『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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久し振りの日程パート。

日常的な話ですが、あるキャラの扱いが悪かったりします。

どうか、ご了承下さい。





その114

 

 

 

√γ月δ日

 

 第六の特異点の修復も完了し、レイシフトから帰還した翌日。自分達は例に習って医務室で簡単な検査を済ませると、ロマニから暫くは安静する様にと強く言い渡された為、今日は大人しく過ごしておくことにした。自分は別に通常業務に戻っても構わないのだが、そうすると立香ちゃんも素直に休めなくなる為、絶対に安静にしていろとロマニから強く言われてしまった。

 

本当ならカルデアに残っていたGNドライヴの作業を片付けたかったのだが、所長代理に言われてしまっては仕方がない。ので、今日はダラダラ過ごす事にした。具体的には、カルデアに在籍するサーヴァントやスタッフの皆と色々話をしたり、食堂や娯楽区画でまったりするなど、所謂暇潰しだ。

 

 そして、ロマニの指示によって適当に休日を満喫していたのだが、今更ながらある事実に気が付いた事がある。

 

このカルデア、サーヴァント同士によるコミュニティが形成されているのだ。あらゆる神話体系問わず、あらゆる時代の伝説的英霊英傑が集うカルデアだが、如何にサーヴァントと言えど元は人間。こう言った事になるのは前から分かっていたとはいえ、改めて見るとこれが中々に面白い。

 

ギリシャ勢は主にケイローン先生を中心にヘラクレス、アキレウスなど大英雄が集結して結構和気藹々としている。

 

インドは専らラーマ君が主要人物扱い。本人は其処まで乗り気じゃないのだが………まぁ、仕方ないよね。カルナやアルジュナと言ったトンチキ組を御せるのは彼位しかいないし、元々一国の王だった事からまとめ役がうまかったりするのだから、こう言う立ち位置になるのはある意味必然と言えるだろう。

 

………ただ、何故かインド勢には時折絡まれたりするんだよなぁ。自分を矢鱈と破壊神シヴァと関連付けようとしてくるし、そんなに似てますかね? いや、神と思われても困るんだけどね。

 

 そんで、エミヤやブーディカさん、頼光さんや清姫ちゃん、他にも玉藻さんなど料理組は日々その腕前をスタッフの人達に披露させている。皆普通に料理が出来るし、エミヤに至っては既にカルデア料理長の座に君臨してしまっている。いつの間にか、コック帽も被るようになってきたし、実はアイツこういうの好きだったりするのではなかろうか?

 

そうそう、料理と言えば意外にも黒髭も料理出来たりするんだよな。しかも海賊組の中では最上位級、しかもエミヤ曰く、その腕前は厨房の臨時コックを任せられる程なんだとか。

 

更に詳しく聞くとあれがカルデアに召喚されてから身に付けた技術らしい。黒髭の大雑把ながら味のある味付けは子供組に結構人気らしく、アステリオスやジャックちゃん達が美味しそうに炒飯を頬張っているのを見たことがある。

 

其処へ更に裁縫とかの器用さもあるものだから、大したものだと素直に思う。しかもヴラド公に伝授されたというから、色んな意味で凄まじい。………実はこのカルデアに召喚されてから一番楽しんでいるの、アイツじゃね?

 

 と、まぁそんな感じで現在のカルデア事情を書き込んで見たのだが、他にもまだまだ書きたい事はあるし、今後更にそう言う話は増えていくだろう。

 

サーヴァント。時代の立役者である英霊達の残滓、人は彼等を幽霊やら人類の歴史に刻まれた染み、なんて言うけれど、自分はそうは思わない。彼等に刻まれた知識や知恵、力と技は間違いなく本物で、彼等には心がある。

 

だから、自分は彼等と対等に接しよう。彼等が自分達に力を貸し、人類を手助けしてくれる限り、自分も真摯に向き合おうとしよう。

 

 

 

 

√γ月√※日

 

 ロマニから安静の任が解かれ、いよいよシャドウボーダーにGNドライヴを取り付けようとした今日、作業自体はカルデアの技術職員と一部のサーヴァント達の協力のお陰で滞りなく進み、後は稼働実験を幾つかこなしていく段階という所まで進む事ができた。

 

協力してくれた技術職員の皆には勿論、ニコラさんやエジソンさん、バベッジさん達には感謝しても仕切れない。彼等が一人でも欠けてしまったら、作業効率は著しく低下していた事だろう。

 

