『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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グリッドマンやウザメイド、今期のアニメは豊作が多くて何よりです。

アカネたんの太股に挟まれたいと思うのは自分だけではない筈。

そして今回の話ですが、ちょっと無理矢理感が強いかもです。ご注意下さい。




その19

 

 

 

√月β日

 

ロキ・ファミリアのベート君が自分の家に訪れてから更に時間が流れた。その間もここ迷宮都市オラリオでは様々な出来事があった為、今回はその事について自分視点で説明しておこうと思う。

 

まずは、ラキア王国の侵攻について。何でもこのラキア王国は一柱の神によって振り回され、定期的に迷宮都市に戦争を吹っ掛けて来ているのだとか。で、今回もその神によってラキア王国はオラリオに侵攻し、オラリオ側も最強の派閥の一角であるロキ・ファミリアや他複数のファミリアで迎え撃った。

 

数と規模はテルスキュラよりも圧倒的でその数は千を上回っているとか。その全員がアレスの恩恵を受けて冒険者並の戦闘能力を有している為、決して侮れない相手ではある。戦争は数、その言葉はこの上なく正しいが、それはその数を的確に且つ有効的に活用できてこそ意味があるモノ。ただの突撃一辺倒ではまるで意味がない。

 

これがルルーシュ君やシュナイゼルだったら幾らでも逆転の一手を指せるものだけど、生憎アレスという神は脳筋らしく、その様な搦め手を仕掛ける程の考えは持ち合わせていないらしい。ソイツの副官や仕えている人は本当に気の毒に思う。

 

で、結局今回の戦争もオラリオ側の勝利に終わり、ラキアの戦士達はトボトボと自国へと帰っていった。その裏ではヘスティア・ファミリアのヴェルフ=クロッゾ君が何やら不穏な気配に巻き込まれつつあったが、仲間であるベル君達の活躍によりどうにか乗り切れたみたいだ。

 

そうそう、そのベル君達だけど何だか最近またレベルを上げたらしく、現在メキメキと頭角を表す新勢力として注目されているみたいだ。彼等には少なからず関わりのある自分としては何とも嬉しい話である。

 

レベルアップと言えばソーマ・ファミリアの人達もチラホラと上がっている。ベル君達と比べ話題性はそこまでないから注目されてないが、これも自分にとって嬉しい話題の一つである。

 

と、まぁラキア王国との戦争話はこれで終わり。終わってしまえば然程面白い所はなく、どちらかと言えば今回はベル君達やソーマ・ファミリアの人達のレベル昇華(アップ)の話の方が大きい気がする。

 

………そして、これは完全に蛇足なのだが、ラキア王国がオラリオに戦争を仕掛けて来る間自分はバーチェとか言うアマゾネスの女性に終始追いかけ回されていました。ハイ。

 

追いかけ回されたと言うより、付け回されたという方が正しい。ラキア王国やヴェルフ君に関しては今回自分の出る幕はないと思い迷宮都市の街を散策していたのだが、行くとこ行くとこ彼女に出会してしまうのだ。しかも物陰からソッと見つめてくる感じで。

 

流石に不気味に思い何度か問い詰めようとしたのだが、もし自分の思い違いだと思うと言い出しにくく、結局最後まで放置してしまったが今思えばアレ完全に俺をストーキングしていたよな!? ボッチ特有の自意識過剰による弊害かなって自分に言い聞かせていたけど、アレ絶対ストーキングだよね!?

 

いや、でも別に襲い掛かってくる様子はなかったし、アマゾネスは自身が伴侶としたい異性にはトコトン貪欲になると聞いたから、多分そう言った理由では無いのだろう。ていうか、どうして他の団員達はラキア王国相手に戦っているのにあの娘は自分を付け回しているのさ。

 

まぁ、それでも帰宅するときには完全に撒いてからワームホールで転移している為追跡はされていないと思う。

 

と言うか、されていないと思いたい。何せ此処は一度ロキ・ファミリアの団長達が訪れたのだ。同じ団員である彼女が知らない筈がない。それとも自分の居住に関する情報は一部の団員のみに公開されて他には厳重に秘密としているのだろうか。

 

何だか気を遣わせてしまい申し訳なく思う。先日もベート君には満足に饗してあげられなかったし………と言うか、どうしてベート君はあれ以来自分の所に来ないのだろうか? 彼の気質を考えればもう一度位来てくれるかと若干期待していたのに………。

