『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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済まない。Aチームを好き勝手書くのが楽しくてついやってしまった。

原作開始はもうすぐなので、どうかもう暫くお時間を!(パラガス

そしてヒナコファンの皆様ごめんなさい。


その4

 

 

α月√日(さっきの続き)

 

 いやー、今日は久し振りにはっちゃけたわ。まさか聖闘⚪星矢の話で彼処まで盛り上がるとは思っても見なかったわ。士郎も慎二もアニメはあまり見ないみたいだし、こう言う話題で話す時はあんまり無かったから、ついつい夜遅くまで騒いでしまった。幸いなことにここってプライベートを尊重する作りになっているのか結構な防音措置もされているらしく、あんなに騒いでも誰も文句を言いに来る人はいなかった。

 

しかも途中ペペさんがカドック君とオフェリアちゃんを連れて遊びに来たから話はドンドン弾んでいく。つーかペペさんや、いきなり女の子をこんな男ばかりの部屋に呼んじゃ駄目でしょうよ。ご禁制ですよご禁制、まぁペペさんが終始ガードしていたから別に良いけどさ、今度女子を呼びに来る時は予め話しておいて欲しいよね。サプライズ? やかましいわ。

 

しかし、まさかカドック君にあんなに見事なツッコミが出来るなんて思わなかった。自分もツッコミの腕はそこそこあると自負しているが、彼のソレには到底及ばない。キリシュタリアの適度に交えてくるボケに対して悉く鋭く返すものだからその才能は最早疑いようがない。

 

というか、その能力の高さにキリちゃん悔しそうにしてたっけ。終いには『カドックばかりズルい』なんて拗ねる位だ。結局その日は上映会は途中で終了、オフェリアちゃんという女子がいる以上あまり無茶は出来ないという事でお開きになった。

 

 皆がそれぞれの自室に戻ろうとする最中、ペペさんにある質問をされたのだが………これが良く分からなかった。

 

『どうして貴方はそこまで強くなれたの?』

 

普段のペペさんとは違い真剣な様子だったこの人に自分は戸惑いながらも返した。

 

『強くなろうとして強くなったんじゃない。ただ強くなりたいと願っただけだ』

 

 あの日、燃え盛る炎の中で王様と出会えたから今の自分がいる。父と母に生かされ、その果てに今がある。自分から大事なものを奪う理不尽が許せない、自分から大切な人を奪う不条理が許せない。降り掛かる絶望をはね除ける為、多くの人の手を借りて、その上で自分は今ここにいる。

 

王や皆からの期待、そう言ったものに応えたいというのも勿論あるが、やはり一番の理由は自分がそうありたいと心から願っているから、だからこそ自分はここまでこれたのだと思う。

 

そんな自分の言葉にペペさんは納得してくれたのか、先程までの神妙な雰囲気は何処へやら、次の瞬間にはいつものペペさんへと戻り、賑かな笑みを浮かべて自室へ戻っていった。

 

 ………やっぱ、ペペさんも魔術師なんだなぁ。表情こそは穏やかで笑顔のままだったけど、まるで考えが読めなかったんだもの。社会に出て自分なりに人の機敏ってのには読めると思ったんだけど、ああいうのを目の当たりにすると自信なくすわぁ。まぁ、ああいう事ができるのはペペさんの人生経験故なのだろうけど。

 

キリシュタリアも帰ったし、明日も何かしら検証やらなにやらをやるみたいだし、自分ももう寝るとしよう。

 

 

 

α月*日

 

 魔術師って、ある意味で分かりやすい人種なんだなぁと、朝に身支度をして通路を歩く際に最初にそんな事を思った。

 

昨日、自分の実力を知る為に半ば魔女裁判気味に行われた模擬戦はどうやら思っていた以上に効果があったらしく、あれほど自分に罵詈雑言の嵐を向けてきた他のチームの魔術師達は揃いも揃って何も言わなくなっていた。別に力をひけらかすつもりはなかったし、同じ危機に立ち向かう仲間なのだから、そんなに怯えた目で見なくてもいいだろうに。

 

そんな呆れにも似た感情を抱きながらカルデアの憩いの場の一つ、大食堂へ訪れるとここ数日で聞き慣れた声が投げ掛けられてきた。ペペさんだった。

 

どうやら自分が来るのを待っていてくれたらしい。手を上げてこっちよー!と呼び掛けてくれるペペさんを有り難く思いながら朝食を乗せたトレイを持って近付くと、意外な人物も同席していた。

 

 デイビット君だ。いつも無表情でペペさん以上に考えの読めない彼が、どういう訳か自分と同席する事になった。てっきり、最初の自己紹介でカドック君やオフェリアちゃんと同様に呆れられているのかと思ったけど、なんか自分に聞きたいことがあるらしい。

 

その聞きたい事と言うのが、自分が本当に此処へは一人で来たのか。というのだが……正直、自分には彼の質問の意図するモノが今一つ理解できなかった。

 

もしかしたらアレかな? カルデアのスタッフを始めとした人材の多くが前所長のマリスビリーがスカウトした人達らしいから、そう言う意味で聞いているのかな?

