タバサのTS物語   作:ディア

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第8話

~図書館~

僕はせっかくの休みなので本を読もうと考えた。しかし周りにある本は読み尽くしてしまったので新しい本を探す為に図書館へと向かっていた。

「…」

すると面白い本を見つけた。タイトルは『始祖と愉快なお友達』…その内容が非常に気になったので僕はレビテーションでそれを取ろうとした…

 

レビテーションのせいで周りにあった本は巻き添えになり、僕の元へ落ちた…

「ふぁっ!?」

僕はそれに対応出来ずに本に頭をぶつけるという失態をしてしまい、気絶した…ダサすぎる。

 

「起きたかい?」

すると長身のイケメンが目に映った…モゲロ。

「…誰?」

僕がそう聞くとイケメンはこう答えた。

「私の名前はフォルサテ…ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリの弟子さ。君の名前は?」

その名前って…始祖ブリミル!?イヤイヤ…そんな訳ない。仮に本当だとしてもこれは夢だ。深く追求しないことにしよう…

「タバサ…一応男。もう一度言うけど男。」

大切なことだから二回言っておいた。

「それじゃタバサ君、ちょっと事情聴取させて貰うよ。」

まあ普通に考えたらそうだよね…僕のいた図書館とは別の構造をしているし、おそらく僕が別の部屋に運ばれたと考えるのがベスト。

 

「ん…」

僕がそう答えると隣から女性の声が聞こえてきた…

「この変態、変態、変態!!」

誰かを罵倒しているのがよくわかる…

「ああっ…サーシャ、そこはっ!はうっ…」

なんかものすごく息の荒い声が聞こえた…この台詞だけだと変態確定だ。

「この馬鹿蛮人!私になんてことすんのよ!」

…聞かなかったことにしよう。サーシャって女の人が誰かを罵倒していたことは忘れよう。

「デルフリンガーはやめて!?ひぐーっ!」

チン!

などという音が聞こえたのも気のせいだ。

 

「はぁ…またですか。タバサ君、少し待って下さいね、」

そう言うとフォルサテは隣の部屋に行ってサーシャ達を止めに言った。

 

それまでの間、自分の所持品を確認しておこう。杖は…ある。財布もある…後は…

「お待たせいたしました。こちらが私の師匠のブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリことブリミル師匠です。」

そう言ってフォルサテが現れ、髪こと金髪だけど僕同様に女の子みたいな男を紹介した…内股にしてさらに女の子らしくなっているのはあれだろうね…うん。

「初めましてタバサ…フォルサテから聞いているとは思うけどブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリだ。気軽にブリミルって呼んで…よろしく…」

呼べるか!そんな恐れ多いことをしたらロマリアのパラディンが黙っていないから!それに無理しないで!!顔が青くなっているから!

「…よろしく。ブリミル。」

とはいえもうヤケだ!この場にパラディンがいたら馴れ馴れしく呼ぶな!って叫ぶだろうね…

「そしてこちらの女性がサーシャさんです。」

…ってエルフ!?エルフはブリミルの敵じゃないの!!?

「よろしくね、タバサちゃん。」

わざとか?もう今の僕ならエルフだろうがなんだろうがそんな常識覆せる予感がしてきた。

「サーシャさん、タバサ君は男ですって…」

そう言ってフォルサテがフォローしてくるがサーシャの言葉は予想外のものだった。

「それよりもタバサちゃん、ドレスとかに興味ある!?」

エルフってのはこんな変態だけなの?

「サーシャ、浮気する気!?」

ブリミルがそう言ってサーシャに問いかけるが…

「何か?」

と低めの声で言って長槍を構え、左手のルーンを輝かせた。…もしかしてサーシャがガンダールヴ?

「デルフリンガーをそんなことに使っていいのかい!?だいたいそんなことをしたらデルフリンガーも嫌がるはずだろ!?」

しかしブリミルはそれに怯えずなんとか答えた。…これが始祖ブリミルなんて思うにはかなりみっともなさすぎた。だって口ではああ言っているけど喜んでいるんだよ?さっきのことと言い幻滅して当然でしょ…

 

「いーや、どうせなら去勢しちまおうぜ!相棒!」

するとその長槍から男らしい声が聞こえた…しかも下品。

「そこまではやらないけど、この蛮人にはお仕置きが必要だからね…」

サーシャは槍の柄の方でブリミルの急所を思い切り突いた…

「っ!!」

ブリミルは流石に耐え切れず泡吹いて気絶してしまった…僕も思わず下半身がキュッ!ってなったよ…

「…あらあらどうしたの?」

サーシャさん…今のその台詞めちゃくちゃ怖いから…フォルサテを呼んで止めようとしたら既にいなくなっていた。

「さあヌギヌギしましょうね~…」

それから僕が着せ替え人形になったのは言うまでもない…

 

僕が着せ替え人形となりしばらくすると…

「うう…サーシャ酷いよ…」

そう言ってブリミルが復活した…かなりタフだね。ちなみに金的は女性が子供を150人同時に産むくらいの痛みだから婦人の方々には理解出来ない…当然サーシャも然り…

 

「もう一回!」

と言ってサーシャはキン…いやブリミルのボールを蹴った。ブリミルは余りにも痛そうだったので僕は耳を閉じて目も閉じた。

「さあ続き続き!」

今度はブリミルが目覚めても平気なようにサーシャは笑顔でブリミルを縄で縛った…これは酷すぎる。

 

「これがいいわね。うん!」

サーシャはそう言って僕をメイド服に着せ替えて僕の頭を撫でる…

「…う~んあれね。タバサちゃん。ちょっとお姉ちゃんって呼んでみて。お願い!」

サーシャさん…それは脅しでしょう?