 

まぁ向こうも色々ありそうだし、変に詮索するのは止めておこう。

 

 

 

√月α日

 

今日、日課になりつつある異端児達の観察&報告の帰りにダイダロス通りへと向かった自分は人造的に造られたとされる迷宮、クノッソスへそう言えばここは通ってなかったなと観光気分で潜入した。

 

クノッソスが人造迷宮と呼ばれる理由はその昔奇人ダイダロスとその子孫達によって造られた文字通りの人造迷宮で、その名称は迷宮都市の一部として使われる程に有名であり、何でもバベル以外にダンジョンに繋がるもう一つの出入口なのだとか。

 

最初は昔の偉人が造った建築物がどういうモノなのかと興味本位で訪れただけなのだが、どうやらこのクノッソスという人造迷宮、自分が思っていた以上に厄介ごとが待ち受けているようだった。

 

クノッソスに潜って暫くすると、戦闘音らしき物音がしてきたので気付かれない様に覗いてみると、なんとロキ・ファミリアの人達が見慣れない連中と戦っているではないか。しかも状況は見るからに劣勢、どうやら彼等の団長さんや幹部の人達は分断されてしまったらしく、彼等は所謂二軍の人達だったのだ。しかも何やら厄介な罠に掛かった様で彼等の動きも十二分ではなさそう………と言うか、何人か死にそうになっていた。

 

何だかロキ・ファミリアとは最近こんな出会い方をしているなと思いつつ、見殺しにする訳にもいかないので取り敢えず襲っている連中を重力操作により固定し、動きを封じ込めた。

 

突然蒼のカリスマである自分が割って入ってきた事で一度ロキ・ファミリアの面々は騒然としていたが、取り敢えず話は死にかけている者達の手当てを優先という事で彼等の治療を行った。特に眼鏡っ娘の容態が酷くあわや死ぬ間近だったが、自分は常日頃から回復薬の類いを一通り揃えていてある程度の医療の知識がある為、何とか彼女は持ち直す事が出来た。

 

で、その後は遅れてやって来た団長さん達に改めて事情と自分が此処にいる事の成り行きを説明すると、彼等は皆一同に自分に頭を下げてきた。自分としては偶々観光気分で潜っていただけだし、消費した回復薬の件についてもストックならまだまだあるし別に気にする事はない。

 

なんて(または音変化前の「などと」)言ってもロキ・ファミリアがそれを容認する事はなく、これまで受けた恩を返す意味を含めて自分はこの日、ロキ・ファミリアの本拠地で厄介になる事となった。無論、自分の事は何一つ詮索しない事を条件に。

 

ロキ・ファミリアの本拠地に向かう途中団長さんからクノッソスの話を聞いたのだが、上記にも記した通りあの人造迷宮は迷宮に繋がるもう一つの出入口となっており、バベルを通さずにダンジョンに出入り出来る事から犯罪組織や闇派閥の御用達になっている迷宮都市でもとびきり厄介な場所になっているそうなのだ。

 

犯罪組織云々は初めて聞いたのでそんな物騒な所は早々に埋め立てるべきだろうとは思う。が、これは自分一人では判断出来ない案件なのでこの事はウラノスにも話しておくことにしようと思う。自分はこれでも社会人だからね、報連相位は出来るのだ。えっへん。

 

さて、そんな訳でロキ・ファミリアの本拠地で厄介になり、現在来客用の部屋で寛いでいる自分なのだが、知り合いの家にお泊まりなんて経験はあまり無い為、少々手持無沙汰だったりする。ロキ・ファミリアの本拠地である“黄昏の館”、オラリオでも奇抜な造形の建物として有名だから、内部がちょっと気になる自分としては少し館内の探索をしてみたいというのが正直な気持ちだ。

 

まぁ、余所様の家で厄介になっている以上あまり勝手な事は出来ないしね。夕飯の時にはアマゾネスのティオナちゃん辺りが呼びに来てくれるというし、それまで大人しくしておこうと思う。

 

………そして次に一つ懸念事項があるのだが、例のアマゾネスであるバーチェさん、彼女俺の事に勘づいたりしてないよね? 一応出掛ける際は用心して手製のファ⚪️リーズで匂い消しを徹底させているけど、バレたりしないよね?

