今回のタイトル、別名『ボッチ、知る』
β月Γ日
昨夜、ウェル某博士と色々話をつける為にリディアン音楽院(新)の跡地に向かっていたのだが、先に辿り着いていた響ちゃん達がウェル博士が呼び出したノイズと戦っていた為、暫く事の経緯を見守ることにした。
しかし、途中出てきた気色の悪い怪物が響ちゃん達に襲い掛かり、その所為で響ちゃん達は動きを乱されてしまい、奏ちゃんは三人から引き剥がされ、クリスちゃんと翼ちゃんは拘束され、響ちゃんに至っては気色の悪い怪物───ネフィリムによって左腕を喰われてしまった。
自らの腕を喰われた事によるショックで暴走してしまう響ちゃん、破壊衝動に呑み込まれた今の彼女ではネフィリムには勿論、仲間である翼ちゃん達にまで危害を加える可能性がある。
ここまで来てしまっては流石に見ているだけで終わるわけにはいかず、自分も戦場へと乱入、少し強引だがウェル博士の企みを潰す事にした。
ネフィリムも細かく切り刻んだし、譬えコアの部分が無傷だとしても動くには幾分かの時間を必要とする筈、その間にウェル博士の身柄を拘束し、響ちゃんの暴走を何とかした後でマリアさん達の居場所を吐いて貰おうとした時、彼が現れた。
風鳴弦十郎。響ちゃん達が所属する組織の長であり、あの“風鳴”さんの血縁者。自分と暴走する響ちゃんの間に割って入ってきた弦十郎さんは自分の目的を聞き出すため司令自ら戦場にやって来た理由を丁寧に話し、自分に大人しく投降するよう呼び掛けてきた。
まぁ、弦十郎さんが懸念に思うのも無理はない。自分は日本政府に今の所敵意は抱いていないが、国の重鎮である大臣に一方的にメールを送り込んでいたし、やっている事はサイバーテロの様なモノだ。そんな自分は同じ国を守る立場にいる弦十郎さんにとって捨てては置けない存在になっているのだろう。
とはいえ、此方としても理由があって動いている訳だからそうそう頷く訳にもいかない。よって彼の呼び掛けを丁重に断ったら…………まぁ、解っていたが戦う《バトる》事になった。
戦うと言ってもお互い一度だけ拳を放っただけなんだけどね。けれどそのお陰で地面は陥没し、その余波で響ちゃんは吹っ飛び、ウェル博士も何処かへ消えてしまっていた。
仕方がないからその場はそこで退散する事になった。弦十郎さんは自分と決着を付けたがっていたが、暴走する響ちゃんや動けない翼ちゃん達を放置する訳にもいかず、ノイズを片付けた奏ちゃんと一緒に事に当たっていた。
何だか引っ掻き回す事になって申し訳ないが、どちらにせよ当時の状況ではウェル博士の身柄を拘束するのは難しいから、個人的にはあまり気にしていない。
その後、響ちゃんが元に戻った事を確認した自分は追い掛けてきた忍者の人と少しの間鬼ごっこに興じた後、家に帰ることにした。
しかし、弦十郎さんも意外に律儀な所がある。あの時、拳をぶつけ合わせた時に忍者の人に奇襲を頼めば自分を捕らえられたかも知れないのに、まさか一対一《サシ》で挑んで来るとは…………これには流石に予想外だった。
忍者の人、緒川さんだったか? あの人もクナイを投げ付けてくるだけで特に追い詰めようとする意志は感じられないし、もしかしたら向こうは自分の事をそんなに敵視していないのかもしれない。
それとも単に泳がせているだけなのか、まぁそれはどっちでもいい事、向こうが必要以上に敵意を見せなければ対応の仕方はある。それに、自分としても弦十郎さんとはガチでは戦り合いたくはない相手、このまま穏便に進めれるのなら、自分としても好都合だ。
だって弦十郎さんてば結構マジで強いんだもの、一度拳を交えて解った。あの人ただの司令官じゃねぇ。
もしあのまま続けていたら俺も弦十郎さんも無事では済まなかった。そういう意味でも彼処で撤退したのは我ながらナイスな判断である。
さて、残す問題はやはりウェル博士の方になる。あれから姿を消しているが一体どこへ逃げたのやら。まぁ、大体目星は付いてるから次くらいには見付けられると思うけどね。
あぁ、でもやっぱあの時言えなかったのは残念だったなぁ。月の軌道修正のデータも折角前もって準備していただけに悔しいモノがある。
…………いっその事、クリスちゃんに渡して貰うか? クリスちゃん経由に弦十郎さん辺りに持っていって貰えれば事態も動くだろうし。
いや、それだけはやめておこう。元を正せば今回の騒動の半分近くは自分が原因なのだ。筋を通す意味を込めてこれは自分がやり遂げるべき案件だろう。
というか一つ気になったのだが、あのウェル博士って人、月軌道の定期観測とかしてないのかね? アメリカの宇宙機構の組織にハッキングすれば割とあっさり分かると思うんだけど…………。
β月β日
今日、クリスちゃんに月の件について問い詰められた。物凄い剣幕で迫ってきた彼女がめっちゃ怖かったから自分は大人しくゲロるしかなかったですハイ。
やっぱアレだね。綺麗な顔をした人は怒ると人一倍怖いんだね。よく解ったよ。
その後、自分の話を聞いたクリスちゃんは暫く店の隅っこで頭抱えた後、何事も無かったようにバイトを始めた。帰り際に達観した目で「私は何も聞いていない」というセリフを残して。
…………俺、なんか悪いことした?
Q.もしもボッチが怪盗だったら?
A.あなたのハート、戴きます(物理)
ペルソナ5、面白!
追記
前回の話のつじつま合わせに少し内容を変えました。