『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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取り敢えず一段落。

……どうでも良い話だが、パール様欲しさに苦し紛れに単発で回したら、殺生院が出てきた。

ボッチの為に回そうとしたのに……何故だ。






その174 青空

 

 

 

 崩れ行く特異点、人理焼却の元凶であるゲーティアを打ち倒した事で、崩壊していく時間神殿をエッコラヨッコラと脱出しようと走る一行を眺めながら、最後まで観戦に徹していた黄金の王は笑う。

 

「やれやれ、最後の最後で何とも締まらん終り方よ。一応の決着は付けたのだ、もう少しシャンとせんか」

 

呆れながらも、そう言う王の顔には喜びと似た感情が色濃く滲んでいる。あの焼け落ちた街の中で、ただ一人この世の理不尽不条理を許さないと吼えた童が、随分と成長したものだ。感慨深いような、懐かしいような。久しく味わえなかった子の成長に、黄金の王は決して人には見せない笑みを浮かべる。

 

「如何でした? 貴方の臣下の成長具合、中々楽しめたのでは?」

 

「フンッ、確かに愉快な類いであることは認めよう。奴のハチャメチャ具合は見ていて飽きん、そう言う意味では良い拾い物をしたと言えよう。だが………」

 

「えぇ、分かっています。彼の行いによって生じたイレギュラー、余分な因子は一つ残らず私が持ち帰りましょう。そういう訳なので─────駄目ですよ、ゲッペラーさん

 

 影が二人を覆う。黄金の王は心底めんどくさそうに、仮面の男は嗜めるように、影の主であるソレを見上げる。

 

其所には─────皇帝がいた。進化をもたらし、進化を促す進化の化身。大きく、巨きく、ひたすらに規格外(大き)なソレは、二人を………否、空腹でぐったりとしている修司を品定めをするように見下ろしている。

 

「彼の行き先を決めるのはあくまで彼自身が決めること。例えシンカの力を扱おうとも、その意思は未だにゲッターに呑まれてはいません。であれば、貴方が介入する余地は無い筈ですよ」

 

『────────』

 

 仮面の男の言葉に進化の皇帝は納得したのか、修司に向けていた視線を外し、一度だけ彼を一瞥すると、特異点の領域から姿を消していく。彼が完全に姿を消した事を確認すると、仮面の男はやれやれと深い溜め息と共にギルガメッシュ王へ頭を下げる。

 

「すみません英雄王、同僚が不躾な真似をして」

 

「フンッ、実にその通りだが………まぁ良い。面白いモノを見れた代わりに、その不敬を赦そう」

 

「あ、じゃあ赦すついでにサインをもう一枚戴いても宜しいですか? 保存用にしておきたいので」

 

「なにが“じゃあ”なのか知らんが………まぁいい。特別に赦そう。我の偉大さと慈悲深さ、例の進化の皇帝にも伝えるが良い」

 

仮面の男の図々しい願いに一切不満を口にせず、王は仮面の男から渡されたもう一枚の色紙に筆を走らせる。王にとって、此度の現界は中々有意義な一時だった。次の厄災がどんなモノであるにせよ、彼等と………何より、己の臣下である修司が何とかするだろう。

 

故に、王の寛大さは続く。人類が、命の輝きを損なわない限り。

 

『あ、じゃあ次は俺にも良いかな?』

 

『我モ我モ』

 

「えぇい、とっとと帰らんか貴様等ァッ!」

 

 但し、何事にも限度はある。サイン欲しさに戻ってきた進化の皇帝、そして何故か序でにやってきた原初の魔神、宇宙まるごと消滅させてしまう様な超絶弩級の怪物達を相手に、王のツッコミは特異点が完全に消滅するまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ね、ねぇマシュ! 回収地点まであとどれくらいかなァッ!?」

 

「お、恐らくはあと二千メートル程かと! あと少しです! 頑張りましょう先輩!」

 

「ヒェ~!」

 

 崩壊していく時間神殿、徐々に崩落していくスピードが増していき、その勢いは脱出しようとする立香達を呑み込もうと迫る。

 