 

それだけが不安だ。

 

 

────あ、因みに件の襲撃者達はロキ・ファミリアに預け、その身柄を厳重に拘束してもらっている。一応自分が預かってても良いけど、尋問とかあまり得意じゃないし、取り敢えず暴れられないように手足を重力操作でへし折って彼等に渡しておいた。

 

ウラノスにも話が通るようギルドにも報告させてもらう手筈になっているし、今後余程過激な手段を取らない限り闇派閥も目立った動きは見せてこないだろう。まぁ、追い詰められた獣は凶暴で危険というし、今後も慎重に事の成り行きを見守る必要はありそうだが。

 

………ただ、一つ気になったのが連中を手渡す際はエルフの娘、レフィーヤちゃんがドン引きした様子で自分を見つめるのが少し心に来た。

 

仕方無いじゃない。犯罪組織の連中になにもさせずに大人しくさせるなんてこの方法位しか思い付かないんだもの。………でも、やっぱり少し野蛮に過ぎたかもなぁ次からは気を付けておこ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────蒼のカリスマ。それはロキ・ファミリアにとって色んな意味で無視できない存在。仮面を被り、その素性は明かにせず謎が謎を呼ぶ不可思議な者だが、少なくともその人物に悪意はなく彼の者は常に善意を以てロキ・ファミリアと接してきた。

 

端から見れば不審人物としか見えないが、その見た目に反して中身は紳士的で迷宮都市でも中々お目にかかれない人格者と言うのは先の人造迷宮で明らかになっている。尤も、先のアポロン・ファミリアとヘスティア・ファミリアとの戦争遊戯で見せた圧倒的な力も垣間見た事もあり、未だに団員の多くは畏怖に近い感情を抱いている。

 

しかし、それでも自分達の為に高価な回復薬を惜しみ無く使い、命を救われた者が多数いるのも事実で、恐れよりも感謝という気持ちの方が強かった。

 

アマゾネスの中でも友好的なティオナは勿論の事、ガレスやリヴェリアというロキ・ファミリアの幹部達でさえも蒼のカリスマを気に入っている節がある。誰に対しても対等に接し、自身の素性を除いて基本何でも応えてくれる彼に次第に誰もが気を許しつつあった。

 

まぁ、人造迷宮で深手を負った団員達は自室で療養してもらっているが。こればかりは仕方がないだろう。

 

 

団長であるフィンや主神であるロキも基本的には蒼のカリスマを良き者として見ている。当然疑問や懸念は尽きないが、それでも彼と関わる事は借りを返す機会という意味でも悪くはない。今こうして彼を黄昏の館の食堂で催された宴会に誘ったのもその借りを返し、彼との友好関係を築きたい意味も含まれている。

 

特にロキの方は己の眷族達の命を救ってくれた人物を邪険に扱う事はせず、酔った勢いで絡むことはあっても礼を失しない程度に済ませている。恐らくはあれも彼女なりのコミュニケーションの一つだ。

 

因みに彼は飲食を行う際に口元だけを開けている。無駄に機能が多い仮面にちょっと引いてしまったが、まぁそこは別にどうだっていいだろう。

 

誰もが彼を認めていた。蒼のカリスマという人間を、謎は多く素性も明らかではないが、それでも善性に寄っている彼を毛嫌いする者など、ロキ・ファミリアにはいない。

 

…………ただ、一人を除いて。

 

「おい、仮面野郎」

 

「ん?」

 

「テメェ、気に入らねぇな」

 

「おい、ベート」

 

これ迄黙り込んでいたベートが鋭い剣幕で蒼のカリスマに迫っている。今まで何も言わないからてっきり部屋に戻っていたのだとばかりに思っていただけに、フィン達の対応が遅れてしまった。ガレスが宥めるように言い聞かせようとするが、ベートの耳には届かない。

 

酒に酔っている訳ではない。だというのに凄まじい剣幕………いや、いっそ殺気とも呼べるソレをベートは周囲に関係なく撒き散らし、宴会で賑わっていたロキ・ファミリアの面々は押し黙り、宴会で盛り上がっていた空気が一気に沈下してしまっている。

 

「ふむ、私こう見えても人には失礼のないように心掛けているつもりですが、何か貴方の気に障る言動をしましたかね?」

 

