。

欠片となって宙を舞うエフェクトがテレビの中で舞い踊り、美しくも幻想的な光景を生み出す。

 

『甘いぜ! 俺は破壊された罠カード“道化師の英断”を墓地から発動するぜ!』

「墓地で発動する罠!?」

 

場にミッド式の魔法陣が形成されると、その中から灰色のジャケットを羽織った少年……新たなるちびきゃらが登場する。

 

「“道化師の英断”がカード効果で破壊された時、デッキから“正義の道化師 あっしゅ”を特殊召喚することができる! 攻撃表示で召喚だ!」

 

“正義の道化師 あっしゅ”

ランク:☆☆☆

属性:風

ATK:1400

DEF:700

効果:攻撃対象となった時、このカードを除外することで相手キャラクターの攻撃を無効化する。効果を発動させたターンのエンドフェイズ、除外されているこのカードを自分フィールド上に特殊召喚することができる。

 

出現したのは二丁の拳銃を構えたガンマン風のちびきゃら。

男らしく、ちび花梨の前に立った――と思いきや、速攻で彼女の背中に隠れてしまった。おやおや、ちび花梨に怒鳴られて半泣きになっているではありませんか。

本人同様、なかなかのヘタレ気質をお持ちのようだ。

 

「ふふん! その位の戦略(タクティクス)なんて力で打ち破ってやります! 手札から装備魔法“エターナルロリータ”を発動します! このカードは“誇り高き紳士 こうた”

にのみ装備可能。エターナルロリータさんのラヴ(パゥワ~)で、攻撃力と守備力を600ポイントアップ!」

 

“誇り高き紳士 こうた”

ATK:1300 → 1900

DEF:2100 → 2700

 

見覚えのある三つ編みロリが現れると、ちびコウタとあっつ~いハグ♡

愛の力によって、ちびコウタがスーパー的な輝くオーラを纏う!

 

「なんかすごい名前のカードが来たよ!?」

「とてつもなく子どもの教育に悪いですね!?」

「バトルです! “誇り高き紳士 こうた”で“マジカルガール かりん”を攻撃! 【ラヴ・スラッシュ】!」

 

ママ~ズの叫びもなんのその、迸るパッションに滾りまくるちびコウタの剣閃がちび花梨に襲いかかる。

 

「“マジカルガール かりん”の効果発動! 一ターンに一度、相手の攻撃を無効化する!」

 

愛の力が籠められた一撃は、ちび花梨が展開した障壁にあっさりと止められてしまう。

愛の力が通じなかった!? と、ちびコウタがorz。

 

「ま、まだまだっ! “悪龍王 だーくさん”で追撃します! 【クライシス・エンド】!」

 

ちび花梨が攻撃を無力化できるのは一ターンに一度だけ。

ちびダークの攻撃には耐える事が出来ず、ちび花梨が倒れ伏す。

 

【わんわんポチ○くん】

LP:4000 → 3300

 

「よっし! 私はバトルフェイズを終了させて、“悪龍王 だーくさん”の効果発動! このカードを墓地に送って――」

『そうはさせるか! 手札から“マリオネット・トークン”を守備表示で特殊召喚! このカードは自分のキャラクターが破壊された時に特殊召喚することができる! さらに、このカードが特殊召喚に成功したターン、相手はモンスター効果を発動することが出来ない!』

 

「そんな……!? くっ、ターンエンドです」

 

プレイヤー名:【セイクリッド・ドラゴン・プリンセス】

LP:4000 

手札:三枚

場:“悪龍王ダークさん” “誇り高き紳士 こうた” 

伏せカード:一枚

 

『俺のターン、ドロー! ……初撃は喰らったが、ここから巻き返すぜ! 俺のスタンバイフェイズに”マリオネット・トークン”はデッキに戻りシャッフル! さらに一枚カードをドロー! そして”炎剣使い せっちゃん”を召喚! さらに伏せていた罠カードを発動させるぜ! “戦闘民族一家の絆”! この効果で墓地の“マジカルガール かりん”を復活させる!』

 

”炎剣使い きりやん”

ランク:☆☆☆

属性:火

ATK:1900

DEF:1800

効果:このカードの攻撃力と守備力は、装備した装備魔法カードの枚数×200ポイントアップする。

 

“戦闘民族一家の絆”

魔法カード

効果:自分の墓地に存在する“マジカルガール かりん”もしくは“リリカルガール なのは”を自分フィールド上に特殊召喚する。

 

燃え盛る炎の剣を携えた剣士が召喚され、続いてフィールドに現れた魔法陣から“マジカルガール かりん”が復活を果たす。

 

『まだまだぁ! 俺は装備魔法【フランベルジュ】を”炎剣使い きりやん”に装備! カード効果で攻撃力800ポイントアップ! ついでにキャアクター効果でさらに200ポイントアップだ!』

 

ちび刹那が手に持った炎の剣が燃え盛る火焔を彷彿させる片刃剣へと変化する。

 

”炎剣使い きりやん”

ATK:1900 → 2900

DEF:1800 → 2000

 

攻撃力が一気に膨れ上がるとともに、ちび刹那から発せられるプレッシャーも跳ね上がる。

たった一枚の装備カードで戦局をひっくり返されたヴィヴィオは、「にゃぁああああっ!?」 となんだか聞き覚えのある悲鳴を上げていた。

だが、【わんわんポチ○くん】の戦略(タクティクス)はまだまだこんな程度ではない!

 

『驚くのはこれからだ! 俺は、”炎剣使い きりやん”と“正義の道化師 あっしゅ”でオーバーレイ!』

 

炎のような真っ赤な光に包まれたちび刹那と、灰色の光に包まれたちびアッシュが螺旋を描きながら遥か上空へと飛翔していく。

 

『二体のキャラクターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!』

 

重なり合い、交叉した二つの光は空に展開された魔法陣に吸い込まれていき……爆発的な光の奔流がフィールドを照らす。

 

『運命の力を受け継ぎし救世の剣士よ! いまこそ紅蓮の炎を纏い、邪悪を打ち払う刃となれ! 現れよ! ”炎の救世騎 せっちゃん”!』

 

眩い輝きが納まった時、魔法陣の中心から降り立った新たなる剣士がフィールドへと舞い降りる。

紅蓮の炎を思わせる赤いラインが走ったコートを纏い、鋭い眼光でヴィヴィオのフィールドにいるキャラクターを睨みつけていた。

 

”炎の救世騎 せっちゃん”

ランク:★★★

オーバーレイユニット:2

属性:火

ATK:2500

DEF:2000

召喚方法:ランク3のキャラクター × 【フランベルジュ】を装備した”炎剣使い せっちゃん”

効果:

・このカードの攻撃力と守備力は、装備した装備魔法カードの枚数×300ポイントアップする。

・このカードが破壊された時、装備した装備魔法カード一枚を墓地に送ることで破壊を無効化する。

・一ターンに一度、オーバーレイユニットを一つ使うことでデッキから装備魔法カードを一枚手札に加えることができる。

 

「え、エクシーズ召喚! しかもランク3なのにエクシーズ最強って呼び声も高いレアカード!?」

『俺は”炎の救世騎 せっちゃん”の効果発動! オーバーレイユニットを一つ使うことで装備魔法“幼馴染の祈り”を手札に加え、このキャラクターに装備! ――バトル! ”炎の救世騎 せっちゃん”で“悪龍王 だーくさん”を攻撃! 【バニシングセイヴァー】!』

