『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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ダンガンロンパ、面白いですね。

ウチのボッチならどう活躍するのか、妄想しながら観ています(笑)


その18

 

 

 

 

“ノイズ” それは遥か太古の昔、先史文明と呼ばれる人類の黎明期の時代に当時の人間達が同じ人類を駆逐する為に生み出した古代兵器。

 

存在を操る力によって物理的干渉を減衰、或いは無効化させるその力は現代に至るまで人類の天敵として君臨し続けてきた。古代の力を以て誕生した特異災害(ノイズ)に対抗出来うるのは同じ古代の力、聖遺物の欠片によって生み出されたシンフォギアのみ。

 

それが今日にまで仲間達と共有する風鳴翼の認識だった。

 

「なんだ…………これは、一体何がどうなっているのだ」

 

ならば、今自分の目に映っているこの光景は何なのか。捕獲型のノイズによって身動きの取れない翼は己の腕の中で気絶しているクリスを抱き抱えながら呆然としていた。

 

多数のノイズに囲まれ、孤立した仮面の男。自らを蒼のカリスマと名乗った仮面の男は襲い掛かるノイズの群れを相手にいとも簡単に撃破、ウェルが出した全てのノイズを炭素に変えてしまった。

 

男は襲い来るノイズに合わせ、震脚と思われる踏み抜きで地面を抉り、その反動で男を囲むように隆起する大地の楯を用いて防ぐという並みの人間では到底不可能な離れ業をやってのけたのである。

 

確かにノイズは触れたモノを自分もろとも炭化させ自壊する

 

まるで司令(叔父様)の様な奴だと翼は愕然とする。その一方、自分と同じ心境なのか、足止めのノイズを全滅させた奏も口をあんぐりと開いて驚きを露にしていた。

 

「な、なぁ、ナァァァァッ!?」

 

ノイズを自在に呼び出し、操る事が出来るとされるソロモンの杖…………今は珠となっているそれを手にしたウェルはノイズを相手に無傷で凌いで見せた蒼のカリスマを前に恐怖でその端整な顔を歪ませていた。

 

「さて、本来ならば貴方達の頭目であるマリア某さんとも話を付けたかったのですが…………出てこないならば仕方ありませんね。一先ず貴方の持つソロモンの珠を回収し、ノイズの拡散を防ぐことから始めましょうか」

 

一歩、また一歩近付く仮面の男に比例してウェルの顔は青ざめていく。人類の天敵たるノイズを一瞬で片付ける目の前の蒼のカリスマがウェルにとってノイズ以上の化け物に見えた。

 

「ね、ネフィリィィィムッ!! この化け物を喰らえっ! この怪物を食べるんだァァッ!!」

 

断末魔にも似た叫び声を上げながら英雄願望の狂人擬きは暴食の巨人の名を呼ぶ。生きた完全聖遺物、奴ならばと思いネフィリムを呼び寄せようとするが、その巨人たるネフィリムは二人の間をすり抜けるようにぶっ飛び、岩壁に叩き付けられていた。

 

何だと思い振り返ると、そこに立つのは黒に染まった少女、人型の破壊衝動と化した立花響が血に染まる双眼でウェルと蒼のカリスマを見据えていた。

 

「◼◼◼◼◼◼◼◼ッ!!」

 

「ヒィィィィッ!!」

 

人の理性を完全に失った暴走状態、狂戦士(バーサーカー)となった今の彼女は本能のままに暴れ狂う獣、そんな彼女が次に目につけたのは吹き飛んだネフィリムではなく悠然と佇む仮面の男だった。

 

本能的に仮面の男がネフィリムよりも脅威と認識した響はその破壊衝動に従い跳躍し、蒼のカリスマに向けて蹴りを放つ。一切の容赦もなく放たれるその一撃は完全聖遺物すら屠れる威力を秘めている。そんなものを生身の人間が受ければ次の瞬間挽肉となるのは火を見るより明らか、止めろと声高に叫ぶ奏と翼の声を無視しながら響は目の前の敵に向けて蹴りをぶつける。

 

だが、響の一撃が男の間合いに入った瞬間、響は独楽の様に周り、背中から地面に叩き付けられていた。

 

「──塵旋回し受け。幾ら力があろうともそれが理性無きただの暴力である限り受け流す事は容易い事」

 

仰向けに倒れ付している響を見下ろす蒼のカリスマ、破壊衝動の塊である響を相手に全く余裕を崩さない男に翼と奏は今度こそ言葉を失っていた。

 

そんな仮面の男の態度を挑発と捉えたのか、響は黒に染まっていながらも犬歯を剥き出しにして威嚇しながら跳び跳ね、男との距離を取った。

 

「ほう、理性を失っていながら相手の出方を観察するとは流石シンフォギア装者ですね。……いや、この場合は彼女の師である風鳴弦十郎の手腕を褒めるべきですかね」

 

理性を失い、剥き出しの闘争本能となりながら、それでも戦う所作というモノを忘れないでいる響に蒼のカリスマは感心した様に頷く。

 

そんな彼の背後に復活したネフィリムがその口を大きく開いて襲ってきた。音を消しての接近、強襲に成功したネフィリムにウェルの表情は歓喜に変わる。

 

頭から齧り付け、捕食しろ。これで正体不明な怪物を仕留めてやったとウェルがザマァミロとネフィリムの勝利を確信した───瞬間。

 

「やれやれ、こんなタイミングで襲われては迎え撃って下さいと言ってる様なモノだと言うのに…………生体聖遺物と言っても知性が有るわけではないのですね」

“───渦廻斬輪蹴(うずまわしざんりんげり)

 

振り向き様に放った蹴りの斬撃、軸足を渦のように回転しながら放たれたその攻撃はネフィリムをミキサーに放り入れた蒟蒻の如く、切り刻んでいく。

 

瞬く間に肉片と化したネフィリム、人一人呑み込める程に巨大化した巨人は最後に心臓部分らしきモノを残して四散、コロコロと転がり落ちていくネフィリムの残骸を見て、茫然自失となったウェルは力なく座り込んでしまった。

 

そんな彼の様子を見て蒼のカリスマは一つ片が着いたと頷き、未だ暴走状態である響に向き直る。その際にビクリと一瞬怯んだ様に見えたが、そこは暴走状態。頭を振って突進してくる彼女に男は両の拳を握り締めた。

 

(やっぱ、荒療治が必要か)

 

向かってくる黒い響を前に仮面の男は少しばかり本気になった時───。

 

「悪いが、そこまでだ」

 

紅い隕石が二人の間を割って入るように乱入してきた。

 

舞い上がる戦塵の中立ち上がる紅、それは黒に染まった響をまるで子供扱いの如く脇に抱え。

 

「お前が蒼のカリスマか。悪いがお前には色々聞きたい事がある。お前の知っている事全てを吐いて貰うぞ」

 

特異災害対策本部、二課の司令官にして最高最強戦力、風鳴弦十郎が蒼のカリスマ────白河修司の前に降り立った。

 

 

 

 




Q.高校時代、ボッチの座右の銘は?

A.“生きてるだけで最高さ!”
尚、友達は少ない模様。


次回もまた見てボッチノシ

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