「サーシャお姉ちゃん…」

僕がそう言うとサーシャさんは飛びついた。

「可愛い過ぎる!一生いたい!!」

フォルサテェェェ!!助けてええぇぇ!!!このままだと色々とマズイから!

「ゲフッ!!」

僕の願いが通じたのかサーシャの顔に本が飛んできた。

「サーシャさん…少しは自重しましょう。」

フォルサテ遅いよ!!

「てめえ!よくも相棒を!」

長槍がそう言うけどフォルサテはガン無視して長槍を取った。

「さあデルフ…あなたは溶かされたいですか?それとも折られたいですか?」

フォルサテは液体が入っているビーカーを取り出して手元にあった金をそこに入れた。すると金が溶けていった…

「わかった、わかったから俺っちをその液体に近づけないでーっ!!」

やはり武器は武器だった。所詮キレているフォルサテに敵うはずがなかったのだ。

「よろしい…さてタバサ君、君の着替えだ。着替えたまえ。」

そう言って取り出したのはごくごく普通の男の子用の着替えだった…

「ありがとう…」

 

そして着替え終わると僕の事情聴取が再び始まった…違うことといえばこの場で二人が寝ていることくらいだ。サーシャの方はフォルサテが緊縛していた。何故緊縛かと聞いたらフォルサテ曰く「このくらいきつく縛らないと縄が千切れて逆襲にあう。」らしい…サーシャさん一体どんだけ力があるんですか?

「ふうむ…つまりタバサ君は本棚の本が崩れてそれに巻き込まれて気絶したら…気がついたらここに居たという訳だな。」

「そう。」

僕は簡潔に答えた。

「それじゃ帰る手立てを探しましょうか。」

「ありがとう…」

「いいんですよ…この二人に付き合わせられるくらいならタバサ君の手伝いをした方が良いですし。」

それって師匠に言っていい言葉?よっぽど信頼されていないんだね…ブリミル…

「さ、デルフも少しは手伝いなさい。」

そう言ってフォルサテはデルフこと長槍を持った。

「けっ!なんで俺が…」

デルフは抗うけど少し空気読んだほうが良いよ…

「デルフ?」

フォルサテのドスの効いた声が部屋中に響く…

「…手伝えばいいんだろ!!」

デルフは諦めてフォルサテに従った…

 

「さて、見つけましたが…これを実行するには私では無理ですね。我が師匠である変態ドM野郎…いえ失礼ブリミルにやって貰いましょう。」

主従逆転しているけど突っ込んだら負けな気がした…

「起きてください…我が師匠ブリミル。」

フォルサテはブリミルを起こした。

「ん~?」

ブリミルは寝ぼけ、内股でもなんとか立ち上がった…

「師匠…タバサ君を元の世界に戻したいのですが私では実力が不足しています…どうかお願いします!」

そう言ってフォルサテは頭を下げた。

「お願いします。」

僕もそれに従って頭を下げた。

「いいよ…タバサがいなくなった方が好都合だし。」

そう言ってブリミルはサーシャを見て顔を赤くする…やっぱり変態ドM野郎だ。

 

「ブツブツ…」

ブリミルはクソ長い呪文を唱えた…これだけなら始祖だって信じられるんだけどな…

「ちょっと!?何しているの!?」

サーシャが目覚めて力をめちゃくちゃ入れている…あれで解けるの?

「さあこのゲートを潜れば君の世界に帰れる!早く行けっ!」

フォルサテがそう言って僕にゲートを潜らせるように促す…

「ありがとう、ブリミル、フォルサテ!」

僕はそう言ってゲートを潜り、元の場所へと戻っていった。

 

「ここは…?」

周りの景色を見ると元いた図書館に戻っており、ブリミルやフォルサテ、そしてサーシャやデルフもいなくなっていた。

「…もう夕方?」

しかし決定的に違ったのは朝日から夕日に変わっていたことだ。

「また明日読もう…」

僕はそう言って図書館から退出した…

 

しかし僕は気がつかなかった。『始祖と愉快なお友達』のイラストに僕に酷似していた絵があったことを…

 

~おまけ~

ムノーブルーことジョゼフは気分的な意味でブルーになっていた。

「…やはりあれはない。」

先日ジョゼフがムノーブルーとして暴れたことは余りにも有名である。しかし、あの時ジョゼフは気が狂ってやってしまったので所謂黒歴史となってしまった…

「あれから家来に青タイツの贈り物が頻繁に届くのは聞きたくもない…」

ジョゼフは家来達に生暖かい目で見られてしまい、マジで悩んでいた。

「あんな格好だからダメなのか?」

しかし変な所にジョゼフは執着してしまった…

「やはり青タイツではダメだな!」

そしてジョゼフは新しいムノーブルーの服を考え…現代の戦隊物のヒーローが着るような服が浮かんだ。

「ふははははは!これだ!これぞ、ムノーブルーの服だ!!」

そう言ってジョゼフは服のデザインを書き上げ、特注で頼んだ。

 

数日後…ジョゼフは子供に大人気となりムノーブルーの服と同じ服を注文する人々が大勢おり、生産が間に合わなくなったのは完全に余談である。


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