 

”炎の救世騎 せっちゃん”

ATK:2500 → 2800

DEF:2000 → 2300

 

「くっ、迎え撃って!」

 

炎の剣と手刀、漆黒の炎と紅蓮の炎。二つの相反するエネルギーがぶつかり合って、大爆発を起こす。

唸り声を上げながら消滅していくちびキャラ。だが、破壊されたのはちびダークネスだけで、ちび刹那はいまだ健在であった。

 

プレイヤー名:【セイクリッド・ドラゴン・プリンセス】

LP:4000 → 3700 

 

「俺はカードを三枚伏せて、ターンエンドだ」

 

プレイヤー名:【わんわんポチ○くん】

LP:3300 

手札:なし

場:“マジカルガール・カリン” ”炎の救世騎 せっちゃん”

伏せカード:四枚

 

「手札ゼロ……ハンドレススタイルか? どうやらヴィヴィオの対戦相手はかなり攻撃的な戦法を得意としているようだな」

「う~む……アリシア? ヴィヴィオのデッキコンセプトはどのような感じになっているのです? バランス重視なのか、それとも高火力キャラクターでの正攻法なのか……」

「えと、私も基本的にノータッチだったからねー。よく分かんないや。……あ、でも、さっきプレゼントしたカードパックの中にすっごく強力なカード入ってたって喜んでいたよ? デッキもそれに合わせて組み直してたみたいだし」

「ふむ……まあ、お手並み拝見と言う事か」

 

意外とノリノリなダークさんズは完全に観客ムード。それでも娘の雄姿を余すところなく記録せんと、ママ~ズのデバイスに記録映像を残している辺り、対外親馬鹿であると言わざるを得ない。

 

――ダークパパたちに見られてる……! がんばらなくっちゃ!

 

「私のターン、ドロー! ん、っと……よし! 私は魔法カード“魔女の釜”を発動します!」

 

勢いよくカードがパッドに叩きつけられると、フィールド上に大きな釜が現れた。

中には紫色でぐつぐつと煮えたぎっている謎の液体がなみなみと満たされている。

 

「このカードは自分フィールド上のキャラクター一体を『生贄』に捧げる事で発動! 墓地に存在するキャラクターの効果を無効化させて特殊召喚します! “誇り高き紳士 こうた”を『生贄』に捧げて、墓地のキャラクターを復活させます」

 

釜の淵から溢れ出してくる紫色の液体……それは、まるで命を秘めている下の如く蠢き、地面を這いずりながらちびコウタへと近づいていく。

ちびコウタは迫りくる脅威に、完全な涙目。背後霊のように背中に張り付いていた半透明の三つ編みロリっ娘が、「わ、私は関係ね~しぃ……?」 とすたこらさっさしていく。

思わず助けを求めて、画面の向こうからヴィヴィオに向けて手を伸ばすちびコウタ。

しかし、現実は無情なのだ。

 

――ビシッ♪

 

笑顔でサムズアップを返すヴィヴィオ。

絶望に染まるちびコウタ。その後ろから覆いかぶさるように襲いかかる『謎の物体X』。

響き渡る悲鳴、ドン引きするしかないちび花梨 & ちび刹那。

マイクから聞こえてくる少女らしき悲鳴。

思わず目尻を抑えて十字を切るダークネスの胸元に顔を伏せるアリシアとシュテル。

ああ、なんという事だろう。ちびコウタくんは天からも見捨てられてしまったのだ……。

ちびコウタを『ぱっくんちょ♪』 して満足したのか、ブルブルッ、と歓喜の震えを顕わにする『謎の物体X』が釜の中へと戻り、足元に展開された魔法陣の中へと沈んでいく。

それと入れ違いになる様に、魔方陣からちびダークネがス復活を果たした。

こころなし、顔色が悪くなっているように見えるのは果たして気のせいか。

決して、魔女の釜に描かれていたお約束のトンガリ帽子を被った金髪少女(ちびアリシア)の絵を見て、なんとも言えない気持ちになった訳ではない……はずだ。

 

「よっし、ダークパパ……もとい、だーくさんが復活したね!」

 

笑顔でぶった切って下さったヴィヴィオさんマジパネェ。

 

「私はさらに魔法カードを発動するよ! “いんじゅうブラザーズ”! このカードは自分のデッキから『えっちな』と名のついたカードを特殊召喚できるんです! 私が召喚するのは“えっちなおこじょさん あるクン”!」

 

“えっちなおこじょさん あるクン”

ランク:☆

属性:火

ATK:300

DEF:200

効果:このカードをリリースすることで、デッキから”トレジャーハンター あるく”を特殊召喚することができる。

 

ぽむっ、と間抜けな効果音と共に、頭に葉っぱを乗せた白いナマモノが現れた。

何気にちび花梨の目つきが鋭くなっているのは、彼が出現したのがヴィヴィオの場ではなく、何故か彼女の足元……スカートの中が見えそうで見えないギリギリのラインであったからか。

……あ、蹴り飛ばされてちびダークネスへと吹っ飛んできた。

 

――べしっ!

 

と、叩き落されたが。

 

「……え、えええ~? なにコレぇ~!?」

「アイツって、こんなキャラだったか?」

「まあ、カードをデザインした人物の主観ということではないですか?」

「――はっ!? みっごとなコンボに思わず見とれちゃいました……じゃなくて!? 私は“えっちなおこじょさん あるクン”の効果を発動! カードをリリースすることで、デッキから”トレジャーハンター あるく”を特殊召喚します」

 

ピクピクとヤバい痙攣を起こしていたナマモノが再び煙に包まれ、それが晴れると真っ赤な髪が目を引く民族衣装を纏った少年……ちびアルクが現れた。

……ダメージまで受け継いだのか、やたらとボロボロで床に倒れたままだが。

 

“トレジャーハンター あるく”

ランク:☆☆☆☆☆

属性:火

ATK:2100

DEF:1200

効果:

・このカードは戦闘では破壊されない。

・伏せカードを墓地に送ることで、相手の罠カードの発動を無効化できる。

 

「えっと……バトルです! “トレジャーハンター あるく”で”炎の救世騎 せっちゃん”を攻撃します!」

『はあ!? 攻撃力はこっちのが上だぞ!?』

 

マジでっ!? と目を見開くちびアルクに無慈悲な命令が下される。

半分自棄になったちびアルクが、同情的な顔のちび刹那へと跳びかかっていく。

爆発の力を宿した拳を叩きつけるがやはり攻撃力の差はいかんともしがたく、あっさりと弾き返されてしまった。

 

プレイヤー名:【セイクリッド・ドラゴン・プリンセス】

LP:3700 → 3000 

 

「“トレジャーハンター あるく”は戦闘では破壊されない! そしてこの瞬間、伏せカードオープン! 罠カード“魔導書に記された令嬢”。戦闘ダメージを受けた時、デッキから“魔本使い はつき”を特殊召喚!」

 

ふっばされて帰ってきたちびアルクの頭上に召喚魔法陣が展開され、中から煌びやかなドレスを纏った少女が跳び出してきた。

大きな本を背中に背負い込んだ少女は華麗な体捌きで体勢を立て直し、仰向けに倒れるちびアルクの腹の上に着地した。

 