直ぐ其所まで迫っている崩落の音を聴きながら、マシュは懸命に、立香は半べそをかきながらひた走る。

 

「わ、悪い二人とも。まさかあの姿になるのがここまでエネルギーを消費するとは思わなかった」

 

 

二人の肩に担がれて苦悶の表情で溢すのは、人類悪との戦いで自身の力の全てを出し切った修司だった。人理焼却を目論み、一度は人類を歴史ごと焼失させた魔神王ゲーティア。奴と言う元凶を圧倒的な力で打倒を果たした修司だが、その力を使った反動か─────現在、極度の空腹状態となり、二人の少女に担がれている最中である。

 

空腹で動けなくなった自分を情けないと修司は言うが、立香もマシュもその事を責めるつもりはなかった。

 

というより、そんな暇も無かった。彼の言葉に応えてしまえば、その分速度が落ちる。唯でさえギリギリなこの状況下で走る速度が落ちれば、自分達は奈落の底へ真っ逆さま。カルデア側からの観測の範囲を越え、あっという間に意味消滅まで陥るだろう。

 

「せめて、せめてグランゾンの所まで持ってくれれば……!」

 

 相棒であるグランゾンの下へ辿り着けば、あとはどうにでもなる。かの魔神は此処からよりも更に近く、また回収地点への通り道となっている為、修司にとってグランゾンへの到達こそがゴールだった。

 

「あ、あれは!」

 

「修司さん! もしかしてアレが!?」

 

そんな時、二人から声が投げ掛けられる。必死の中にある確かな希望の声音に、まさかと思い修司も顔を上げると、自分達から数百メートル程離れた所に蒼い魔神が佇んでいる。

 

グランゾンだ。今回の特異点攻略にて英霊達と共に多大な貢献を果たした修司の相棒、主の到着を待ち望んでいた重力の魔神は修司達を見据えるように其所にいる。

 

見えてきたゴールに笑みが浮かぶ。マシュも、立香も、修司すらも、目の当たりにしたゴールを目前に喜悦の色を浮かべる。誰もが、誰一人カルデアの勝利を信じて疑わなかった結末、完全無欠のハッピーエンドは達成される。そう、誰しもが心の底から信じていたからこそ………それに気付けなかった。

 

 ひび割れる大地、一瞬の隆起の後に起こる崩落。遂に特異点消滅の波が立香達を捉えてしまった。

 

誰もが、その光景に唖然となる。此処まで来て、此処まで来ておいて終わるのかと、カルデアも立香も、マシュも修司も思考を停止仕掛けた時────。

 

「フォーーーーウ!!」

 

一匹の獣の鳴き声が特異点に木霊したかと思えば、三人の体は光に包まれ、次に視界が開けた瞬間には蒼い魔神の真上だった。

 

「い、今のは!?」

 

「え? え? あれ!? 今私達落ちてなかった!?」

 

 突然の事態に混乱する立香とマシュ、修司も同様に軽く困惑しているが、直前に聞こえてきた鳴き声に既視感を覚えた。

 

(今のは、お前がやったのか?)

 

一瞬だけ、修司は鳴き声の主に視線を向ける。これ迄幾度となく特異点修復の旅に同行し、時々その存在をアピールしてきたリスとも犬とも似つかわない白い獣。

 

いつの間にかマシュの肩に引っ付いていたソレは、修司の視線に気付き振り向くが……惚けているのか、首を不思議そうに傾けるだけだ。

 

一体この小動物は何なのか。今更ながらの疑問だが………今はそんなことはどうでも良い。

 

「今だ! グランゾンに乗り込め!」

 

到達に訪れた脱出への近道、このチャンスを逃しはしないと、力の入らない腕を伸ばし、三人がグランゾンのコックピットに繋がるハッチに手を伸ばすと同時に………。

 

冠位時間神殿、魔神王ゲーティアの居城である特異点は完全に崩落、消滅するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ねぇ、ダ・ヴィンチ。僕は本当にこれで良かったのかな?」