まぁ、途中何度か直流交流論争と話が脱線し、その都度エレナさんに仲裁して貰ったのも────いい思い出だと思うことにしよう。

 

シャドウボーダーとGNドライヴの連結の方も、自分がレイシフトしている間にバベッジさんが予め用意しておいたプログラムを入力してもらったお陰で不具合なく進むことが出来た。

 

これで、例のシステムの発動とシャドウボーダーとの同調、運用を試していくだけになった。とはいえ、此処からが正念場だ。マシュちゃんの体を完全に治すまで最後まで油断せずに行こう。と、締めくくり今日の作業は終了。それで今回の活動は終わりにしようという所に………アイツ等が来た。

 

 円卓の騎士である。先の第六特異点にて、自分は当然ながら立香ちゃんにも出来てしまった因縁という名の縁に招かれ、彼の円卓の騎士達が召喚に応じてくれたのである。

 

特異点で出会った彼等と、カルデアに召喚された彼等は基本的には別人。だから自分達も因縁に囚われず、他のサーヴァント達に対しても同様に、暫くは大人しく静観しておこうという感じに立香ちゃん達と話し合って決めたのだが。

 

どういう訳か、彼等はカルデアの記録保管所(アーカイブ)にアクセスし、その結果第六特異点での自分達の所業を目撃しすると、自分や立香ちゃん、マシュちゃんを見掛けるたびに謝罪をする事になった。

 

音に聞く円卓の騎士が、自分達を見掛けるたびにジャンピング土下座をしてくる始末。太陽の騎士であるガウェインに至っては、自ら聖剣で鉄板を焼いてセルフ焼き土下座をしてくる始末。しかも厨房にある鉄板を拝借しての暴挙だから、これには料理組も大激怒。

 

 因みに、鉄板を貸したのはブーディカさんだった。何でも深刻な表情で貸してと言うものだから、つい貸してしまったんだと。こんな事に使われるなら事前に止めていたと嘆く彼女に、責めるのは流石に憚れた。

 

そんな、色んな意味で空振る円卓の騎士達。自分は既に踏ん切り着いているし、立香ちゃんマシュちゃんも気にしていないという。それでもだけどしかしと喚く円卓の騎士達を纏めあげたのは………他ならぬ騎士王である。

 

騎士王であるアルトリアさん。彼女の「己の失態を嘆くのではなく、次で挽回するように最善を尽くせ」という一言に円卓の騎士達は沈黙した。いやー、流石は騎士王。言うべき所はしっかり分かっている。

 

 折角円卓の騎士という強力なサーヴァントの戦力を得たのだ。今にも自害しそうな彼等を現世に留めるように説得してくれたアルトリアさんには、感謝しかない。

 

で、その後は円卓勢も他のサーヴァントとは仲良くなり、今ではすっかりカルデアに染まっている。

 

因みに、モードレッドは第四特異点のロンドンで出会ったモードレッドだった。珍しい記憶持ちのサーヴァントであるモードレッドは、第六特異点での自分の行いを見たあと───。

 

「俺なら殺されてでも反逆してるね。三蔵って奴と俵とか言う弓兵には悪いことをさせた」

 

と、第六特異点の自分の姿を見て落ち込み、後に召喚される二人に頭を下げていた。いや、良い子かよ。

 

 因みに、そんな良い子な反逆の騎士は、たまにエミヤや黒髭から料理を学んでいるらしい。何でも、いつか父上に自分の手料理を食べて欲しいのだとか。いや、良い子かよ。

 

そんな、騒がしくも楽しい我等がカルデアに、遂に獅子王が召喚されました。あの特異点の事を覚えている訳じゃないから、いつも通り別人として接する事にしたのだけれど………。

 

はてさて、これからどうなる事やら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

√γ月√Δ日

 

 どうも、先日獅子王に絡まれ、ふとした論争からギャン泣きさせてしまった男、修司です。

 

いや、違うんや。別に泣かせるつもりはなかったんや。ただ、なんかやたらと王の在り方とか統治について自分と論じたいと言うものだから、仕方なく付き合う事にしたのだ。

 

そしたらまぁ止まらない止まらない。言葉を選んだ上での指摘のオンパレード、太陽王を筆頭に数多くの為政者サーヴァント達を例題に上げ、当時の彼女の統治の拙さを問い詰めると、獅子王の表情は次第に軟化。

 