“魔本使い はつき”

ランク:☆☆☆☆☆☆

属性:水

ATK:2000

DEF:2000

効果:このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、手札が五枚になる様にカードをドローする。

この時に魔法カードをドローできていれば、召喚されたバトルフェイズ中にアドバンス召喚を行うことができる。

 

「“魔本使い はつき”の効果で、カードをドローします。私の手札は一枚、よって四枚ドロー!」

 

ちびはつきは召喚するだけで手札の補充が叶う優秀なサポートキャラクター。

手札の消費が激しいヴィヴィオのデッキで外せないキーカードのひとつだ。

新たにドローした四枚のカードを確認し、ヴィヴィオの口端が不敵に攣り上がる。

「行きます! 私は“魔本使い はつき”のさらなる効果! ドローしたカードの中に魔法カードあった時、バトルフェイズにアドバンス召喚が出来る。私がドローしたカードの一枚は魔法カード”黄金色の誓い“! よって、このままアドバンス召喚を行います。“魔本使い はつき”と“トレジャーハンター あるく”をリリースして“勇者(笑)(かっこわらいかっことじる) あらき”をアドバンス召喚!」

 

「俺が召喚された意味って……」とうなだれ、ちびはつきに”よしよし”とされていたちびアルクたちが消え、かわりに濁った青色の鎧を着た目つきの悪い悪人顔が現れた。

口元はすべてを見下す様に嘲笑を作り、不快感しか感じられない淀んだ目をしている。まったく可愛げがないちび荒貴の登場である。

 

“勇者(笑)(かっこわらいかっことじる) あらき”

ランク:☆☆☆☆☆☆☆☆

属性:光

ATK:2800

DEF:3000

効果:

・このカードは破壊されない。

・自分フィールド上のキャラクターを一体手札に戻すことで、相手の場に存在する表側表示のカードをデッキトップに戻す。

・バトルを行った相手が男性キャラであった場合、このカードの攻撃力は500ポイントアップする。

・このカードが表側表示で存在する時、ドローフェイズで引いたカードを墓地へ送らなければならない。

 

ちびダークネスと並び立つことが嫌なのか、露骨に不愉快そうな顔つきになるちび荒貴。

完全無視を決め込んでいるちびダークネスに突っかかっていく姿は、まるで地元で粋がっているチンピラのようだ。

 

「バトルですっ! “勇者(笑)(かっこわらいかっことじる) あらき”で“マジカルガール かりん”に攻撃! 【メガスラッシュ】!」

『“マジカルガール かりん”の効果発動! 相手の攻撃を無力化する!』

 

伝説の武具に匹敵する輝きを放つ剣から繰り出されたすさまじい一撃を、なんとか障壁で受け止めるちび花梨。

どうにか防ぐことは出来た物の、彼女を護っていた障壁が粉々に砕かれてしまう。

 

「これで攻撃を防ぐ手段は無くなりました! “悪龍王 だーくさん”で“マジカルガール かりん”を攻撃! 【クライシス・エンド】!」

 

効果が無効化してしまったとは言え、それでもちびダークネスの方がちび花梨よりも攻撃力は上回っている。

攻撃無力化という厄介な効果を持つ彼女を破壊できれば、今後の戦略(タクティクス)も立てやすくなる。

しかし、そんな事は【わんわんポチ○くん】も十分承知。攻撃が当たる瞬間、伏せていた罠カードを発動させる。

 

『させねぇって言ってんだろ! 罠発動、“正義の十字架”! 一ターンに一度だけ、相手の攻撃を無効化する! さらにこのカードは発動後、再び場にセットされる』

 

反転した伏せカードから出現したのは、イエス・キリストが磔にされたと言う十字架。

そこに、彼と同じく茨の冠と腰巻だけを身に付けた、ちび白夜が磔にされている。

ちび花梨へと迫る一撃は、引き寄せられるように軌道を変えて、ちび白夜へと命中する。

脇腹に手刀を喰らって「あべしっ!?」 と悶絶するちび白夜。それを見上げるちびダークネス。

やがて、発動を終えた十字架が再び伏せられようとした……瞬間、

 

――バキャッ!

 

「え、殴った!? ちっさいダークちゃんが正義マニアを殴ったよ!?」

 

――ゴキョン!

 

「今度は蹴りを叩き込みましたね……あらま、なんていい笑顔」

 

――パンパンッ!

 

『往復ビンタ!? え、てかなにコレ!? 何で追撃かましてくれてんの!?』

 

――ふぅぅうううう~~っ……

 

深々と息を吸い、呼吸を整えるちびダークネス。そして、くわっ! と両眼を見開き、

 

――無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!

 

――ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

 

「「『無駄無駄ラッシュ!?』」」

 

身動きが取れないちび白夜に向かって、凶悪な笑みを浮かべたちびダークネスから放たれるラッシュの嵐。

まさに、積年の恨みを晴らすが如き、凄まじい勢いで殴り続けていく。

瞬く間に汚い饅頭へと作り変えられていく正義の味方(笑)。

どれだけ彼の事が嫌いなのだろうか……?

 

やがて満足したのか、額に流れる汗をぬぐいながらちびダークネスが戻ってくる。

その後ろには、表面積が三倍近くまで膨れ上がったちび白夜……だったもののお姿が。

それはまさに、愛と勇気しか友達がいない、ぼっちなヒーローを彷彿させる。

○タコさん! どうか彼に新しい顔を!

 

――プイッ

 

あ、○タコさんが拒否しちゃった。

翠屋ミッド支店のオーナーパティシェでも、お顔がパンパンマン(誤字に在らず)を救うことはできないようだ。

憐れ、おっきなお顔のちび白夜くんはそのまま伏せられてしまった。

 

「……むぅ~、これも防がれちゃったか~。ちぇっ、私はカードを二枚伏せてターンエンドだよ」

 

プレイヤー名:【セイクリッド・ドラゴン・プリンセス】

LP:3000 

手札:三枚

場:“悪龍王ダークさん” “勇者(笑)(かっこわらいかっことじる) あらき”

伏せカード:二枚

 

『お、俺のターン……ドローッ! な、なんかよくわからんが、カード効果はちゃんと発動したいみたいだから良しとしとこう。――じゃあ俺は……こいつだ! 魔法カード“復讐者の誓い”! エクストラデッキに存在する融合モンスター“狂戦士 でぃーの”を墓地に送ることで、カードを三枚ドロー! ……よし! 儀式魔法カード“人形師の講演会”を発動! 手札にあるキャラクターカードのランクが合計8以上になるように墓地へ送ることで、手札から“天災の傀儡師 るびー”を特殊召喚することができる! 手札から闇属性の二枚を墓地へ送って、召喚だ!』

 

目つきの悪いちびディーノが墓地へと送られることで手札を補充し、さらに儀式魔法で高ランクキャラを特殊召喚してきた。

フィールドに劇場のようなセットが出現し、墓地へと送られた二枚のカードが光となって吸い込まれていく。

そして開かれた天幕の中から絵本の登場人物のような可愛らしい服の上に白衣を纏った、メカ猫耳の少女が登場する。

 

“天災の傀儡師 るびー”

