『G』の異世界漂流日記   作:アゴン

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閃の軌跡Ⅳ、クリア!(今更

感想はただただ満足の一言、軌跡シリーズは閃の頃から始めたのですが、それでも充分に楽しめました。

故に、ボッチinエレボニアの妄想が捗ってしまう(笑)


その18

 

 

 

γ月Δ日

 

カーリー・ファミリア…………いや、カーリーとの決着から数日開いた今日、自分のマイハウスが完成した記念の意味を込めてここ数日起きた出来事について簡潔に纏めていこうと思う。

 

まずカーリー・ファミリアだが、主神であるカーリーが消失したことによって派閥としての機能は完全に失い、奴の眷族であるアマゾネス達の多くは神の恩恵を失い只人と化していた。眷族としての力を失い、途方に暮れていたアマゾネス達の多くは故郷であるテルスキュラへと戻り、今後どうするか話し合う様だ。

 

ただでさえ強力な力を持つアマゾネス達、カーリーという神との契りを断たれたとは言え、再び別の神の眷族となれば力は元に戻る。迷宮都市の外にはカーリーの様な国家としてのファミリアを持つ神も存在する。主神を失ったアマゾネス達をこれ幸いにと吸収を目論む神が現れても不思議ではない。

 

これを危惧した神々がテルスキュラへの監視を求めたが、意外にも殆どのアマゾネス達は別の神に鞍替えようとはせず、改宗が許される一年後までは大人しくしておくことをギルドに約束した。

 

何故彼女達がそこまで大人しくなったのかは定かではない。自分も直接見た訳ではないから知らないが、どうやら彼女達の多くはあの日メレンの港街で“ナニカ”を目にしたらしく、その表情は皆青くして震えていたのだとか。

 

戦闘種族として知られるアマゾネス、そんな彼女達が何を恐れたのかは知らないが…………まぁ、厄介ごとが解消されたのは良いことだ。自分には一ミリも関係ないが。

 

けれどアマゾネス達に関する話はこれだけでは終わらない。なんとカーリー・ファミリアのエースであるアルガナとバーチェなるアマゾネスの双子の姉妹はロキ・ファミリアへの改宗を希望したのだとか。

 

アルガナは自分を降したティオネの力の源を知る為、バーチェはメレンで出会った運命の人を見付ける為、各々の目的の為にオラリオに留まることを決めた。当初は彼女達の提案に渋るロキ・ファミリアだったが、二人を他の派閥に入ってしまったらそれこそ後々面倒な事になるし、そちらの方が厄介と判断したロキ・ファミリアは他の派閥や迷宮都市に住まう人々の迷惑にならないことを条件に自分達の派閥に参入させることを決定した。

 

と、カーリー・ファミリアの顛末はこんなモノで他は然程関係の無い話だ。バーチェ、アマゾネス姉妹の片割れがシュウジなる人物を探しているという噂を耳にした様な気もしなくもないが………ま、俺の気のせいだろう。ハッハッハ。

 

そして一方自分の方はと言うと、その後資材の調達も無事に済ませ、金銭の支払いも終わらせて自分の住まいの建築に取り掛かった。費やした時間は二日と割りと時間を掛け、その分趣向を凝らせた造りとなっている。

 

本当は一から作るのではなく元々あった建物を自分の好みに改装してみたかったのだが、まぁどちらにしても凝り性である自分にはモノを作ること自体は嫌いではないので、結構集中して建築に勤しむ事が出来た。

 

そんなこんな完成したマイハウス、今後はここを拠点に迷宮都市での冒険を楽しんでいこうかと思う。

 

 

 

γ月Ω日

 

念願のマイハウスが出来て翌日、気持ちの良い朝日を浴びながら起床し、身支度を整えて朝食を済ませると、玄関から呼び鈴が鳴ったので誰かと思い戸を開けると、先日お世話になったロキ・ファミリアの団長と副団長、そして主神であるロキが自分の家にやって来た。

 

話がしたいという彼等の要望に応えてリビングまで招き、取り敢えず話を聞くことにしたのだが………何て言うか間が悪い。もう少し時間があればお茶請けの一つも出してやれたのだが、生憎その時間は無かった為、お茶の一杯しか出してやることが出来なかった。

 

フィン団長達は突然押し掛けたのは自分達だから気にするなと遠慮していたし、話も進まないから取り敢えずお茶請けの話は置いておく事にした。

 

