タバサのTS物語   作:ディア

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今更ですが新年明けましておめでとうございます…まさかこんなにネタが思いつかないとは思いませんでした…しかも短い…


第37話

 〜上空〜

 

 シルフに乗った僕たちは作戦を立てていた。

「しかし賭博場となると難しいことを言ってくれるね」

 今回は胴元がイカサマをしてボロ儲けしている賭博場を潰すというマフィアの粛清みたいな任務だ。それだけに裏の世界を知っているマチルダを呼んだんだけど頭を抱えていた。

「何が難しいの?」

 エルザが首をかしげ、マチルダに尋ねるとマチルダはため息を吐いて説明し始めた。

「賭博場ってのは客が暴れないように武器を没収するのさ。特にメイジは杖を失ったら何もできないからね。仮に向こうがイカサマをやって見抜いたとしても杖を取られている以上何も出来やしない」

 確かに。僕なんかは杖なしでも何とか戦えるけどマチルダからしてみれば杖なしで戦うなんて想像もしたくない。

「それだけじゃねえ。俺やラスカルは身体そのものが武器だから入ることすら無理がある。入り口で待機だな」

 地下水が僕の口を借りてマチルダに付け加えるように発言するとエルザが手を挙げた。

「じゃあ私とシルフが実力行使で潰せば問題ないよね?」

 シルフは人間に化ければ問題はない。エルザは人間そのままだし潜り込むことは可能。だけどそれは意味をなさない。

「エルザ、話を聞いていたのか? この任務は経済的、社会的に潰さなかったら意味をなさん。物理的に潰したとしても第二、第三のイカサマ賭博場が出来るだけだ」

 エルザの意見をラスカルがバッサリと切り捨てた。つまりそういうこと。シルフやエルザの出番は最後の方になる。

「それにあまり大勢で行っても怪しまれるだけだ。ご主人達四人、いや二人と吸血鬼一匹にナイフ一本か? まあどうでもいい。賭博場に入る潜入者はこれだけで十分だろう?」

 めずらしくシルフがまともなことを言っている。これは天変地異の前触れだろうか?

「シルフとラスカルさんはどうするの?」

「私とラスカルは外で賭博場の奴らが逃げられないように工作する。だからご主人達は安心してやってきてくれ」

 工作って、何をするつもりなんだろう? シルフのことだから工作(物理)になりそうな予感がするのは決して僕の間違いじゃない。

『俺は?』

 地下水はスタッフに乗っ取って情報を得るという重大かつ重要な任務があるでしょ? 

『またそれか……つまんねー。俺は道具で一応坊主の持ち物だし坊主の言うことは聞くぜ』

 

 〜賭博場〜

 

 それから団長に教わった方法で賭博場に入り、スタッフに地下水を渡した。

「へえ。なかなか洒落たところじゃないか」

 マチルダがその様子を褒め作戦は実行した。

「ありがとうございます」

 哀れにもそのスタッフは地下水に乗っ取られて目が無機質になっていた。

「それでは案内いたし──」

「ざけんなてめえ! イカサマしただろうが!」

 地下水の言葉を遮るようにトランプのエリアから怒鳴り声が聞こえ、そちらへ見ると貴族と支配人が揉めていた。

「イカサマと言われましてもお客様がカードを切っていた以上イカサマなどとても出来る状況ではございません。魔法を使ったイカサマというなら魔法でも何でもして調べたらどうですかな?」

「くそっ!!」

 その貴族は入り口の方へ向かい、立ち去ってしまった。……どうやらトランプの方に仕掛けがあるみたいだ。有り金すべて増やしてぼったくってやろう。地下水に乗っ取られたのが運の尽きだよね。

「失礼しました。それではマルク様、ロングビル様ご案内します」

 流石地下水、何人もの貴族を殺してきただけあって冷静に対処している……ちなみにマルクは僕の偽名だ。シャルロットとかタバサとか女の子っぽい名前が嫌とかそんな理由じゃないよ? 誰に言っているんだろうか僕は

 

「てや、おらぁっ!」

 どの方言だろうか? とにかく先程の男が杖を持ち出し、支配人にそれを向ける。

「やれトマ」

 支配人は低い声で地下水(の身体の持ち主)を見ると地下水はとっくに動いて首の骨を折った……やりすぎだよ! 何やってるの!? 

「……」

 ほら! 支配人も唖然としているし!! 話が違うと言いたげにしているよ!? 

「おっと死んでしまいましたか。手加減したつもりでしたがここまで貴族の方が脆いとは思いませんでしたよ」

 首を折られたら竜でも死ぬよ! わざとでしょそれ絶対。

「トマ、やりすぎるな……」

 ボソリと支配人が近づき、叱るが地下水はそんなの関係ないと言わんばかりに無視した。

「えー、皆様。このようにうちの従業員はやたらと過激でして私でも止められない場合があります。故に言いがかりは止めてくださるようお願い申し上げます」

 いや、支配人がやれって言ったんだよね? ……あれ? いつもシルフとかに振り回されている僕の感覚がおかしくなったのかな? 

 

「しかし言いがかりさえつけなければ私たちはより良いサービスを致しますので何卒よろしくお願いいたします」

 う〜ん……あの支配人の様子を見ると地下水の身体の持ち主トマは平気でメイジをあしらってきたように思える。

 

 ん? そういえばエルザはどこに行った? 僕が辺りを見渡すとマチルダ、地下水の二人もエルザを目で探し始めた。

 

「ロンッ!」

 エルザが三人の男にテーブル越しに囲まれて宣言すると一人の男が「あそこは中だったか……」とぼやいてエルザにコインを払っている。何なのあれ……? 

「あれは……マージャンという東方の賭け事ですね」

 地下水が僕の心を読んでいたかのように説明する。

「あれは私はやりたくないね。周りが親父しかいないし」

 それはそうだ。マージャンは新しい遊び故かエルザを除いていい年こいたおっさんしかいない。……エルザも僕の三倍以上は生きているんだけど見た目が幼女だから含まない。

「同じく」

 必然的に僕もマチルダと同じ意見となり別の場所へ案内された。それにしてもエルザは何であんなのをやっているんだろう……?




エルザが麻雀にハマりました。ちなみに私は麻雀は素人どころかルールもよくわからないような初心者です。その代わり何故か役が揃いやすいんですよね…それで一度大逆転したのは忘れません。

そんな作者の麻雀語りは置いといて今年もよろしくお願いします!

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