ランク:☆☆☆☆☆☆☆☆

属性:闇

ATK:100

DEF:100

召喚方法:“人形師の講演会”の効果によってのみ特殊召喚。

効果:

・一ターンに一度、自分の墓地に存在する闇属性のキャラクターを可能な限り特殊召喚することができる。この効果の発動時、相手はキャラクターの効果・魔法罠を発動することが出来ない。

・このカードが攻撃対象となった時、自分の場に存在する他のキャラクターへ攻撃対象を変更することができる。

・相手が魔法・罠を発動させたとき、効果終了後に相手の墓地へ送られるそのカードを、このカードをコントロールするプレイヤーの手札へ加えることができる。

 

「“天災の傀儡氏 るびー”の効果を発動! “人形師の講演会”の効果で墓地へ送った闇属性キャラクター二体を特殊召喚! こい、“キング・オブ・ブラッククイーン でぃあたん”! “サンダーライト・スプリットセイバー れう゛ぃたん”!」

 

足元に展開された魔法陣の中へちびルビーが放った糸が突き刺さり、二つのカードを引っ張り上げた。

偉そうにふんぞり返ったちびディアーチェと「やったるぜー!」 と気合十分なちびレヴィだ。

 

「果たして(キング)なのか女王(クイーン)なのか……むぅ……深い」

「あの、ダーク様? そんな真顔で悩まれるのは如何なものかと……」

「あっははははははは! なにアレ!? おっもしろ~~い!」

 

アリシア大爆笑。

とりあえずカッコイイ二つ名をくっつけてみました的なネーミングがツボに入ったようだ。

 

『ご、ゴホン! つ、続けてリバースカードオープン、“欲望の綱”! フィールドに存在する“天災の傀儡氏 るびー”を墓地へ送ることで、“スーパージェノサイドガール ゆーりたん”を手札に加える! そして手札から“スーパージェノサイドガール ゆーりたん”を特殊召喚!』

 

“スーパージェノサイドガール ゆーりたん”

ランク:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

属性:闇

ATK:3300

DEF:3000

効果:

・このカードは自分の場に“キング・オブ・ブラッククイーン でぃあたん”と“サンダーライト・スプリットセイバー れう゛ぃたん”が存在する時のみ、特殊召喚することができる。

・自分フィールド上に存在する通常キャラクターをすべて墓地に送ることで、相手フィールド上に存在するカードすべてを破壊することができる。

 

欠伸をしながら墓地へと引っ込むちびルビーと入れ違いになる様に、可愛らしいメイド服とヘッドドレスを身に付けた美少女が降臨する。

スカートの端をちょこんとつまんでお辞儀する仕草は、なんとも微笑ましいなと感じずにはいられない。

 

――その背中に、禍々し過ぎる魂翼の鉤爪を構えていなかれば、だが。

 

五体のキャラクターで場を埋め尽くした【わんわんポチ○くん】。手札を全て消費してしまったとはいえ、これだけの戦力の前に如何なる抵抗が叶うと言うのだろうか……。

 

「私だって負けません! 私は手札の“バーニングエンジェル しゅてるん”を特殊召喚します!」

だが、ヴィヴィオとてこのまま終わるつもりは毛頭ない。

【わんわんポチ○くん】の効果にチェーンして、手札からキャラクター効果を発動させる。

 

“バーニングエンジェル しゅてるん”

ランク:☆☆☆☆☆☆☆

属性:火(闇)

ATK:2300

DEF:2200

効果:

・このカードは闇属性としても扱う。

・相手フィールド上に“キング・オブ・ブラッククイーン でぃあたん”、“サンダーライト・スプリットセイバー れう゛ぃたん”、“スーパージェノサイドガール ゆーりたん”が二体以上召喚された時、手札から特殊召喚することができる。

・このカードの特殊召喚に成功したとき、相手フィールドに存在するキャラクター一体の効果を無効化できる。

 

「“バーニングエンジェル しゅてるん”の効果発動! ”炎の救世騎 せっちゃん”の効果を無効化します! 【ルべライト】!」

 

ちびシュテルの杖から放たれた炎の帯がちび刹那へと絡みつき、その能力を封じ込め、攻撃力と防御力が元に戻る。

 

”炎の救世騎 せっちゃん”

ATK:2800 → 2500

DEF:2300 → 2000

 

『それでも俺の勝利は揺るがない! 俺は“スーパージェノサイドガール ゆーりたん”の効果発動! 自分フィールドにいる通常キャラを墓地へ送って、アンタの場にある全てのカードを破壊する! 【ヴァイパーライド】!』

 

逆巻く茨の津波が地面から生え、怒濤の勢いでヴィヴィオの場へと突き進む。

これが通ってしまえばヴィヴィオの場はがら空き。一斉攻撃を受けてライフをゼロにされてしまう事だろう。

 

「罠カードオープン、“運命の決断”! 手札の“雷の騎士 ばさら”を墓地へ送ることでキャラ効果を無効化します! さらにこのキャラクターカードは、カード効果で墓地へ送られた時、自分の場に特殊召喚できます。“雷の騎士 ばさら”を守備表示で特殊召喚!」

 

“雷の騎士 ばさら”

ランク:☆☆☆☆

属性:光

ATK:1800

DEF:900

効果:

・カード効果で墓地へ送られた時、自分フィールド上に特殊召喚できる。

・自分の場に『ふぇいと』と名のつくキャラが存在する時、相手にダイレクトアタックすることができる。

 

「ちいっ、防がれたか! ならバトルだ! ”炎の救世騎 せっちゃん”で“悪龍王 だーくさん”に攻撃! 攻撃力は同じだが、こっちには装備カードを墓地に送ることで戦闘破壊を無効化できる! 破壊されるのはアンタのキャラだけだ!』

「もういっこ罠カードオープン! “思い込み甚だしい愚行(テンプレ)”! ライフを1000ポイント払い、自分の場にいる“勇者(笑) あらき”をリリースすることで、相手の場に存在するキャラを全てデッキに戻します!」

 

【セイクリッド・ドラゴン・プリンセス】

LP:3000 → 2000

 

《神》サマ転生やったぜヒャッホーイ! と喜び踊るちび荒貴を見て、自分もまたお約束のテンプレをしているんだなぁ~と再確認してしまったちび花梨とちび刹那。

同族が晒す醜態のあまりの恥ずかしさに耐えられず、二人……と巻き添えを喰らったゆーりたんが自分のデッキへと舞い戻った(ひきこもった)

 

ちびダークネスとちびバサラはどうにか耐えられたようだ。

……二人とも足腰が生まれたての小鹿のようにぷるぷる震えているが。

ちびダークネスはちびシュテルの胸(ちびきゃらなのでぺったんこ)に顔を埋めてよしよしされているから何とか立ち直れそうだ。

だが、ちびバサラの方は駄目かもしれない。

何処から取り出したのか、ちびフェイトの写真を見つめながら地面に転がってしくしくと泣いちゃっている。

味方にまでこれほどの被害を出して見せるとは……さすがは勇者様(笑)、ただ者ではない。

 

『お、俺のキャラが全滅……!? い、いいやまだだ! 場に伏せた永続魔法を発動するぜ! “穢れ無き祝福の風”! こいつの効果でデッキから“槍騎士 そーすけ”を特殊召喚する!』

 