更に表情筋は歪み、最終的にギャン泣きさせてしまうと言う結果に終わってしまった。いや、泣かせるつもりはなかったんよ? 俺は別に獅子王を憎んでいた訳じゃないし、どちらかと言えば義憤。神霊となった獅子王の振る舞いが許せず、感情のままにぶちのめしただけ。

 

だから、カルデアに召喚された獅子王を同一視するつもりはない。その後は何だかんだ獅子王とも和解し、立香ちゃんに力を惜しみ無く貸すと言う事で、今回の話は終了─────の、筈だった。

 

 なんか、ヒロインX? を自称するアルトリアがやって来た。なんか、立香ちゃんが微少特異点でアルトリア・リリィと出会い、彼女をスカウトするとついでに付いてきたらしい。

 

で、何故かこの暗殺者、セイバークラスのサーヴァントを見付けては闇討ち紛いの事をするらしく、しかも一切の反省もしないという徹底ぶり。そんでこのヒロインXはクラスはアサシンの癖にセイバーを名乗る頭のおかしい奴だったりする。

 

 そんなヒロインXにセイバークラスのサーヴァント達はタジタジ、仕方がないので自分が対応する事にした。

 

とはいえ、彼女も立香ちゃんの呼び掛けに応えてくれたサーヴァント、人理焼却を阻止する為に駆け付けてくれた彼女を、頭ごなしに否定する訳にはいかない。

 

自分は白河修司、あの英雄王の臣下の一人として暴力に訴えるのは良くない。向こうは自分達の召喚に応じてくれた大切な英霊、扱いを軽んじる訳にはいかない。

 

そんな訳で彼女のいるシミュレーターへ到着、怯えるネロやカエサル、ジークフリートを逃がし、自分は彼女との対話を試みた。

 

 最初は、やっぱり挨拶。挨拶は大事だ。自分は開発職の人間だったが、他社との連携を図る際は第一印象を武器にして交渉に挑んだもの、おかげで営業スマイルもそこそこな自分ならば、きっとシドゥリさんの様に事を上手く運べると………心のどこかで自惚れていたのだろう。

 

「失礼します。ヒロインX様、この度は我等の呼び掛けに応じて下さり、誠にありがとうございます。僭越ながら、お部屋をご用意しておりますので、どうかそちらでゆっくりとお寛ぎ下さい」

 

我ながら、完璧な対応だと思う。格好こそは胴着のままだけど、英霊というある種の国の代表を相手にするのに一切の不快感を与えない低姿勢な振る舞いだと思う。

 

初対面の相手ならば、大抵は聞いてくれる振る舞い。あの礼儀作法に厳しいニトクリスさんも合格をくれた自分の低姿勢に対し………。

 

「私以外のセイバーぶっ殺す!」

 

 と、半ば錯乱状態殴り掛かり、あまつさえ手にした聖剣みたいな獲物で斬りかかってきたのだ。

 

………まぁ、ね。俺もこれ迄色んな聖剣魔剣をへし折った来たよ? 相手の得物を、結構な頻度でぶち壊してきたっけ。

 

特異点とは違い此処はカルデア。味方となるサーヴァントの武器を破壊する訳にはいかない。しかも向こうはアルトリアさんと同じ顔をした英霊だ。以前獅子王というアルトリアさんの成体の顔を殴り飛ばしたばかり、同じ顔をしたヒロインXさんの顔を殴るのには少しばかり抵抗があったりする。

 

だから───首をへし折る事にしました♪ ラリアットでシミュレーターにあった適当な岩盤に、ヒロインXを叩き付けた。

 

その後はナイチンゲールさんのいる医務室へポイ。サーヴァントなんだ。加減はしたし、この程度の負傷くらい直ぐに治る事だろう。

 

 以降、ヒロインXさんは無闇にセイバークラスのサーヴァントに噛み付かなくなり、今ではすっかり大人しくしています。

 

やっぱ、対話って大事だね!

 

 

 

───追記。

 

アルトリア・リリィさんからメチャクチャ恐がられるようになりました。うん、彼女の目の前でやっちゃったからね。仕方ないね。

 

 




Q.ヒロインXって、こんなに凶暴なん?

A.自分の中のヒロインXに対する印象はこんな感じ。

ただ、今回はイベント直後にカルデアに召喚された為、気性が荒くなっていたという不幸の積み重ねでこの様な結果になってしまいました。

ヒロインXファンの皆様、すみません。

Q.マシュの魔改造は?

A.もう暫くお時間を!(パラガス風味)


それでは次回もまた見てボッチノシ




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