 

「なにがだい?」

 

 医療担当のトップ、Dr.ロマニに与えられた室内で、彼の独白が綴られる。今回の顛末を乗り切り、やり遂げた組織の代理トップにしてはその表情は些か暗かった。

 

「本来なら、カルデアは魔神王ゲーティアに勝てる道理はなかった。例え英霊達の力を借りた所で、召喚術者でもあるゲーティアに勝つことは殆んど不可能だった」

 

本当なら、魔神王ゲーティアの前に英霊達の援護は魔神柱を抑える程度に留まり、立香もマシュもかの人類悪を前に何一つ勝てる見込みはなく、ただ闇雲に挑み、敗北するだけだった。

 

「英霊達は、魔神王の術によって強制的に送還させられ、立香ちゃん達も敗色濃厚に陥っていた事だろう。そうなったら、奴の第三宝具を防ぐ手立ては限られてくる」

 

ゲーティアに一方的になぶられ、打開策を封じられた彼女達の前に在るのは、絶望と言う壁が立ち塞がっている。英霊達の力も借りられず、膝を折ることしか出来ない彼女達の前には星すら貫く創世の光、魔神王ゲーティアが放つ第三宝具。

 

アレを防げる手立ては、この世の何処にも存在しなかった。マシュの持つ雪花の盾さえ無ければ、藤丸立香の旅はもっと早く潰えていた筈だから。

 

 しかし、結果として誰も犠牲になることはなく、魔神王ゲーティアの第三宝具は打ち破られた。それも、たった一人の人間の手によって。

 

「本当なら、あの場にいる尤もソロモン王に近い者が、出てくるべきだった。彼が己の定義を否定する事で、初めてゲーティアへの攻略の糸口が開かれる。その、筈だったんだ」

 

「けれど、それを彼が………白河修司が全て台無しにした。魔神王を打ち克つ算段を、彼の底力で成し遂げてしまった」

 

 ロマニの気持ちを代弁するように、今度はダ・ヴィンチが口を開く。しかし、その口振りは軽く、ロマニとは対照的に表情は明るかった。

 

「それで? 何もかもを台無しにされた君は、一体何が不満だと言うんだい?」

 

「─────」

 

沈黙。ダ・ヴィンチがカルデアへ召喚されるまで、誰一人信用してこなかったロマニ=アーキマンは、今日まで碌に自分の“次”について考えてはいなかった。自分のやるべき事、成すべき事は決まっている。それは予め決められていた事で、決して覆る事はない呪われた運命。

 

そんな運命(Fate)を、白河修司は打ち砕いた。本人はそんな事欠片も自覚しないまま、無自覚のまま、他人の理不尽すらも捩じ伏せてしまっていた。

 

だからこそ、分からない。こんな自分が、今更残って何が出来ると言うのか。すべての責務から半ば強制的に解放されたロマニは、新たに生まれた問題に答えを出せずにいると……。

 

「まさか君、今更“僕なんかが生きていていいのかな?”なんてセンチな台詞を吐く気じゃないだろうね? 以前、君はマシュに言ったんだろ? 人は意味の為に生きるのではないのだと」

 

「──────」

 

「そもそも、人生10年其処らの若造が死生観を語るなと言うんだ。どうすればいい? そんなの、我武者羅に生き抜いた後にゆっくり考えればいいんだよ馬鹿者め」

 

「…………いいのかな?」

 

「あぁ?」

 

「僕は、生きていて………いいのかな?」

 

 泣きそうな顔だった。これ迄誰一人頼れず、一人で戦っていたロマニ=アーキマン。その重い荷物から解放され、漸く、本当の意味(・・・・・)で生きて良いのかと、すがり付く様に訊ねてくるロマニに。

 

「…………きっと、彼ならばこう言うだろうね。“好きにすれば”と」

 

「っ!」

 

「ロマニ=アーキマン。命が生きることに、誰かの許可は必要ないんだよ。君が決めるんだ。これから君がどうしたいのか、どんな風に生きていくのか。それは、今を生きる君だけの持つ特権さ」