ぽむっ、と可愛らしい効果音と共に現れた白銀の髪が目を引く美少女……ちびリヒトが膝を付いて天へと祈りをささげる。

すると、デッキから大きな狼に騎乗したちび宗助が登場した。

 

“槍騎士 そーすけ”

ランク:☆☆☆

属性:風

ATK:1700

DEF:1000

効果:

・このカードが戦闘を行うとき、攻撃力を1000ポイントアップさせることができる。

・守備表示モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与えることができる。

 

――ふ~ん、リヒトの応援で駆けつけるんだ~、へぇ~……。

――はうぅ~~……。

――宗助も意外とやるもんね。

『ええい、うっさい! 黙っててくれ! ――ん、ンンッ! まっ、まだバトルフェイズは終わっちゃいない! “槍騎士 そーすけ”で守備表示の“雷の騎士 ばさら”に攻撃! 【ゲイ・ヴォルフ】!』

 

“槍騎士 そーすけ”

ATK:1700 → 2700

 

“雷の騎士 ばさら”

DEF:900

 

「きゃううっ!?」

 

巨狼を駆る騎士の一槍が防御態勢をとっていたちびバサラを貫き、撃破する。

そして攻撃力と守備力の差分、1800ポイントのダメージをヴィヴィオが受けてしまった。

 

【セイクリッド・ドラゴン・プリンセス】

LP:2000 → 200

 

『よっしゃあ、このまま行くぜ! 俺はさらに伏せカードを発動させる! “プリズマステッキ”! このカードは“穢れ無き祝福の風”を墓地に送ることで発動! デッキから“カレイドライナー プリズマ☆リヒト”を特殊召喚! ……って、アレ? こんなカード入れてたっけか?』

【いよっしゃあ――! 遂に遂にルビーちゃんのお披露目ターイム! なのですよ! 名前の発音が同じでも白衣の変態とは一味違うことを教えてやりましょう! ひゃっはー!】

 

羽の生やしたリングの中に星の形をしたパーツが組み込まれた不思議物体……カレイドルビーがカードから飛び出し、喚き散らす。

かつてないハイテンションなノリに、一同が思わず固まってしまうのも仕方のないことだろう。

 

【フッフッフ……! 苦節一時間と三十二分、イリヤさんに『お兄ちゃんとお買い物(デート)に行って来るからお留守番しててねっ!』 とベッドの上に放り投げられた腹いせに並行世界への干渉を試みた私の努力が遂に報われたァ――! いやー、なかなかハードでしたよ。私好みの『きゃわゆい』女の子を辱め――もとい! 活躍させるためにカードデザイナーを洗脳してわが身の分身をデザインさせる。さらに、こんな事もあろうかと凛さんからパクっといた宝石を利用してカードと私を同調させることに成功! 後は理想的な乙女回路バーニングな美少女カードのあるデッキへと転移! フハハハハハハ! どうですかこの完璧な策略!】

 

テレビの中で実体化した珍妙ステッキはくねくねと身悶えながら画面の中を飛び回る。

もはや、完全なカレイド劇場。愉快型魔術礼装の名は伊達ではなかったらしい。

 

【そしてついに見つけた最高の逸材! それこそが――アナタなのですっ!】

『ふえっ!?』

 

カレイドルビーに指(羽?) 指されて、訳も分からず召喚されてしまった憐れな犠牲者……ちびリヒトがビクつく。

怯える少女にハァハァ……と荒い呼吸を吐きながら近づいていく謎ステッキ。

実にシュールな光景だ。

 

【ぐふふ……お、怯える必要なんてないんですよ? ちょこっとだけ私とイイコトしましょうってお誘いなんですからァ】

どう見ても変質者そのものです、本当にありがとうございました。

『コラッ! リヒトから離れやがれっ!』

【むむっ、わんちゃんライダーの分際でお邪魔虫するつもりですか!? そうはさせません! ルビー……スパァアアアクッ!!】

 

ピコピコ光る星から科学特捜隊の光線銃の如きジグザグに折れ曲がる光線は放たれて、ちび宗助に着弾。

『あばばばばばっ!?』 と悲鳴を上げて真っ黒焦げになってしまったちび宗助&ちびフェンリル。

慌てて駆け寄ろうとするちびリヒトだったが、彼女の気が逸れた瞬間を狙っていたカレイドルビーがちびリヒトの胸元へ――

 

『あっ!?』

【銀髪清純美少女げっちゅー♪ そんでもってぇ、転……身!】

 

ちびリヒトの身体が眩い光に包まれ、纏った衣装がはじけ飛ぶ。

まるで海の中で漂うように浮かび上がる芸術的な美しさと可憐さを宿した裸体にピンク色のリボンが巻き付いていき……新たなる衣装へと変化していく。

そして光の繭が弾け飛び……新たなる『魔法少女』の姿が顕わとなる。

 

背中へと流れる銀髪は夜天の星空の如き煌めきを宿し。

真紅の瞳は妖精を彷彿させる美を感じさせる。

身体に纏うのはピンクを基準とした魔法少女の衣装。

ノースリーブの上着とスカートというデザインは、まるでチアガールのよう。

裾がかなり短くなっていて、屈んでしまえば下着が見せてしまいそうだ。

ふりふりのフリルも増築されていて、まさしく『マジカル☆チアガール』と呼べる姿であった。

しかも、何故か二頭身のちびきゃらではなく、オリジナルと同じ通常サイズ。

お蔭でちっさいちび宗助からはスカートの中が丸見え状態。

香しい焼き色を付けながらもしっかり鼻血を垂れ流しているのは、マセガキと怒るべきか、運が悪かったと同情すべきか。

 

【ヒャッハ―! さいっこうですうよリヒトさん! スカートの裾を抑えて頬を朱色に染める恥じらいの表情! 今にも見えそうなおへそ! そして外せないのが絶対領域を形成する純白のニーソーッ! 踵の高いハイヒールを履いた辺りが、背伸びする乙女心を激しく主張! Very Cool! まさしくあなたこそ、私が求め続けてきた真の魔法少女です!】

 

ピンク色のポンポンに変化したカレイドルビーがこれ以上ないテンションで捲し立てる。

どうやら、ここまで恥ずかしい目に合されても怒鳴らず、むしろ恥ずかしげに身体を捩る弱々しいリアクションが彼女のドツボにハマったらしい。

清純・従順・純真・薄幸(前世的な意味で)・男の幼馴染有りと、まさにヒロイン属性オンパレードな上に、魔法の才能も最高ランクとあれば、興奮するのもやむなし……なのか?