先ず、フィン団長達は先日メレンの港街でレフィーヤちゃん達を助けてくれた事に対して深い謝罪と感謝の言葉を送ってきた。自分達の派閥のイザコザに巻き込んでしまった事と、怪我をした団員達の介抱とレフィーヤとヒリュテ姉妹の救助してくれた事、頭を下げて礼を述べる彼等に自分は困った時はお互い様とだけ応えた。

 

でも、彼等の話はこれだけでは終わらない。この謝罪とお礼の言葉を皮切りに始まった彼等との歓談の時間はフィン団長の然り気無い一言により凍り付く。

 

『君は、一体何者なのか』

 

唐突の話題の切り替えに一瞬呆けてしまうが、よくよく考えれば………いや、そうでなくとも彼等の疑問は当然とも言えるだろう。

 

彼等からすれば何処の馬の骨とも分からない人間が、デカイ顔してファミリア同士の抗争に介入する厄介者、結果的に助けられたとしても彼等からすれば面白くない話だし、実際そう思われても仕方がない程の事を自分は仕出かしてしまっている。

 

何せベート君の様な血気盛んな冒険者達を数多く抱える派閥だ。その代表としてこうして足を運んできたフィン団長達はきっと自分では推し量れない程の労力があったに違いない。

 

うわー、どうしよう。どう弁解すればいいかと悩んでいると、フィン団長は更なる言葉を紡いできた。

 

『もしかして君は、先日の魔神の関係者。または、最近巷を騒がせている蒼のカリスマに関わりのある人間なんじゃないのか?』

 

関係者処か本人です。現在相棒であるグランゾンは地下に建設した格納庫にて整備中です。なんて言えるわけもなく、訝しむ彼等に自分はお茶を呑んで誤魔化すしかなかった。

 

とは言え、此処には嘘を看破するロキ()の目もあるし、迂闊な事は言えない為自分はこの時即興ながらある作戦に出た。

 

まぁ、作戦と言っても単純に遍在を以てフィンに達の目を欺く程度なんだけどね。外から新たに戸を叩く音がしたから、来客が来たことを装って戸を開けると仮面の男が入ってくる。その様子に神を含めた団長達が目に見えて狼狽していたから、多分自分の目論みはうまく嵌まったのだろう。

 

『君は彼の協力者なのか?』

 

フィン団長の質問にこれまた自分は苦笑いを浮かべて誤魔化した。そしてその後は遍在として編み出した蒼のカリスマを外へと追いやり、周囲に誰もいないことを確認してから彼を消し、その後何気ない表情で自宅へ戻る。

 

フィン団長達は外で自分達が何を話していたのかを追及することはなく、副団長と主神共々お茶を呑み終えた後にご馳走さまとだけ言葉を残しニ、三言葉を交えた後自分達の本拠地へと帰っていった。

 

動揺を隠せない様子の彼等を騙し討ちした事には罪悪感はあるが、今はまだ真実を伝える訳にはいかない。せめて異端児達の問題が片付くまではこの事は彼等に伏せておく必要がある。

 

あー、でもいざという時に話せなくて敵対するのもどうかもだしなー。敢えて真実を話すことで協力を求めるのも………ありと言えばアリ、なのか?

 

いや、これは極秘事項だし、下手をすれば迷宮都市をパニックに陥れる案件だ。噂では闇派閥の連中も何やら動きがあるみたいだし、もう少し状況を様子見してからの方が良さそうだ。

 

───あ、因みに今日の夕食はヘスティアの所のベル君達が家の完成祝いに食材を持って遊びに来てくれました。友人を家に誘うなんて経験滅多になかったから、この日自分は思いきって腕を振るうことにした。皆も喜んでくれたし、総じて見れば大満足な一日でした。

 

………ただ、自分の渾身の一品である麻婆豆腐だけは誰も手を付けなかったのが心残りではある。唯一食したヘスティアも大袈裟に悶絶した後動かなくなった所為でベル君達も変に警戒してしまったし。

 

全く、神というのは本当にアレだな。色々失礼しちゃうよな。プンプン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フィン、彼の言動どう思う」

 

「────蒼のカリスマ、その関係者である事は間違いないだろう。君も見た筈だ彼と一緒に並び立つ蒼のカリスマの姿を」

 

ロキ・ファミリアの本拠地、団長であるフィンはガレスを始めとした幹部を集め彼の執務室で会議を始めていた。蒼のカリスマとシュウジ=シラカワ、同一人物かと思われた者が別人だったという事実に派閥の誰もが驚愕していた。

 

「まさか、団長の予想が外れるなんて」

 

「それは買い被りだよティオネ。確かに僕はほぼ確信を以て彼と蒼のカリスマを同一視していた。でもそれはあくまでも僕の勝手な予想から来る推測だったし、今回はそれが外れただけ。寧ろ彼と蒼のカリスマが協力関係があるという明確な事実が分かっただけでも儲けものさ」