 

 脳裏に浮かぶのは、誰よりも奔放に、自由に、ハチャメチャに生きている山吹色の青年。生きることに誰かの許可は必要ない、それは、ロマニ自身も分かっていた事だ。

 

けれど、それが自分自身の為に使われる事は、生前(・・)から決してなかった。要は、第三者としての視点はあっても、Dr.ロマニには人としての経験が他者と比べて圧倒的に足りていなかったのだ。

 

 人としての10年。全てを費やし、全てを燃やすつもりだった。それこそ、生前から連なる自身の総てを対価にする腹つもりで………Dr.ロマニは、この特異点修復の旅を受け入れていた。

 

それが、全ておじゃん。これ迄、幾度となく自問自答を繰り返し、漸く固めた決意も覚悟も、その全てがご破算となった。

 

それも、たった一人の人間の手によって。

 

「さて、改めて訊ねようか。ロマニ(・・・)アーキマン(・・・・・)、君はこの後……どうしたい?」

 

それは、これ迄とは全く異なる意味に聞こえた。◼️◼️◼️◼️の隠し名としてではなく、正真正銘ロマニとしての名。微笑みながら訊ねてくる万能の天才にロマニは数秒の間を於いて………。

 

「一先ず、皆の迎えに行ってくるよ」

 

 何処か駆け足で部屋を後にするロマニに………。

 

「おめでとう、ロマニ。君の願いは漸く………いや、これから叶うよ」

 

ダ・ヴィンチは笑みを浮かべながら見送るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────走り続けた。慟哭も、嘆きも赦されず、ただ我武者羅に、闇雲に、無我夢中で走り続けた来た。

 

10年。それは、ロマニ=アーキマンにとっての人としての年月であり、経験であり、全てだった。

 

嘗て、人として生きたいと願った◼️◼️◼️。とある魔術師によって喚び出され、願いを叶える戦いに参加したその者は、勝利した権利の全てを使い、たった一人で戦い続けてきた。

 

そう、戦い続けてきた………つもりだった。誰一人相談できず、悩みも明かせず、一人抱えて戦ってきたつもりの男は、あの日から間違いだと思い知らされた。

 

結局、何かを変えられるのは事前に準備していた者ではなく、その瞬間に立ち合い、抗う者だけ。自分の努力と研鑽はただの徒労に終わった。

 

けれど、それを無意味だとは思わないし無価値だとも思わない。何故なら、それを決めるのは他ならぬ自分自身だからだ。

 

頑張ろう。これまでも、これからも。ロマニ=アーキマンという人間は、ここからなのだから。

 

パキンッ

 

「ッ!」

 

 ふと、自身の手の内から何かが割れる音が聞こえた。何かと思いふと立ち止まり、手袋を外してソレを取り出すと………。

 

「────あ」

 

出てきたのは、割れた指輪。円環を司り、魔術的意味合いも計り知れない程に大きい指輪が、真っ二つに割れていたのだ。

 

それを目の当たりにしたロマニは漸く自覚し、実感した。あぁ、本当に自分はロマニ=アーキマンなのだと。

 

それは、破界の傷跡。理不尽、不条理を断罪するハチャメチャ製造機によって断たれた無自覚の一撃。神との繋がりを無かったことにされた◼️◼️◼️◼️は、歴史に刻まれる事はあっても、その存在はこの日を境に─英霊の座”から完全に消滅する事となる。

 

それを、ロマニ=アーキマンは知る事もない。ただ確かなのは、今後◼️◼️◼️◼️が表舞台に現れる事は二度と在りはしないという事。

 

恐らくは、これこそがロマニ=アーキマンに課せられた対価なのだろう。人として生きていく以上、もう過去の自分には頼れない。

 

なのに、ロマニの表情は曇ることはなく、割れた指輪を大事そうに握り締めると………再び走り出した。

 

 辿り着いた先に在ったのは、一つの扉。それはこのカルデアと外界を繋ぐ、出入口。

 