 

【MS力……な、なんと!? 1億とは!? すばらしすぎる! まさしく、あなたこそ伝説の(スーパー)魔法少女! イリヤさんどころか並行世界のなのはちゃんすら足元にもお呼びませんよ!】

 

ちなみにMS力とは、()()()の略称であり、魔法少女の影響力を占める指針……らしい。

オリジナルのマスターであるイリヤが1万、並行世界で出会った高町 なのは(九才)が53万である。

同じく並行世界のフェイト(九才)は計測不能となっていたが、この事実にプライドを刺激されたカレイドルビーが『MSスカウター』を強化したことで数値化できるほどに強化されているのだ。

結論:フェイト(九才)のMS力は約100万と判明。

カレイドルビー曰く、【ビームをどっかんどっかんぶっ放す子よりも、露出過多な幼いエロスを感じさせる子の方がMS力は高いようですねー】とのこと。

非戦闘員のリヒトのMS力がぶっ飛んでいるのもある意味でうなずける。

 

【ふはははっ! さあ、行きましょうマイマスター! あなたならば世界を獲れます! ……あ、ちなみに“カレイドライナー プリズマ☆リヒト”の効果はリヒトちゃんを召喚するんですよ♪】

 

“カレイドライナー プリズマ☆リヒト”

ランク:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

属性:光

ATK:∞

DEF:∞

効果:【美少女を殴るなんてとんでもない! と言うワケで、リヒトちゃんへの攻撃はすべて無効! キャラ効果・魔法・罠も一切通用いたしませ~ん♪ でも、リヒトちゃんは優しいので、召喚されたターンは攻撃できません。あしからず~♪】

 

こ れ は ひ ど い

 

「「「「『なんじゃそりゃぁあああああっ!?』」」」」

 

【ハァ~ッハッハッハ! 可愛いは正義! つまり、私がルールなんです! ターンエンド!】

『待てやコラ!? プレイヤーは俺だぞ!? ……あれ? り、リヒトさん? なにゆえ金槌なんて振り上げていらっしゃるのですか……? ――ま、まってください!? 俺は決してあなたを恥ずかしい目にあわせるつもりなんて微塵も思っていなかったんです! 催眠をかけられたみたいな感じで、カードをデッキに加えちゃったんです! 信じてくださ――「ゴギャンッ!!」 ぐもらっ!?』

 

【カレイドルビー(わんわんポチ○くん)】

LP:3300 

手札:なし

場:“カレイドライナー プリズマ☆リヒト”、 “槍騎士 そーすけ”(丸焦げ)

伏せカード:一枚

 

「こ、攻撃力無限大って……あんなのどうしようもないよ!」

【おやおや、泣き言ですかぁ? ダメですよ、決闘者(デュエリスト)なら最後まで戦い抜かなければ。……ケド、私も鬼じゃありません。もしリヒトさんのパートナー様に用意したもう一つの衣装……『魔法少女すくみず風味』をリアルで纏ってくださると言うのでしたら、降参(サレンダー)を認めて上げましょう♪】

 

画面の中に浮かび上がる立体映像、そこに映し出された物は……まさしく『すくみず』

競泳タイプと呼ばれる無駄な装飾の一切を省かえて設計されたソレに、パレオ風味の腰巻と和風の羽織が装着されている。

そんでもって、デフォルト仕様の黒ニーソと皮製のブーツ。おまけに眼鏡まで完備。

色々と需要がありそうなパーツを詰め込んだエロ衣装がそこに在った。

 

「いっ……イヤァアア――!? ナニソレ!? 恥ずかしすぎるよ、そんな恰好!」

「……身近に似たような格好をしていた女がいるんだがな。ついでに露出狂」

「駄目だよダークちゃん! フェイトも最近は抑えているんだから! 昔みたいにはっちゃけていないんだよ!」

「ですが、表沙汰に出来ない裏の商法ルートでは昔のバリアジャケットを纏った今の彼女の合成写真が出回って、高額で取引されているようですよ?」

「何やってるのフェイト!? ちゃんと取り締まってよ執務官なんだからさぁ! 同じ顔の私まで恥ずかしい目にあっちゃうでしょ!?」

 

指名手配犯という立場を完璧に忘れた発言かます『お姉ちゃん』。

この傲慢不遜こそ、姉たる所以なのだろうか?

 

【ふん、男なんて馬鹿ばっかりですね~。年増の色気のどこがいいんだか。やっぱ時代は幼女ですよ幼女!】

「「なんですってえ!?」」

 

――か、母さん!? 年増とか言ったの俺じゃねぇよ!? え、連帯責任? カードを使った俺にも責任がある……だと……!? あ、や、ちょっとまって、フライパンは人を叩く物じゃな『パッカ――――ン!!』 ――ぎゃーす!?

 

「ヴィヴィオ、ガンバって! あんな奴、ボッコボコにしちゃって!」

「まだ諦めるのは速いですよ! ていいうか、あの腹が立つステッキをブッ飛ばしてください!」

「おお、なんというやる気。そんなに年増呼ばわりされたの腹が立ったのか? ――あ、すまん。謝るから脇腹を抓るのやめい」

「……う、うん! 行きます!私の……ターーン!」

 

殺る気……もとい、やる気に満ちた家族の応援を背中に受けて、立ち上がるヴィヴィオ。

ツッコミ所満載だが、とりあえずは決闘(デュエル)に集中することにしたらしい。

しかし、彼女の手元にこの状況を打開できる切り札は無い。相手の場に伏せられたカードのひとつは、攻撃を一度だけ無力化する“正義の十字架”。

闇雲に攻撃をしかけても防がれてしまう。

かといって、チートが顕現した魔女っ娘はもとより、貫通能力を持つ“槍騎士 そーすけ”に対して待ちに徹するのは愚作。

ならば――

 

(可能性を信じて……前に進んでみせます! ――っ、これは!?)

 

魂の籠った運命のドローで引き寄せた一枚のカード。それはまさに、この状況を打開できるだけの可能性を秘めた逆転の一手であった。

ヴィヴィオの脳裏に勝利へと通じる輝く道が……運命を切り開く光り指す道が浮かび上がる!

 

「これなら……! 私は“ライジングウィッチ ありしあ”を召喚します! このカードはランク6ですけれど、自分の場に闇属性キャラが二体存在する時、ランクを二つ下げることが出来ます! さらに“鮮烈少女 ヴィヴィー”を特殊召喚!」

 

“ライジングウィッチ ありしあ”

ランク:☆☆☆☆☆☆

属性:風(闇)

ATK:2300

DEF:1900

効果:

・このカードは闇属性としても扱う。

・自分の場に闇属性キャラが二体存在する時、ランクを二つ下げて通常召喚することができる。

・一ターンに一度、カードをドローすることができる。

・自分の場に”黄金龍神 だーくさん”が存在する時、エンドフェイズにこのカードを墓地に送ることで“『???』 ありしあ”を特殊召喚することが出来る。

 

“鮮烈少女 ヴィヴィー”

ランク:☆☆

属性:光(闇)

ATK:1200

DEF:1400

効果:

・このカードは闇属性としても扱う。

・自分の場に”だーくさん”、”ありしあ”、”しゅてる”と名のつくキャラが存在する時、手札から特殊召喚することができる。

・自分のスタンバイフェイズ、面側表示のこのカードを墓地に送ることで“鮮烈王女 ヴィヴィー”を特殊召喚することが出来る。

 

箒に跨った魔女スタイルのちびアリシアと、ウサギのぬいぐるみをだっこしたちびヴィヴィオが召喚される。

デフォルメされた娘の可愛らしさに、ママ~ズが大興奮。

 

「“ライジングウィッチ ありしあ”の効果でカードをドローします。そして……これが私の切り札です! 魔法カード、”幻獣の降誕“! デッキから”幻獣 エクスワイちゃん“を特殊召喚します!」

 

“幻獣 エクスワイちゃん”(チューナーモンスター)

ランク:☆☆☆

属性:光(闇)

ATK:0

DEF:0

効果:

・このカードは闇属性としても扱う。

・このカードを召喚に成功した時、自分の場に存在するキャラクターのランクを任意の数へ変更できる。

 

輝く真紅の翼を持った飛龍が降臨する。

これによって、ちび金ぴかドラゴン一家が並び立つことになった。

ヴィヴィオの背後から、思わず感嘆の声が上がってしまうのも仕方ない事だろう。

チューナーモンスター……すなわち、絆によって新たな可能性を照らしだす希望の力!