 

「でも、それじゃあ蒼のカリスマって結局何者なんだろ? 何度も私達の事を助けてくれたし、いい加減直接お礼を言いに行きたいんだけどなぁ」

 

両手を頭に組んで残念に思うティオナにフィンは苦笑う。確かに蒼のカリスマという人物の正体は気になるが、それでもフィンは頭の何処かでシュウジと蒼のカリスマを結び付けていた。

 

(……もしかしたら、あの蒼のカリスマは彼が用意した影武者なのかもしれない)

 

そもそも、蒼のカリスマは人名を指す名称ではなく、どちらかと言えば記号の様なもの。人の名前が体を表しているのならば蒼のカリスマは体を表す為に在る名前。あの蒼い仮面を被り、白の外套を身に纏えば誰もがそれを蒼のカリスマとして認める事だろう。

 

ロキという嘘を看破する神がいれば簡単に決着が着くかと思われた今回の件、まさかここまでややこしくなるとは思っていなかっただけに、フィンは頭が痛くなる思いだった。

 

「ケッ、なぁにをゴチャゴチャ言ってやがるんだよ。そんなに奴が気になるなら、直接会って問い詰めりゃあいいだろうが。それこそ力づくでよぉ」

 

「ベート……」

 

ロキ・ファミリア随一の問題児、ベートのその言葉に場の空気は凍り付く。蒼のカリスマはロキ・ファミリアにとって何度も窮地の際に助けてもらった恩人だ。確かに素性を詮索するのは野暮な話かも知れないが、それでも一度は腹を割ってキチンとお礼をしたいロキ・ファミリアの総意によるもので決して事を荒げる為ではない。ベートの乱暴を通り越して余りにも無作法な物言いに幹部達全員の冷たい視線が彼に突き刺さる。

 

「ベート、それではダメだと何度も言ってるだろうが」

 

「うるせぇよジジイ。俺は別に奴に恩を、施しを受けた覚えはねぇ。全部アイツが勝手にやった事だろうが」

 

ガレスの諌めの言葉にも全く耳を貸さないベート。

 

「そもそもだ。奴の素性を暴くと言ったのは他でもないテメェだろうがフィン、奴の素性を暴いて俺達の前にその面を晒させる。その為に今日はあのシュウジって奴の所に行ったんだろうが」

 

「それは違うでベート、ウチらは別に蒼スマの素性を暴こうとしとるんやない。奴さんの情報を集めたいだけや」

 

「同じ事だろうが! 俺がソイツに問い詰めるのとお前らが話を聞くのと一体何が違う!?」

 

「ぐふぅ、ベートに論破されたぁ」

 

「ロキ、ちょっと黙ってろ」

 

「ベート、僕達は彼にとても大きな借りがある。50階層での異常事態にも、怪物祭の時にも、18階層での騒動や今回の事でもロキ・ファミリアは多くの借りを彼によって凭れている。それらの返済を前に事を荒立てては………」

 

「言った筈だぞフィン、俺は奴に、あの仮面野郎に恩も施しも受けた覚えはねぇ」

 

それ以上は何も語ることはなく、ベートは執務室を後にする。これでは本当にベートはシュウジの下へ突撃していかねない。友好的な関係を結びたいと思った相手にこれでは不味いと思ったフィンはヒリュテ姉妹とアイズ達にベートの監視を言い渡す。

 

これで出来れば何事もなければいいのだが、そんなフィンの淡い期待は翌日儚く崩れ落ちて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

γ月β日

 

翌日、何かロキ・ファミリアの所のベート君が鼻息荒くしてやって来た。お昼前だった事もあり客人を饗す意味も重なって取り敢えず話はお昼ご飯を食べてからにしようと提案し、ベート君に昨日の残りを加工したものを差し出した。

 

随分渋りながらも何とか一口食べてくれたベート君、これで彼も少しは落ち着いてくれるだろうと思った瞬間。

 

彼は倒れた。自分が用意した手作りの麻婆豆腐の肉マンの一口を口に入れた瞬間、彼は白目を剥いて倒れた。なんだと思い不思議に思っていると、様子を見に来たと語るヒリュテ姉妹がやってきてベート君を回収、二人は自分に先日のお礼を言うとそそくさと帰って行ってしまった。

 

………一体、なんだったのだろう?

 

 

 

 

 

 




今回のボッチは終始おもてなしの精神でした。(笑)

やっぱり、人を饗すって良いものですね(白目


それでは次回もまた見てボッチノシ

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