確か、このカルデアの空は年に数回晴れる事があるという。天気や気候の条件もあり、滅多にお目にすることはない現象だが、万能の天才であるダ・ヴィンチは観測し、その結果を時間神殿攻略前に聞いていた立香達は、一足早く外へ出ているのだという。

 

 カルデアという施設に入ってから、マトモに空を見上げた事もない。最後に空を見上げたのは何時だろうと、そんな事を考えながら扉を開くと………。

 

「わー、久し振りに見たなぁ、青空。どうマシュ、初めて目にした青空は?」

 

「────とても、とても綺麗です。これが、私達の時代の青空。光帯のない、本物の空なんですね」

 

「いやぁ、極寒の地で食べるおにぎりも、中々乙なもんだねぇ。シンプルな塩加減が胃に染みる」

 

「もう、修司さんてば台無しーって、ドクター?」

 

 青空の下で、太陽を見上げながら笑い会う三人。マシュはいつもの私服に、立香はいつものカルデアの制服、そして、山吹色の胴着を着た修司は握り飯を片手に、それぞれ空を見上げていた。

 

染み渡っていた青空。この10年の記憶の中で何れも該当しない美しい世界の景色に、ロマニは言葉を失っていた。

 

 世界は、こんなにも美しい。人としての10年を得ながら、それを顧みない生き方をしてきたロマニが抱いた最初の感想。

 

ふと、涙が溢れた。ポロポロと、塞き止めていた何かが壊れ、溢れ出てきた感情。一方で、突然泣き出したロマニにギョッとなる三人。

 

嗚呼、駄目だ何かを言うつもりだったのに、考えていた全てが消し飛んでしまった。一体、自分は皆になんて伝えたかったのか。溢れ落ちる涙を拭い、鼻水を啜りながら顔を上げ、ロマニ=アーキマンは最初の一言を告げる。

 

「みんな! おかえり!」

 

 果たして、今の自分はちゃんと笑えているのか。それとも、泣いているのか。顔をぐちゃぐちゃにしながらも真っ直ぐに見据えてくる所長代理に。

 

三人は、一瞬だけキョトンと顔を見合せて………。

 

「「「ただいま!」」」

 

ロマニ=アーキマンと同様、青空の下で笑顔の華が三つ、咲き誇った。

 

 

 

 

 

 

 

 

─────人理修復・完了─────

 

 

 





Q,この後、カルデアは何してたん?

A,人理修復が完了したことで外部との繋がりが可能となり、これ迄の特異点に関する話等で世界中がてんやわんやする模様。

ただ、今は皆、勝利の宴に酔いしれている

Q,今後、ボッチはどうするの?

A,一度は人理焼却が為され、滅ぼされた人類。今後は修復された際に引き起こるとされる微小特異点の修正の為に、もう暫くはこの世界に滞在する模様。

今後は、のんびり日常を謳歌しながらカルデアでの生活が描かれるかもしれません。

サーヴァント達とのドタバタ喜劇、お楽しみに!



















全てが消え失せ、全てが消滅した世界。何もかもが失った世界に、一つの玉座が佇んでいた。

王の帰還を待つように、玉座に鎮座する九つの指輪。何れも、かの王が持っていたとされる指輪だが………其所には一つだけ、一冊の手帳が置かれていた。

九つの指輪と、一冊の手帳。いっそ場違いとすら思われる手帳に………ふと、誰かの手が延びる。

「やれやれ、漸く回収出来たか。我ながら、手間の掛かった事だ」

自身の手帳(・・・・・)を拾い上げると、男はそれ以上語ることなくその場から立ち去る。

「さて、情けなくも俺が介入する余地なく人理修復は成し遂げられた。今後はより面倒臭い奴等が出てくるが………まぁ、彼等ならなんとかなるだろう」

「あぁ、分かっているよ。君との約束は可能な限り遵守してやるとも。だから────もう少し待っていてくれよな」

「─────E君」











←To Be Continued,With NeXT Stage………。





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