エクシーズと双璧を成す新しい進化の形……その名も、

 

「“幻獣 エクスワイちゃん”の効果発動! このカードを召喚に成功した時、自分の場に存在するキャラクターのランクを任意の数へ変更できる。私は全てのキャラのランクを三にします。――いくよ! これが私の奥の手っ! ランク三となった“悪龍王 だーくさん”、“ライジングウィッチ ありしあ”、“バーニングエンジェル しゅてるん”、“鮮烈少女 ヴィヴィー”に、ランク三のチューナーモンスター“幻獣 エクスワイちゃん”をチューニング!」

【なんですと!? ランク三が五体……って、ランク十五!? そんなのありですか!?】

 

A.アリです。このゲームの最高ランクは十五なので。

 

【しまったぁ――!? てっきり、○戯王ルールそのままかとっ!】

「三つの希望が一つになる時、世界を超えた無限の奇跡が舞い降りる! 金色の光よ、天へと繋がる架け橋となれ! シンクロ召喚!」

 

天へと飛び上がった四体のちびきゃらたち。その身体が光り輝く三つの星となり、天を泳ぐ。

“幻獣 エクスワイちゃん”が転じた三つの光の環、その中で連なる様に並び立つ十二の星の輝きが眩い閃光となって世界を照らす!

 

「降誕せよ! “黄金龍皇神 【???】”!!」

 

天をも貫く光の柱、そこより降臨したのは黄金の鎧を身に纏った巨人。

胸元と両肩に竜の鎧甲があり、それぞれの口の中には三人の少女を彷彿させる女神の顔らしき彫刻が刻まれている。

背中に広がる巨大なる双翼から溢れ出す黄金の輝きがフィールドを、いや世界そのものを照らしだす。

可能性を信じた少女の祈りに応えるかのように、伝説を超えた《神》がここに舞い降りた。

 

“黄金龍皇神 【???】”

ランク:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

属性:光(闇)

ATK:―

DEF:―

召喚方法:“幻獣 エクスワイちゃん” + ”だーくさん”、”ありしあ”、”しゅてる”、“ヴィヴィー”と名のついたそれぞれのキャラクター

効果:

・このカードは闇属性としても扱う。

・このカードが召喚された時、決闘(デュエル)に勝利する。

 

【なんですとー!?】

「これで、終わりです! “黄金龍皇神 【???】”の効果! 世界創造の一撃! 【アルティメイタム・ユグドラシル】!」

 

両手を掲げた光の巨人から放たれる古き世界を破壊し、新たな未来を創造する龍皇神の極光。

例えカレイドルビーが無限に等しい力を秘めていようとも、真なる《神》の前ではあまりにも……無力!

 

【こっ、これで終わりとは思わない事です! 例え私が滅びようとも、第二・第三のカレイドルビーちゃんが……うきゅーん!】

 

最後に間抜けな悲鳴を残して、愉快型魔術礼装カレイドルビーが消え去っていく。

おそらくは、媒体にしていたカードも消滅している事だろう。

 

【セイクリッド・ドラゴン・プリンセス】 WIN! 

Nice Duel!!

 

「やったやったやった――! 見て見て、ヴィヴィオの大勝利なのです!!」

「おめでとう、ヴィヴィオ!」

「ええ! ええ! 流石ですよ。貴方の母親であることを光栄に思います」

 

二人の母親にもみくちゃにされて、嬉しい悲鳴を上げるヴィヴィオ。

その様子を見守るダークネスの表情も穏やかに見えるのは、きっと気のせいではないだろう。

 

「よぉーっし! この勢いで決闘者(デュエリスト)の頂点へ駆け昇っちゃいますよー! 目指せ、未来の決闘王(デュエルキング)!!」

 

ヴィヴィオの場合は女王なんじゃないの? とツッコミを入れるような空気の読めない輩はいない。

並行世界からの干渉という大事についてはひとまず脇に置いておくとして、ダークネスは勝利に沸く娘の頭を撫でてやろうかと腰を上げるのだった。

 

 

 

おまけ♪

 

【姉さん、また性懲りもなく人様にご迷惑を……これはオシオキが必要ですね】

【さ、ささサファイアちゃん!? ブレイク、ブレイクです! バックファイアでこんがり焼きルビーちゃんになってるお姉ちゃんに追撃をするのはいかがなものかとっ!? あ、ちょ、ごめ、ゴメンなさ――アババババババ!?】

【姉さんをお仕置きです】 ← 毒電波送信中

 

おわり♪




という訳で、遊戯王ネタです。
いや、彼らを題材にデュエルしたら面白いんじゃないかなー、と。
『時を超える絆』の動画を見て、やる気がムクムクと……結局、一日かけて書いちゃいました♪
ゲームのルールはデュエルモンスターズと同じ。違いと言えば、『モンスター』ではなく『キャラクター』に名称が変更、『レベル』が『ランク』になっていてMAXが15になっていることくらいですね。
ちびきゃらはバカテスの召喚獣をイメージしてください。

セイクリッド・ドラゴン・プリンセスとわんわんポチ○くんのデッキコンセプトやカレイド☆リヒトは、【(´作`)(空牙刹那】様より頂いたアイディアを使わせてもらいました。
ありがとうございます♪

○作中に登場したキャラクターカードのまとめ(魔法や罠は除く)
※【???】となっているのはネタバレ防止のためです。

“龍王 だーくさん”
ランク:☆☆☆☆
属性:闇
ATK:2000
DEF:1700
効果:自分のターンのスタンバイフェイズにこのカードが表側表示で場に存在するとき、このカードを墓地に送って“悪龍王 だーくさん”を特殊召喚することが出来る。

“悪龍王 だーくさん”
ランク:☆☆☆☆☆☆
属性:闇(光)
ATK:2500
DEF:2000
効果:
・このカードは光属性としても扱う。
・一ターンに一度、フィールド上に存在するカード一枚を破壊する事が出来る。
・敵キャラクターを戦闘破壊したターンのエンドフェイズ、このカードを墓地に送ることで“黄金龍神 ダークさん”を特殊召喚することが出来る。


“ライジングウィッチ ありしあ”
ランク:☆☆☆☆☆☆
属性:風(闇)
ATK:2300
DEF:1900
効果:
・このカードは闇属性としても扱う。
・自分の場に闇属性キャラが二体存在する時、ランクを二つ下げて通常召喚することができる。
・一ターンに一度、カードをドローすることができる。
・自分の場に”黄金龍神 だーくさん”が存在する時、エンドフェイズにこのカードを墓地に送ることで“【???】 ありしあ”を特殊召喚することが出来る。