「そうだ。そう言う所が癪に障るんだよ、一度とならず二度も余計な手出しをしやがって、テメェは一体何様だ。いつ俺達がテメェに助けてくれなんて頼んだ。あぁ!?」

 

「ちょっと、ベート!」

 

「テメェ、マジでいい加減にしろよ」

 

ベートのあまりにも無茶苦茶な言い分にヒリュテ姉妹が怒りを露にする。相手は自分達の窮地を二度も助けてくれた恩人、その人物に対して失礼処では済まない彼のベートの絡みに食堂の空気は騒然となる。

 

「うーむ、そうは言っても50階層では私も巻き込まれただけですし、先の人造迷宮でもただ目についた状況にちょっと手を出させて貰っただけなので………もしそれが気に入らないというのなら謝罪します。ご免なさい」

 

そう言ってアッサリと、さも当然の様に頭を下げる蒼のカリスマに再び周囲は息を呑む。一方でベートの顔はより一層憤怒の表情に染まっていた。

 

自分達を助けておいて平然とし、あまつさえ素直に頭を下げる目の前の蒼のカリスマにベートは言い様の無い激情に駆られていた。

 

「テメェ、ふざけてんじゃねぇぞ!!」

 

「よさんかベート!」

 

「いい加減頭を冷やせ!」

 

頭を下げる蒼のカリスマを前に飛び付こうとしていたベートをガレスが押し止める。筋力的にガレスに及ばないベートだが、怒りを力に変えて蒼のカリスマを食い殺さんと牙を剥く。

 

「ふーむ、どうやら余程私は彼に失礼な事をしてしまった様子。一体どうしたら納得してくれるのか」

 

一方でベートの殺気を一身に受けている筈の仮面の男はどこ吹く風といった様子で考え込んでいる。迷宮都市でも上位の位置にいるLv5の冒険者であるベート、彼の殺気を受けても平然としている彼にロキ・ファミリアの面々は息を呑んだ。

 

「うーん、やはりこればっかりは考えても解りませんね。ベートさん、一体どうすれば私を認めてくれるんですか?」

 

その言葉にベートの動きは止まり、そして次には待ってましたと口許を三日月の形に歪ませ、剥き出しの牙を見せ付けながら笑みを浮かべる。

 

「勝負しろ。俺とテメェでタイマンだ」

 

「あぁ、それくらいなら良いですよ」

 

睨みを利かせて言い放つベートにフィン達は諫めようとするも、それよりも早く蒼のカリスマが即答で応えてしまう。

 

即決で決まってしまった決闘。当然周囲からは止めろと声を飛ばすが、ベートはその言葉を撤回する様子はない。

 

「…………ほんまにやる気か?」

 

今まで事の流れを静観していたロキが蒼のカリスマに訊ねる。本気でベートとやり合うつもりなのかと。

 

確かに蒼のカリスマは強い。それこそアポロンという神を殺し、この世界から抹消させる程度には。だが、彼が相手にしようとしているのはロキ・ファミリアの中でも随一の速さを誇るベートだ。蒼のカリスマが例の黒い太陽を生み出すよりも速くベートの牙が届くだろう。

 

だが、それでも蒼のカリスマという得体の知れない相手には危険が過ぎる。アポロン・ファミリアの様にベートも消されてしまうのではないか、どうにか止められないのかと遠回しに懇願するロキに対し。

 

「まぁ、多分大丈夫でしょう。ある程度相手をすれば彼も納得するでしょうし、その間は怪我をさせないように気を付けますので」

 

平然とそう宣う蒼のカリスマにロキ・ファミリアは言葉を失う。ベート=ローガという一流の冒険者を相手に大言壮語とも取れる言い草、当然それを耳にするベートはその表情を大きく歪ませ。

 

「………上等だ。ぶち殺してやるよ」

 

遂に、蒼のカリスマに対して宣戦布告をするのだった。

 

 

 

 

 




Q.どうしてベート君は蒼のカリスマに激おこなの?

A.何の目的もなくただ目にしたから助けに入る。その行いを何とも思わず見かねたからと言い切り当然の様にこなしていく正体不明の男。
ぶっちゃけベート君でなくてもイライラしそう。何なんだお前って感じで。


次回はベート君の心情をもう少し深く掘り下げられるよう頑張ります。

それでは次回もまた見てボッチノシ

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