 

 だとしたら答えは多分NOだ。自分は確かにカルデアからの要請でこの施設へやって来たが、別にマリスビリーと直接面識がある訳ではない。ただそういう話があるから出頭しろという王様の命令だから此処へ来たのだし………そもそも、この世界のマリスビリーがこの世界の自分とどういう接点があるのかすら分からないのだ。

 

それを言えばじゃあ何で出頭の命令が来てるんだよと言うそもそもの話になるのだが、それこそ自分には分からないことだ。王様が何らかの手段で並行世界と繋がりを持ったのかもしれないし、ゼルレッチのお爺さんなら何か知っているかもしれないけど、今ではもう分からない事だ。

 

 だからデイビット君にはカルデアからの出頭命令で来たと、あるがままに答えることで納得してもらう事にした。デイビット君もそれで納得したのか、分かったと一言だけ呟いて朝食を食べ終えるとさっさと自室へ戻っていってしまった。

 

しかし、何だって彼はそんな事を聞くのだろう? 一瞬不思議に思ったが………デイビット君って、もしかして普段は重力の渦の中に隠している相棒の事に気付いてる? …………ま、まさかねぇ?

 

 そんでもってその後はAチームの皆からそれぞれ魔術に関する大まかな勉強をする事になったのだが………いやぁもう訳わかんないね。ルーン文字とか陰陽道の事なら何となく理解できるけど、キリシュタリアの扱う占星術が全く意味分からなかった。

 

こんな複雑で訳の分からないモノ、良く扱えるなぁと感心すると、君だけには言われたくないと笑顔で返された。なんでさ。

 

その後、取り敢えず自分には魔術の才能が殆んどない事が明かされただけに終わり、この日は解散となった。

 

俺、此処へ来て碌に活躍してないんだけど、このままでいいんかねぇ? いや、意外と居心地が良いからそんな気にしてないんだけどね。

 

 

 

δ月∂日

 

 今日、凄い人に出会した。取り敢えず今日も今日とで検査やらなにやらと色々とこなして、一通りやり終えた自分が施設内部の把握をする為に散策していたんだけど、何となく気になった部屋へ入ってみると、其処には絶世の美女がいたのだ。

 

て言うかモナ・リザがいた。あの世界的にも有名な絵と瓜二つな女性にその時の自分は酷く驚いた。するとその女性は自分の反応に大層満足したのか、ケラケラと笑いながら自己紹介をした。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチ かの有名な万能の才人として知られる人物が、まさかのモナ・リザの姿でこの部屋────工房に居を構えていたのである。

 

 何でもこの人はカルデアでのサーヴァントとして召喚されたらしく、(システム・フェイトだっけ?)諸々の事情で在籍し、カルデアの為に一肌脱ぐことにしたらしい。

 

そんな彼女に自分も自己紹介をと思ったが、どうやら一昨日の一件で自分の事は知っていたらしく、その必要はないとやんわり断られた。

 

そして一番気になっていた姿について聞いてみると『人は誰だってより美しいモノに惹かれるモノだろ?』なんて分かるような分からないような曖昧な答えを返される。つまりなんだ。このダ・ヴィンチちゃんはモナ・リザの姿に心酔するあまり、あの姿で召喚されたらしいのだが………うん。まぁ、人の趣味趣向は人それぞれだからね、他人が口出すのは止めておこう。

 

 そうしてダ・ヴィンチちゃんと色々と話す内に言われたのだが、もし何か造って欲しいモノがあれば遠慮なく言って欲しいと言われたのだが、正直自分にはあまり必要とするものはない。精々が鍛練や戦闘の時に着るいつもの胴着を忘れていたのが悔しかった位で……もしかして、このダ・ヴィンチちゃんならそう言う服も作れたりするのだろうか?

