タバサのTS物語   作:ディア

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トウカイテイオーだ!ビワハヤヒデとトウカイテイオー!ダービー馬の意地を見せるか!トウカイテイオー、奇跡の復活!(93年有馬記念より)

そしてこの小説も一年振りの復活!

そんなわけで1年ぶりに復活しました。ですが感覚らしきものを忘れていたせいか文字数が2500文字くらいしかありません。


第38話

「それではマルク様。こちらへ」

 僕は自らの強運で賽子を使った賭博で圧勝し、別の部屋へ案内された。

 ちなみに何故か僕は昔から賭け事が強く負けたことがない。あったとしてもその貴族がイカサマをしていた記憶しかない。かつて団長、もといイザベラお姉ちゃんが僕が賭け事に本当に強いかどうかを確かめる為に5つの賽子を三回投げて一回でもピンゾロが出なかったら王女を辞めるとか言い出して大騒ぎになった。もちろん僕は一発でピンゾロを出した。

 

 ちなみにマチルダは程々に僕と一緒に賭けていたので案内されていない。

 

「さて、マルク様。これから私どもがやる賭け事はサンクと呼ばれるゲームにございます」

 サンク……ああ、配られた5枚のカードで役を競い合うゲームのことだね。聞いたことはあってもやったことはない。だからと言ってぼったくられる心配はない。こっちにはそっちの給士が味方なんだから。

「公平さを期す為にマルク様にカードを切って貰います。好きなようにカードを切って下さいね」

 そんなことを考えていると目の前の支配人からカードを渡され、僕の手に渡る。見たところ普通のカードっぽいし、魔力も感じない。となれば場所かな? 

「ちょっと良い?」

 給士もとい、地下水に耳を近づけさせて内緒話を始めた。

 

「どういうトリック?」

「精霊魔法だ。エコーって言う動物達がカードに化けている」

「そう。それじゃエルザを連れてきて。中で騒ぎ出したら入るように指示もお願い」

 色々と聞きたいことがあるけど詳しくは聞かない。これ以上話を長引かせたらこの支配人から怪しまれる。

「畏まりました。マルク様」

 地下水はそれを察してくれたのか、すぐに敬礼し、席を外した。

 

「あの給士と何を話していたのですか?」

「イカサマをしていないかの確認。席を外させて貰ったよ。構わないね?」

「トマがいなくとも構いませんよ。マルク様の公平さを期す為であるならばね」

 果たしてその余裕はばれていないとでも思っているんだろうか。あまりにも愉快過ぎて笑みを浮かべてしまう。タネが分かった以上こっちのものだ。僕が適当にシャッフルし、それを支配人に渡すとごく普通にカードが配られた。

「さあ、始めましょうか」

 

 サンクの役割はトランプのポーカーとほとんど変わらない。例えば今僕の手札にある風の13、12、11、10、9は高貴なる風という名前の役で二番目に強い役。これに唯一勝てるのは炎の13〜9まで揃えた高貴なる火という役しかない。通常であればここで勝負に出て一気に大金を稼ぐが、相手はイカサマをしている。そこで僕被害を最小限にして勝負を降りて提案した。

「支配人。始まっておいてなんだけどこのカードは切り刻まなくていいの?」

「切り刻む? なぜそのようなことを?」

「とある賭博場じゃお互いにイカサマをしないように一度使ったカードは客の目の前で切り刻んでイカサマが出来ないようにしているらしいけど」

 そんなことをすればエコーの輪切りが出来るのはわかっているけどね。

「経費がかかります故にそれは出来ません」

「それが公平さを期さなくとも?」

「嫌ですね、お客様。私がイカサマをしているみたいに言わないで下さいよ……ハハハ」

 その瞬間、ドンッ! とドアを蹴飛ばす音が聞こえ、思わずそちらに振り向く。そこにいたのはエルザではなくシルフだった。

 

「よう、ご主人。さっきの話聞かせて貰ったよ。そのカードを切り刻めない理由……それはこれだ」

 シルフの服から小動物達が飛び出し、頭に乗るとカードに化けていたエコーがシルフの頭に乗った。その様子を見て思わず可愛らしいと思ってしまうのは間違いじゃない。

「なっ!? 貴様どうやってそいつらを……!! それにトマはどうした!?」

「トマなら残念だけど来ない。あいつは王国専属のスパイ。いつでも支配人、お前を見捨てるように躾けてある」

 嘘だけど。実際には地下水が乗っ取っているだけなんだけどね。

「なんだと!? そうか、あの時に話していたのはこうなることを予想して……!!」

「それでシルフ、彼らはなんて言っている?」

「子供達が人質に取られたから従っただけで貧しい者に分けるとか言っておきながらその金を懐に入れるような胸糞親父に従いたくない……だそうだ」

 想像以上にクズ野郎だ。フーケことマチルダはテファ達を養う為に盗賊やっていたのに。今盗賊業は廃止しているけどね。

「まあなんにせよ。大人しくして貰おうかイカサマ支配人」

 

「嫌だ! こんなところで捕まってたまるか!!」

 支配者がシルフが蹴飛ばしたドアから出て行き、逃げ出した。

「抵抗すればするほど恐ろしくなると言うのに」

 

「うぎゃぁっ!!」

 支配人の悲鳴が賭博場に短く響く。それを聞いて僕とシルフは悲鳴が聞こえた場所に行くとエルザが爪を立てて支配人の腹を突き破っていた。

「どこにいくのかしら? まだこっちは換金していないわよ?」

 エルザがここぞと言わんばかりに吸血鬼の本領を発揮。牙を見せ、支配人の血がついた手を舐め回す。

「き、吸血鬼……っ!」

「お金がないなら貴方の命を頂戴?」

 エルザは喉元を掻き切り、支配人を殺すと支配人からピューピュー出てくる血を飲み物のように飲んだ。

「……やっぱり不味いわ」

 こうしてイカサマ賭博場は支配人が死亡し、経済的かつ社会的かつ物理的に潰れた。

 

 〜上空〜

 

「私たちの役割はほとんどなかったな」

 一番外で待機していたラスカルがそう頷き、腕を組む。

「しかしスカッとしたよ。あの支配人はとんでもないクソヤローだったしね」

 マチルダはホクホク顔で賭博場にあった金を触りながら賭博場を物理的に潰したことを思い出していた。

「何にせよ。今回の件でイカサマ賭博場には吸血鬼が現れるって噂も立つだろうし、金目のものはとったから報告しても大丈夫でしょ」

 経済的に潰せとは言ったけどやり過ぎるなとは言ってないしね。

 

『ところで坊主。あのトマって奴は哀れだよな。あんな貴族に拾われたばかりに放浪するハメになっちまったんだからな』

 トマ? ああ、彼なら大丈夫。本当に王宮のスパイとして雇うことになっているから。

『そうか。まあ坊主がそういうなら大丈夫だな』

 実際には地下水、君が情報を集めるんだけどね。

『うわぁ酷えっ! 労働基準法で訴えてやる!』

 地下水はそんなことを言いながらも何処か楽しげだった。




去年、今年もよろしくお願いしますとか言っておきながらまるまる一年放置するハメになるとは思いもしませんでした。いろんな誘惑に負けたのが原因です。申し訳御座いません。

…しかしグーグルでタバサのTS物語と調べたら、スレで紹介されていて(NEVEAまとめで私の小説がいくらか紹介されていますがその中でスレに登場したのは魔軍司令と、この小説だけ)その中でこの小説が高評価だったのが嬉しくなり、モチベーションが上がりどうにか書き上げることができました。

どうかこんな気まぐれな作者ですがこれからもよろしくお願い致します。

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