“バーニングエンジェル しゅてるん”
ランク:☆☆☆☆☆☆☆
属性:火(闇)
ATK:2300
DEF:2200
効果:
・このカードは闇属性としても扱う。
・相手フィールド上に“キング・オブ・ブラッククイーン でぃあたん”、“サンダーライト・スプリットセイバー れう゛ぃたん”、“スーパージェノサイドガール ゆーりたん”が二体以上召喚された時、手札から特殊召喚することができる。
・このカードの特殊召喚に成功したとき、相手フィールドに存在するキャラクター一体の効果を無効化できる。
・自分の場に”黄金龍神 だーくさん”が存在する時、エンドフェイズにこのカードを墓地に送ることで“【???】 しゅてる”を特殊召喚することが出来る。


“鮮烈少女 ヴィヴィー”
ランク:☆☆
属性:光(闇)
ATK:1200
DEF:1400
効果:
・このカードは闇属性としても扱う。
・自分の場に”だーくさん”、”ありしあ”、”しゅてる”と名のつくキャラが存在する時、手札から特殊召喚することができる。
・自分のスタンバイフェイズ、面側表示のこのカードを墓地に送ることで“鮮烈王女 ヴィヴィー”を特殊召喚することが出来る。


“幻獣 エクスワイちゃん”(チューナー)
ランク:☆☆☆
属性:光(闇)
ATK:0
DEF:0
効果:
・このカードは闇属性としても扱う。
・このカードを召喚に成功した時、自分の場に存在するキャラクターのランクを任意の数へ変更できる。


“マジカルガール かりん”
ランク:☆☆☆☆
属性:光
ATK:1800
DEF:1800
効果:一ターンに一度、相手の攻撃を無効化する。


”炎剣使い きりやん”
ランク:☆☆☆
属性:火
ATK:1900
DEF:1800
効果:このカードの攻撃力と守備力は、装備した装備魔法カードの枚数×200ポイントアップする。

”炎の救世騎 せっちゃん”(エクシーズ)
ランク:★★★
属性:火
ATK:2500
DEF:2000
召喚方法:ランク三のキャラクター×2
効果:
・このカードの攻撃力と守備力は、装備した装備魔法カードの枚数×300ポイントアップする。
・このカードが破壊された時、装備した装備魔法カード一枚を墓地に送ることで破壊を無効化する。


“誇り高き紳士 こうた”
ランク:☆☆☆
属性:土
ATK:1300
DEF:2100
効果:
・攻撃対象となった時、攻撃表示のこのカードは守備表示となる。
・ダメージステップ時、このカードの攻撃力と守備力は500ポイントアップする。


“正義の道化師 あっしゅ”
ランク:☆☆☆
属性:風
ATK:1400
DEF:700
効果:攻撃対象となった時、このカードを除外することで相手キャラクターの攻撃を無効化する。効果を発動させたターンのエンドフェイズ、除外されているこのカードを自分フィールド上に特殊召喚することができる。


“えっちなおこじょさん あるクン”
ランク:☆
属性:火
ATK:300
DEF:200
効果:このカードをリリースすることで、デッキから”トレジャーハンター あるく”を特殊召喚することができる。


“トレジャーハンター あるく”
ランク:☆☆☆☆☆
属性:火
ATK:2100
DEF:1200
効果:
・このカードは戦闘では破壊されない。
・伏せカードを墓地に送ることで、相手の罠カードの発動を無効化できる。


“魔本使い はつき”
ランク:☆☆☆☆☆
属性:水
ATK:2000
DEF:2000
効果:このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、手札が五枚になる様にカードをドローする。
この時に魔法カードをドローできていれば、そのカードを相手に見せる事で召喚されたバトルフェイズ中にアドバンス召喚を行うことができる。

“勇者(笑)(かっこわらいかっことじる) あらき”
ランク:☆☆☆☆☆☆☆☆
属性:光
ATK:2800
DEF:3000
効果:
・このカードは破壊されない。
・自分フィールド上のキャラクターを一体手札に戻すことで、相手の場に存在する表側表示のカードをデッキトップに戻す。
・バトルを行った相手が男性キャラであった場合、このカードの攻撃力は500ポイントアップする。
・このカードが表側表示で存在する時、ドローフェイズで引いたカードを墓地へ送らなければならない。


“天災の傀儡師 るびー”
ランク:☆☆☆☆☆☆☆☆
属性:闇
ATK:100
DEF:100
召喚方法:“人形師の講演会”の効果によってのみ特殊召喚。
効果:
・一ターンに一度、自分の墓地に存在する闇属性のキャラクターを可能な限り特殊召喚することができる。この効果の発動時、相手はキャラクターの効果・魔法・罠を発動することが出来ない。
・このカードが攻撃対象となった時、自分の場に存在する他のキャラクターへ攻撃対象を変更することができる。
・相手が魔法・罠を発動させたとき、効果終了後に相手の墓地へ送られるそのカードを、このカードをコントロールするプレイヤーの手札へ加えることができる。


“キング・オブ・ブラッククイーン でぃあたん”
ランク:☆☆☆☆
属性:闇
ATK:1600
DEF:1400
効果:なし


“サンダーライト・スプリットセイバー れう゛ぃたん”
ランク:☆☆☆☆
属性:闇
ATK:1700
DEF:500
効果:なし


“スーパージェノサイドガール ゆーりたん”
ランク:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
属性:闇
ATK:3300
DEF:3000
効果:
・このカードは自分の場に“キング・オブ・ブラッククイーン でぃあたん”と“サンダーライト・スプリットセイバー れう゛ぃたん”が存在する時のみ、特殊召喚することができる。
・自分フィールド上に存在する通常キャラクターをすべて墓地に送ることで、相手フィールド上に存在するカードすべてを破壊することができる。


“狂戦士 でぃーの”
ランク:☆☆☆☆☆☆☆☆
属性:火
ATK:3000
DEF:2700
効果:
・このカードの攻撃力は自分のターンのエンドフェイズごとに100ポイントアップし、守備力は100ポイントダウンする。
・自分フィールド上にこのカード以外のキャラクターが存在しない場合、バトルフェイズ時に相手フィールドに存在する総てのキャラクターへ攻撃する事が出来る。


“雷の騎士 ばさら”
ランク:☆☆☆☆
属性:光
ATK:1800
DEF:900
効果:
・カード効果で墓地へ送られた時、自分フィールド上に特殊召喚できる。
・自分の場に『ふぇいと』と名のつくキャラが存在する時、相手にダイレクトアタックすることができる。


“槍騎士 そーすけ”
ランク:☆☆☆
属性:風
ATK:1700
DEF:1000
効果:
・このカードが戦闘を行うとき、攻撃力を1000ポイントアップさせることができる。
・守備表示モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与えることができる。


“カレイドライナー プリズマ☆リヒト”
ランク:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
属性:光
ATK:∞
DEF:∞
効果:【美少女を殴るなんてとんでもない! と言うワケで、リヒトちゃんへの攻撃はすべて無効! キャラ効果・魔法・罠も一切通用いたしませ~ん♪ でも、リヒトちゃんは優しいので、召喚されたターンは攻撃できません。あしからず~♪】


“黄金龍皇神 【???】”(シンクロ)
ランク:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
属性:光(闇)
ATK:―
DEF:―
召喚方法:“幻獣 エクスワイちゃん” + ”だーくさん”、”ありしあ”、”しゅてる”、“ヴィヴィー”と名のついたそれぞれのキャラクター
効果:
・このカードは闇属性としても扱う。
・このカードが召喚された時、決闘(デュエル)に勝利する。

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