 

なら一つ仕立てて欲しいモノがあると頼もうとした所、キリシュタリアがカドックと一緒にやって来た。というか、何やら凄い剣幕でキリシュタリアを引き留めようとしていた。

 

 何でもこのキリちゃん、自分が手に持つ杖を某リリカルでマジカルな変形機能搭載型の魔導ステッキに改造して欲しいと依頼しに来たらしい。いやなにしてんねんお前。

 

お前のその杖って大事なモノじゃないんかい。先祖代々から伝わる一子相伝の杖とかじゃないんかい? と、自分なりに至極当然の質問をすると、だからこそ次代の後継者の為に新しい仕様にしてやるのさと正論(?)をぶつけてきた。

 

カドック君はしきりに止めろと叫んでいるが、キリシュタリアはそのつもりはないらしい。しかもダ・ヴィンチちゃんも面白そうだと悪ノリするものだからもう手が付けられない。

 

 取り敢えず自分はこの場をカドック君に任せて食堂で麻婆豆腐を食べることにした。今日の麻婆はいつもよりちょっと美味しかったです。

 

その後、工房の前を通り掛かるとオルガマリーちゃんとDr.ロマンの二人に正座させられて説教食らってるダ・ヴィンチちゃんとキリちゃんを見た気がしたけど……うん、気の所為だな。

 

 稀代の万能者と魔術師がたん瘤作ってる姿なんてなかったんや。

 

因みにその後、カドック君の密告により自分も同罪であると見なされてオルガマリーちゃんから説教食らいました。おのれカドックゥ!

 

 

 

δ月α日

 

 今日は久し振りに遭遇したフォウ君を愛でる一日でした。このフォウ君、フォウと鳴くから勝手に自分がそう呼んでいるけど、この小動物って本当に不思議な生き物でこれ迄自分が目撃してきたどの生命体とも全く異なった生き物なのだ。

 

犬や猫にしては小柄だし、リスにしては色々と違いすぎている。そう言えば魔術世界には幻想種なる生物もいるみたいだし、この小動物もその類いの生き物なのかな? なんて思いながらもお腹をコチョコチョと擽っていると、マシュちゃんがやって来て驚いた表情をしていた。

 

何でもこのフォウ君、人に対して結構な警戒心の強い生き物らしく、自分以外にこうして無防備な姿を晒すことは殆んどないと言う。

 

 それはそれとしてどうしてマシュちゃんは此処にいるのだろう? 確か彼女ってDr.ロマンが担当している娘なんだよね? 最初にあったときも医務室だったし、何か病気を抱えたりしているのだろうか?

 

とはいえ、年下の女の子にそんなズケズケとモノを言うのはアレなので、適当に話を合わせることにした。何処かへ行くのかと訊ねると、どうやらマシュちゃんは図書室に用事があるらしいので、自分も何処にあるのか把握したかったし、折角だからと自分も其所へご同行願うことにした。

 

最初は拒絶されるかと思ったけど、意外とマシュちゃんは受け入れてくれた。というより、その方が効率的ですねと同意する感じだった。………なんと言うか、色々と心配になる娘である。

 

 と言うか、図書室なんてものがあったのねここ。この施設ってデカイ割りに案内板が少ないから未だに何処に何があるか把握仕切れていないスタッフがいるくらいだし、何なら自分も一度だけ迷った程だ。

 

フォウ君を頭に乗せて図書室へ向かうと、そこはビッシリと本に囲まれた所に出た。いや、図書室というより図書館じゃねここ?

 

 そして取り敢えず目的の場所に送り届けると、フォウ君を彼女に預けて自分はその場を後にしようとした時、ふと気配を感じた。

 

振り返ると、先程自分達が通ってきた所に物腰柔らかそうな男が立っていた。モスグリーンのタキシードとシルクハットを着用した如何にも紳士然とした男は自らをレフ=ライノールと名乗った。

 

どうやらこの男はこのカルデアに於ける重要なシステムを造り上げた人物でDr.ロマンとは学友の間柄だったらしい。

 

口調や態度こそは魔術師とは思えない物腰の柔らかい人だったが……何故だろう。俺には彼の笑顔が別の何かを隠す為の作為的なモノに見えて仕方がなかった。

 

 ペペさんやキリシュタリアの様な心から楽しむ笑顔とも、ベリル君やカドック君の様な皮肉の混じった嘲笑とも違う。まるで此方を見ているようで見ていないその笑顔にどうしても俺は違和感を拭えなかった。

 

故に、失礼なことだと自覚しながら訊ねた。一体何に苛ついているんだと。

 

すると、奴の顔から一瞬だけ表情が消えた。まるで激情を吹き起こす前触れの様な貌、この時俺は理解した。先に俺に向けていた嫌な視線の主はこいつなのだと。

 

何故そんな奴が此処にいるのか。自分に? それとも図書館にいるマシュちゃんに? 魔術師が何を考えているのかは知らないが、敵対するのなら容赦はしないと、自然と俺の体も戦闘体勢に移しつつあった。

 

そんな時だ。偶々図書館に来ていたらしい芥ヒナコさんが『なにしてんの?』と声を掛けてくれたお陰で場の空気は一気に弛緩されていき、緊張も適度に解れていった。

 

 その後はお互い何も言うことなく、軽く挨拶だけを済ませてレフ=ライノールと別れた後、俺はヒナコさんに奴について訊ねた。

 

けれど、彼女も奴についてはそんなに詳しくはなく、自分と同じDr.の学友という事以外知らないらしい。この分だとキリシュタリア達も同様かなと一先ず奴に対する深追いは止めておくことにした。

 

そして、一応助け船を出してくれたヒナコさんに何かお礼をしてやりたかったのだが、そんなものはいらないと一蹴されてしまった。ならせめてと今人気のあるあのアニメの公式続編の映画をオススメしておくことにした。新たに出てきた破壊神という新キャラ、キリシュタリアやペペさん、カドック君にはイマイチ受けが悪かったけど、ヒナコさん独身OLみたいな所あるし(普通に失礼)きっと猫とか好きそうだよな。なんて理由で趣味を押しつけておいた。

 

 まぁ暇潰し程度に軽く観てくれればいいし、興味が

無ければそれでいい。これで話のネタの一つにでもなればいいやと思いつつ今日はこれで終わろうと思う。

 

 

 

PS.

俺の部屋、最近密度高くね? 最初はキリシュタリアだけだったのにペペさんも来るし、最近はDr.も来るようになった。どうやら彼、プリ⚪ュアが好きらしい。特に初代。

 

何でもマギマリとやらがプリキュアを推してて、それに興味を持って覗いてみたら見事に嵌まったらしい。ここの人、日本のサブカルチャーに嵌まりすぎじゃない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────翌日。

 

「なっ! 正気か芥ヒナコ! どうして君ほどの聡明な者があんなポッとでの新キャラに心酔するんだ!?」

 

「ハッ、負け犬風情が吼えるんじゃないわよ。所詮あの主人公は三下。イケボでナイスガイな破壊神様に勝てる道理はないのよ! 身の程を知りなさい」

 

「くっ、それでも、それでも私は信じてる! きっと彼は、私達の偉大な主人公は、きっといつか破壊神だって超えてみせる筈だ!」

 

「不様ねぇキリシュタリア、自分が信じてたモノに裏切られて……ねぇどんな気持ち? ねぇねぇどんな気持ち?」

 

「く、くぅぅぅぅ!!」

 

 僕達Aチームのクール眼鏡女子は一晩の内に自身のキャラをかなぐり捨てて、ビ⚪ス様の大ファンになってました。

 

「キリシュタリアといい芥ヒナコといい、この映像媒体にはそこまでの強制力があるのか? いや、白河修司という前例がある以上、俺も一度目を通すべきか?」

 

「止めてくれデイビット。お前までそっちに行かれたらいよいよ僕は挫けそうだ。そしてペペとベリルゥ! アンタ達も何時までも笑ってないで止めるの手伝え! オフェリアも何時までも現実から目を背けてるな!」

 

「「~~~~~~っ!!!」」バンバンッ(笑いすぎて声が出ない)

 

「私は、私は輝きを見ない………見たくなかった」

 

現在自分達はラウンジにいるのだけど………まぁカオス。普段なら絶対に有り得なかったAチームの光景に他の魔術師達も呆然。これが人理を守護するトップチームなのだからまぁそうなるのも分からなくもない。

 

 けれど、今日の自分達は昨日の自分達よりも少しだけ距離が縮められた気がする。バラバラだった思惑が表面上だけでも固まるのなら、こう言う日常も悪くはない筈だ。

 

そう思うだろ? アンタも(唐突のスクラ⚪ド)

 

ピンポンパンポーン。

 

『白河修司、大事な話があるから今すぐ所長室に来なさい! 5秒以内に来なかったら八つ裂きにしてやるんだから!』

 

「なんで!?」

 

 

 

 




次回、始まる運命(予定)


それでは次回もまた見てボッチフォウ!

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